防衛大臣記者会見

日時
令和2年11月24日(火)11:05~11:23
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 冒頭2件ございます。1つはですね、菅原隆拓人事教育局長におかれましては、かねてより病気療養中でございましたが、11月20日(金)午前、都内の病院において亡くなられました。56歳ということです。これまでの御功績をたたえるとともに、謹んで哀悼の意を表したいと思います。後任の人事教育局長については、本日の閣議において、内閣の承認がなされました。大臣官房審議官の川崎方啓でございます。2点目でありますけれども新型コロナウイルスです。前回の会見以降、14名の隊員が新たに新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。これで本日現在に、合計293名の自衛隊員が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたということであります。

2 質疑応答

Q:イージス・アショア代替策について、週末の報道で、民間業者からの中間報告が示され、その中でイージス艦を2隻新造した場合に、5千億円超えるという試算が示されたという報道がありました。その事実関係と試算が今後、年末までに方向・方策を示されると思いますが、与える影響についてお願いします。

A:今の段階ではですね、中間報告の内容を分析・整理をしているところであります。この作業はですね、防衛省において一定程度の期間を要するということでございます。これ以上の内容については、現時点でお答えすることは差し控えたいと思います。内容については、しかるべく説明ができるように準備を整えていきます。

Q:先ほどのアショアの代替策の調査に関連しましてですね、10月の調査をかけたときにですね、コストの算出等についてということで、項目に盛り込まれています。今回、調査項目の中にコストの算出が入ると思うんですけれども、このコストというのは建造費なのか、それとも維持管理等を含めたライフサイクルコストなのか、このコストというのはどういったことを調査にかけているのでしょうか。

A:この中間報告についてはですね、イージス・アショアの構成品を洋上プラットフォームに搭載する場合の技術的実現性の確認・検討に関する情報、改修内容、コスト、リードタイム等の様々な情報が含まれております。防衛省として、今、分析・整理をしているところでございます。

Q:そのコストについては、いわゆる、代替策の建造費なのか、ライフサイクルコストなのか、どういったところを調査にかけているのか教えてください。

A:そういうところも踏まえてですね、今、整理をして説明をできるように準備をしているところでございます。

Q:中国の王毅外相がですね、今日から来日してですね、茂木外務大臣、それから菅総理とも会談する見通しです。中国の海洋進出とかに関する懸念も伝えるのではないかと言われているのですが、あらためて菅政権発足して以降、中国要人が来日するのは初めてということもありまして、防衛大臣として今回の来日、会談の意義をどのようにお考えかということをお聞かせください。

A:茂木外務大臣が先日の会見でも、日中間には様々な懸案があると、ハイレベルの会談を通じて懸案をひとつひとつ解決していくことが重要であると、こういうふうに述べておられます。今回の意義という意味ではそういうことではありますけれども、私としても中国について申し上げるならば、その軍事動向がわが国を含む地域の国際社会の安全保障上の強い懸念となっています。我々の率直な懸念をしっかり伝えるという意思疎通を図っていくことも重要であると考えておるところです。そういう観点から、今後、中国との防衛協力を進めていきたいと考えております。

Q:今の王毅外相来日の件、関連で1件伺います。今後、防衛トップレベルの意見交換の機会も出て来るかと思いますけれども、例えば、年内だとか近いうちに魏鳳和国防相と電話会談等、そういったことをされるお考えはあるか、お聞かせください。

A:今のお尋ねの件ですが、魏鳳和国防部長・国務委員も含めて、各国との会談に係る個別の調整状況については、相手との関係もありますので、お答えすることは差し控えたいと思いますけれども、中国ということで申し上げれば、先ほど申しましたように、我々の持っている懸念をしっかり相手に伝えるということも必要だと思いますし、意思疎通を図っていくということも重要であると考えております。そうした観点から、交流を考えていきたいと思います。

Q:話題変わりまして、明日の11月25日が、三島由紀夫の自決から50年に当たるということで関連して2点お伺いしたいのですが、三島由紀夫自身は憲法改正を訴えて、自衛隊に決起を呼びかけた訳ですけれども、三島の事件についての印象といいますか、認識をどのようなものをお持ちかということが1点。もう1点は、自衛隊と憲法の問題について、就任時の会見の後でも同種の質問があったと思いますが、改めてお願いします。

A:事件は、私もまだ子供の頃に発生したわけでございます。そういう意味で、子供ながらに非常にショッキングなところだったなというところがございます。今、防衛大臣を拝命いたしまして、その現場がこの市ヶ谷の中にあるということですので、またさらに感慨深いものがあるというところでございます。憲法については、国会で発議をし、そして国民投票により決せられるものというふうに思っております。まずは、国会においてしっかり議論が尽くされる、この中で国民の理解が進んでくる中で、様々な判断がされるということになるのではないかと考えております。

Q:海上自衛隊の人員不足の関係で1点お尋ねします。省内を色々取材していると、自衛隊の定年を誕生日ではなくて、年度末に一元化することによって、多少とも人員不足の解消に繋がるのではないかという意見に何度か出会うのですが、このことについては、大臣はどのようにお考えでしょうか。

A:自衛隊の人員の問題については、様々な方策を我々も考えております。全体としては、まず状況から言いますと、自衛官等の採用状況については、平成27年から30年度にかけては採用計画を残念ながら下回っておりました。令和元年度については、計画数を上回る入隊者を全体としては確保することができたと。ただ、今の少子化の状況からしますと、非常に厳しい状況は続いているというふうに考えております。その中で、優秀な人材を安定的に確保していくとこが必要ですので、自衛隊としてこれまで以上に、隊員の採用、流出防止、有効活用に関する総合的な取組みを推進していきたいと思います。具体的には、若い人たちの関心を引けるようなSNSの活用とかですね、積極的な採用の広報の展開をしたいというふうに考えます。あと、地方公共団体や関係機関等との連携の強化、それから隊員の生活・勤務環境の改善、女性自衛官の活躍推進、ワークライフバランス、処遇の改善、ハラスメント防止やメンタルヘルス、そうした総合的な施策によって、自衛隊の魅力の向上を図って、更に人材の流出というものも防いでいきたい、こういうふうに考えております。

Q:そうしますと、先ほど私がお尋ねしました、定年の時期を年度末にずらしていくというようなお考えは、今のところございませんか。

A:定年の扱いについても、今後、様々な形で検討していく必要があると思います。それは、総合的な中でどういうふうに判断をしていくかということになると思いますけれども、今でも退職自衛官の活用とか、再採用とか、そういう形を進める方で、しっかり優秀な人材を確保していくということは進めて参らねばならない、というふうに思っています。

Q:在日米軍における新型コロナウイルスの感染状況なんですけれども、一部、横田基地ですとか岩国のあたりで急増している状況が見受けられます。前大臣、河野大臣の方から、水際で在日米軍の感染を抑止するという対策が取られているのは、もちろん私もよくよく理解しているんですけれども、この昨今の日本全体での急増も恐らく影響しているのかなと思うのですけれども、一部、在日米軍で急増している状況については、何か米側とは新たな対策について調整というのは始められているのでしょうか。教えてください。

A:確かに、数という意味では、かなり、様々なところで出ていると。私の地元の岩国でも、数が出ているということです。在日米軍自体は、彼ら自身の中でもコロナの感染拡大防止策、規定ですね、これは厳しいものを持っていて、それをかなり厳格に適応していると、こういうふうに考えているところでございます。在日米軍とも、このコロナの件については、逐次、情報交換を進めておりますので、感染防止については、お互いにしっかり考えていかないといけないということだと思います。日本側も、市中の感染状況、かなり厳しいところも出ているということですので、自衛隊としても、しっかり状況について把握したうえで、感染防止対策を徹底していきたいというふうに思います。

Q:アメリカのトランプ大統領が民主党のバイデン氏への政権移行の引継ぎに関して、ツイッターで容認するという趣旨の発信をされました。これまでバイデンさんが引継ぎができないということで、国内外の安保情勢の情報収集が中々難しい段階だったということなんですが、大臣、これについて何か受止め等ありましたらお願いします。

A:バイデン次期大統領がですね、ちょうど現地の23日に国務長官、その他の閣僚の指名を発表したと承知しております。そういう意味で次期政権における体制が徐々に進んできているのかなというところでございます。トランプ大統領の細かい政権移行に関する発言については、私からはコメントを差し控えたいと思います。いずれにしましてもわが国としましては、しっかりとした日米同盟をどんなときにも確保していくという意味において、現政権とも意思疎通をしっかり図っていきたいと思います。

Q:一部報道で、来年度当初予算の防衛費が過去最大の5兆円超えになるという報道がありましたが、これの事実関係の確認と増大し続ける防衛費に関して大臣の所見を伺えればと思います。

A:予算についてはまだ作業中ということですので、来年度の予算について、今、私からコメントは差し控えさせていただきたいと思います。ただ一方で、わが国を取り巻く安全保障環境が非常に厳しいというのがございます。その状況、そして厳しい財政状況、こうしたことを踏まえながら予算を確保していくということになります。

以上