防衛大臣記者会見

日時
令和2年11月20日(金)09:46~10:09
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 新型コロナであります。前回の会見以降、13名の隊員が新たに新型コロナウイルスに感染していることが確認をされました。本日までに合計279名の隊員が新型コロナウイルスに感染したことが確認されております。

2 質疑応答

Q:イージス・アショアの代替策に関連してですけれども、17日の会見の場で、民間事業者からの中間報告の内容について、防衛省の中で今確認・分析を行っているという話でしたけれども、その分析作業がいつぐらいに終わる予定なのか、それから分析結果等の公表は、どのようにするとお考えでしょうか。

A:11月13日に民間事業者から受領しました中間報告には、イージス・アショアの構成品を洋上プラットフォームに搭載する場合の技術的実現性の確認・検討に関する情報のほか、改修内容、コスト、リードタイム等様々な情報が含まれております。防衛省として、分析・整理を行っているところでございます。加えて、民間事業者から得た情報と米側から得た情報の統合作業等も併せて行っていく必要があるために、中間報告の内容を分析・整理して説明するまでには、防衛省において一定の作業期間を要するということになります。中間報告の内容を、いつ、どのような形で報告するか、現時点で確定的にはお答えできませんが、しかるべく説明できるよう、準備してまいります。いずれにいたしましても、イージス・アショアの代替案については、現在、移動式の洋上プラットフォームに搭載する方向で、今回提出された中間報告を踏まえつつ、米側、そして日米の民間事業者も交えて、あるべき方策を取りまとめていくべく、引き続き検討を進めてまいります。

Q:今の質問に関連しましてもう一問ですが、昨日の参議院の外交防衛委員会で、イージス・アショアの計画に係る経費の総額について、大臣は代替策を決めた後に提示するというふうに答弁されていましたけれども、他方で与党からは、「経費の開示は代替策が決まる前にすべきだ」という声もあります。経費の開示について大臣はどのようにお考えでしょうか。

A:昨日の私の発言はですね、あくまで精緻な経費についてはアショアの代替案として検討している洋上プラットフォームの形態、大きさ、兵装等の具体的な内容が決定した上で、精査する必要があります。現時点では説明することが困難であるという旨を述べたものであります。そのため、イージス・アショア代替案が最終的に決定した後で経費等について提示することを意図したということではなくてですね、今後、代替案が具体化していく中で可能な限り経費の見積もりをお示しすることを否定するものではないということです。いずれにしましても現時点で代替案を決定し、具体的内容を固めるに至っていないということですから、代替案に要する経費についてお答えすることは困難でございます。イージス・アショアの代替案の検討内容については、適時適切に国民の皆様に丁寧に説明してまいりたいと考えております

Q:先ほど、中間報告についてですね、いずれにしても移動式の洋上プラットフォームに搭載する方向でと、これは何度も繰り返しおっしゃっていますが、少なくとも中間報告を受け取った段階でですね、洋上プラットフォームに搭載する方向性というものは、否定はされていないという理解でよろしいでしょうか。要するに船やリグとか、洋上プラットフォームにはもう載せられませんという結論は少なくとも来ていないですよね。

A:内容につきましては、現在検討中でございますので、説明は控えさせていただきたいと思います。

Q:もう一問別件でHNSです。HNS交渉のですね、現在の進捗状況、それから今月11月中に交渉が行われる予定があるかどうか教えてください。

A:はい。このHNSに関する交渉についてはですね、10月に準備会合を開きました。同盟に対する相互の貢献について考え方を述べ合ったほか、先週、正式交渉を行って、この経費が日米同盟の中核をなす在日米軍の円滑かつ効率的な活動を確保する上で重要な役割を果たしてきているということの再確認をしてきているところでございます。次の正式交渉の開催時期については、現時点では確定しておりません。一層厳しさを増す安全保障環境、また、厳しい財政状況を踏まえて、適切に対応してまいりたいと思っております。

Q:SM-3ブロックⅡAのですね、ICBMの迎撃実験が成功したということで発表されたかと思います。日米共同で開発した迎撃ミサイルがですね、このように実験に成功したということで、日本の安全保障にとっての意義を教えていただけますでしょうか。

A:日本時間の11月17日、米国がこのICBMを模擬した標的を、東太平洋上のイージス艦から発射された迎撃ミサイルSM-3ブロックⅡAで迎撃する実験を実施し、標的の迎撃に成功したということでございます。SM-3ブロックⅡAは、12年にわたる日米共同開発を経て完成した、短距離から中距離の弾道ミサイルに対処し得るよう設計をされた迎撃ミサイルです。今回、当初の設計目標を上回るようなICBMの迎撃能力を実証したことは、日米の優れた技術を結集した成果であり、このSM-3ブロックⅡAの高い信頼性・能力を実証したものと、このように考えているところでございます。SM-3ブロックⅡAは、令和3年度以降、日本においても順次配備をする計画となっているところでございます。配備を着実に進めることによって、弾道ミサイルの脅威への対処に万全を期してまいりたいと思っています。

Q:これは日本の抑止力、拒否的抑止だと思うのですけれども、これを抑止力を高めることに役立つというふうにお感じになっていますでしょうか。

A:先ほども言いましたけれども、高い能力を示すということでですね、これは信頼性、そういった面からも、抑止力を高めることにはなると思います。いずれにいたしましても、我々としてはSM-3ブロックⅡA共同開発ということついては、わが国の防衛に資する、こういうことで考えています。

Q:冒頭のHNSの関連なのですけれども、このHNSは予算措置が必要になると思われますが、12月下旬のですね、予算編成までには大筋の合意を目指すという理解でよろしいでしょうか。

A:今ですね、正式交渉の開催時期を確定していないわけですけれども、米側とも協議をしながら、開催をしていきたいと思います。妥結時期について予断を持ってお答えをすることは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:その一部報道で、年内を見送るんじゃないかという記事も出ていますけれども、それについても否定はされないという理解でしょうか。

A:そのことも含めて、今後の行方についてはコメントを差し控えさせていただきたいと思います。

Q:先日菅総理とオーストラリアのモリソン首相が会談しまして、自衛隊とオーストラリア軍の共同訓練を行う際等の大枠合意というのがありました。改めてこの受け止めと、防衛大臣として、この意義、今後の展開について教えてください。

A:17日に、菅総理とモリソン首相との首脳会談が行われ、その中で両首脳が円滑化協定についての大枠合意を確認したということでございます。日豪首脳共同声明で発表できたというのは大きな成果であったと思っております。この円滑化協定自体はですね、日豪の一方の国の部隊が他方の国を訪問して活動を行う際に手続きを定めること、部隊の法的地位を明確化する、また共同訓練や災害救助等の両国部隊の間の共同活動の実施を円滑化していくというものでございます。これは、基本的価値と戦略的利益を共有します「特別な戦略的パートナー」である日本と豪州、この間の安保・防衛協力というものが更に促進されるということが期待されるということだと思います。

Q:日豪のですね、両首脳の共同声明に関して、中国政府がですね、かなり激しい反発を示しておりますが、この反発についてどのように受け止めておられますでしょうか。

A:中国のですね、その反発の意図というものは、我々からですね、コメントをするのは差し控えさせていただきたいと思います。いずれにいたしましても、豪州との間での円滑化協定の大枠合意を経てですね、更に防衛協力といった面で進展がある、期待されるということがございます。

Q:イージス・アショアの代替案の経費の関連でお伺いします。幹事社さんからの質問にもありましたけれども、経費の開示については、最終決定したうえではなく、今後代替案を具体化する中で、経費の見積もりを出すことを否定するものではない、という趣旨のご回答があったと思いますけれども、そうしますと、例えば防衛省さんの方は移動式洋上プラットフォームの中で、護衛艦のイメージですとか、リグですとか商船型ですとかをイメージ出していますが、それぞれがいくらぐらいかというの、大枠のものは、最終決定の前にはある程度、国民若しくは、決めていく上でプロセスになる住民等に示すという、そういうお考えというふうに理解してよろしいんでしょうか。

A:経費の示し方の形ですね、これについては今の時点で確たる決まったものはございませんので、今後ということになっております。考えて参らねばいけないというふうに思っております。いずれにいたしましても、先ほど申しましたとおりですね、洋上プラットフォームの形態、大きさ等が決定した上で精査をしていく必要があるということでございます。現時点では説明することが困難である、ただ、最終的にイージス・アショアの代替案が決定したのちに、経費等について提示することを意図したものではなく、今後、代替案が具体化していく中で、可能な限りの経費の見積もりをお示しすることを否定してはいないということです。

Q:決定するにあたってですね、かなり多額な税金が使われるもので、そのチェックをするという意味でも、与党にはある程度の金額は示さないといけないのかなと。もちろん、その具体的なものはなかなか決めるまで難しいというのもある程度分かるですけれども、ある程度大枠は示さないといけないかなという見方もあるのですが、そこはどのようにお考えでしょうか。

A:今お問い合わせの件ですけれども、公表のあり方、やり方を含めて、今後考えていきたいと考えてます。

Q:トランプ大統領が未だに敗北と認めずにですね、バイデン前副大統領への政権移行がうまく進んでいかない現状があるかと思いますが、あまり前例のない事態になっていると思いますが、日米同盟のですね、抑止力に与える影響について、大臣どのようにご覧になっていますでしょうか。

A:米国大統領選挙の結果についてですね、結果と言いますか今の状況について、私からコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、米国の政権体制がどのような状況であってもですね、日米同盟というのは、しっかりしたものでなくてはならない、隙を見せることのないようにしっかりそれぞれ連携をとっていきたいと、こういうふうに考えております。菅総理は、バイデン副大統領と電話会談をいたしました。私も現政権の中での国防省のミラー長官代行とも会談をすることをいたしました。そういう形で、しっかり連携をとってまいりたいと、意思疎通をとってまいりたいと思います。

Q:昨日開かれた普天間飛行場に関する作業部会で、政府は運用停止期限の再設定について困難という認識を示されました。辺野古移設については、防衛省の方から計画変更後の工事に着手してから、提供手続きの完了まで12年と説明されていますが、これは沖縄県から承認が得られる見通しがないので時期を示せないということでしょうか。

A:普天間飛行場の運用停止につきましては、沖縄県側からですね、速やかな運用を停止に向けたスケジュールを示すよう要望がありました。政府からは、新たな期限の設定のためには、辺野古移設について、地元の御理解・御協力が得られるということが大前提であるということ、それともう一つ、国、沖縄県の双方が、移設を完了するまでの間における普天間飛行場の危険性除去について、認識を共有し得るような環境を作っていくことが大事であると、こう考えているといった説明を受けています。政府として、引き続き沖縄の負担軽減のためにできることを全て行い、目に見える形で実現する、こういう強い決意で取り組んでいくところでございます。いずれにしても、新たな期限の設定のためには、辺野古移設について、地元の御理解・御協力が得られるということが大前提であると認識をしているところでございます。

Q:関連しまして、地元との認識の共有が大事ということなんですけれども、沖縄県の辺野古移設について、沖縄県側が同じ認識を共有しないと普天間の運用停止の期限は示せない、そういう理解でよろしいでしょうか。

A:今申しましたとおりですけれども、新たな期限の設定については、辺野古施設について地元の御理解・御協力を得られたということが前提ということでございます。まずは、県と国と双方が移設を完了するまでの間における普天間飛行場の危険性除去について認識を共有し得るような環境を作っていくということが大事だと考えております。沖縄県からの理解・御協力が得られるように努力をして重ねていきたい、こういうふうに考えております。政府と県が同じ認識の下で普天間飛行場の固定化を避けるために歩みを進めていけるよう御協力を賜りたい、こういうふうに考えております。

Q:イージス・アショアの代替案の経費の関係でお伺いします。レーダーを洋上のプラットフォームに搭載するには、迎撃試験をする前にまずレーダー本体そのものの探知・追尾能力を試験する必要がありますが、そのコスト、日米どちらが負担すべきというふうにお考えでしょうか。

A:洋上に持っていく場合の経費ですか。

Q:洋上にレーダーを搭載するためには、レーダー本体の探知・追尾能力について試験をする必要があると思うのですけれども、そのコストについては日米どちらが負担すべきというふうにお考えでしょうか。

A:すみません。今の点ですけど、ちょっと明確でないところがあるので、後ほど事務方からはっきりさせます。

Q:馬毛島へのFCLP移転計画ですけれども、先日市議会に防衛省からの回答で、港湾施設に米軍の利用は否定できないというふうに回答されましたけれども、この米軍利用というのはどういったものを予想、想定されているのかお聞かせください。

A:馬毛島の港湾施設の米軍の使用ですか。詳細について後ほどまた事務方から報告させます。

以上

下線部:修正事項(共同→協力)
   修正事項(バイデン副大統領→バイデン前副大統領)