防衛大臣記者会見

日時
令和2年10月20日(火)11:06~11:36
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 2点ございます。まず、新型コロナウイルス関連についてであります。前回の会見、16日金曜日でございますが、前回の会見以降、1名の隊員が新たに新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。これで、本日までに合計191名の自衛隊員が新型コロナウイルスに感染したことが確認されております。今後も、防衛省・自衛隊としては医療機関や保健所等の関係機関と連携し、感染拡大の防止に向けた方策を適時適切に講じてまいります。2点目、私の沖縄出張についてであります。私は、10月21日から22日にかけて沖縄を訪問することといたしました。今回の訪問では、玉城知事をはじめ、関係自治体の皆様とお会いし、沖縄県に集中している米軍基地をめぐる問題についてお話しさせて頂く予定です。また、米軍普天間飛行場の移設予定先のキャンプ・シュワブの視察を行い、事業の進捗について自分の目で確認し、また、自衛隊部隊の視察も行って、南西地域の安全保障環境を肌で感じて来ようと思っております。具体的な訪問先等については、後ほど、事務方からお知らせをいたします。

2 質疑応答

Q:昨日開かれた日豪防衛相会談において、オーストラリア軍に対する武器等防護について調整を開始することで合意したとの発表がありました。既に対象となっている米国を含めた3カ国の連携が強化されると評価する声がある一方、自衛隊と他国軍に一体化に対する懸念や、自衛隊が武力衝突に巻き込まれるのではないかとの不安がありますが、大臣の考えを改めてお聞かせください。

A:昨日、日豪防衛相会談を行いました。日本と豪州は、共に米国との同盟国であります。普遍的価値や戦略的利益を共有する「特別な戦略的パートナー」です。近年、防衛協力が深化し、自衛隊と豪州軍が平素から連携して様々な活動を行う機会が一層増加してまいりましたことに伴いまして、日豪間の相互運用性の向上が不可欠となっています。そうした中で、自衛隊法第95条の2に基づく豪州軍の武器等の警護は、自衛隊と豪州軍が相互運用性を高め、平素から連携する基礎となるものであり、わが国の平和と安全及び日豪防衛協力にとって重要な意義があると考えております。防衛省・自衛隊としては、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けて、豪州との防衛協力を更に深化させてまいりたいと思っております。

Q:菅首相が昨日、ベトナムの首相と現地で会談し、安全保障面の協力強化で一致した他、防衛装備品の輸出等を可能とする協定について、実質合意に達しました。大臣の受け止めをお願いします。

A:ベトナムは、戦略的利益を共有する重要なパートナーであります。ベトナムとの間で防衛協力・交流を幅広く推進することは、わが国及び地域の平和と安定の確保においても重要であると考えております。今般の防衛装備品・技術移転協定の実質合意を踏まえ、防衛省としてもベトナムとの防衛装備・技術協力を推進すべく、防衛装備協力に係る事業実現可能性調査等、取り組みを通じて様々な可能性を検討してまいりたいと考えています。

Q:自衛隊が、毎年米軍やインド軍と実施している合同海上演習「マラバール」に、オーストラリアも今年招いたとインド政府が発表しました。防衛大臣としての受け止めと、日本として期待することをお願いします。

A:インド国防省は、昨日、日米印共同訓練「マラバール2020」に豪州海軍が参加する旨を公表し、これを受けてレイノルズ豪州国防大臣も本訓練への参加を表明したものと承知しております。日米印共同訓練「マラバール2020」については、現在、海上自衛隊やインド海軍を始め、関係国の海軍種間で訓練内容や規模等の調整が進められているところでございます。豪州海軍の参加が実現するということになれば、これは2007年以来のことになり、防衛省・自衛隊としても歓迎をいたしたいと思います。我々としては、民主主義や法の支配といった基本的価値を共有する日米豪印の防衛当局間で緊密に連携をしていくことは、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化を進めていく上で極めて重要であると考えており、こうした観点から、「マラバール2020」を含め、4カ国防衛当局間での協力を更に追求してまいりたいと思います。

Q:先週末の思いやり予算に関する事前協議についてお尋ねします。先週末、2日間の日程で事前協議を終えましたけれども、その中で本格交渉の時期やあり方を決めていくということでしたけれども、現時点でのスケジュール感として決まっているものがあれば教えていただきたいのと、今後、交渉にどのように臨んでいくかお伺いさせていただければと思います。

A:今回の会合においては、同盟に対する双方の貢献について考えを述べあった、また、正式交渉の時期及びあり方について引き続き事務的に調整を進めるということで一致したわけでございますけれども、今後のことについては、まだ決まっておりません。今ここでお答えできることはございません。引き続き相手方とですね、事務的に詰めていくということでございます。

Q:先ほどのベトナムの装備品輸出ないしは技術移転の話なのですけれども、これから実現可能性の調査を始めたいという話でしたけれども、現時点で想定している潜水艦ですとか、対潜哨戒機ですとか、レーダーですとか、こちらとして想定している、ないしは期待しているものというのはどんな感じでしょうか。

A:ベトナムとの間で今、いかなる防衛装備が、技術協力が可能か様々な可能性について検討しているところでございますけれども、具体的にどういう分野で協力を行い得るのかということがまだ決まっているものではありません。そういうことも含めて、今申し上げられる段階ではないということです。

Q:東芝が量子暗号通信に成功したという報道が数日前にありました。まだ試験段階的なものだと思いますけれども、今後、自衛隊のサイバー防衛ですとか、色んな意味の通信関係に使う可能性ですとか、もしくは期待についてどのように現時点でお考えでしょうか。

A:詳細については、事務方にお問い合わせいただければと思います。

Q:冒頭に発表された沖縄への訪問なのですけれども、玉城知事と会談するということで、沖縄県側はですね、辺野古への移設反対の姿勢を示していますけれども、どのように理解を得るつもりか教えていただけますでしょうか。

A:玉城知事との会談おいては、基地負担の軽減、普天間飛行場の移設計画について意見交換を行ってまいりたいと思っております。基地負担の軽減を図るための政府の取組みについて、地元の皆様の御理解、御協力を得られるように全力で取り組んでまいりたいと考えております。

Q:大臣の方からですね、沖縄の米軍基地の重要性や普天間の移設については、どのような重要性を伝達したいと思ってますでしょうか。

A:わが国を取り巻く現在の厳しい安全保障環境の中で、わが国に所在する基地、沖縄を始め全国にございますけれども、その中での沖縄の位置付け、そういったものについても意見交換をしていきたいと思います。その中で今回、私、防衛大臣として初めての会談ということになります。先般、玉城知事からはこちらで表敬を受けたところでありますが、実質的な意見交換の場としては初めてでありますけれども、そうした場を通じて相互理解を深めることができればと思っております。

Q:「マラバール」に戻るのですけれども、関連して、こうした枠組みは中国を刺激する可能性もあるかと思うのですが、東シナ海、南シナ海において、日本は中国とどう向き合っていくのかお考えをお聞かせください。

A:「マラバール」の共同訓練はですね、日米豪印の豪州が入って4カ国ということでありますけれども、その部隊間での様々な共同訓練、相互運用そういった形での技能を高めていくことを目的としておりますので、特にどの国を念頭に置いてとか、そういうものではありません。

Q:関連の質問なのですが、昨日の日豪防衛相会談の頭撮りのところで、レイノルズ国防大臣の方から域内に、今回の訪問が戦略的シグナルを発信することになるだろうと。あと、「自由で開かれたインド太平洋」に関しても重要なシグナルになるだろうと、そこで一致していることが重要なシグナルになるだろうという言葉がありました。要は中国を含めて、この地域に日豪の連携強化というのはどういうメッセージを伝え、どういう反響が想定されるのかというのをお伺いしたいのですが。

A:昨日、日豪の防衛相会談を行いまして、様々な面で防衛協力を深化させていくということで一致しております。その中で豪州の域内でのプレゼンス、そういう意味においても、我々は今後豪州の果たすべき役割、国際社会に対する貢献ということを含めて、歓迎をしているものであります。そのことが地域の平和と安定に繋がっていくものだと、こういうふうに考えております。

Q:オーストラリアとの武器等防護の話に戻るのですけれども、野党の側からは、武器等防護に関して他国軍との一体化だというような懸念というものも聞かれます。大臣その点については改めてどのようにお考えでしょうか。

A:今回の武器等防護、自衛隊法95条の2によりますところですけれども、自衛隊と連携してわが国の防衛に資する活動を現に行っている、従事している米軍やその他の軍隊の武器等を「武力攻撃に至らない侵害」からの防護ということを目的として行うということであります。武器使用権限を自衛官に付与する物でございます。具体的にどのような場合に豪州軍の部隊の武器等の警護任務を行うかについては、今後、豪州と調整しているわけですけれども、いわゆる武力の行使とは違う、区別して考えるべきものでありまして、武力の行使との一体化ということには当たらないと考えています。

Q:それから、アメリカとの武器等防護については、実際、自衛隊法を改正してから2年後ぐらいに実行されたかなと思うのですけれども、今回はどれくらい、今調整を開始したということですけれども、どれくらいまでに最初の実施をしたいというふうに考えているでしょうか。

A:今の段階でいつとか、どのようにということを想定しているわけではございません。今後、事務方同士で調整をしていく必要があると考えております。

Q:米軍関係でお尋ねします。米軍三沢基地の臨時訓練空域が2019年6月に拡大しております。毎日新聞の取材では、その約5か月前に横田空域を通過する民間機の管制が、日米間でまとまっております。政府関係者の一部からは、互いの事情に配慮した貸し借りのようなものだというふうな説明も聞かれるわけですけれども、戦後70年以上経っても、自国の領空を使うのに米側との交渉が必要になっている、この状況について大臣はどのようにお考えでしょうか。

A:報道については承知をしているところでございます。羽田の新経路の横田空域の通過について、国交省を中心として米側と必要な調整を行ったものでございます。また、米軍のいわゆる空域の一時的留保、アルトラブについては、国交省と米軍との間で調整をしているものと承知をしているところです。このため、今のお尋ねについて、防衛省としてお答えする立場にはなく、私としてコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

Q:もう一つお尋ねします。交渉の経緯、経過というのが、情報開示もなく国民になかなか分かりづらい状況となっております。大臣としてこの状況、改善の必要があるとはお考えでありませんか。

A:交渉についても、防衛省としては、関係省庁としての協力をしてまいりました。横田の上空の空域の通過については、そういうことでありますが、基本的には米軍と国交省との間の取り決めというふうに了解をしているところです。

Q:情報開示をさらに進める必要性についてはどのようにお考えですか、という質問だったのですが。

A:必要な情報開示は行っていかなければいけないと思いますが、詳細については国交省にお尋ねをいただければと思います。

Q:先週の金曜日に自民党の国防部会でイージス・アショアの代替案についての議論があったと思います。この中でいろいろ意見が出たかと思いますが、その意見を踏まえて防衛省での現在の検討状況を改めてお話しいただけないでしょうか。

A:国防部会において様々な議論が行われているということは、我々としても承知しております。イージスの代替案について、これまでも示した通り、洋上プラットフォーム案を中心に、今検討を進めているところでございますけれども、与党ともしっかり協議を重ねて、さらに検討を進めてまいりたいというふうに思います。

Q:武器等防護について伺いたいのですが、これまで武器等防護が行われていたのはアメリカだけで、オーストラリアが加わったわけですが、アメリカとの間は、日米安保条約に基づく軍事同盟という形があるので理解はできるのですが、オーストラリアとの間ではそういった形がない。それでは何を根拠に武器等防護という、他国軍と一体化するような取り決めをしたのでしょうか。

A:先ほども申しましたけれども、オーストラリアと日本というのは「特別な戦略的パートナー」という関係にあります。これまでも様々な形で防衛協力を行ってきました。共同訓練も行ってきたところであります。その積み重ねとして、日豪間の相互運用性の向上が不可欠となっている。この相互運用性を高め、平素から連携する基礎となるものが今回の武器等防護、武器等の警護、こういうことであると思います。わが国の平和と安全、また日豪防衛協力にとって重要な意義のある活動だと考えているところでございます。

Q:聞いているのは、アメリカとの関係のように、日米安全保障条約という国際条約の取り決めに従ってやる武器等防護と違って、オーストラリアとの間ではそういった条約等はないと思うのですが、どういう法的根拠に基づいて結ばれたのですか。

A:今回法的根拠としては95条の2で、わが国の防衛に資する活動をする米軍等の部隊ということです。ですから米軍との間でも同盟関係にあるからということではなくて、ちゃんと法的に米軍等、この等の中に他国の軍隊があると思いますが、その中で、しっかりした相互協力関係が積みあがってきている、そういうふうに判断をしたということです。

Q:国内法のみならず、条約があるから武器等防護を米軍と結んだという説明じゃなかったですか。

A:いわゆる武力の一体化とは区別して考えなければいけない、いわゆる集団的自衛権の問題とは区別して考えなければいけないことだと思いますが、先ほどの繰り返しになりますけれども、95条の2にありますような観点から、オーストラリア軍に対する武器等防護を今回発表したところであります。

Q:集団的自衛権の問題と密接に関係があると思うのですが、存立危機事態の定義におけるわが国と密接な関係にある他国にオーストラリアが該当するということでよろしいでしょうか。

A:今回の95条の2の適応については、そうした状況を想定しておりません。

Q:全く無関係ですか。

A:はい。

Q:日米豪印の4カ国の関係なのですが、最終的にアジア版のNATOを目指すのですか、それとも非同盟のインドを説得して、四国同盟というような形に持っていこうと考えているのですか。

A:これは、まさに「自由で開かれたインド太平洋」という構想において、考え方が一致する国々との間で防衛協力を行っていくという立場だと思います。

Q:「自由で開かれたインド太平洋」、もともと「戦略」と言っていましたが、いつの時点からか「構想」というふうに変わりましたけれども、これはどういう理由でしょうか。

A:「戦略」が「構想」に変わった理由ですか。「戦略」というよりも、これは大きな意味で、考え方の総論的なものであると思っています。そういった観点から、「構想」という言い方に変わってきた、「構想」という言い方の方が適切なのではないかということで変えられたものと、私は承知しております。

Q:馬毛島へのFCLP移転計画についてなのですが、一部報道で、今月下旬に地元への説明会を始めて、11月には環境アセスメントの手続きに入るということと、11月には海上ボーリング調査も行う意向であるという報道がありました。これらについての事実関係をまずお聞かせください。

A:馬毛島については、本年8月7日に副大臣が西表市に伺った際に、本年秋頃から環境アセスメントの手続きを開始したい、こういう旨を現地に御説明をしてきたということでございます。その状況について、住民説明会を我々も早期に開催をしたい、最優先に考えていきたいというふうに思っております。この辺の手続きの具体的な日程についてはまだ決まっているものではございませんけれども、これから現地と検討して、すり合わせをしていくということになっております。

Q:秋頃というふうに説明していて、この予定に変わりは特にないわけですよね。

A:そこには変わりないのですけれども、その前提として住民説明会を優先して開催したいというふうに考えているところでございます。

Q:住民説明会をした上で、一般的に秋というのは11月までかと思うのですけれども、11月中にできるように調整しているという理解で良いでしょうか。

A:できるだけ早く、いわゆる秋頃、秋のうちにということですけれども、これは相手のあることですし、向こうとのスケジュール調整をしていくということです。

Q:海上ボーリング調査はどうでしょうか。

A:海上ボーリング調査については、種子島漁協から再説明の要請を受けて、昨日19日に漁協の理事会に対して説明をさせていただきました。本日再説明を希望される漁協の組合員の方々への説明を行う予定にしております。

Q:来月11月にボーリング調査を始めるという説明と聞いていますけれども、そういう内容になるのでしょうか。

A:まずは説明をして、現地の御理解を得られるように努力をしてまいりたいと思っております。

Q:説明では11月にボーリング調査をするという説明をしたという理解で良いのでしょうか。

A:はい。失礼しました。漁協の皆さんへは今日御説明をするので、内容については今明らかにすることはできない部分です。私からのコメントは差し控えさせていただきます。

Q:来月実施するかどうかというのはまだ答えられないということですか。

A:それも含めてですね。

Q:漁協内では賛否を問う投票も行われる予定なのですけれども、この結果次第で着手の見直し等というのは、想定あり得るのでしょうか。

A:そういうことにつきましても、事務方等にお聞きをしていただきたいと思います。

Q:靖国参拝について伺います。昨日19日、安倍前総理が靖国神社を参拝されました。先月も総理大臣辞任直後に参拝されましたが、2カ月連続となり、参拝の現状について実の弟である岸大臣からお考えを伺えればと思います。

A:安倍前総理の参拝につきましては、私人として、個人的な参拝であったと承知をしておりますので、私の立場からコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。いずれにしても、これは個人の信教の自由に関する問題であるというふうに考えております。

Q:先ほど沖縄訪問の関連なのですけれども、先ほど知事さんの他に関係自治体の関係の方ともお会いするというお話をされていましたけれども、どういった方々とお会いして、どういった会談をしたいというふうに考えているか、お願いします。

A:詳細については事務方にお聞きをいただければというふうに思います。

以上