防衛大臣記者会見

日時
令和2年12月4日(金)11:19~11:44
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 1件、コロナウイルスの関連です。前回の会見以降、15名の隊員が新たに新型コロナウイルスに感染していることが確認をされました。これで、本日までに合計340名の自衛隊員が新型コロナウイルスに感染したことが確認されております。

2 質疑応答

Q:昨日、NSCではイージス・アショアの代替案が議論になったかと思いますけれども、イージス艦2隻を建造する方針を確認したとの報道もありますが、事実関係はいかがでしょうか。

A:昨日、NSCの四大臣会合が開催をされました。弾道ミサイル等の脅威への対応の在り方について議論を行いましたけれども、議論の詳細についてはお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:アショアの代替案に関連して、今後のスケジュールについて伺いますが、今後、与党協議をした上で月内に閣議決定をするということを検討されているのでしょうか。いかがでしょうか。

A:イージス・アショアの代替案と抑止力の強化については、菅総理が所信表明で述べられたとおり、9月11日の「内閣総理大臣の談話」を踏まえて、しっかり議論を進めて、あるべき方策を取りまとめていくという考えであります。防衛省としては、先般の中間報告等を踏まえて、イージス・アショアの構成品を洋上プラットフォームに搭載する方向で、引き続き、あるべき方策を示せるよう鋭意検討を進めてまいりたいと思います。

Q:アショアの代替の関連で質問させていただきます。防衛省のホームページによるとですね、24時間365日守り抜くための能力を抜本的に向上させることが可能であるイージス・アショア2基というふうに紹介されているのですが、そしてまた、防衛白書にもですね、常時監視のためにはイージス・アショアは必要だというふうに強調されています。そもそも論で恐縮なのですけれども、代替策の洋上プラットフォームで、大臣は常時監視は十分に可能だとお考えですか。

A:現時点で移動式の洋上プラットフォームを具体的に何にするかということは決まっていませんけれども、洋上プラットフォームについては、それだけでは定期整備や気象海象の影響によって常時持続的な体制に制約がついてしまうということはありますが、現在、体制整理を進めておりますイージス艦8隻との組み合わせによって、情勢に応じてわが国の全域を常時持続的に防護し得る体制を構築することは可能であると考えております。

Q:関連して、組み合わせれば可能だというふうにおっしゃったわけですけれども、そうだとすればですね、洋上プラットフォームとイージス艦との組み合わせでも可能なのに、なぜ地元の反発が根強く、先の参院選では中泉さんも落選されましたけれども、それでも洋上プラットフォームという考えに当時至らなかったのはなぜなのでしょうか。

A:当時は地上のイージス・アショアを追求していました。具体的に配備場所も想定して、それで検討を行っていたわけです。そういう意味で洋上プラットフォームということは考えていなかったということだと思います。

Q:当時から、イージス艦と洋上プラットフォームでも国防は可能だというような状況は、今と変わりなかったということでしょうか。

A:当時はですね、いずれにしてもイージス艦と陸上のイージス・アショアをもって検討していた。それで24時間365日の体制を築くという検討を進めていたということです。ただ、陸上については様々な困難があるということで洋上プラットフォームに載せるということで検討を進めてきたということです。その場合に、整備とかその関係でどうしても任務を離れなければいけない時期が、この洋上プラットフォームのみにおいては出てくるということでありますが、イージス艦8隻との組み合わせによって、運用上、組み合わせることによって、必要な時に情勢に応じて、常時持続的な体制をとることができると、こういうふうに考えております。

Q:年末までにあるべき方策を示すということで、アショアの代替策と、もうひとつ抑止力、ミサイル阻止力のところだと思うんですけれども、アショアの代替策については、中間報告等々出てきまして、色々議論が進んでいることがよくわかるんですけれども、ミサイル阻止力の方ですね、新たな抑止力については、なかなか途中経過、どういったことを検討されているのかまったく情報がない中で、今の検討状況はどのようになっていますでしょうか。

A:イージス・アショアの代替案と抑止力の強化についてはですね、現菅総理も所信演説の中で述べられていますけれども、9月11日の総理大臣談話、総理大臣の談話を踏まえて、しっかり議論を進めていく、あるべき方策を取りまとめていくという考えに変わりはございません。

Q:議論を進めているということで、昨日のNSCでもそういった議論をされたのでしょうか。また、省内でも検討をしているところなんでしょうか。

A:NSCの中の議論についてはですね、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。いずれにいたしましても、今省内でも、内閣総理大臣の談話を踏まえて、議論を進めてあるべき方策を取りまとめていくということであります。

Q:米軍普天間飛行場の航空機の発着回数に関連してですね、昨日の参院外交防衛委員会で外来機の固定翼機の2019年度の発着回数が2,678回ということで、17年度に比べて10倍、18年度に比べて1千件増えているということを答弁されていました。防衛省これまでですね、KC-130の岩国移駐だとか、オスプレイの訓練の県外移転等で多額のコストをかけて、負担軽減を取り組んできたと思いますが、中々負担軽減に繋がっていないんじゃないかという実態も出てきていると思いますが、大臣の受け止めとですね、更なる対応の必要性について、どうお考えになっているのか教えてください。

A:普天間飛行場におけます航空機の騒音、これは大変住民の皆さんにとっても深刻な問題であると、その軽減を図ることはですね、重要な課題であると認識しております。また、外来機が飛来していることについても、確認をしているところであります。その上で、米軍に対しましてはですね、騒音規制措置の遵守、地元の重要な行事に配慮するよう申し入れを行います。また、普天間飛行場のオスプレイの訓練移転等を着実に実施し、更に住宅防音工事、こういった地域社会の調和に係る各種施策を通じて、周辺住民の方々の御負担を可能な限り軽減できるように努めていくと、こういった措置を講じているところでございます。政府としては、普天間飛行場の返還による危険性の抜本的・根本的な除去をですね、一刻も早く実現するために、辺野古の移設に向けた工事を着実に進めていく考えであります。米軍の運用にあたってはですね、公共の安全、これに妥当な配慮を払っていただくのは当然のことで、防衛省としては航空機の運用による影響を最小限に留めるよう、引き続き米側と協議を進めて、求めてまいりたいと思います。

Q:ロシア軍が北方領土の択捉島に地対空ミサイルを実戦配備したということなんですけれども、日本政府としては外交ルートを通じて抗議されたということなのですが、この件について、ロシア軍の狙いをどのように防衛省として分析しているのか。また、大臣の受け止めをお願いします。

A:ロシアが1日に、択捉島に地対空ミサイルシステム、S-300V4を実戦配備したと発表したことは承知しています。本件については、1日に外交ルートを通じてそのような行動は北方四島におけるロシア軍による軍備の強化に繋がる、そういうものでありますから、これらの諸島に対するわが国の立場と相容れないものがあり、受け入れることはできない、受け入れられない旨の抗議をしたと、このように承知しています。ロシアは2016年に択捉島及び国後島への地対艦ミサイル「バスチオン」及び「バル」の部隊配備を行いました。2018年には択捉島への新型戦闘機Su―35の配備が伝えられるということで、北方領土における軍備の強化が進んでいるところであります。防衛省としては北方領土を含めた極東地域におけるロシアの動向については、引き続き注視してまいりたいと思います。抗議の詳細については、外務省にお問合せいただきたいと思います。

Q:話題変わりまして、先週の航空観閲式の関係なんですが、訓示で菅総理が、サイバーとか電磁波とか、宇宙空間に対する新領域への防衛対処として縦割りを排すようにという訓示がなされたと思います。菅総理らしい訓示かと思うのですが、大臣のこれへの受け止めと、縦割りを排しということに対して、防衛省としてどう進めていきたいかということをお願いします。

A:陸海空の従来の領域に加えて、宇宙・サイバー・電磁波、こういった新領域においても、優位性を確保していくということは、大変重要なことだと思っています。そのために、まず一つは自衛隊を挙げてしっかり取り組んでいくことが必要でございますし、他省庁との間においてもしっかり連携を取っていく、人材の確保も含めてそういう事が必要になってくると思います。そういう意味で、縦割りだけでは前に進めない、優位性を確保できない状況が目の前に迫っているという認識をお示しされたものだと思いますが、総理の訓示を踏まえて、しっかりと防衛省・自衛隊としても取り組んでいきたいと考えています。

Q:11月22日にNHKの番組で「突撃!カネオくん」というのがありまして、そこで陸上自衛隊の浄水セットが紹介されていたんですね。その時に隊員の方がおっしゃっていたのが、このセットは、浄水は完璧なんだが、水道法の規制で、飲料水には使えないと、だから風呂にしか使えないということをおっしゃっていたのですけれども、こういうのは非常に問題じゃないのでしょうか。例えば、熱中症で隊員が死にそうだとか、喉が渇いて国民が死にそうだという時に、水道法の規制があるのでこれ飲ませられませんとつっぱねるのでしょうか。

A:すみません。テレビ番組を拝見しておりません。個々の質問についてはまた事務方にお問い合わせいただければと思います。

Q:実際ですね、実はこれは衛生部隊とか補給部隊の関係者に聞くと、現場では飲んでいると、さらに脱法行為をしているということなのですよね。これはあの、小泉政権の時に有事法、国民保護法でずいぶん自衛隊に関する法律変わったと思うんですね。例えば、野戦病院は持っているけど使っちゃいけないとか変わったりとかしたのですけれども、まだまだそういう規制がいっぱいあるんですけれども、こういう法令による無意味な規制というのを防衛省もしくは菅政権として、直していこうという御意思はございますでしょうか。

A:法令の一つ一つが無意味であるということはないと思いますけれども、そういう規制によって本来果たされるべき機能が阻害をされているという状況については常に目を配って、改善できるところはしっかり前に進めていければと思います。

Q:関連してもう一つなんですけれども、自衛隊機で患者なんかの搬送の時に液体酸素を使えないという状態があるんですね、つまり、液体酸素を使うとこれもまた違法状態になってしまうということで使えない。ということは、軽症者は航空搬送できるけれども、重傷者は搬送できない。実際の現場では機長とかの判断でその辺は運用しているらしいのですけれども、その辺やっぱりこう、法的なちゃんと裏付けがないとですね、救える命も救えないかと思うのですけれども、これも含めて検討していこうということは、お考えになりますでしょうか。

A:今おっしゃられたようなことは、事実関係を承知しておりません。また事務方にお問い合わせをいただければと思います。

Q:先ほど別の記者からも質問がありましたイージス・アショアの代替案の関係でお尋ねします。イージス艦との組み合わせによって常時持続的な防衛が可能になるというお話が、今御説明あったのですけれども、私が記憶している防衛白書の中の記載によれば、イージス艦8隻、ほぼBMDの弾道ミサイルの防衛の任務に専従することに現在なっていて、このアショアの導入によって、イージス艦を海洋の安全確保の任務ですとか、あるいはそのための訓練ですとか、交代の勤務、乗務員の交代が十分できるように可能になるというような表現になっていたかと思うのですけれども。組み合わせることによって。そうすると、アショア導入によって本来解決すべき、解決するはずだった状況というのはどのようになっていくのでしょうか。教えてください。

A:今現状であれば、イージス護衛艦によってBMD対応しているわけですね。大変な負担が強いられている部分もあると思います。そうしたものと比較をして、あるいはイージス艦だけ8隻の中でBMD対応をしていくということと比較しますと、イージス・アショアの代替策、これをメインに、またこのイージス艦8隻と運用上組み合わせることによって、イージス艦8隻の体制においても、BMDの任務にあたる時間を軽減することができる、すなわち本来の防衛業務、警戒監視業務、こうしたことに使える時間をしっかり確保できる、こういうことでございます。

Q:イージス艦8隻体制なわけですれども、訓練ですとか整備ですとか定期点検ですかね、そういった中で常時使える隻数というのは非常に限られているかと思うのですけれども、その中で本当に海洋の安全確保の方に回せるのでしょうか。教えて下さい。

A:それはですね、今もやっておりますけれども、当然ながら効率的な運用ということもしっかり検討しながら、任務を全うできるような体制を組んでいくということであります。

Q:今の質問に関連するんですけれども、大臣のおっしゃった運用を検討するという中に、クルー制の導入というのは考えているのでしょうか。クルー制というのは、例えば1つの艦に複数のクルーを用意して、乗員だけが交換するというようなシステムなのですけれども、これはFFMでは今度導入されると聞いております。先日、海幕長に伺ったところでは、既存のイージス艦だと人数が多いからとか、同型艦でも艤装が違うので中々難しいというお話はされていたんですけれども、これはNSCとかそちらの方の代用案の対応ということで、クルー制の導入によって隻数を増やさないということは検討されたのでしょうか。

A:いずれにいたしましても、人員の運用、こういったことも含めて、運用の詳細についてはですね、今後、洋上プラットフォームの形態が固まった段階で更に具体的な検討をしていくということになると承知をしております。

Q:フリーランスの人間が記者会見に参加できるとなって、もう2年近く経っているんですけれども、未だに実現しておりません。これいつ実現するのでしょうか。

A:今、その件についても省内で検討を進めているところであります。

Q:ということは、期間を区切ったりということはないのでしょうか。例えば何年の何月からそれを可能にするとかいう締め切りはないのでしょうか。

A:今のところですね、御指摘の点につきましては検討を進めているところで、何らかの結論が得られましたら公表してまいりたいと。

Q:それでフリーランスの人間を入れるということは、A棟に入れるということは、いろいろセキュリティーの上で問題があるからその解決のためと言われているんですけれども、では、記者クラブの皆さん、個別に身分をちゃんとクリアランスされているのでしょうか。特にテレビ局の場合、テレビのクルーの皆さん、社員ではありませんよね。大きい会社の人間は調べなくても信用できるんだ、フリーランスは信用できないんだというと、これは何か差別のようにも感じるんですけれども、大臣その辺いかがでしょうか。

A:そういったことも含めてですね、今、事務方でも検討を進めているところでございます。速やかにこの検討を進めるよう指示をしております。

Q:複数の医官の方から聞いているのですけれども、防衛省もしくは自衛隊のですね、駐屯地・基地の中での喫煙所がコロナ感染の原因になっているのではないかという指摘があります。例えば、防衛省としてはこれを機に喫煙を促進するとか喫煙所のシステムを変えるとかというのはお考えになっているのでしょうか。

A:一つ一つの現場のことについてはですね、事務方にお問い合わせいただければと思います。喫煙所は一般的に、自衛隊という意味じゃなくて、喫煙所というものがコロナウイルスの感染の場の一つになっている可能性があるということは承知をしております。そうした中で部内の感染予防についてはですね、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

以上