防衛大臣記者会見

日時
令和3年3月9日(火)09:30~09:40
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 新型コロナですが、前回の会見以降、7名の隊員が新たに感染いたしました。本日までに合計1,083名の隊員が感染したことが確認されております。昨日8日、自衛隊中央病院において病院長以下5名の医療従事者に対しまして、自衛隊で初めてとなります新型コロナウイルスのワクチン接種を行いました。本日以降、同病院に勤務する全職員に対して接種を行う予定にしております。

2 質疑応答

Q:8日から米韓合同軍事演習が始まったと報道されております。今回、野外訓練ではなくて図上訓練だということで、それに対する評価とですね、北朝鮮がこうした訓練に反発して、軍事的な挑発をする可能性も指摘されていますけれども、防衛省の分析はどのようになっておりますでしょうか。

A:まず米韓両国は、8日から9日間にわたって、米韓合同指揮所訓練を実施するものと承知しております。在韓米軍を含みますアジア太平洋地域の米軍の抑止力は、地域の平和と安定に不可欠なものであります。また、米韓合同軍事演習は、地域の平和と安定を確保していく上で重要であります。防衛省・自衛隊としては、北朝鮮をめぐる動向に平素から重大な関心を持って情報収集・分析を行っております。一つ一つについてコメントすることは差し控えさせていただきますが、いずれにしましても、引き続き、米国や韓国等とも緊密に連携しながら、状況を注視してまいりたいと思います。

Q:中国で先週から始まった全人代でですね、予算案が明らかになりまして、その中で国防費が6.8%増の22兆円ということで、日本の約4倍ということになっております。こうした状況にどのように対応してくか教えていただけますでしょうか。

A:今お話しがあったとおり、中国の公表されている国防費については、継続的に高い水準で増加をしております。2011年から過去10年間で約2.3倍、1991年からの30年間でみますと、42倍に増加しています。予算の内訳などの詳細が公表されていない上に、公表されている国防費に関しても軍事関連予算の一部にすぎないという指摘もあります。このような国防費の高い伸びを背景といたしまして、中国は、透明性を欠いたまま軍事力を広範かつ急速に強化をしております。周辺海空域等における活動を拡大、また活発化させておりまして、防衛省としては、引き続き国防費を含めた中国の国防政策を注視してまいりたいと思います。また、中国に対する各国の懸念を払しょくするためにも、中国が国防政策や軍事力の透明性を向上させていくことがますます重要となっております。具体的かつ正確な情報開示を通じて、軍事に関する透明性を高めていくことが必要であります。こうした観点からしますと、私としては、わが国の領土・領海・領空を断固として守り抜くとの大臣の職責を果たすべく、昨年も魏鳳和国防部長に対しまして、中国の軍事に関する透明性の問題をはじめとしましてわが国を含む国際社会の強い疑念を払拭し、中国側の更なる取組みを強く求める旨を直接伝達したところでありますけれども、引き続き、様々な機会を通じて、中国側に強く働きかけをしてまいりたいと思います。

Q:全人代に関連して伺います。7日に王毅外相が会見で「海警法が国際法に合致している」と正当化しましたけれども、大臣の受け止めと評価を教えてください。

A:発言は承知しておりますが、その上で、この中国海警法については、曖昧な適用海域、または武器使用権限等、こういった国際法との整合性の観点から問題がある規定が含まれており、これにより、わが国を含む関係国の正当な権益を損なうことがあってはならないと、このように考えております。防衛当局としても、海警法に対するわが国の強い懸念はこれまでも中国側に伝えております。引き続きしっかり伝えてまいります。

Q:関連して伺います。王毅外相が会見の中で台湾問題についても述べておりまして、「いかなる形の台湾独立の分裂行為も打ち砕く能力がある」と強硬姿勢を示しました。大臣、台湾に非常に近しい関係にあると思いますが、この受け止め、また今後どのように対応していくか教えてください。

A:台湾をめぐる問題については、わが国としては、当事者間の直接の対話により平和的に解決されること、また、地域の安定に寄与することを期待するというのがわが国の立場です。その上で、中国が軍事力強化を進めている中で、中台の軍事バランスが大きく中国側に優位な方向に変化をしてきている。その差は毎年拡大をしている状況であります。防衛省としても引き続き関連動向を注視してまいりたいと考えております。

Q:在日アメリカ軍の駐留経費関連でお伺いします。アメリカと韓国の間で、駐留経費交渉が合意に至ったという発表がございました。韓国側の負担増での合意とのことですが、今後の日米のHNS交渉に与える影響をどのようにみておられるのか、お伺いいたします。

A:米韓間の交渉について、我々としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。在日米軍駐留経費は、インド太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、在日米軍の円滑かつ効果的な活動や、米軍の地域への前方展開を確保する上で、重要な役割を果たしてきています。新たな特別協定にむけた今後の交渉について、予断をもってコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。ただ、厳しい諸情勢、安全保障、また財政状況、こうしたことを踏まえて適切に対応してまいりたいと思います。

Q:先週から報道等に出ています、日米「2+2」、今月中旬にも開催という報道が出ていますが、現在、調整状況等、進んでいれば、どういう状況かというのを教えていただけますでしょうか。

A:様々な報道が出ておりますが、現在、色々調整中でございます。平素から日米間では様々な案件について、意思疎通を図っておるところでございますが、今そういった中で、調整を進めているところです。

Q:新型コロナのワクチンの関係でお尋ねします。ワクチン接種で自衛隊の支援活動は、他に何か決まったものがあれば教えてください。

A:今のところ、支援の要請が、そういうものは来ておりませんので、今後いつでもしっかり対応できるようにしてまいりたいと思います。

以上