防衛大臣記者会見

日時
令和2年11月17日(火)09:43~10:07
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 まず、新型コロナウイルスについてです。前回の会見以降、34名の隊員が新たに新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。34名のうち、15名は東千歳駐屯地で実施しています教育課程の受講者、7名は練馬駐屯地に勤務する隊員であります。これら2件の感染原因等については保健所等が現在調査中でございます。これで、本日までに合計266名の自衛隊員が新型コロナウイルスに感染したことが確認されております。2点目は、ミラー米国防長官代行との電話会談についてでありますが、11月14日(土)に、先方からの希望で、ミラー国防長官代行との電話会談を実施しました。会談では、ミラー代行から着任の御挨拶があり、私からは、着任をお祝いする旨、申し上げたところです。さらに、東シナ海・南シナ海や弾道ミサイル等をめぐる最近の北朝鮮情勢等、インド太平洋地域の情勢についても意見交換を行い、日米が連携して地域の課題に取り組んでいくことが確認されました。また、力を背景とした一方的な現状変更の試みに反対するとともに、日米安全保障条約第5条の尖閣諸島への適用について改めて確認をいたしました。わが国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増している中、今回、ミラー長官代行と電話会談を実施し、国防長官が交代しても日米間の連携が強固であること、いかなる事態にも日米で対処する準備ができていることを双方が確認し、これを対外的に示すことができたことは大変有意義であったと考えております。3点目は、日越であります。昨日、私からの提案により、ベトナムのリック国防大臣とテレビ会談を実施いたしました。会談では、二国間の防衛協力・交流等について意見交換を行い、その中で、私から、先般インド太平洋方面派遣訓練を実施中の護衛艦「かが」、「いかづち」及び潜水艦「しょうりゅう」が補給のためにカムラン国際港に寄港したことについて、感謝の意を表しました。また、私とリック大臣は、先般防衛装備品・技術移転協定が実質合意に至ったことを、歓迎をいたしました。さらに、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、災害派遣活動における、感染予防策に関する知見や教訓を共有することをはじめとする感染症対策分野においても、防衛協力を推進していくことでも一致をいたしました。私からは、感染症流行下における自衛隊による災害派遣活動時の感染予防策について、資料を踏まえて説明を行いました。日越防衛当局間でも、今後も緊密なコミュニケーションを継続するとともに、防衛協力・交流を引き続き強力に推進してまいりたいというところでございます。

2 質疑応答

Q:イージス・アショアの代替策について、今、技術的な検証、民間企業に委託して11月中旬に中間報告を求めることになっているかと思いますが、今の状況について教えて下さい。

A:民間業者と調査協力、調査研究役務の契約をしておりますが、この検討のために必要な情報について、11月13日に民間業者から中間報告を受けたところです。民間業者から受けた中間報告については、現在、防衛省内で確認又は分析作業を行っているところであるため、その内容については、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。防衛省としては、今回の民間業者からの中間報告の内容を踏まえつつ、引き続き、米政府や日米の民間事業者を交えて、あるべき方策を示せるよう鋭意検討を進めてまいりたいと思います。

Q:2点目は、秋の行政レビューがこの前の土曜日に行われて、次期戦闘機について議論が行われました。その中で、河野大臣が陸海空自衛隊の予算について、過去の割合を引きずるのではなく、大胆に見直しをやっていく必要があるというふうに言及される等ありましたが、今回の秋の行政レビューについて、大臣の御所見をお願いします。

A:今回の秋のレビューについてですね、次期戦闘機の調達が取り上げられました。我々からはですね、わが国の防衛に戦闘機が果たす役割、また次期戦闘機のコンセプト、その背景となっている安全保障環境等について、まず御説明をいたしました。その上で、秋のレビューで頂いた御指摘については、真摯に受け止めて、適切に事業管理をしつつ、次期戦闘機の開発を着実に進めてまいりたいと考えております。事業の意義を国民の皆様に御理解をしていただけるように今後とも丁寧な説明を続けてまいりたいと、こういうふうに考えております。

Q:アショアの代替策の中間報告が既にきているということなんですけれども、内容は差し控えるということなんですが、もう少し大枠でですね、例えばコスト面がでてきたであるとか、SPY-7を洋上に載せてもですね、技術的に難しいことはないとかですね、どういうような内容がでてきたのか大枠で教えていただけますでしょうか。

A:現在、中間報告の内容について、先ほども申し上げましたけれども、確認・分析作業を現在行っているところです。内容についてはお答えをすることは差し控えたいというふうに思っているところでございますが、今後ですね、その内容について、どのような形で公表できるか、現時点で確定的にお答えすることはちょっと困難であるところであります。

Q:関連しまして、公表については検討中ということなんですけれども、代替策については与党の意見を聞きながら協議をしていくというようなことで進めてきたと思うんですけれども、公表ということに関しては、前向きに検討をしているのか、出すとしたら年末まで時間が限られていますけれども、どういった時期にどのような形で出すのか、現時点でのお考えを教えていただけますでしょうか。

A:この中間報告ですね、民間事業者が実施したレポートの内容をそのまま明らかにしてしまうとですね、委託先である業者の情報収集能力、分析能力、営業上のノウハウ等ですね、明らかにしてしまう恐れがある。それと中間報告には、自衛隊の装備品の性能に関するものが含まれていることから、わが国の防衛能力を明らかにする恐れがあるこということ等を踏まえて、中間報告については、その内容のすべてを公表をするということは差し控えたいと、こういうふうに思っているところでございます。いずれにいたしましても、先ほど申しましたとおり、どのような形で公表するか、公表できるか、今後ですね、考えていかなければいけないというふうに思います。現時点では、確定的にお話しすることはできないというふうに思っております。

Q:アショアの中間報告の関係なのですけれども、委託調査についてですね、SPY-7を搭載しても技術的な問題が出てこないかどうかという、結構根幹的な代替策についての問題だったと思うのですけれども、今後、公表していただける範囲についてはですね、根幹的な問題とか、あるいはコストであるとか、血税ですから、コストについては、最低限そこら辺については開示いただけるという理解でよろしいでしょうか。

A:先ほども申しましたけれども、どういう形で公表することができるかということについては、現時点ではお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

Q:関連してなのですけれども、防衛省が検討している洋上プラットフォームの実現可能性を損なうようなものではなかったかどうか、お答えいただければ。

A:そのことについても、内容に係ることについては、現時点では差し控えさせていただきたいと思います。いずれにいたしましても、今、中間報告を受け取って、内容を分析しているという状況であります。

Q:内容の分析はいつ頃目途に終わりそうでしょうか。

A:今後、総理の談話を踏まえて、スケジュールとしても進めていくということです。

Q:打撃力について伺いたいのですけれども、安倍前総理がミサイル阻止の方針に関連して、結論を出すのは選挙との関係があるから先になるかもしれないと発言されて、取りまとめが遅れる可能性を示唆されたのですけれども、大臣の受け止めをお願いします。

A:安倍前総理のパーティーでの発言だと思いますけれども、一議員の発言でありますので、私からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:今日、オーストラリアのモリソン首相が来日しまして、菅総理と会談予定です。安全保障の分野についても中心的な話題になるというふうにみられていますけれども、大臣自身もレイノルズ防衛相と会談されたりして、重要なパートナー国だという認識だと思いますが、今回の会談で期待されること、防衛面でのどういった進展があれば良いとお考えかという点をお聞かせください。

A:モリソン首相は本日と明日の日程で、訪日の予定です。その間で菅総理との会談があると承知していますけれども、今お話しがあったように、豪州は、わが国にとって特別な戦略的パートナーであります。「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けた、政府一体となって取り組んでいくこととしており、こうした観点からハイレベルによる対面での会談ができるということは大変有意義だと考えています。先月ですね、私との防衛大臣会談の成果も踏まえて、日豪の防衛協力の一層の深化、こういったものにつながるような会談になると期待したいと思います。

Q:馬毛島のFCLP移転について伺います。過去ですね、当時の中曽根首相が地元の理解が無ければ、FCLPの施設移転整備をすることはないと答弁されているようですけれども、大臣としては地元や首長の同意というのは不可欠だと、こういう認識でしょうか。

A:馬毛島の施設はですね、わが国の防衛、それから、FCLPの実施ということになりますと、日米同盟の強化に大きく貢献する重要な施設であると、こう考えております。その上で、現在防衛省は地元の皆さんの御理解を得るべくですね、住民説明会を実施しているところです。11月9日に西之表市長と私が面会した際にも、防衛省としての考えを御説明させていただきました。防衛省としては、地元の御理解、御協力を得ることは大変重要だと考えております。一つ一つの説明を積み上げる等して、引き続き、最大限努力してまいりたいと思います。

Q:今月に入って、先ほど西之表市長の他ですね、反対派とか賛成派の地元住民も防衛省に対して色々要望に訪れています。大臣御自身が現地に入って、このことについて御説明されるというお考えはありますか。

A:現時点で私自身が入るということは予定しておりませんが、いずれにしましても防衛省として住民の皆さんに対してですね、丁寧に説明をしていきたいと思っております。

Q:最後に話変わりましてもう一問だけ。陸自の東千歳駐屯地で14人の感染者が出て、北海道から3回目のクラスター認定がされています。防衛省としての今後の対応を教えて下さい。

A:東千歳において11月16日に集団感染事例として認定がされたというところでございます。本件については、東千歳の駐屯地で実施されている教育課程に参加中の隊員16名が、感染が確認されたというところですが、その原因等については、現在確認中ということであります。なお、濃厚接触者については、現在、保健所が特定しているところであります。感染が確認された16名と同じ区隊に所属する他の15名の受講者、5名の教官については、既にPCR検査を受けて、陰性と判断されているところでございます。また、それ以外の同課程の受講者等については、現在、隔離の上で健康観察を行っているということであります。いずれにいたしましても、今後、任務遂行に影響を及ぼすことなくですね、また、周辺住民に対して隊員を感染源とした新型コロナウイルスの感染が拡大することのないように、防衛省・自衛隊として医療機関や保健所等の関係機関と連携して感染拡大防止に努めていきたいと考えています。

Q:アショアの代替に関連した追加質問なんですけれども、最近、アショアの代替にしても抑止力の方針についてもですね、菅総理の所信表明演説以降ですね、年末という言葉が落ちているのですけれども、これは一応確認なのですけれども、総理の談話を踏まえてというのは、年末までに結論を出すということと同義であるという理解でよろしいでしょうか。一応確認です。

A:まさに菅総理の述べておられるとおり、総理の談話を踏まえて今後更に検討し、あるべき方策をまとめていくということであります。

Q:同義であるか否かということについてはどうでしょうか。

A:同義というよりも、まず総理の談話を踏まえてということでございます。

Q:アショアの代替案の関係で、中間報告を精査した結果によってはですね、SPY-7ではなくSPY-6を検討する可能性というのはあるのでしょうか。

A:いずれにしましても中間報告の結果を踏まえてのことについては、今の段階ではお話しすることは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:今週、新しい護衛艦FFMが進水しますが、この護衛艦の果たす役割と、今後イージス艦や既存の護衛艦とどのような役割分担をしていくのかお聞かせください。

A:今月19日に進水予定であります新型の護衛艦、いわゆるFFMでございますけれども、従来から護衛艦が担っている警戒監視、警備の任務に加えて、機雷の処理も可能であるということです。多様な任務への対応能力を向上させた護衛艦であるという位置付けであります。FFMの定員については従来の汎用護衛艦の定員が約200名であることに対して、FFMの定員については、船体のコンパクト化等によってですね、約100名程度になる見込みであるということであります。また、複数クルーでの交代勤務等の導入によって、稼働日数の増加を図るということとしております。防衛省としては、こうしたFFMの特性を生かして、他の護衛艦との役割分担・連携等を考慮して、護衛艦部隊全体として、わが国の防衛に万全を期すべく、活用していきたいと考えているところでございます。具体的には、FFMにより、増大する平時の警戒監視への対応、有事においてはイージス艦や他の護衛艦が実施する、高烈度の海上作戦をはじめとする各種任務を補完することを想定しているということでございます。

Q:先ほど質問がございました、昨日の安倍前総理のミサイル防衛に関連する発言についてなのですが、一議員というお立場ではあるのですが、談話を発出された御本人が議論についての方向性についてお考えを示されたということで、なかなか重みが他の議員の方とは違うのではないかなと感じているのですが、大臣どのように感じておられますでしょうか。

A:先ほども述べましたけれども、安倍前総理の個人的な見解であるということで承知をしておりますので、逐一コメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:もう一点、別件なのですが、ホスト・ネーション・サポートの現在の交渉の進捗状況はいかがでしょうか。

A:前、お答えをさせていただいたと思いますけれども、正式な交渉が先般始まったということでございます。その中で先方との交渉を進めていくというところでございますので、これ以上は差し控えさせていただきたいと思います。

以上