防衛大臣記者会見

日時
令和2年12月15日(火)11:35~11:48
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 まず、第54回の自衛隊高級幹部会同の開催についてです。明日、防衛省の政策方針を自衛隊の高級幹部に周知徹底するとともに、直面する自衛隊の重要課題について意見交換を行うことを目的といたしまして、第54回自衛隊高級幹部会同を実施をいたします。本会同では、自衛隊の最高指揮官たる菅内閣総理大臣より、ビデオメッセージによる訓示をいただきます。また、私からも訓示を行う予定です。今年度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の現状を踏まえ、出席者を縮小し、テレビ会議形式で行います。総理大臣訓示と防衛大臣訓示の様子は、例年メディアに公開しているところでございますが、今年度については、実施場所の都合上公開することができないため、訓示の内容については会同が終了した後、ホームページ等に掲載する予定であります。次にコロナ関係の災害派遣についてです。防衛省・自衛隊は、今月11日に大阪府知事からの災害派遣要請を受け、医療支援の準備を進めておりますが、大阪府との調整によって明日16日から、大阪府内の2カ所の病院において、ICU勤務経験を有する看護官1名を含む看護官・准看護師計7名が医療支援を開始いたします。また、今月8日から北海道旭川市の2カ所の病院において、陸上自衛隊北部方面隊の看護官・准看護師合計10名が派遣先の病院の看護師と協力して医療支援を実施しております。引き続き、重症者や死亡者の発生を可能な限り食い止めるという方針に自衛隊の能力を最大限発揮して、貢献してまいりたいと考えております。それからコロナです。前回の会見以降、35名の隊員が感染していることが確認をされました。これで、本日までに402名の隊員が新型コロナウイルスに感染したことが確認されております。

2 質疑応答

Q:ミサイル防衛に関しての閣議決定について伺います。昨日の自民党の合同会同にも提示されたんですけれども、相手領域内でのミサイル阻止力については、引き続き検討である一方ですね、スタンド・オフ・ミサイルの開発が盛り込まれました。相手領域内でのミサイル阻止力に実施するかどうかを踏み込むかどうかのですね、この政治的意思決定を先送りをする一方ですね、その阻止力に使える装備整備を進めているという懸念も野党側から上がっていますが、この懸念に対してはどのようにお考えでしょうか。

A:まず、阻止力強化につきましては、昨日、自民党の部会において引き続き政府において検討を行うこととしたいという旨を御説明をし、御了承をいただいたところでございます。この内容について、引き続き必要な調整を行ってまいります。それから、スタンド・オフ・ミサイルについてですけれども、国産開発中の12式の地対艦誘導弾を更に長射程化して、スタンド・オフ・ミサイルとして開発すべく、3年度の予算案に計上しているというところでございますが、まずこれは、わが国のスタンド・オフの防衛能力を強化するということであって、いわゆる敵基地攻撃能力ということを目的とするものではございません。

Q:相手領域内でのミサイル阻止力をするかどうかについての政治的な意思決定、これを先送りしているんじゃないかという批判もありますけれども、それについては今後どのように進めていくお考えなのでしょうか。

A:いずれにしても繰り返しになりますけれども、抑止力の強化については今後引き続き政府で必要な調整を行ってまいりたいと考えているところでございます。詳細については、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:昨日の自民党の部会では、抑止力について政府内で引き続き検討を行うということに対して、わが国を取り巻く安全保障環境を考えればそんな悠長なことを言っている場合ではないのではないかと、もっと早急に結論を出すべきではないかという、政府に対する厳しい意見が相次いでおります。それに対して大臣はどのように受け止めて、今後どのようにしていきたいとお考えでしょうか。

A:部会において様々な意見が出されたことは承知をしていますし、我々としても受け止めているところでございますが、そういうことも含めて、今後、調整を行っていきたいということでございます。

Q:話題変わりまして、アメリカの次期バイデン政権に関してなのですけれども、次期国防長官にオースティン氏が指名されたということですけれども、大臣の受け止めと、どのように今後関係を構築していきたいかということをお願いします。

A:バイデン次期大統領が国防長官にオースティン氏の指名を発表したということでございますが、オースティン氏は米中央軍司令官を務めるなど、国防や安全保障分野等における卓越した経験を有していると承知をしております。正式に就任された暁には、現在の強固な日米関係の一層の発展に対して大きく貢献をされるものと期待をしているところです。我々としては、引き続き日米で緊密に連携を取ってこの同盟の強化に努めてまいりたいと考えております。

Q:オースティン氏に関して関連して1点伺います。今後、就任前に大臣として、電話協議等実施されたい意向があるのかどうかお聞かせください。

A:まず、新政権が誕生して、そして正式に議会の承認の手続きがあると思います。なかなかそれまでには、今の政権の下ではまだ当面現政権が続くという状況でございますので、その後においては、日米間の一つ、先方の様々な政策等について意見交換をさせていただければというふうに思っております。具体的にスケジュールについては何も考えておりません。

Q:話題変わりまして新型コロナについて伺います。日米共同訓練のフォレストライトで陸自の新発田駐屯地の隊員たちが相次いでコロナに感染しました。米軍に感染拡大していないのかということと、訓練の実施のあり方を見直す考えがあるかどうかお聞かせください。

A:新発田駐屯地では前回の会見以降、6名の隊員が新規の感染をしているというところです。相馬原で訓練に参加していたのが7名ということですが、いずれも新発田駐屯地の普通科連隊の隊員であるということでございます。内訳として、10日に1名、11日に2名、12日に4名の計7名であります。これらの陽性が判明した隊員については、現在、医療機関等で療養中であります。また、これらの隊員と濃厚接触の疑いのある隊員についても速やかに隔離措置が取られて、健康観察を行っているというところでございます。訓練の実施にあたって、地元の住民の皆様に不安を与えることがないように日米双方の参加者、参加部隊の感染症対策をしっかり講じてきたところでございますけれども、今般、訓練中に感染者が発生いたしましたことは大変残念に思っております。防衛省・自衛隊としては、感染症対策、感染経路や濃厚接触者の特定といった必要な措置を徹底して、本訓練におけるこれ以上の感染拡大に対して、しっかり防止に努めてまいりたいというふうに考えております。

Q:ロイド・オースティン氏の関連の質問なのですが、中東での豊富な勤務経験と裏腹にですね、アジアでの経験があまりないということで、アメリカのワシントンポストなどでもですね、アジアに対する知見が足りないのではないかという指摘もありますが、この点についてどのように大臣お考えでしょうか。

A:先ほど申し上げましたけれども、中央軍司令官をお務めされて、国防や安全保障分野における卓越した経験をお持ちである、こういうふうに承知をしているところでございます。いずれにしましても、外国政府の人事でございますので、これ以上のコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

以上