防衛大臣記者会見

日時
令和2年11月13日(金)09:34~09:53
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 まず、新型コロナウイルス関連についてであります。前回の会見以降、7名の隊員が、新たに新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。前回の会見の際、新たな感染者として御報告いたしました13名のうち1名は、新型コロナウイルスに感染していなかったことが判明しております。本日までに、合計232名の自衛隊員が新型コロナウイルスに感染したことが確認されております。日独防衛大臣テレビ会談についてであります。火曜日、先方からの提案で、ドイツのクランプ=カレンバウアー国防大臣とテレビ会談を実施をいたしました。今般の会談では、東シナ海・南シナ海といった地域情勢について意見交換を実施し、引き続き緊密に連携していくことを再確認すると共に、最近生じている事象も踏まえ、両国間で意思疎通を維持し、力を背景とした一方的な現状変更の試み、また、緊張を高めるいかなる行為にも強く反対することに加え、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序が重要であるというメッセージを明確に発信していくことで一致をしたところでございます。また、私から、新型コロナウイルス感染症をめぐる現状を踏まえて、感染症対策分野における日独防衛当局間の協力を進めるべく、日独で結束した活動を実施していきたい旨を伝えました。そしてドイツ側の賛同を得ることができました。さらに、私から、先般ドイツが発表した「インド太平洋ガイドライン」を歓迎し、これを高く評価することを申し上げました。地域におけるドイツのコミットメント強化への強い期待を表明したところであります。今般の会談では、日独双方は、今後とも防衛当局間のコミュニケーションを継続し、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向け、防衛協力・交流を引き続き活発に進めていくことで一致しております。防衛省・自衛隊としては、今般の会談を踏まえ、ドイツとの防衛協力を引き続き発展させてまいりたいと考えております。

2 質疑応答

Q:昨日の菅総理大臣とアメリカのバイデン氏との電話会談の中で、尖閣諸島について日米安保条約の第5条の適用範囲であるという見解をバイデンさんが示したということですが、これについての防衛大臣としての受け止めと、今後の日米関係どのように構築していくか、お考えをお聞かせください。

A: 今、お話のあった、昨日行われました日米の首脳電話会談で、バイデン次期大統領から、日米安保5条の尖閣諸島への適用についてのコミットメントの表明がございました。日米同盟の強化、また、インド太平洋地域の平和と安定に向けて協力をしていくことを楽しみにしているということについても発言があったと承知をしております。米国は、累次の機会に、日米安保第5条は尖閣諸島にも適用されることや、日米安保条約の下で、米国の条約上の義務へのコミットメントを確認をしているところであります。インド太平洋地域の厳しい安保関係の中で、日米同盟の抑止力を次期政権も引き続き強化する意思を表明したということで、非常に意義のあるものと考えているところです。防衛省としては、わが国の平和と安全を確保するために、防衛力を適切に整備するとともに、バイデン新政権とも緊密に連携し、日米同盟全体の抑止力・対処力を一層強化していく所存であります。

Q:明日ですね、「秋のレビュー」で、防衛省の次期戦闘機の選定が公開点検の対象となりました。行政の無駄という観点からの点検になるかと思うのですけれども、これについて防衛省としてはどのような姿勢で臨みたいのかということと、改めて次期戦闘機開発の意義ということを教えていただけますでしょうか。

A:まずですね、「秋のレビュー」は、有識者の皆様の視点から事業の効果等を議論していただく、そしてそれを国民の皆様に理解をしていただくという意味で、大変重要な機会だと、こういうふうに考えております。河野大臣からは、先週の会見において、次期戦闘機の調達について事業の背景その他についての認識を深めていただきたい、こういう旨の発言がございました。こうしたことを踏まえまして、明日はですね、当省からの参加者から、わが国の防衛に戦闘機が果たす役割、次期戦闘機のコンセプト、その背景となっているわが国を取り巻く安全保障環境等についてしっかり御説明をし、有識者の皆様、さらに国民の皆様に事業の重要性、意義を御理解いただけるように努めてまいりたい、こういうふうに思っています。

Q:関連なのですけれども、河野大臣、直近まで、この夏まで防衛大臣を務めていらっしゃったかと思います。その、内情を知っているということで、やり辛さですとか、それから、ある意味、元身内の方に点検をされるということについて、どのように向き合っていきたいというふうに思いますでしょうか。

A:河野大臣は私の前任の防衛大臣でいらっしゃいました。そういう意味で、次期戦闘機の開発についてもよく御存じの方でありますので、そういう観点から正確なレビューを司っていただけるのではないかなというふうに思っております。

Q:駐留経費の関係なのですけれども、正式交渉されるとこの前発表しました、という発表をいただきました。一部報道で、交渉決裂の可能性もという話も出ているのですが、現状の交渉の状況を伺える範囲とですね、今後の日程感、いついつまでに妥結を、というところについて教えてください。

A:まず、11月9日と10日に、日米両政府はワシントンDCにおいて駐留経費の正式交渉を行ったところでございます。交渉においては、両国は、在日米軍駐留経費が日米同盟の中核をなす在日米軍の円滑かつ効果的な活動を確保するうえで大変重要な役割を果たしているということで再認識をいたしました。それから、日米同盟の強固な結束、これを一層強化していくことが重要であると、こういうことも確認をし、このことは相互にひ益する結果が得られるということを期待している旨を共有したところです。今後、まだ交渉が進められている段階でありますので、一層厳しさを増すこの安保環境、そして財政の状況、こういうことを踏まえて適切に対応してまいりたいと思いますが、今後のことについては交渉事でありますので、発言を控えさせていただきたいと思います。

Q:短く伺います。妥結、まとまる時期として、予算の変遷を考えて年内、早いうちにという思いはお持ちでいらっしゃいますでしょうか。

A:大変重要な交渉ですので、しっかりまず議論をして、結論を出していただくことが重要だと思います。

Q:10月6日の記者会見においてですね、会見後のいわゆるぶら下がり取材が三密ではないかと、これでいいのかとお尋ねしたかと思うのですけれども、その時大臣は、やり方においては記者会の皆さんと御相談させていただきたいと思います、というふうにお答えしたんですけれども、具体的にいつ、どのような相談をなさったのでしょうか。また、先日の火曜日にも全く同じような三密状態でぶら下がり取材を受けていたと思うのですけれども、いかがでしょうか。

A:今のことですけれども、いわゆる囲み取材的なものですね、これに対して濃厚接触が発生しない範囲で対応してまいりたいと思います。具体的には、しっかりマスクを着用していくこと、それから対面時の適切な距離をとるということ、大声を出さない、短時間に抑えるということですね、それから人数を少人数に抑えていくこと、こういうことでお願いしているところでございます。

Q:火曜日の件は問題なかったということですよね。であれば、その時の監視カメラの画像をいただけますか。専門家に見ていただいて評価をしていただこうかと思っていますので、いかがでしょうか。

A:あの場所にカメラがあるかどうかは分かりませんけれども、事務方で検討いたします。

Q:半世紀近く日本の空を守り続けてきたファントムF-4EJ改が、間もなく第一線を退きます。大臣の御所感をお伺いしたいのですけれども。

A:F-4戦闘機、昭和46年に配備を開始しました戦闘機であります。導入以来、長らく日本の空の守り、改修も経て多様な任務を果たして来たところです。今年度中に、戦闘機部隊最後のF-4の飛行隊であります第301飛行隊を百里から三沢へ移動し、F-35Aへの機種変更を行います。また、これまでのF-4の活躍に感謝しつつ、更にわが国の防衛、防空体制を強化するように、引き続きF-35の着実な整備に努めていきたい、こういうふうに思います。F-4は複座の戦闘機でありますので、息の合った2人の乗組員の連携が求められるような飛行機であったと聞いております。そういう意味で、F-4のパイロットは非常にチームワークを重んじて、チームワークが良かったといわれております。今の空幕長もF-4のパイロットだったと、こういうふうに了解しております。

Q:関連してお尋ねします。ファントムですけれども、日本に導入する際には、国会審議においてですね、他国に脅威を与えないようにしようというような視点から、爆撃装置ですとか空中給油機能等が取り外された経緯がございます。半世紀近くたった今、敵基地攻撃というのを求める声が自民党で少し上がってきているわけですけれども、この安全保障に対する考え方の変化について、大臣、どのようにお考えでしょうか。

A:当時、いわゆる「爆撃装置」を搭載したままでは、他国に対し侵略的、攻撃的脅威を与えるようなものと誤解されかねないということで、この装置は搭載しない、また、空中給油の装置についても、このF-4が主力戦闘機であった期間においては、空中給油装置を必要とするとは判断しなかった、こういうことで、これを地上給油用に改修したという経緯があったと考えます。その後、様々な、大きく変化をする安全保障環境の下で、軍事技術も大きく進展をしているという状況です。専守防衛の考え方の下で、こうした状況に対応しつつ、わが国の防衛、防空を全うしていくということであります。例えば、精密誘導弾の取得や、空中給油・輸送機の導入等も進めてきたということがあります。イージス・アショア代替案とミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな方針については、9月11日の「総理の談話」を踏まえて議論を進めている状況ですが、わが国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威となっているような弾道ミサイルの北朝鮮のミサイル発射、こうした軍事動向等、安全保障環境が大変厳しさを増している状況に変わってきているというようなことであります。そうした中でも、わが国の平和、国民の平和な暮らし、こうしたものを守り抜いていくという政府の大きな責務を果たしていくためにも、この安全保障の変化の現実に向き合いながら、不断に必要な取組みを進めてまいっているということであります。

Q:そこでは、専守防衛という一点は変わらないと思ったらいいんでしょうか。

A:基本的な考え方として、専守防衛、当然ながら憲法の、現在の日本国憲法の下、また国際社会のルール、こういうものをしっかり踏まえて考えていくということです。

Q:今月ですね、11月27日より5日間にわたって、陸自の朝霞駐屯地で衛生職種の予備自衛官の招集訓練があるんですけれども、こちらでですね、参加する予備役の方々からですね、懸念の声が上がっています。というのは、コロナ対策を全くしていないということなんですね。特に朝霞ですと、9月にですか、集団感染の発生した駐屯地でありますが、訓練に関して、居住定員を減員しない、それから入浴も従来どおり、食堂とかですね、食卓にアクリル板を置かない、そして訓練の時に際して、やはり三密状態で、ぎっしり詰めて講義を受けることになっているんですね。これはやっぱり、複数の参加者の方から疑問があって、問い合わせをしたところですね、東京地方連絡本部の担当者がですね、それに関しては担当部隊が判断することで、それは地本では言えないと。じゃあ、その部隊に問い合わせをしたらよいかと言うと、部隊では全くそういう問い合わせを受け付けないとおっしゃっているそうなんですよ。これだとですね、参加者の皆さん、普通のお医者さんだったり看護師の方なわけで、ここでクラスターが発生すると、かえって、また関東全域にコロナを発生させるということになるかと思うんですね。しかもPCR検査も事前に受けないと。こういう形でやると、今後、衛生職種の予備自衛官の方がなかなか参加できなくなる、あるいは雇用者の方から、予備自衛官になるなというようなお話が出るかと思うんですけれども、大臣、いかがお考えでしょうか。

A:コロナ対策、コロナ感染拡大防止への対策についてはですね、きちんと対策をしていると思いますよ。

Q:それがしていないということで、そういうふうに参加する方々から、彼らにしてみれば切実な話なんで、そういう方々から、複数の方々から、そういう情報を得ているんですよ。全くその、普段の業務と同じようにやっていると。これはいかがなんでしょうね。しかも、防衛大学でも同じようなことがあってるわけじゃないですか。監察本部と大臣宛に、教授がものを申すということがあったりするわけで、やっぱり機能不全に陥っている部分があるんじゃないですか。それとも、目に見えるところだけコロナ対策をやっていけば、中は見えなくていいという考え方が蔓延しているんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

A:防衛省・自衛隊としては、出来る限りの感染防止対策を徹底をしているというところであります。今、御質問のあった件についてはですね、確認の上、事務方からお答えをしたいというふうに思います。

以上