防衛大臣記者会見

日時
令和2年10月16日(金)11:07~11:23
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 3点申し上げます。1つ目は新型コロナウイルスです。前回の会見以降、2名の隊員が新たに新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。これで、本日までに合計190名の自衛隊員が新型コロナウイルスに感染したことが確認されております。今後も、防衛省・自衛隊として、医療機関や保健所等の関係機関と連携し、感染拡大の防止に向けた方策を適時適切に講じてまいりたいと思います。2点目、令和元年度末におけるFMS調達の未納入額・未精算額についてであります。FMS調達については、わが国の防衛力を強化する上で、高性能な装備品を導入するための重要な手段でありますが、今回、防衛装備庁において、令和元年度末におけるFMS調達の未納入額・未精算額の集計ができましたので発表いたします。未納入額は166億円、未精算額は332億円でした。前年度平成30年度末と比較した場合、未納入額は160億円の縮減、ほぼ半減であります。未精算額は、161億円の縮減、約3割減という結果でございました。今回の結果は、未納入・未精算の縮減について日米両国が連携し、問題の解決に取り組んできた成果だと思います。引き続き、日米が連携してFMS調達の履行管理を強化することにより、未納入額・未精算額の更なる縮減に向けて取り組んでまいります。3点目であります。日豪防衛相会談についてということでございます。来週19日(月)、オーストラリアのレイノルズ国防大臣を東京にお迎えし、日豪防衛相会談を実施いたします。今般の会談は、防衛省にとっては、新型コロナウイルス感染症の発生・拡大後、初めて市ヶ谷で行われる対面での防衛相会談となります。今回の会談では、北朝鮮や東シナ海・南シナ海といった地域情勢や「ポスト・コロナ」も見据えた日豪防衛協力の在り方等幅広く議論を行っていく考えです。オーストラリアは、わが国にとっては「特別な戦略的なパートナー」であり、今回の来日実現は、コロナ禍にあっても、日豪の防衛当局が、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化のため、防衛協力を前進させていくとの強い意志を示すものであります。今回の会談では、こうした観点から、レイノルズ大臣と率直な意見交換を行う予定にしております。

2 質疑応答

Q:イージス・アショアの代替策についてなんですが、昨日の自民党の国防議連で、防衛省から新型イージス艦も検討の幅に入れているとの説明があったようなのですが、事実関係をお願いします。

A:まず、現時点において、移動式の洋上プラットフォームを具体的に何にするかについては全く決まっておりません。今後は、洋上式の洋上プラットフォームに係る運用構想及び要求性能を検討した上でアメリカ政府と日米の民間事業者を交えて、技術的実現性等の確認・検討を行い、適切なプラットフォームの形態を決定していくこととなります。

Q:アショアの代替策に関連してなんですけれども、リグ案を検討対象から外すといった報道もありますが、改めて現在の検討状況についてお願いします。

A:先ほども申しましたけれども、現状では洋上プラットフォームを具体的に何にするかということについては決まっておりません。ということは、何を排除するかについても決まっていないということです。

Q:駐留経費の関係でお伺いしたいのですが、予備的交渉と言いますか、実務者の顔合わせが始まったというような話も出ております。現状、駐留経費の交渉はどういう状況にあるのかということを改めて大臣からお伺いしたいのと、今後いずれにせよ交渉が深まっていくと思うのですが、どういった姿勢で向こう5年間の計画と言いますか、どういった方針でこの交渉に臨まれるのかという話と、2点お聞かせください。

A:報道については承知をしております。在日米軍駐留経費の交渉に関する米側とのやり取りについては、相手方との関係から、御指摘のような協議を開催したかどうかも含めて、現時点では答えを差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

Q:その前提で、いずれにせよ交渉は今後していくことになると思うのですが、どういう方針で臨んでいかれますでしょうか。

A:今、わが国を取り巻く環境は非常に厳しい中にあります。財政状況も考えていかなければいけないわけですけれども、2015年のガイドライン、また、2018年の防衛大綱を踏まえて、宇宙・サイバーといった新たな領域での協力も含めて、防衛協力をさらに深めていきたい、そのことで日米の同盟の抑止力、対処力を一層強化していきたい、こういうふうに考えています。今後、在日米軍の駐留経費ついては、現在日米の両政府の合意に基づいて適切に分担されているものとは認識をしているわけですけれども、今後また、一段厳しさを増す安全保障環境やわが国の厳しい財政状況を踏まえて、適切に対処をしていきたいというふうに考えております。

Q:今の質問に関連してなんですけれども、2016年に結んだ現行の日米の特別協定というのは来年3月で切れます。この協定に基づく日本側の負担というのは、日米同盟を運用する日米双方のあるべき役割分担の在り方に照らして、大臣としてこれは適切だったとみているかどうか、そこの認識を伺いたいです。それと同時に、新たな特別協定における日本側の負担はどうあるべきなのかという、そこについても改めてお願いします。

A:現行の協定については来年まであるわけでございますけれども、いずれにしてもこれまで適切に運用されてきましたし、我々としても適切であったというふうに考えております。今後のあるべき姿ということについては、予断をもってお話しすることは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

Q:冒頭の発言でありましたFMSの未納入額・未清算額の関連なのですけれども、未納入額に関しては約半分の縮減ですとか、未精算額についても約3割の縮減ができた、前年度比ですね。成果なのかなと見える反面、ただそんなまだ176億も未納入であったり未精算が161億円もあると、かなり大きいのかなというふうに思います。大臣はそこの認識はいかがでしょうか。

A:この問題について、累次のこれまでの防衛相会談においても、大臣レベルでも働きかけを行ってきたところでございます。その上で、防衛装備庁と、先方のFMSを担当している米国防安全保障協力庁との間でも双方の長官レベルでFMS調達を巡る課題について協議を行ってきた。本年は、1月に会議を開催する予定ですが、そうした中で議論を行う、こういうことでございます。この会議の中では、未納入額・未精算額のケースの個々の品目ごとに履行状況を管理する。未納入・未精算を解消するために最善の努力を行うことについて日米間で合意している、こういうことでございます。この合意を踏まえて、未納入になっている累計ごとに解決に向けた適切な取組・手段をとるなど、日米両国が連携した結果、今回の公表のとおり、未納入・未清算額が縮減していったものと考えております。ただ、御指摘のとおり、まだあるわけですから、こうした努力については引き続き行われるべきだと考えております。

Q:この額はまだかなり高いというふうに、どれくらいの認識で大臣はお思いでしょうか。

A:全体のFMSとの関連になりますから、この金額自体が高いか安いかということについては、判断は差し控えたいと思いますが、いずれにしても未納入・未精算というものについては、縮減の努力を今後も続けて行かなければならないと、少しでも減らしていかなければならないといけないと考えております。

Q:イージス・アショアの代替の関係ですが、現時点ではまだどれか特定の一つに決めたという話はないということでした。一応、大臣の認識としてお伺いしたいのが、艦船建造案も中にはあるということで、資料としては護衛艦をイメージしたものもあったかと思います。改めての認識ですが、そこにはいわゆるイージス艦の建造も含まれるのかどうか、その場合は、現在調査研究しているイージス・アショアの洋上に載せるということについてなんですが、ロッキード・マーチン社のレーダーSPY-7というものを載せたイージス艦を前提に考えているのかどうか、そこについてお伺いしたいです。

A:まず、繰り返しですが、洋上プラットフォームを具体的に何にするかということについては、全く決まっていないということです。今後、洋上プラットフォームに係る運用構想、要求性能を検討した上で、米政府と日米の事業者を交えて、確認・検討作業を行っていくということでありますから、イージス艦の新造について考え方を排除しているわけではないという旨のことが、発言されたものと思っております。いずれにいたしましても今後、適切な形態というものを決定していくということになります。レーダーは、現在は契約しているイージス・アショアの構成品であるSPY-7、これは2018年に実施したSPY-6の他の候補とも比較しても、性能的に優位であったと、こういうことにより選定されたものでございます。そういう意味からも、今非常に高度化している相手方のミサイル技術、こういったことに対応していくためにも、わが国のニーズに適合したものであると判断しているところです。

Q:17日に、故中曽根元総理の合同葬が実施される予定です。文部科学省が、中曽根さんに対して黙とう等を求める通知を全国の国立大学等に出しました。この通知に関して、特定政党への支持や政治的活動を禁じている教育基本法14条に抵触するという指摘もありますが、大臣、内閣の一員としてこの通知に関しての受け止めをお願いいたします。

A:今御指摘のような報道等は承知しておりますが、所掌外でありますので、私からのコメントは差し控えさせていただきます。

以上

下線部:修正事項(洋上式→移動式)