防衛大臣記者会見

日時
令和3年1月19日(火)11:11~11:30
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 まずコロナの関係です。前回の会見以降、63名の隊員が新たに感染の確認がされているところです。本日までの合計が756名ということになっております。先週1月15日(金)、フランスのパルリ軍事大臣との間で日仏防衛相テレビ会談を実施いたしました。今般の会談では、東シナ海・南シナ海をめぐる情勢について、力を背景とした一方的な現状変更の試み、また、緊張を高めるいかなる行為にも強く反対することなどで一致したほか、北朝鮮による「CVID」の実現に向けて、引き続き連携していく意思を再確認いたしました。感染症対策分野において協力をする、パルリ大臣から賛同を得られ、日仏で共に取り組んでいくことで一致をいたしました。防衛省・自衛隊としては、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けて、太平洋国家であるフランスとの防衛協力・交流を引き続き活発に進めてまいります。

2 質疑応答

Q:コロナの感染防止策ということで、民間企業ですとかなり大半の企業がWEBとかオンラインで求職活動というのでしょうか、面接まで含めてやっております。防衛省でも来年度、自衛隊のWEBセミナーの実施を計上されておりますけれども、元々自衛官の慢性的な不足が伝えられている中で、こうしたIT手段の活用促進についてどのようにお考えでしょうか。

A:今、自衛官等の採用を巡る環境は、非常にますます厳しくなることが予想されております。更に、新型コロナウイルスの感染症の影響で、対面での採用活動に制限が加わっていると。そうした状況を踏まえて防衛省・自衛隊においては、優秀な人材を確保するため、採用活動においてもITを積極的に活用していくこととしております。具体的には、令和3年度予算案において、自衛官という職業について分かりやすく紹介するような形でのWEBセミナーの実施、ソーシャルメディアを意識した話題性の高い採用広報用動画の作成、広告バナーの活用などの施策を盛り込んでおります。今後とも、防衛省・自衛隊として、厳しい採用環境においても優秀な人材を確保するために、ITの活用を含め、様々な施策を推進してまいりたいと思います。

Q:中国の共産党の機関紙が昨日というか昨夜ですか、3隻目の新型航空母艦、空母が進水する可能性があるという観測記事を報じております。これは元々言われていたことではありますけれども、加えて、3隻目の空母にはいわゆる電磁式カタパルトも付いているという観測がございますけれども、かなり率直に言いまして、事実であればですね、攻撃能力が増すという意味で脅威かと思いますが、大臣はこれについてどのように受け止めておりますでしょうか。

A:報道は承知しておりますが、他国の装備品の一つ一つについてですね、コメントをすることは差し控えたいと思います。その上で申し上げますと、中国では今回の空母が3隻目ですね、「遼寧」「山東」に続く3隻目、国内で生産という意味では「山東」に続いて2隻目ということになるわけですけれども、更に加えて合計4隻以上の空母を保有する計画があるということも指摘されているところです。2018年6月には、空母群への補給を任務とすると指摘される「フユ級高速戦闘支援艦」を自衛隊として初めて確認しておるところです。支援能力を含む空母の運用能力向上を図っているということが推察されるわけです。いずれにしましても、この最新装備の動向も含めて中国の軍事動向については、防衛省としても引き続き重大な関心を持って注視してまいりたいと考えています。

Q:電磁式カタパルト、これは確かアメリカでも「ジェラルド・フォード」クラスでしか実用化されていないといいますか、最新装備というふうに聞いていますが、これに関してはどのようにお考えですか。

A:現時点でコメントすることは差し控えたいと思いますが、引き続き、そういった最新装備についても関心を持って注視してまいりたいと思います。

Q:昨日、国会が開会しまして、施政方針演説も行われました。総理の方針演説の中で、イージス・システム搭載艦を整備するとともに、抑止力の強化について引き続き政府内で検討を行うというような御発言があったかと思いますが、年末に一定の方向性を出して、今年色々と検討していくと思いますが、どのようにこのイージス・システム搭載艦の整備や抑止力の強化について検討していくか、現時点でのスケジュールや検討状況について教えていただけますでしょうか。

A:昨日の施政方針演説においては総理から、日米同盟の強化、日米の抑止力の維持、沖縄の負担軽減、「自由で開かれたインド太平洋」の実現、それと今御指摘のあったイージス・システム搭載艦の整備、抑止力の強化についての検討、それから経済安全保障の確保、国土の不適切な所有や利用を防ぐための新法制定、こういったことが決意として述べられたと思います。その中で、イージス・システム搭載艦、それから抑止力の強化、こうした御質問でございますが、昨年の閣議決定にもございましたけれども、抑止力の強化について、引き続き、政府内において検討を継続していく、こういうことでございます。これ以上現時点では御指摘の点についてお答えすることは困難ですけれども、引き続き、しっかりと検討を進めて行きたいというふうに思っております。

Q:関連しまして、昨日、ロシアのラブロフ外相が年頭の記者会見で、アショアの代替の新型イージス艦2隻を建造することについて言及があったという報道がありまして、船の上であったとしてもミサイルはロシアの領土の大部分に到達できると述べて、ロシアへの脅威は変わらないというふうな懸念を表明したと報道があるんですけれども、ちょっと若干誤解もあるような感じがしますが、こういった発言についてどのようにお感じになっていますでしょうか。

A:他国の大臣の発言ですから、そのことに対してのコメントをすることは差し控えたいと思いますが、あくまで、イージス・システム搭載艦、これはイージス・アショアの代替策としてわが国のミサイル防衛のために必要な装備をしていくと、こういうことであります。しっかりわが国の守りを固めていくというのは当然のことだと考えています。

Q:明日1月20日で、中東での情報収集活動がいよいよ2年目に突入するということでお尋ねします。1月20日にはバイデン次期政権もいよいよ発足します。バイデン次期政権は、イランとの関係改善、緊張緩和を掲げているわけですけれども、こうした状況の中で、情報収集活動の出口戦略について、大臣はどのように描いていこうとお考えなのか、お聞かせください。

A:中東地域の情勢については、日本関係船舶の防護の実施を直ちに要するというような状況にはないわけですが、引き続き、高い緊張状態が継続しているというふうに考えております。その中で、航行の安全確保の取組を引き続き行っていくということの必要性があるということで認識しております。情報収集活動によって得られた情報は、日本関係船舶の航行安全に役立てておりまして、関係の業界団体からも期待また感謝の表明があるところです。そうした中でバイデン次期大統領は、イランが核合意に対する厳格な遵守に戻るのであれば、米国は更なる交渉の開始点として合意に復帰する立場、ということを表明しているところですけれども、実際にバイデン大統領が就任されて、新政権が打ち出す方針というものをしっかり注視していく必要があると考えます。

Q:そうしますと、トランプ政権は色々と手を打ってきているわけですけれども、しばらくはバイデン政権のイラン政策の動向をまずは見極めたいという御認識でしょうか。

A:まずは、バイデン政権としての安保政策、イラン政策、そうしたことをまず確認をした上で、わが国としてどういう形で検討するか、NSS等との議論も含めてその上で検討を進めていきたいと思います。

Q:冒頭御説明がありましたコロナの関係でお伺いします。防衛省・自衛隊での感染者数ですけれども、10月に65人だったものが11月に135人、12月には200人を超えて、1月もこの勢いというのが止まっていない状況があるかと思うんですけれども、日本全国でももちろん急増しているわけですが、防衛省・自衛隊における感染者の急増について、大臣はどのような危機感をお持ちなのかお聞かせください。

A:今お話があったように、日本全体の数字が大きくなっております。その中で自衛隊の感染者もそういった市中での感染を含めて増加の傾向にある、こういうふうに考えているところでございます。防衛省・自衛隊としては、管轄の保健所や医療機関と連携をして、感染拡大の防止に向けて感染者の早期発見、接触者の特定に努めるとともに、接触が疑われる隊員は先行的に隔離し、健康観察を実施いたします。更に、感染拡大防止のために、引き続き、マスクの適切な着用、消毒、喚起等、予防策を徹底してまいりたいと考えています。いずれにしましても、今後、任務の遂行に影響を及ぼすことなく、また周辺住民に対して、隊員が感染源として新型コロナウイルスの感染が拡大することのないように、防衛省・自衛隊として、管轄保健所、医療機関等と連携をして、拡大防止に向けた方策を適時適切に進めてまいりたいと考えています。

Q:現在、こういった非常に増えている状況があるわけなんですけれども、自衛隊による医療支援ですとか、そういった活動には、特段支障は今のところはないと御認識されていると思ったらいいのでしょうか。

A:医療支援等また緊急支援、その他についても総理の御発言があったところで、自衛隊としても万全の態勢でニーズに応えられるように備えをしていくということです。具体的な自治体からの要請があった際に、しっかり相談した上で、厚労省とも連携してそうしたニーズに的確に応えられるように、迅速に動けるような態勢をとっているということです。

Q:明日未明に、アメリカの次期大統領、バイデン次期大統領の就任式が行われます。改めて、対中国では日米同盟が基軸だと大臣はおっしゃられていますが、中国に対して日米同盟をどのように維持していく、強化していくか、お考えをお聞かせください。

A:明日20日、バイデン次期政権が誕生するということであります。米国において日米同盟は、超党派の支持を得ていると、こういうふうになっております。菅総理とバイデン次期大統領との電話会談においても、安保条約5条の尖閣適用や日米同盟の強化についても確認がされてきているという状況であります。この日米同盟はわが国の安全保障の基軸であると、防衛省としては「日米防衛協力のための指針」、いわゆるガイドラインと防衛大綱を踏まえて、次期政権との間でも防衛協力を更に深めて、同盟の抑止力・対処力を一層強化していきたい、このように考えております。具体的には、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域における協力の推進、インド太平洋地域における能力構築支援での緊密な連携、防衛装備・技術協力の強化、こういったことに取り組んでいきたいと考えております。

Q:昨日、前防衛大臣の河野大臣が、ワクチン担当を菅総理から指示を受けていると思います。世界では、軍がワクチンの供給を支援するというような事例があるようですが、自衛隊としてそのワクチンの供給を支援したりとか、そういう想定があるのかということと、河野大臣とそのようなお話をなされていたりするのかという点をお聞かせください。

A:河野大臣とは今朝もお会いしましたが、具体的に直接的にそういったことについて大臣からお話があったということではありませんが、ただ、ワクチンの接種、同時に大量に接種しなければならないということですが、そうした状況の中で、防衛省・自衛隊が支援できること、そういったことがどういったことがあるかということについては、今後、前広にしっかり検討していかなければいけないと思います。

以上