防衛大臣記者会見

日時
令和3年3月12日(金)09:34~09:59
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 まず、3月26日付の将官人事についてであります。本日の閣議において、3月26日付の将官人事4件について、内閣の承認がなされました。このほか、同日付で、将については9件、将補については38件の異動等を行います。また、本日の閣議において、防大校長の人事及び防衛施設中央審議会委員6名の任命について、内閣の承認がなされました。コロナ関連です。前回の定例会見以降、6名の隊員が新たに感染をしていることが確認をされました。これまでの合計では1,089名の自衛隊員が新型コロナウイルスに感染していることが確認されております。防衛医大病院における新型コロナウイルスワクチンの接種の開始についてであります。自衛隊の医療従事者等に対する新型コロナウイルスのワクチン接種について、8日(月)から自衛隊中央病院で開始をされているところでありますが、今般、防衛医大病院においてもワクチンの接種の準備が整いましたので、15日(月)から、同院に勤務する医療従事者等に対してワクチンの接種を開始する予定であります。日UAE防衛相テレビ会談について、3月10日、ボワルディ・アラブ首長国連邦国防担当国務大臣との間でテレビ会談を実施をいたしました。二国間の防衛協力・交流や地域情勢について意見交換を行い、私からは中国の海警法に関して深刻な懸念を表明しました。そして、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序が重要であるということについて一致をしたところです。私からは、昨年12月、中東地域における日本関係船舶の安全確保を目的とした自衛隊の情報収集活動の期間を1年間延長したことを説明し、中東地域における平和と安定及び航行の安全の確保のため、引き続き連携していくことで一致をしました。また、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、災害派遣活動中の感染予防策に関する知見や教訓の共有をはじめとする感染症対策分野においても防衛協力・交流を推進していくとともに、防衛当局間の緊密なコミュニケーションを継続していくことで一致をしました。第89回安全保障・防衛に関するオタワ会議について、私は日本時間の3月13日(土)午前3時、今日の夜ですね、午前3時からカナダの国防協会会議が主催する「第89回安全保障・防衛に関するオタワ会議」にオンラインで参加をし、スピーチを行う予定にしています。オタワ会議への防衛省からの出席は、私が初めてとなります。私のほか、カナダのサ―ジャン国防大臣をはじめとする各国の関係閣僚、軍の参謀長、有識者等が参加すると承知をしています。今回のテーマは「様々な脅威から民主主義と主権を守る」であります。私からも、このテーマを踏まえ、わが国周辺の地域の情勢を含む現在の安全保障環境を俯瞰しつつ、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けた防衛省・自衛隊の取り組み等を発信する予定です。プレス各位を含めて、皆様ぜひご覧いただければと思います。

2 質疑応答

Q:16日に予定されております日米「2+2」について伺います。コロナ禍の中で、米国の2閣僚が来日する意義について、どのようにお考えでしょうか。また、覇権主義的な行動を強める中国対策のすり合わせが重要だと思いますが、どのような議論、成果を期待されていますでしょうか。

A:まず、16日(火)に東京でオースティン国防長官との間で、対面では初めてとなります日米防衛相会談を行います。会談では、1月に実施した電話会談等を踏まえつつ、インド太平洋地域の最新情勢や、日米防衛協力の推進を含む日米同盟の強化に向けた議論を行う予定にしております。また、同日、私と茂木外務大臣の主催の下で、「2+2」を開催をいたします。「2+2」では、日米の防衛・外務当局の四閣僚が、一層厳しさを増す地域の安全保障環境について意見を交わした上で、日米同盟の抑止力・対処力の強化に向けた今後の協力等について協議を行う予定です。バイデン政権発足後の間もない時期に、国防長官と国務長官が最初の海外訪問先として揃って日本を訪れるということは、米国が日米同盟を重視している表れてあると考えています。具体的な議論の内容について、現時点で予断することは控えたいと思いますが、この機会を捉えて、忌憚のない意見交換を行って、日米同盟の抑止力・対処力の強化についてつなげたいと考えております。

Q:冒頭に発言がありました、防衛大学校長の久保さんが新たに就かれる、この人選の狙いを教えてください。

A:本日の閣議において、久保防衛大学校長について、内閣の承認を受けたところです。久保新防衛大学校長は、これまで、学術研究分野で大きな成果を上げられております。さらに常に第一線の学生教育の場に在り続けて、教育について豊富な知識とご経験をお持ちになっています。こうした知識と経験等を踏まえ、将来、自衛隊の中核を担う幹部自衛官となるべき者の教育・訓練を行う防衛大学校の学校長として適任であると総合的に判断して任命したところです。

Q:退任される國分さんが中国の専門家だったということで、今回の久保さんはアメリカ政治が専門ということで、何かそういう学術研究分野での関係とか、そういうことはあるんでしょうか。

A:もちろん、そういったことも総合的に勘案して、今回適任であると判断したところです。

Q:「2+2」で大臣、今、抑止力・対処力につなげたいと強調されましたけれども、海警法が施行されて、海警局、領海侵入が常態化する中において、対中国への抑止力の重要性について、大臣の見解を教えてください。

A:最近の海警船の東シナ海における活動等々、尖閣周辺における中国の活動が非常に活発化しているところです。そこに止まらず、やはり東シナ海・南シナ海の全般を見ても、この中国の武器というものが非常に活発化していると、戦略的にやってきているわけですけれども、そういったことに対した防衛力を備えておくこと、これは、わが国だけではなくて、同盟国間で連携を強めていくことによって、この防衛力を強化していくこと、また、そのプレゼンスを先方に伝えていくこと、こういうことが必要だと思います。

Q:プレゼンスという言葉が出ましたが、うかつに尖閣に手を出せば、アメリカが出てくるんだということを相手側にしっかり伝えるという、こういうことは重要だというふうにお考えでしょうか。

A:具体的にどこということではありませんが、いずれにしても、日米がこの同盟をしっかりしていること、我々とともにアメリカがいるということを相手に示すということが、非常に有効だと考えています。

Q:今の「2+2」に関連して、防衛当局間で抑止力を高めていくということが重要だと思いますが、具体的に共同訓練や新領域での協力について、どのような話題で、どのようにお話していきたいか教えてください。

A:具体的な議論の内容については、予断することは差し控えたいと思いますが、この新政権が発足間もない時期にあって、日本を最初の訪問地として、そして、貴重なこの防衛相会合を行うことができると、この機会を利用して、様々な課題について、忌憚のない意見交換をできればと思っております。

Q:今夜のオタワの会議では、どのようなことを発信していきたいか教えてください。

A:オタワ会議については、先方から招待がまいりまして、これまでで初めての大臣としての出席をすることになります。この機会では、カナダのサージャン大臣、イギリスのウォレス大臣など各国の国防当局のハイレベルな方も参加するというふうに伺っております。その中で、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けた、防衛省・自衛隊の取り組み等、対外発信していくこと。その上で、またとない機会になるのではないかと。

Q:中国の海警法等も話題にされるおつもりでしょうか。

A:全体の中で、厳しさを増している安全保障環境、こういうものについても説明をしていく必要があると思います。それと、元々のテーマが様々な脅威から民主主義と主権を守るということが大きな会議のテーマになっております。そういう観点から発言をさせていただければと思います。

Q:「2+2」の関連で1点お伺いさせてください。昨日、米国のブリンケン国務長官と中国の楊潔篪共産党政治局員との外交トップ会談が発表されました。「2+2」の後に行われることになりますが、これについての期待を教えていただけますでしょうか。

A:これはいずれにしましても、「2+2」をしっかり我々の立場から米国との間で協議をしていくということが大事なことであるというふうに思っています。その上で、米国と中国の間で会談が行われたとしても、我々として、そこに対して予断をもってコメントすることは、今の時点で差し控えさせていただきたいと思います。

Q:アメリカのインド太平洋軍のデービッドソン司令官が9日の上院軍事委員会の公聴会で、「対中抑止力が崩壊しつつある」と証言した上で、米国及び同盟諸国にとって最大の危機となっていると懸念を示しました。大臣としてこの懸念への受止めについて教えてください。

A:先日、公表されました国家安全保障の暫定的戦略指針において、中国にについて、国際システムに対して、持続的に挑戦する潜在的能力を持つ唯一の競争相手と位置付けるとともに、軍事力の近代化、同盟関係等の再活性化を含む方策によって、米国の優位性を再構築するということが、この暫定的戦略指針に示されているわけです。米国は、インド太平洋地域における同盟国との関係を強化することを明確にしています。わが国としても、「自由で開かれたインド太平洋」を維持し、同盟の抑止力、対処力を高めて、日米同盟を一層強化していくために、米国と引き続き、連携を強化するために、緊密に連携していきたいと、こういうふうに考えています。

Q:関連して、デービッドソン司令官が合わせて、「今後6年間で中国が台湾に軍事攻撃を仕掛ける恐れがある」という認識を示したとされています。特に今後6年間という部分について、防衛省として同様の認識なのか教えてください。

A:我々として、さまざま分析をし、米国とも日々協議を重ねているところですが、内容については控えさせていただきます。

Q:先月、航空自衛隊那覇基地から流出、飛散した泡消火剤を専門家が調査したところ、有害性が指摘されている有機化合物の一種、PFOSが検出されたとのことですが、事実関係と受け止めをお願いします。

A:本事案に関しましては、近隣住民の皆様に大変な御不安を与えておりますことを申し訳なく思っております。防衛省としては昨年来、泡消火剤を順次PFOSを含まないものに交換している最中であります。2月26日に航空自衛隊那覇基地の外に出た消火剤につきましては、PFOSを含まない泡消火剤との報告を受けているところであります。いずれにしましても、先般回収した泡消火薬剤についても速やかに内容を分析を行って、調査結果が判明次第、速やかな報告をしたいと思います。

Q:今の確認ですが、防衛省としても回収した泡消火剤を確認する、検査するという理解でよろしいでしょうか。

A:はい。

Q:関連ですが、今後、防衛省としての調査でも確認されれば、那覇基地は当初のPFOS入っていないという説明が事実と異なる説明になって、問題になるんじゃないかと思いますが、そこについて大臣の御見解はいかがですか。

A:いずれにしても、調査結果が出るまで予断をもってお答えすることは差し控えさせていただきます。

Q:冒頭、大臣からお話があった、陸上幕僚長の人事の件ですが、現陸上幕僚長湯浅陸上幕僚長は、従来から他の3幕長に比べて、定例記者会見をしない確率が非常に高かったのですが、特に今年に入ってから、ほとんど定例記者会見をしていません。それについて、大臣の受け止めと、御指導されるお考えがあるか、お聞かせください。

A:今回、退官されます湯浅陸将については、昭和59年の入隊以来、37年間長きにわたって、防衛のために厳しい任務を全力で取り組んでこられました。最近は陸幕長や、また西部方面総監等の重責を務めていただきました。そういう意味から湯浅幕僚長のこれまでの活動には敬意を表したいと考えております。

Q:聞いている意味が分かりませんか。質問の意味が分かりませんか。

A:その上で、会見がですね、陸だけ少ないというようなことだと思いますけれども、そのことは承知をしているところであります。すいません、「陸だけ少ないということではない」というふうに承知をしております。

Q:今年に入ってから、記者会見どの程度やっているか把握していらっしゃいますか。

A:これは事務方から、また返答させたいと思います。

Q:極端に少ない場合は、御指導されるおつもりはありますか。

A:仮定ですから、まず状況をお聞きになっていただければと思います。

Q:「2+2」に戻るのですが、今回、東京で「2+2」をやるのが7年半ぶりだと思います。コロナ禍で外国の閣僚が来るのも非常に少なくなっている中で、異例ずくめとも言えるんですけれども、東京でどういうふうに両閣僚をおもてなしされるのか、コロナ禍なんで色々難しいと思いますけれども、どのように過ごしていただきたいというふうに思っていらっしゃるかということと、コロナ禍をおしてくる意義、オンラインじゃなくて対面をする意義をどうお考えかというところを。

A:先ほどもお話ししましたとおり、新政権が発足して間もない時期にですね、最初の訪問地として日本を選んで、国防長官のみならず「2+2」が行われるということは大変有意義だというふうに思っております。確かにコロナという状況の中で、対面での会談というのは、これまでもできていません。レイノルズ、豪州の長官だけだったと思いますけれども、そういう中においても直接来ていただいて、直接対面して忌憚のない意見を交わせるというのは、大変意義のある、いい機会だと思っております。まず、防衛相会談。バイの会談と、「2+2」を16日に行います。普通の状況であれば、ディナーとか、そういう形での接遇もあるんですけれども、今回は残何ながらコロナということでありますので、そういうことは「2+2」のレベルではなかなか難しいわけですけれども、折角いい季節に来られるんですから、桜でも見ていただければなというふうに思っています。

Q:デービッドソン発言の関連なんですけれども、大臣の御見解として、今、台湾に対して中国がかけている政治的な圧力の現状、これ、懸念を持っておられるのかどう見ておられるのか教えて下さい。

A:台湾に対する中国のプレッシャーということですが、色々報道もありますし、情勢については我々としても分析をしております。中国の活動というのが、これまでにない活動も含めて活発化しているという状況、東シナ海、南シナ海、その間にある台湾、こういう位置においてはですね、非常に厳しいものになる、ということは我々も認識をしておりますけれども、そこに対してどのような形で我々が対処していくということについては、予断を持てお話しすることは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:「2+2」の関連なんですが、オースティン長官も、ブリンケン長官も、日本訪問後、韓国にそのまま行かれます。韓国でも同様に「2+2」を開くということですが、バイデン政権において、日米関係、米韓関係の仕切り直しというような意味合いかと思うんですが、今回の日本、韓国への両長官の訪問についてはどのように受け止めておられますか。

A:韓国との関係については、北朝鮮対応を考えた場合にも、わが国にとっては、日米、あるいは日米韓、日韓、こうした連携というものは大変重要だというふうに考えております。そうした中で、米韓の中でどのような協議が行われるかということについては、我々からコメントすることは差し控えますけれども、関心を持っていきたいというふうに考えております。

以上