防衛大臣臨時記者会見

日時
令和3年2月27日(土)12:19~12:28
場所
航空自衛隊府中基地航空支援集団司令部庁舎1階ロビー
備考
空自府中基地視察後の岸防衛大臣臨時会見

1 発表事項

 本日、この航空自衛隊府中基地を視察をいたしました。こちらの府中基地は、輸送をはじめとした作戦支援を行います航空支援集団、航空装備品等の研究開発を行います航空開発実験集団、そして昨年5月に新編されました宇宙領域における調査研究を行う宇宙作戦隊等が所在する重要拠点であります。防空の最前線である各部隊の実状把握、また、この府中の地で24時間365日、一瞬の隙も無く、常に緊張を強いられる任務に取り組んでいる隊員を激励することができましたことは、大変意義のあることだったと考えております。今後も、こうした現場の視察の機会を通じて現場の声に耳を傾けて、その能力を最大限に発揮できるような環境づくりをしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

2 質疑応答

Q:宇宙作戦隊等を視察されましたが、今後宇宙領域を担う部隊への期待等があればお願いします。

A:通信衛星や放送衛星等、わが国にとって重要な人工衛星が、宇宙ゴミとの衝突、あるいは不審な衛星からの攻撃によって被害を受けることのないよう、宇宙空間の状況を適切に把握できる体制を整備することは、政府にとっても大変重要な課題であります。防衛省として、このような考え方に基づいて、JAXA等の関係機関と連携しながら、山口県に宇宙空間を継続的に監視するレーダーを設置するほか、このレーダーが収集した情報と、JAXAが保有する望遠鏡、レーダーが収集した情報等を集約するシステムをこの府中基地に整備して、宇宙空間の安定的利用に資する体制整備の取り組みを進めております。こうした取り組みを推進するため、昨年の5月に新編いたしましたこの宇宙領域専門部隊としての宇宙作戦隊であります。現在は、令和5年度に予定されている宇宙状況監視、いわゆるSSAのシステムの運用開始に向けて、宇宙領域の知見を持つ人材の育成、米国との連携体制の構築に取り組んでいるところであります。新領域におけるパイオニアとして国民から寄せられる期待と負託に応えられるよう、引き続き研鑽を積んでいくことを期待しています。

Q:宇宙の領域、非常に各国しのぎを削っているところだと思うんですが、米国との連携についてどのように進めていくのか、米国との連携の意義含めて教えていただけますでしょうか。

A:宇宙領域、大変これから重要な分野であります。同盟関係にある米国との間での近い連携をとっていかなければいけない分野であると、こういうふうに考えていることころです。今、宇宙空間の安定的利用に対するリスク、また安全保障上の重要な課題である、こういうことでございますが、現行の防衛大綱、また中期防においては、情報収集、通信、測位等の能力向上、また宇宙空間の状況を常時継続的に監視する体制の構築、有事において相手方の指揮統制、情報通信を妨げる能力を含めて、宇宙利用の優位を確保するための能力の強化に向けて取り組んでいくこととしているところでございますが、防衛省・自衛隊としては、引き続きこの大綱、中期防等に基づいて、宇宙利用の優位を確保するための能力強化に取り組むわけですが、そのためにも米国とのしっかりした連携をとっていくということになってまいります。

Q:中国海警法の施行が間もなく1カ月を迎えます。昨日の会見でも出ましたけれども、改めて伺いたいのですが、尖閣諸島周辺では海警船の領海侵入等が相次いでおりますが、現状の受け止めと、政府としての尖閣諸島含めた領土、領域防衛への意気込みを改めて教えてください。そして、政府が先日の自民党の部会で示した、外国公船への危害射撃を可能としたという解釈もありますけれども、改めて大臣の御所見を伺えますでしょうか。

A:尖閣諸島につきましては、これは疑いもなくわが国の領土であります。この領土をしっかり守っていかなければいけません。先般の海警法の施行、それと海警船舶の活動ですね、こうしたものについては、まず海警船舶の行動については、間違いなく国際法に対する違反でもあります。そうした活動は、我々としても、国際社会にも訴えていかなければいけませんし、また守りも固めていかなければいけないというふうに考えております。海警法の施行にあたっては、従前からお話しをしていますとおり、こうした海警の船舶の活動を裏付けるようなものであれば、我々として断じて受け入れることは出来ない、こういうことを、現場を預かる者として、これまでも決意を述べてまいったところであります。領土・領海・領空をしっかりと守っていくために、これからも警戒監視を怠ることのないよう、しっかり活動してまいりたい、こういうふうに考えております。

Q:危害射撃の、政府の、この間自民党の部会で示した解釈という部分については、自衛隊にもその法は当然適用されるのかなというふうにも思うんですけれども、そこについて大臣の認識を改めて伺えますか。

A:先般の自民党内での議論については、私から申し上げることは差し控えたいと思いますけれども、海上保安庁法に基づく対応については、これまでの解釈を踏まえて海上保安庁から説明したものと、こういうふうに承知をしていることころでございます。海上警備行動を下令された自衛官の武器使用については、従来から警職法第7条等を準用して行っているところで、何ら変更するものではないということです。

Q:中東情勢について伺います。米軍がシリア国内の親イラン武装勢力の拠点について空爆を行ったということで、自衛隊中東派遣もございますが、国防総省は抑制的な行動だったと指摘しているものの、今後の中東情勢の不安定化を懸念する声もあります。大臣の今回の空爆の受け止めをお願いします。

A:本件が及ぼす影響も含めてですね、中東情勢に対しては高い緊張感をもって、政府として注視をしているところでございます。中東は、わが国が原油の輸入量の9割を依存している地域であります。この中東地域の平和と安定、これはわが国を含みます国際社会の平和と繁栄のために極めて重要なところでありますから、この高い緊張状態が継続しているということを大変懸念しています。わが国としては、関係国と緊密に連携をとって、地域の緊張緩和と情勢の安定化に向けて外交努力を継続していくとともに、引き続き高い緊張感をもって情勢を注視してまいりたいと考えております。

以上