防衛大臣記者会見

日時
令和3年2月26日(金)09:38~09:53
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 まず新型コロナウイルス関連です。前回の会見以降、3名の隊員が新たに新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。これまでに、合計1,067名が感染したことが確認をされております。

2 質疑応答

Q:2月1日に中国で海警法が施行されてまもなく1ヶ月になりますが、海警船舶による尖閣周辺での領海侵入が相次いでいまして、与野党の議員からは領域警備法の制定等、新たな法整備を求める声が上がっています。法整備の必要性等について、現状どのようにお考えなのか御見解をお願いします。

A:中国海警法につきましては、自民党内でも法整備の話を含めて様々御議論をいただいているところでございます。政府としては、武力攻撃に至らない侵害への対処に関しましては、警察機関と自衛隊との連携が極めて重要であるという考えの下で、平成27年に、海警行動の発令手続きの迅速化のための閣議決定を行いました。その上で、各種の訓練、情報共有、関係機関の連携等を不断に強化をして、万全の備えを期しているところでございます。いずれにせよ、防衛省・自衛隊として、自民党の御意見も伺いつつ、あらゆる事態に適切に対応し、わが国の領土・領海・領空を守り抜くために、関係省庁とも連携し、引き続き万全を期してまいりたいと思います。

Q:昨日の国防部会で、出席議員から政府が外国公船に対する危害射撃について見解を示したと説明がありました。具体的にどのようなケースで危害射撃ができると解釈されているのか御説明をお願いします。

A:まず、昨日自民党の部会においては、わが国の周辺海域を取り巻く情勢を踏まえて様々な論点について議論がされ、防衛省としては現行の自衛隊法に基づいてどのような措置が可能か、といったことについて説明をしたところでございます。党内の議論の詳細につきましては、私から申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、我々としてはしっかり情勢に応じて、しっかり守りを強化してまいりたいと考えております。

Q:昨日の部会では、尖閣に不法上陸しようとした場合に、重大凶悪犯罪と認定して、危害射撃をすることができると。これは自衛隊でも海上警備行動をとった場合に適用される部分だと思うのですけれども、この辺りの事実関係についてはどうでしょうか。また、従来の法律の解釈を変えたということでしょうか。

A:繰り返しですけれども、党内の議論についての詳細については、私からは差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますと、海上保安官の武器使用の権限として準用されます警職法第7条の規定は、海上警備行動を命ぜられた自衛官の職務の執行にも準用されているところでございます。この際、「自己若しくは他人に対する防護」又は「公務執行に対する抵抗の抑止」のために必要な場合に、事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができます。人に危害を与えるときの武器の使用は、正当防衛又は緊急避難に該当する場合や、重大凶悪犯が職務執行に抵抗する場合に限られるということでございます。

Q:こうした中国の動きを巡って、特に先週からアメリカ側で様々な反応が出ていまして、国防総省のカービー報道官、中国の海警局の船が領海侵入をやめるように求めるであるとか、国務省のプライス報道官も会見後に懸念を示しています。こうした、大臣、かねてより国際世論に訴えることが重要だというふうなお話しをされてきましたけれども、アメリカ側のこうした反応についてはどのような御認識でしょうか。

A:御指摘の報道官の発言については承知をしているところでございます。尖閣諸島周辺のわが国の領海で独自の主張をする海警船舶の活動は、まさに国際法違反であります。報道官の「中国に対して、中国海警の船舶を使用した、計算違いや、潜在的に物理的な、又は物的損害につながりうる活動を行わないよう強く求めていく」という発言がございましたけれども、このことは私としては、完全に同意をするものであります。また、中国海警法は、国際法との整合性の観点から問題がある規定を含んでおります。現場を預かる防衛大臣として、断じてこれを受け入れることは出来ません。これにより、わが国を含む関係国の正当な権益を損なうことはあってはならない、このように考えており、防衛当局としても、こうしたわが国の強い懸念は、これまでも中国に伝えてきていることでございますが、引き続きしっかりと伝えていきたいと考えております。わが国の国民の生命、財産及びわが国の領土・領海・領空を断固として守るという決意の下で、米国を含む関係諸国との連携をしっかりとって、引き続き冷静かつ毅然として対応してまいりたいと考えております。

Q:確認なんですが、先ほどの質問に関連して、危害射撃のところなんですけれども、重大凶悪犯罪に限られるということなんですけれども、尖閣への上陸を目指す海警局の船っていうのは、その行為が重大凶悪犯罪というものに該当するケースはあるという御認識でしょうか。自民党との議論とは離れて、大臣に認識を伺っております。

A:その海警の船舶がどのような行動をとるかによって、これは状況によって変わってくるというふうに考えております。個別の状況に応じて判断することだと思います。

Q:今の御回答であれば、そういうケースもあるので、個別の状況によって判断していくという理解でよろしいでしょうか。

A:いずれにしても、これは船舶の行動を見た上で判断をしていくことだと考えております。

Q:海自のP-3C哨戒機が、ミスチーフ礁上空を飛行して、同地域で主権を主張している中国から、無断で通過したと日本側に抗議をしていたという報道がありますが、事実関係と大臣の受け止めをお願いします。

A:報道については承知をしているところでございます。自衛隊機の具体的な飛行経路、運用等々については、お答えを差し控えさせていただきたいと思いますけども、一般的に自衛隊機が南シナ海を飛行する時に、周辺国、他国とのやりとりを行うということはあり得ることであるというふうに思います。自衛隊機の飛行は、いずれにいたしましても国際法に則って安全に配慮した上で行われているということでございます。

Q:南シナ海での航路、あとシーレーンもあるわけですが、こういう航行の自由っていうことの重要性について、大臣のお考えを教えてください。

A:まさに、航行の自由、飛行の自由、これはまさに我々にとっても平和と繁栄の基礎になるところだというふうに考えておりますが、大変重要なポイントだというふうに考えております。

Q:そうしますと、こういうミスチーフ礁っていう、中国側が主権を主張している地形については、日本側としては認められないという、そういう御認識でしょうか。

A:日本は、まさに航行の自由というものをこれまでも主張してきておりますし、今後も、この確保というものについては、大変重要であるというふうに考えております。

Q:昨日開かれました、日豪首脳会談の関連でお伺いします。去年11月に、菅総理とモリソン首相が会談された際に、円滑化協定について大枠で合意というふうになっており、早期の署名を目指すということになっておりますが、現在の協議状況はどのような状況でしょうか。

A:昨日の日豪首脳会談が電話会談で行われました。御指摘の日豪円滑化協定については、御指摘のように昨年11月に首脳間で大枠合意が確認されたところであります。引き続き、交渉中でございまして、予断をもってお答えすることは差し控えさせていただきます。両国間で引き続き交渉を続けてまいりたいと思います。

Q:関連ですが、同じく「2+2」に関しても、今年の早い時期の開催というので11月の段階では合意しておりますが、こちらの進捗状況はいかがでしょうか。

A:今御指摘のとおりの所でございますが、最も早い時期、今年の最も早い時期で良い時期で実施することということを指示しているところです。これを受けて、事務方において所要の調整を続けているところであります。いずれにしても、詳細については相手国との関係もありますので差し控えさせていただきたいと思います。いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊として基本的価値、そして戦略的利益を共有する「特別な戦略的パートナー」として、豪州と共に「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けて、ハイレベルを含みます様々なレベルでの引き続きの緊密な連携を目指してまいりたいと思います。

Q:重要土地等調査法案についてお伺いします。防衛省に関係が深い法案だと思いますが、防衛省としての意義と、あと公明党で慎重論が根強いようなんですが、それに対する大臣の受け止めというか、お考えをお聞かせください。

A:今、この法案については、内閣官房において、新しい制度の枠組みとして、安全保障の観点から土地の調査及び管理に関する法律案としてとりまとめして、今国会に提出を目指して、検討が行われていると、このように承知しておるところでございます。防衛省としては、防衛施設周辺における土地の利用・管理の在り方は国家安全保障に関わる重要な問題と認識をしている、また、国防上の基盤である防衛施設の機能発揮を万全なものとするために、内閣官房の検討に協力するなど、しっかりと連携の上対応してまいりたいというふうに考えております。

Q:すみません。慎重論とかに対しては、大臣どういうふうに考えていますか。

A:政党間でも様々な議論が行われているというふうに考えますが、そこに対して私からコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:確認で、先ほどの危害射撃の件ですが、大臣としては状況を個別のケースによって判断させるということなんですけれども、尖閣上陸を凶悪犯罪と認定すれば、相手は攻撃してきていない段階であっても、こちらから危害射撃を行う可能性というのは、状況によってはあり得る、そういう理解でよろしいでしょうか。

A:いずれにいたしましても、海上警備行動下においては、警職法の7条の下で行動をするということになるというふうに考えております。

以上