防衛大臣記者会見

日時
令和2年9月18日(金)15:57~16:15
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
岸防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 新型コロナウイルスに関連する事項でございますが、前大臣が最後に会見いたしました9月15日以降ですね、2名の隊員が新たに新型コロナウイルスに感染していることが確認されています。ただし、7月下旬から8月上旬にかけてのピーク時に比べると、感染者の発生が落ち着いてきているのではないかと考えております。これで本日、9月18日までに合計129名の自衛隊員が新型コロナウイルスに感染したことが確認されております。なお、新たに感染が確認された2名の隊員は、今般の台風10号に関わる災害派遣には従事しておりません。今後も防衛省・自衛隊は、医療機関や保健所等の関係機関と連携しまして、感染拡大の防止に向けた方策を適切に講じてまいります。

2 質疑応答

Q:安保法制成立から明日で5年になります。その間、米艦防護等の回数も増えて、日米同盟の強化も図られたと思います。この5年間の日本の安全保障がどう変わったのか、大臣の評価とですね、日米同盟を今後どのように更に進化、強化させていくお考えでしょうか。

A:いかなる事態においても、国民の命や平和な暮らしを守り抜くことは我々政府の最も重要な重い責任であると思います。2015年に成立した平和安全法制により、日米同盟はかつてないほど強固になり、防衛力あるいは抑止力、対処力も向上しています。このことは、地域の平和と安定にも寄与していると考えています。また、国際社会の平和と安定により積極的に貢献できるようになったということでございます。法律施行後、必要な教育訓練を重ねつつ米軍等の部隊の武器等の警護、米軍に対する物品役務の提供、いわゆる「駆け付け警護」の任務付与、シナイ半島で多国籍部隊監視隊への司令部要員の派遣等、平和安全法制に基づく任務の実績は一つ一つ積み重ねております。政府としては、引き続き、平和安全法制を効果的に運用して、いかなる事態にも国民の命と平和な暮らしを守り抜くべく、緊張感をもって対応に万全を期してまいりたいというふうに思っております。この5年間、今も申しましたけど、様々な関係国との連携強化を努めてまいりました。具体的には、2016年11月の南スーダン派遣施設隊第11次要員に対する、いわゆる「駆け付け警護」や、宿営地の共同防護といった新たな任務付与、自衛隊法95条の2の規定に基づく米軍等の武器等防護については、米軍に対しては、2017年に2件、2018年16件、そして2019年は14件の警護を実施したほか、日米ACSAの下で自衛隊法第100条の6に基づき、米軍に対する物品役務の提供を実施しているところです。更に、昨年4月にシナイ半島でエジプト、イスラエル間の停戦監視等を行う「多国籍部隊監視団」。いわゆるMFOに対し、国際平和協力法に基づいて、「国際連携平和安全活動」として陸上自衛官2名を司令部要員として派遣しているところであります。

Q:平和安全法制の関連で、防衛省就任時の総理指示の中でですね、平和安全法制を国民に対して丁寧かつ分かりやすく説明するという指示がありました。例えば、米艦防護をあげればですね、公表されるのが年に1回で件数のみで内容が非公表になって分かりにくい部分もあると思うんですけれども、この点も含めてですね、国民に今後どう分かりやすく説明をしていくお考えなのでしょうか。

A:平和安全法制につきましては、しっかり国民に対して様々な機会を通じてですね、例えば記者会見あるいは講演とかマスコミの取材等々の場面を利用して、透明性のある丁寧な説明を重ねていくことが必要であると承知をしております。今後とも平和安全法制の運用に万全を期すとともに丁寧な説明を努めて、理解が一層深まるよう取り組んでまいりたいというふうに思っております。

Q:今の質問に関連しましてですね、武器等防護、件数が増えているところだと思うんですけれども、日米の軍事的な一体化が進んでいるんじゃないかとかですね、要は任務の拡大について懸念する声なんかもあると、まだ依然として強いと思うんですけれども、その点について大臣どのようにお考えなっていますでしょうか。

A:この平和安全法制の成立したことで、厳しさが増しつつあるわが国の安全保障環境の下で、日米間の信頼感が強まり、そして、いわゆる日米間の役割分化、こういったことについては、しっかり教育がされているとおりですけれども、信頼関係が強まったことで、この平和と安定に対して大きな役割を果たしているというふうに考えております。

Q:イージス・アショアの件ですけれども、これに関しては、前の大臣の時にですね、事務方から配備停止に至る問題の報告が著しく遅れたということで、河野大臣は疑問をかなり呈されていましたが、岸大臣はどうお考えかということと、これに関する防衛省の報告資料でですね、そういう情報が上がらなかったということもあって、風通しの良い勤務環境を整備する必要があるという指摘がありますが、大臣は具体的にこの件で何か考えていらっしゃるかという点をお願いします。

A:イージス・アショアの配備に関してのことですけれども、結果としてですね、地元に約束をしていた、この配備に関して実現できなかったことから、本年6月にプロセスの停止、配備候補地の断念について判断がされたというふうに承知をしているところでございます。今あった河野大臣に対する報告が遅れたのではないかと、こういうことですけれども、これについてもしっかり調査が行われて、先般報告が行われたものと承知をしております。非常に重要なわが国の防衛政策に関わることですから、今後もしっかりこれについて検討しながら取り組んでいきたいというふうに思っております。

Q:風通しの良いというところは、何か具体的にお考えはないということですか。今のところ。

A:ですから、風通しの良さというものは、河野大臣もですね、おっしゃっておられたことですけれども、私としても組織として風通し良い組織を作っていきたいと思います。

Q:もう一点、全然変わる話ですが、御就任以降ですね、安倍前首相から何かアドバイスとかですね、大臣にしてほしいこととか、何かお話し、意見交換をされたことがあったら教えて下さい。

A:就任以降は、特に電話等も含めて話をしておりません。

Q:中国に関してなんですけれども、御就任時の会見でもあったかもしれませんが改めて、軍事力強化の動きとかですね、アメリカとの対立、香港への統制強化の動き等、日本の安全保障環境に不安を抱く国民が多いと思うのですけれども、防衛大臣として中国にどういう姿勢で臨むのか、東アジアの安定に向けてどのような努力をされるのか、その辺りの抱負を教えていただけますでしょうか。

A:中国の軍事動向につきましては、軍事力の広範かつ急速な強化、拡大・活発化などが、国防政策や軍事力に関します透明性の不足・欠如とあいまって、わが国を含む地域や国際社会の安全保障上の強い懸念となっております。今後とも、わが国として強い関心をもって注視していく必要があるというふうに思っております。いずれにせよ、中国との間では、懸念が存在しているからこそ、話し合いをしていくことが必要であると、引き続き、中国との防衛交流を推進して、日中防衛当局間で相互理解・信頼醸成を進めると同時に、中国がインド太平洋地域の平和と安定に責任ある建設的な役割を果たしてもらい、国際的な行動規範を遵守するとともに、国防政策や軍事力に係る透明性を向上していくように促していきたいと考えております。

Q:大臣が着任する前になってしまいますが、先月から今週にかけてですね、北海道に米軍オスプレイが飛来しておりまして、道民から不安を感じる声が上がっております。事前の通告等はなくてですね、知事も防衛局に不安を与えないように配慮してほしいという要請をしているのですが、大臣はどのようにお考えになっておられるでしょうか。

A:今ご指摘のオスプレイの展開ですけれども、9月15日に航空自衛隊の千歳基地に着陸したということは存じております。米軍のCV-22オスプレイが航空自衛隊千歳基地に着陸した件については、速やかに北海道防衛局から関係自治体に対して情報提供しているところです。防衛省としましては、オスプレイの飛行運用に関しては、安全確保はもとより、住民の皆さんの生活への最大限の配慮が大前提であると。今後とも、米軍と協力を図りながら、安全面に最大限の配慮を求め、地元の皆様に与える影響を最小限に留めてまいるように、求めていきたいと考えております。

Q:大臣就任時の会見でですね、ミサイル阻止に関するお話しで、菅総理から新たな方針については本年度までにあるべき方向性・方策を示して、速やかに実施することという指示を受けたという説明をされたのですけれども、今、着任されてから、現状、ミサイル阻止に関することについては、最優先事項というふうな捉え方でしょうか。

A:あの時、「今年度末まで」と間違えて言ってしまいまして、「今年末」の間違いでございました。その上で、時間的にもそんなに余裕があることではありませんし、わが国の防衛に関する優先課題としてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。

Q:一つの質問をさせていただきたいのですが、中国外務省の報道官は、記者会見で岸防衛大臣に一つの中国の原則を守り、台湾間といかなる形式の公式接触も避けていただきたいと述べられました。これに対して、大臣は何かコメントはありますか。

A:台湾は、わが国にとって基本的な価値を共有する緊密な経済関係、人的往来を有します極めて重要なパートナーであって大切な友人でもあります。その上で、日本と台湾の関係は、基本的な立場として1972年の日中共同声明のとおりですね、台湾との関係を非政府間の実務的な関係として維持していくと一貫しております。台湾との関係については、防衛大臣としてこうした立場に基づいて適切に対処してまいりたいと思います。

Q:新たな安全保障政策に関連でお伺いいたします。先日、大臣の就任会見では、菅総理からの指示を受けたのは11日の安倍総理の談話に沿った内容ですけれども、大臣は安倍前総理に近い立場にいる一人として、あの談話にはどういう思いやメッセージが込められていると受け止められてらっしゃいますか。また、その思いに大臣はどのようにお答えされるつもりでしょうか。

A:安倍総理の談話とですね、菅新総理はそれを受けての指示がございました。基本的にそのことで政府の一員としてしっかり対処してまいりたいと思っております。

Q:明日、台湾の李登輝元総統の告別式が開かれます。日本から森元首相を団長に、日韓議員懇談会のメンバーが訪れます。大臣は、正論1月号に日米台安全保障対話を、との文章を載せてらっしゃいますけれども、台湾との安全保障協力について、どのようにお考えでしょうか。

A:まず李登輝さんの件ですけれども、先般はですね、弔問が行われた時には、私も森元総理を同行して参ったわけでございます。明日のお別れ会ですかね。もう一回、森元総理は行かれるわけですけれども、私はこういう立場ですございますので参加はできないということでございます。その上で、日本と台湾との防衛交流等についてですね、先ほども我々の立場を、私の立場を申し上げましたとおり、1972年の日中共同声明に従ってですね、適切に対応していきたいというふうに考えております。

以上