防衛大臣臨時記者会見

日時
令和3年2月17日(水)17:30~17:42
場所
防衛省A棟1階エントランス
備考
在日米軍駐留経費負担に係る特別協定改正の日米合意に関する岸防衛大臣臨時会見

1 発表事項

 在日米軍駐留経費負担に係る特別協定については、本年3月末に現行の特別協定が失効することを踏まえ、昨年11月以降、日米間で協議を行ってきたところです。この度、日米両政府は、現行特別協定を改正し、その有効期間を1年間延長することで合意しました。インド太平洋地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、日米同盟は、わが国の防衛のみならず、地域の平和と安定のためにはなくてはならない存在です。そして、日米同盟の安定的な運営を確保する上で、在日米軍駐留経費は重要な役割を果たしております。このような共通の認識の下、新型コロナウイルスの感染拡大や交渉中に米国において政権が交代したことなどにより、交渉に割くことのできる時間が制約されるという特殊な状況の中で、日米間で交渉を重ね、必要な合意に至ることができました。今後、日米両国で署名を行った上で国会に提出し、国会において御審議をいただく考えでおります。

2 質疑応答

Q:現行協定の期限、国会審議等を考えたら、かなりぎりぎりのタイミングでの合意となりました。このタイミングでの合意となったことへの受け止めをあらためてお願いします。

A:在日米軍の駐留経費負担の特別協定については、現行の協定の有効期間が本年3月末までということでございます。これを踏まえて、日米間で協議を行ってまいりました。この度、特別協定を改正し、その有効期限を1年間延長する、現行の協定を1年間延長するという形で合意し、また、2022年4月1日以降の新たな複数年の特別協定の合意に向けて、交渉を継続していくことを確認したところです。交渉が、当初スタートが少し遅れてしまった。コロナの感染状況、それから米国の選挙。また、政権の交代、こうした状況がございましたので、交渉の時間が限られるというような中でございましたので、このタイミングでございましたけれども、できるだけ早急にこれから国会手続き等を進めてまいりたいというふうに考えております。

Q:再来年度分以降の交渉も今後継続ということですが、どのような方針で臨まれますでしょうか。

A:1年間延長したその先については、いずれにしてもこれからの交渉でございます。交渉ごとですので、予断をもってお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、日米の同盟にとっても大変重要な協定でございます。わが国の取り巻く安全保障環境が厳しい中で、しっかり交渉していきたいと思います。

Q:従来、特別協定は5年ごとということでやっていたと思いますが、今後の交渉が4年、1年延長ということなので、4年を期間として交渉していくことが念頭にあるのか、その辺りはいかがでしょうか。

A:これは今後、交渉する中で決まってくることだと思います。あまり予断をもって語ることは差し控えたいと思います。一応、これまでの協定が5年間であると、それから今回の協定も当初、5年という枠組みの中でスタートしてきたわけでございます。そうした中から、今後交渉していく中で決まってくるものだと考えております。

Q:交渉の中で、いわゆる労務費とか光熱費の金額だけではなく、様々な安全保障上の課題なんかも議論することがあると思いますが、宇宙やサイバー等、どういったものについて議論していくお考えでしょうか。

A:これは、いずれにしても来年度以降の交渉については、今予断をもって申し上げることは差し控えたいと思います。いずれにいたしましても、日米同盟、また、その抑止力等、しっかり確保してくためにも大事な協定だというふうに考えております。

Q:署名日がいつになりそうか、今の段階で目安があるのかというのが1点と、来年に向けて引き続き交渉を続けるということですが、両者から今後に向けた検討事項の提示等は今の段階で行われているのでしょうか。

A:署名についてはできるだけ早く行っていきたいと思います。いずれにしてもその後で、国会での御審議が必要になってまいります。国会の審議のためにも、できるだけ早く国会へ提出できるように署名を行っていきたいと考えております。

Q:来年の交渉を見据えた互いの検討事項を出し合うとか、そういった議論というのは今の段階ではまだ行われていないのでしょうか。

A:これまでも様々なことをお互いに議論をしてまいったところでございます。今回は、来年度の暫定的な1年間の合意というものを取り決めた、こういうことでございます。ただ、これまでも議論してきたこと、また、これから議論すること、こうしたことを積み重ねて来年以降の新しい協定にしっかり反映させていきたいと思います。

Q:バイデン政権になってからは、正式な交渉が2月2日に始まって、2週間少しでの合意となった形ですが、期間についてどのように評価していますでしょうか。

A:バイデン政権に替わった後の期間。

Q:はい。

A:これはこれまでも、そういう意味では交渉を積み重ねてきておりました。その中で、先方の政権の引継ぎということがあったわけですが、担当レベルではこれまでもずっと交渉を続けてきましたので、そうしたことの積み重ねによって、また新たな政権の下で在日米軍の政策等について、新しい考えの下で、これが決められたんだと理解しております。

Q:オースティン長官との電話会談の中で、早期に妥結に向けた一致というのがございました。大臣の認識としては、その約束というのは守られたというふうに思っておられるのでしょうか。

A:早期にと言った意味は、今後の駐留について支障の出ないような形で早期に妥結をしたいと、こういう意思をお伝えしていたわけでございます。そういう意味では今回妥結ができて、これからあります、もちろん手続きが両国において必要な手続きを取っていかなければいけないんですが、そうした意味においては、お互いにすべきことができたのかなというふうに思います。

Q:バイデン政権は、世界的な米軍再編の意向を示していますが、特にアジアでの米軍に求めることについてお願いします。

A:アメリカの全体的な安保戦略、政策、それからアジア政策、そうしたものを全体で考えていかなければいけないと思いますが、我々としては、これまでの政権同様に、日米同盟の維持強化、これを常に図っていく中で、更に抑止力等について、しっかりしたものにしていかなければならないと、こういうふうに思っております。

Q:政府として現在の日本の負担額は適正だというふうに考えているのか、今後の交渉でまた減らしていきたいと考えているのか、その辺はいかがでしょうか。

A:日本側の負担額ですか。

Q:負担額です。

A:これまで交渉の中でも、お互いに納得できるところで合意をしてきたという経緯がございます。その中で、今回の協議においても、様々な議論がなされる中で、お互いに合意できるレベルになっているということだと思います。今回については、いずれにしても現行協定の1年間延長という形ではありますが、お互いの考え方については、これまでの交渉の経緯においても様々やり取りが行われてきているというふうに思います。また、今後、来年以降の交渉にあたって、しっかりそういう基本的なすり合わせ等も行われると了解しております。

Q:来年度の具体的な負担額というところは。

A:これも今申し上げにくいことだと思います。予断をもって。

Q:現行水準です。

A:2022年4月1日以降の複数年度の特別協定の合意に向けては、交渉を継続していくということです。確認をしたところです。現行のHNSの枠組み・水準を維持することとし、今の分、令和3年度の分については、負担額は2,017億円となります。

以上