防衛大臣記者会見

日時
令和3年1月12日(火)11:16~11:32
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 新型コロナウイルス関連です。前回の会見から47名が新しく、隊員でコロナに感染していることが確認されました。これで、合計は650名の隊員が感染したことが確認されております。災害派遣の関係です。今月7日からの記録的な大雪に見舞われました秋田県、福井県、富山県及び新潟県の各知事の要請を受けて、各地で災害派遣を実施をいたしました。秋田では、6日から10日の間、陸上自衛隊第21普通科連隊(秋田)及び第39普通科連隊(弘前)の延べ1,110名が、横手市、湯沢市、羽後町(うごまち)及び東成瀬(ひがしなるせ)村の計127軒の高齢者宅、そして小中学校3カ所の除排雪作業を実施いたしました。また、10日から、福井県内の北陸自動車道及び国道8号線並びに富山県内の東海北陸自動車道において、それぞれ発生しました多数の滞留車両を救援するため、陸上自衛隊第14普通科連隊(金沢)など8個部隊の延べ約770名が、車両周辺の除雪や燃料・食料等の配布を実施いたしました。さらに、新潟県では、同じく10日から陸上自衛隊第5施設群(高田)及び第2普通科連隊(高田)の延べ約280名が、上越市及び柏崎(かしわざき)市の計15カ所の高齢者施設などの除排雪作業を実施しております。柏崎市においては、昨日11日に作業を完了いたしました。

2 質疑応答

Q:北朝鮮のですね、朝鮮労働党大会で改正が決定されました党規約に、「強力な国防力で軍事的脅威を制圧し、朝鮮半島の安定と平和的環境を守る」との文言が明記されました。核ミサイル戦力の増強を図る意図があるとみられます。また、韓国軍はですね、「北朝鮮は、10日夜に軍事パレードを実施した動きが確認された」ということを明らかにしております。これらについてですね、政府として、北朝鮮情勢の現状認識、分析、対処方針をお願いします。

A:まず、北朝鮮におきましては、1月5日から、5年ぶりの第8回朝鮮労働党大会が開催されています。党大会において党規約が改正されたということであります。今、お話しがあったとおりと承知をしております。金正恩国務委員長はですね、核兵器については小型化・軽量化や戦術核兵器の開発、超大型核弾頭の生産の推進などに言及をしました。弾道ミサイルについては、昨年10月の軍事パレードに登場した新型ICBM級弾道ミサイルの可能性のあるものについて成果として言及したほか、1つのミサイルで複数の目標を攻撃できる多弾頭技術や固体燃料を使用したICBM弾道ミサイルの開発に言及したと報じられていると承知をしております。このほか、極超音速滑空飛行弾頭の開発・研究を終えて試作するための準備を行っている。核長距離打撃能力を向上させるための原子力潜水艦の設計・研究が完了していること、軍事偵察衛星の設計を完了させたこと等に言及したと報じられていると承知をしているところでございます。防衛省としては、核ミサイルの開発に関するものも含めて、北朝鮮の軍事動向について引き続き重大な関心をもって情報収集・分析に全力を挙げてまいりたいと思います。また、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDの実現に向けて、国際社会全体が国連安保理決議の完全な履行を進めていくことが引き続き重要である、わが国として、引き続き日米、日米韓の緊密な連携を図りながら、さらに中国・ロシアをはじめとする国際社会とも協力をしてまいりたいと考えております。パレードについて今、お話がございました。報道については承知をしておるところでございますが、御指摘の報道も含めて、北朝鮮をめぐる動向について重大な関心をもって情報収集・分析を全力で進めてまいりたいと考えております。

Q:関連でもう1問お願いします。北朝鮮が軍事的挑発を再開した場合、日米、日米韓3カ国の連携が不可欠になります。一方で、元従軍慰安婦女性らへの賠償支払いを日本政府に命じたソウル中央地裁の判決によって、日韓の両国関係が悪化しています。歴史認識をめぐる対立が安全保障面に与える影響について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

A:御指摘の件について、予断をもってお答えをすることは差し控えたいと思います。その上で、北朝鮮の核・ミサイル含む状況を、わが国や地域を取り巻く安全保障環境が厳しい中で、また不確実性を増す中にあって、日韓と日米韓のそれぞれの連携は重要であると考えております。他方ですね、日韓間には様々な問題があります。わが国としては、御指摘の点も含めて、両国間の問題に関するわが国の一貫した立場に基づいて、引き続き韓国側に適切な対応を求めてまいりたいと考えております。

Q:北朝鮮の情勢について関連しまして、金正恩委員長がアメリカについて「最大の敵である」というような言及もされているのですけれども、トランプ大統領の下で米朝プロセスが、あんまり進んでいないところもあると思いますが、進められてきたところもあると思うのですけれども、バイデン次期政権になりまして、また米朝プロセスより前の段階に米朝関係が戻ってしまうのではないかというような懸念もあると思います。日本政府として、こういった事態についてどのように対応していくお考えでしょうか。

A:金正恩国務委員長が党大会で「米国は最大の敵である」ということを述べた上で「米国で誰が政権についても米国の北朝鮮政策が変更しない、変わらない」というように述べております。一方で、「新たな米朝関係の充実の鍵は、米国が北朝鮮への敵視政策を撤回することにある」ということ等を述べているということが報じられておるところです。米朝関係の見通しについて、これはなかなか予断をもってお答えすることは差し控えたいと思いますけれども、北朝鮮に対して完全な非核化を求める米国の政策は基本的には変わらない、こういうふうに考えております。今後とも、先程も言いましたけれども、日米、日米韓の間でしっかり連携を取って、中国やロシアを含む国際社会と協力しながら連携する、関連する国連安保理決議の完全な履行を含めて、北朝鮮の非核化を目指してまいりたい、こういうふうに考えております。

Q:関連しましてもう1問なんですけれども、金委員長がですね、演説の中で「核兵器の小型化・軽量化等々を進めていく」というような、「発展させていく」というような発言をされています。大臣、かねてより北朝鮮のミサイルについて脅威であるというような認識を示されていますけれども、また核・ミサイルの開発を強化する方針を示しているということで、この脅威という認識がですね、より高まっているのか、その辺りについてはどのような認識でありますでしょうか。

A:従来より、北朝鮮のミサイル、核ミサイルの開発については、わが国に対する大変な脅威だという立場でございます。引き続き、今回の様々な発言を受けてですね、今後の北朝鮮の動向、こうしたものに対して深い関心をもって注視していきたい、こういうふうに思います。

Q:関連して質問なんですが、北朝鮮の関連で、大臣は今、金正恩委員長の演説内容を御紹介される中で、米朝関係についてですね、「新たな米朝関係を樹立する鍵は」ということで、北朝鮮の側からも対応を否定しないようなメッセージが表れているようにも感じられるんですが、北朝鮮の米朝対話に向けてのスタンスというのをどのように感じられたのかというのが1つと、もう1点、今回の党大会でですね、金正恩氏が総書記に選出されたということで、北朝鮮の権力構造にどのような変化があるのか、受け止めをお願いいたします。

A:今のお話しですけれども、予断をもってお話しすることは差し控えたいと思います。その上で、北朝鮮の動向、しっかりこれは注視をしていかなければいけないなというふうに考えております。

Q:総書記選出に関してはいかがですか。

A:新しく総書記というポジションに就いたということであります。まあ、実質的には、北朝鮮トップであるという状況について変わるわけではないわけです。その中で、これまでお父さん、おじいさんの就いていたポストに改めて就いたということで、権威的なところというのもあるのではないかと思いますが、いずれにいたしましても体制自体は特に変更はないというふうには考えます。引き続き、状況については関心をもって注視してまいりたいと思います。

Q:新型コロナに関して、首都圏の医療機関で病床の不足が指摘されていますけれども、先週の金曜日もご紹介いただきました、自衛隊病院のコロナ患者の受け入れをさらに増やす余地というのはあるのかという点と、病床の不足に対して、自衛隊としてどのような支援を検討されているのでしょうか。

A:中央病院については、昨年も都の方からの要請も含めて、コロナ対応の増床を図っているところであります。その上でコロナウイルスへの対応ということでありますが、今月の4日に各幕長に対して、大臣指示を発出いたしました。その中で医療支援、宿泊療養者に対する緊急支援、そして感染防止に係る教育支援、その他の自衛隊の能力を活かす支援等の所要の対応を行うことができるように必要な検討及び準備を進めているところでございます。自治体からの具体的な要請があれば、速やかに部隊を派遣するように万全を期している、こういう状況であります。一方で、災害派遣については、自治体からの要請が寄せられた場合に、しっかり自治体と相談をした上で最大限のニーズに応えられるように、各都道府県の医療情報を幅広く集めている厚労省とも調整をして、迅速かつ適切に対応してまいりたいと考えています。

Q:大阪では、専門病院の開設時の看護師不足に自衛隊が対応したという事例が先月あったと思いますが、首都圏でもそういった支援の在り方というのは考えられるのでしょうか。

A:具体的にそういう要請が上がってきているということではございませんが、自治体の現場のニーズ等に応じて、しっかり相談して、さらに派遣については緊急性や非代替性、そして公共性といった要件に照らした上で、迅速に対応できるようにしていきたいと思います。

以上