防衛大臣記者会見

日時
令和2年8月25日(火)11:07~11:31
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
河野防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 前回の会見、8月11日以降、22名の隊員が新たにコロナウイルス感染症に感染していることが確認され、合計で105名の自衛隊員がコロナウイルスに感染していることが確認されたということです。この22名は、いずれも今回の災害派遣に従事しておりませんので、市中感染ということになるかと思います。7月、8月を10日ずつ上旬、中旬、下旬に分けて、感染者の数を見ますと、7月の上旬はゼロ、7月11日から20日までの中旬に8名、下旬、21日から31日まで29名、ここで増えまして、8月の上旬、1日から10日までが33名、これがピークです。11日から20日まで17名、そして21日から昨日までが4名ということで、7月下旬から8月上旬に29名、33名と大きなピークがありましたが、このまま下火になってくれるといいなと思っております。沖縄のコロナ感染症の拡大に関しまして、自衛隊の看護官・准看護師15名を陸自の西部方面隊並びに15旅団、それから沖縄の自衛隊那覇病院から看護官・准看護師5名3チーム15名、それから後方支援の15名、合せて30名、沖縄の3つの病院で活動をしております。更に都道府県で教育支援の要請がこれまでで31都道府県になりますが、教育支援、それから生活支援、輸送支援、医療支援を行いました。自衛隊が防護の教育を行った、それを受けていただいた方の数の累計が2,000名を超えたところでございます。それから本日の閣議におきまして、自衛隊法施行令の一部を改正する政令案、閣議決定をされました。これは令和2年3月に防衛医科大学並びに防衛医科大学を卒業した医学科の卒業生、それから看護学科の卒業生がそれぞれ9年、6年勤務せず離職した場合における償還金の基礎額を定めたものでございます。医科の卒業生の場合は4,301万円、前年より23万円の増、看護学科卒業生847万円、69万円の増ということになっております。次期戦闘機F-Xの開発につきまして、現在、戦闘機全体のインテグレーションを担当する企業を公募しているところでございます。これの公募期限は8月31日だと思いますが、この開発の国際協力に関する検討を深めるため、現時点でアメリカ、イギリスと様々意見交換、情報のやり取りをやっておりますが、このインテグレーションに関する支援につきまして、英国、米国に限らず、外国企業から確度の高い情報を収集するために、本日から全情報提供する意思のある企業の募集を開始いたします。この情報収集によって得られた情報を踏まえて、国際協力の今後の在り方を考えていきたいというふうに思っているところでございます。

2 質疑応答

Q:現在、防衛省と国家安全保障局で行われている地上配備型迎撃ミサイルシステム、イージス・アショアの代替策について、現在の最新の検討状況をお願いいたします。

A:概算要求に向けて今、鋭意検討しているところでございます。

Q:一昨日、インターネットの番組で、安定的な皇位の継承について、女系天皇についてのお考えも述べたと思うのですけれども、改めまして女系天皇についてのお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

A:半沢直樹の視聴率が1.2%下がったそうです。まああんまり関係ないかもしれないですけども。わが国の皇室は、過去ずっと男系で継承されてきておりますので、この男系による皇位継承が続くのが一番望ましいというふうに考えております。ただ現状は、天皇陛下、秋篠宮殿下、そして悠仁親王殿下、次の世代というのは悠仁様しかいらっしゃらないという状況もございますので、現皇室で男系を維持していくのは、かなりのリスクがあると言わざるを得ない状況だろうと思います。男系が継承されていくことを強く期待するものでございますが、やはり万が一という事態を想定をしておかなければいかんと思います。今の日本国憲法第1条「天皇陛下の地位は国民の総意に基づく」とございますので、万が一の時にどうするのかというのは、やはり国民の広い議論が必要だと思いますし、国民の支持というものが必要になってくるだろうと思います。万が一の時は、例えば、今の皇室の内親王殿下、あるいは女王殿下が女性宮家として皇室に残られ、そのお子様が皇位を継承するというやり方もあるんでしょうし、あるいは、GHQによって皇籍を離脱することになった旧宮家の男子が宮家を復活させるのか、養子に入るのか、養子に入るのも皇室典範の改正が必要になってくるとは思いますが、そうやって皇位を継承するのかという2つぐらいの選択肢を考える必要があるのかな、もちろんそれ以外にもクローンとかですね、いろんなことをおっしゃる方がいるかと思いますが、あんまり現実的かどうかはわかりません。旧宮家は1428年だったかにご即位された後花園天皇の弟君が伏見の宮を継承されて、その血筋の方々ですので、600年前に皇室とは男系が分かれたのが旧宮家でございます。そういう方のそういう家の男子を皇室に戻す、あるいは宮家を復活させるということに、国民の合意・支持というのが得られるのかという議論も当然あると思いますので、やはりこの、皇位の継承をどうするのかというのは、やはりなるべく早い段階でしっかりと議論をする、そして、憲法に「国民の総意に基づく」とあるように、国民の支持というものの上で行っていかなければいけないんだろうということを申し上げたわけです。なるべく早い段階で、皇位継承をしっかり国民の皆さんに直面している皇統の危機にご理解をいただいて、万が一の時にどうするのかということも考えていただくというのは、必要なんではないかな、女系天皇あるいは今の皇位継承について、どう考えるんだというご質問がいくつか寄せられておりましたので、なるべく早くしっかり議論をしていただくのがいいだろうということもあって、生放送の中で取り上げたということです。

Q:今女系天皇について、とうとうと述べられましたが、大臣が防衛大臣に就任した記者会見で、私は「大臣はかつて脱原発というお考えでしたが今どうなってるんですか」という質問をしたところ、「それは所管外です」といって立ち去られました。なぜ女系天皇については、それは所管内なんですか、それともお考えは変わったんでしょうか。

A:防衛省として所管をしているわけではもちろんありません。ただ、これは、国民の総意に基づいて天皇陛下の地位があるわけですから、なるべく早い段階で国民の議論をするということが、必要なんだろうと思います。政府としても、主意書でこの男系を維持していきたいと、そういうことについて今後も慎重に検討していかなければいけない、あるいは女性宮家の創設についても、慎重に議論をしていくという主意書で、政府の見解を申し上げてきておりますので、特に政府の見解と同じようなことを申し上げている、そういうことでございます。

Q:原発を存続するか、あるいは脱原発世界を目指すかということも、国民的議論を早くする必要があると思うんですが、なぜそれは所管外で、天皇については所管外なのに、とうとうとお考えを述べられるのでしょうか。

A:私が申しあげたことは、政府が主意書で述べていることと変わらないわけでございますので、政府の意見について、それを閣僚が申し上げるというのは問題ないと思います。

Q:でも、原発についても、閣議が最終的に行政府としての意思決定をするわけですので、閣僚として閣議のメンバーとしての、原発に対するお考えというのは述べられて問題ないんじゃないでしょうか。

A:閣議で決まった方針については、経産大臣が申しあげるんだろうと思います。

Q:脱原発について今お考えはどうでしょうか。

A:所管外ですのでお答えは差し控えたいと思います。

Q:先ほど戦闘機の開発の話が出ましたけども、8月24日に航空軍事評論家の関健太郎氏がですね、「航空自衛隊15分全滅説」という記事を書いているんですけども、航空自衛隊で戦闘機の基地でバンカーを持っている、まあ、爆撃に対する防護を持っている掩体ですよね、それがあるのは三沢基地が一応全部してあるだけで、あとは千歳基地と、小松基地が1個飛行隊だけ、あとは全く丸裸ということであります。いくら新しい戦闘機を買おうと、それこそ手りゅう弾1つで100億円するような戦闘機が全部破壊されてしまうという脆弱性は、これは放置しておいてよろしいんでしょうか。

A:すみません。なんという記事ですか。

Q:あの、「空自15分全滅説」です。乗り物ニュースという。

A:まだ読んでませんので、しっかり読ませていただきたいと思います。

Q:関さんは戦闘機だけと書いてるんですけれども、海自のですね、哨戒機もしくはAWACS等も同じなんですけれども、何百億円する機体がですね、それこそ簡単に破壊されるという脆弱性は、放置されてよろしいんでしょうか。

A:なるべく脆弱性というのは対応する必要があると思いますが、まずその記事を読んでないので、まずしっかり読ませていただきます。

Q:もう一つよろしいですか。まだ暑い盛りが続いているかと思うんですけども、陸自の走行車両はほとんどクーラーがついていないんですよね。最新式の10式戦車も乗員用のクーラーがついておりません。こういう40度近いところまで気温が上がって、わが国独自の環境ですよ、シンガポールより暑いと言われていますけども、これでNBC環境になった場合、夏場に全く戦えない。このままクーラーがなくても、大臣よろしいと思いますか。

A:かつて清谷さんから「NBCの関係車両にクーラーなくていいのか」という問題提起をいただいておりますので、この問題についてはしっかり検討していきたいと思います。

Q:NBCだけじゃなくて、10式戦車、あの、機動戦闘車に関して、今年からクーラーつくというふうに聞いておりますが、既存の車両はこれ分からないと、聞くところによると「財務省から言われたんで付けました」みたいな話なんですね。普通は、財務省は削るっていうけども、付けてくれというのが普通の話かと思うんですけども、その辺夏場に戦うという意識が自衛隊の方にないような気もするんですけれども、大臣いかがですか。

A:夏場に戦う意識がないということはないと思いますけども、精神論では戦えませんので、そうしたことはきちんと見ていきたいと思います。

Q:例えば、既存の車両にも新たにクーラーを付加するというようなこともその中には入るんでしょうか。

A:様々なことを検討していきたいと思います。

Q:日韓のGSOMIAに関してうかがいます。GSOMIAを破棄する場合の通告期限が昨日まででしたが、韓国政府から通告はありませんでした。この受け止めと、日韓の情報共有、連携の必要性について改めてお願いします。

A:北朝鮮のミサイルを考えれば、日米韓3カ国の連携というのは重要だというのは、3カ国とも認識をしているところでございます。今後もそれについては変わりはないと思います。

Q:天皇制の話について戻るんですけれども、先ほど大臣がおっしゃったように、政府もですね、質問主意書等々で、述べているんですが、この間の安定的な皇位継承についての政府内の検討状況についてどのようにご覧になっていますでしょうか。

A:政府内で様々検討していると思いますので、そちらにお聞きいただきたいと思います。

Q:安倍政権は、保守層に配慮してこういった議論を先延ばししているんではないか、という見方もあると思うんですけれども、その点、この議論のスピード感について大臣のお考えをお聞かせください。

A:なるべく早くしっかりと国民の間で議論をしていただく必要があると思っております。安倍政権がどう思っているか、これは官邸にお聞きいただきたいと思います。

Q:次期戦闘機の関連なのですが、大臣は一昨日のネット番組の中で、次期戦闘機の開発について、有人か無人かの議論になるという発言をされておりましたけれども、次期戦闘機は無人機でということも視野に入れているということでしょうか。

A:色んなことを考えていかないと思っております。もちろん技術的に可能かどうか、様々な制約がありますから、そこは現実的にしっかりと考えていきたいと思っております。ただ、色んな分野で高価な大きな物、あるいは強い物を数少なく調達するという時代から、安くてたくさん装備品を調達していかなければいけない。特にその中で、有人でやってきたことも無人化できるものならば無人化する、あるいは人工知能を搭載をする、そういう流れはあるのではないかと思っておりますので、次期戦闘機に限らず、様々な装備品の調達については、今後色んなことを考えていかなければいけないそういう時代だろうと思います。

Q:皇位継承権についてうかがいます。安倍政権は、女系天皇に関しては消極的で、大臣ほど踏み込んだ発言といいますか方針を示されていないと思いますが、現役閣僚がこうした発言をされたということに関して、どう思われているのか。閣内不一致ではないかという指摘も上がっております。これに関して大臣はどう思われているでしょうか。

A:安倍政権、質問主意書に対して回答しております。特に私が申し上げていることと違わないというふうに思います。

Q:関連して、23日の夜のインターネット番組の発言に関して、細かいところを確認させていただければと思います。読み上げますが、女性も皇室の中に残す、そして男の子がいなくなった時にはしょうがないから愛子様から順番に女性の皇室のお子様を天皇にしていくということを考えるのが一つあります、と大臣は発言されましたけれども、この愛子様から順番にという下りの係り方なんですけれども、愛子様をまず天皇にする、いわゆる女性天皇にするという趣旨なのか、愛子様の子供、お子様から天皇にしていくという悠仁様を念頭に置いた次の世代という意味なのか、係り方に関して確認させていただけたらと思います。

A:それも今後の議論になるんだろうと思います。悠仁様までは男系で継承されるということがあるわけですけれども、その後どうなるかということが分からない中で、先ほど申し上げたような2つの選択肢があります。2つの選択肢のどちらをとるかということも、国民の総意で決めていかなければいけませんし、例えば、現在の皇室の女性のお子さんから皇位継承をするんだという時には、どういう順番でやるのか、どういう形でやるのかという議論も必要ですし、旧宮家を戻す、あるいは旧宮家から養子をとるという時には、どういう基準で何人ぐらい戻すのか、あるいは宮家をどうするのか、そういう議論も必要ですから、細かいところは今後活発に議論をしていかなければいけないと思いますけれども、やはり、こういう状況の中で万が一の時にどうするのかということはしっかり議論をしていかないといけない、そういう趣旨でございます。

Q:天皇制の国民の捉え方というのもですね、色いろ変わってきていると思いますけれども、いわゆる女系天皇に対する国民の理解度であったりですとか、女系天皇に対する国民の捉え方の意識はどのようになっていると思っているでしょうか。

A:それは私の認識を申し上げるというよりは、国民の間でしっかり議論をしていただいて、国民がどういう形を望んでいるのかというのをはっきりさせるのが大事だと思います。私が世の中はこう思っている、ああ思っているというは申し上げても仕方がないのかなと思います。NHKでもこういう調査は定期的にやられていると思いますので、是非それをご覧いただきたいと思います。

Q:記者クラブはここのA棟の中に部屋を借りており、D棟にも部屋を借りているとうかがっておりますけれども、いくら家賃とか管理費を支払っているのでしょうか。

A:後程お答えさせます。

以上

下線部:修正事項(趣意書→主意書)