防衛大臣臨時記者会見

日時
令和3年2月11日(木)11:43~11:56
場所
海上自衛隊横須賀地方総監部逸見岸壁
備考
第3次派遣情報収集活動水上部隊帰国行事参加後の岸防衛大臣臨時会見

1 発表事項

 先般、日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集活動のため第3次隊として派遣され、任務を完遂の上、本日無事に帰国した護衛艦「むらさめ」及び隊員を出迎えました。帰国した隊員達は、昨年9月に横須賀を出港し、本日戻ってくるまでの間、年末年始も日本から遠く離れた中東地域において、整斉と任務を完遂し、日本関係船舶の安全確保に必要な情報の収集に大きく貢献していただきました。新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大する中ではありましたけれども、寄港地での上陸の制限を含む感染予防策を徹底し、ストレス解消の工夫をこらしながら、しっかりと任務を果たしてくれたと思います。厳しい長期の任務を終えた隊員達には、次の任務までの間、まずは十分に休養をとっていただいて、ご家族との時間を大切にし、英気を養ってもらいたいと思います。

2 質疑応答

Q:中東派遣延長の意義と今後の見通しについてお願いします。

A:中東地域の平和と安定は、わが国を含む国際社会の平和と繁栄のために大変重要なことであります。また、世界における主要なエネルギー供給源であって、わが国の原油輸入量の約9割を中東地域に依存しております。日本関係船舶の航行の安全を確保することは非常にそういう意味からも重要です。この情報収集活動によって得られた貴重な情報というものは、日本関係船舶の航行安全に役立てております。また業界団体からも累次、期待や感謝が表明されているところです。その上で、中東地域においては、日本関係船舶の防護を直ちに必要とする状況にはないものの、引き続き高い緊張状態が継続しています。防衛省・自衛隊としても、日本関係船舶の安全確保のため、今後とも、高い緊張感をもって情勢を注視するとともに、現場海域における情報収集活動を引き続き万全を期してまいりたいと思います。

Q:HNSについてお伺いします。一部で1年の暫定延長で大筋合意したとの報道がありますが、その事実関係と今後の交渉の見通しについてお願いします。

A:HNSに係る具体的な交渉方針や進め方、内容については、わが国の立場を損なうおそれがあることから、お答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにしましても交渉は継続中であります。日米との間では緊密に意思疎通を図っているところではありますが、今の時点で日米で大筋合意に至ったという報道もありますが、そのような事実はありません。いずれにせよ、今の安全保障環境が厳しい中で、また、わが国の財政状況等を踏まえつつ、適切に対応してまいりたいと思います。

Q:ワクチンについてお伺いします。来週にも接種開始の方針が示されていますけれども、あらためて、自衛隊のワクチン接種に関する関与についてお伺いします。

A:現時点において、新型コロナウイルスワクチン接種についての自衛隊の活用については何も決まったものはございません。医療従事者や高齢者をはじめとする多くの方々に対して円滑に接種していかなければならないという状況から、防衛省としても自衛隊の能力、これまでの新型コロナウイルスに係る活動で得られた知見や経験というものを活かして、どのような支援が可能か、引き続きしっかりと検討してまいりたいと思います。

Q:中東の情勢、高い緊張状態が続いているということなんですけれども、どういった点で高い緊張状態が続いているか、もう少し教えていただきたいと思います。

A:まずはイラン情勢であります。米イランの関係についてですね、以前から変化がないということであります。また、バイデン政権の下で中東政策がどのようになってくるか、こういったことも注視していきたいと思います。

Q:駐留経費の交渉についてなんですけれども、報道によると大筋で合意というようなことなのですが、あらためまして大筋で合意しているという事実もないということでよろしいでしょうか。

A:そういう事実はございません。引き続き交渉を継続するということです。

Q:中国海警局の動きについて伺います。昨日の日米外務相会談で、海警法への懸念が共有されたのですが、船舶防衛に向けて日米間の防衛、連携をどのように進めていくのか大臣の見解を教えて下さい。

A:日米間では常時、様々な形での情報交換、意思疎通を図ってきているところでございます。また、様々な形での共同訓練等も実施してきている状況と思っております。その上で、海警法について、先般の日米の外相会談でも様々話し合われたと考えております。私も先般のヤング臨時大使との面会の時にも、我々の懸念をお伝えしたところでございます。国際法との整合性の観点から非常に疑念を持っているということで、断じて受け入れられない旨をお伝えしたところでございます。防衛省・自衛隊として、しっかりわが国の平和と安定を守るために、確固たる決意を持って対処したいと思っております。

Q:昨日の外務相会談でミャンマーの情勢についても話し合われました。ネピドーで抗議デモ参加者に対する当局の発砲、これに対して強く非難するということが外務相間で確認されたわけですけれども、防衛省はミャンマーと能力構築支援を含めて、いろいろな防衛協力を進めておられますが、こうした事態があればですね、今後、日ミャンマーの間の防衛協力についても影響が出てくるような事態になると考えでしょうか。見解を教えてください。

A:まず、ミャンマーにおける、これまでの民主化のプロセスについては、わが国の政府として、強く支持をしている状況です。そうした観点からも、これに逆行するような動きに関しては、反対をしております。ミャンマーにおいて民主的な政治体制が早期に回復されることを、あらためて国軍に対し強く求めていく方針であります。ミャンマー情勢については、現在、外交当局が情報収集・分析を行っているところでありまして、能力構築支援等、これまで自衛隊が行ってきた色んな支援がございますけれども、こうした協力、それから交流については、情勢の推移を見定めつつですね、適切に判断してまいりたいというふうに考えています。

Q:潜水艦「そうりゅう」の衝突事故の関連で2点お伺いします。現在、海保を始め各機関の調査が進行していますが、海幕の事故調の現在の調査状況はどのようになっているか、お伺いいたします。

A:「そうりゅう」の衝突事故については、海上保安庁による「そうりゅう」及び民間船舶「オーシャン・アルテミス」の船体調査の結果、両船舶が接触した可能性が濃厚であることから、昨日、業務上過失往来危険及び業務上過失傷害の疑いでの捜査に移行したものと承知をしております。海上自衛隊の艦艇がこのような事故を起こしたことは、国民の皆様の信頼を著しく損ねるものであり、誠に申し訳なく思います。防衛省・自衛隊としては、今の海保の捜査に全面的に協力するとともに、引き続き、海上幕僚監部の事故調査委員会において、捜査に支障のない範囲で事故の原因の究明や再発防止に取り組んでまいります。

Q:関連でお伺いします。もう1問、「そうりゅう」にですね、同乗しておりました指導官の役割について、一部報道で指摘もございます、事故衝突時に浮上行為は指導の対象であったのか、また、指導官の指導行為というのは適切だったのかというのはいかがでしょうか。

A:様々なことが言われておりますけれども、今、海保の捜査も進んでおるところでございます。まずはしっかり、そちらに協力をしていくということでございます。

Q:話題変わりまして、東京五輪・パラリンピックの組織委員会長の森喜朗会長がですね、一連の発言の責任を取って、辞任をする意向を関係者に伝えたというような報道があります。政府としても、東京五輪を進める立場ですけれども、内閣の一員として、こうした辞意を伝えたということをどのように受け止めていますでしょうか。

A:辞意を伝えられたということの情報についてはですね、私自身は承知しておりませんので、コメントを差し控えさせていただきたいというふうに思います。

Q:派遣情報収集の話に戻ってしまいますが、今後更に、この活動を延長するかどうかということについては、現時点では未定ということでしょうか。

A:中東派遣の。

Q:中東派遣です。

A:先ほども申しましたけれども、すぐに日本船舶に対して、守っていかなければいけないような事態ではなりませんけれども、緊張状態は引き続き継続しているということから、中東へのこの情報収集活動については、当面継続していくということでございます。

Q:当面ということで、次の1年も基本的には継続していくという考えでということでしょうか。

A:情勢は様々あると思います。そうした中東情勢を注視しながら、これから検討していくということでございます。

以上