防衛大臣記者会見

日時
令和2年8月11日(火)11:22~11:42
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
河野防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 7月4日に熊本県知事からの災害派遣要請を受けて、それ以降およそ1カ月にわたり、災害派遣に自衛隊、従事をしてまいりましたが、8月7日、全ての活動を終了し、撤収要請を受けて、撤収をいたしました。延べ34万人の人員が災害派遣活動に従事したということになります。思ったより多い人数になりました。コロナウイルス、逐次公表してきたところでございますが、8月7日以降、更に15名の隊員が新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。本日までに、合計で83名の自衛隊員がコロナウイルスに感染したということになります。新たな感染が確認された15名は、いずれも災害派遣には従事しておりません。また、広がりが全て確認できた、これ以上感染者がいないということですので、保健所からは、いずれもクラスターという扱いではないようでございます。8月1日から10日までの間で、感染者が32名と、29名を超えましたので、本日以降、会合への参加については、宴会と同様に慎んでもらうということにすると同時に、会食への参加については、「新しい生活様式」の実践を含む感染症対策の更なる徹底を図る、そういうことにしております。自衛隊の中で感染が拡大するということは、任務遂行にも支障を及ぼすことになりますので、現時点ではまだ、各部隊指揮官の統率の下、しっかり感染防止に努めてもらいたいと思いますが、感染拡大が更に続く、あるいはスピードが上がるようなことになれば、更なる対応を検討する必要があろうかと思っております。

2 質疑応答

Q:先週金曜日、馬毛島の件ですけれども、山本副大臣が鹿児島県を訪問し、知事や市長さんに対して施設配置案等を説明されましたけれども、振り返って、地元の理解について得られてきているとお考えなのかということと、それから4年程度の工期を見通しているということですけれども、自衛隊の訓練ですとか、FCLPについて、いつ頃までに運用を開始することが望ましいとお考えなのかお願いします。

A:市長さんを始め、自治体の皆さん、それから鹿児島県に御説明をさせていただいて、これから詰めるべき所はしっかり詰める、また更なる丁寧な御説明を続けていく、ということが重要だというふうに思っております。工事着手してから、おそらく工期4年程度というふうに見込んでおりますので、いつ頃までにというのを現時点で申し上げるのは困難でございますが、しっかり地元の御理解を得られるように、丁寧な説明をしながらやってまいりたいと思います。

Q:大臣、週末、沖縄の与那国島や宮古島を視察されましたけれども、コロナの影響でいろいろ日程が制限された部分もあったかと思うのですけれども、改めて南西地域の自衛隊配備ですとか、あと国境に近い島での監視任務等についてどうお感じになったのか、ご所見をお願いします。

A:コロナの件がございましたので、自衛隊の輸送機で現地に行って、駐屯地の中で宿泊をし、自衛隊外の方は、首長さんを含め、接触しないという、限定した日程になりました。本来、せっかく行ったので、首長を始め色々と意見交換をしたかったところではありますけれども、コロナという状況の中では致し方なかったなかと思っております。南西諸島、1,200kmという非常に長い地域の中で、これまでは陸上自衛隊、沖縄、それから4年前の与那国ということだったところへ、宮古島を始め、しっかりと南西諸島防衛に資する状況をこれからも整備していかなければいけないと思っております。本当に、弓なりに長く島が点在するという状況の中で、いかに我が国の領土・領海・領空をしっかり守っていくことができるか、これからもしっかりと考えながら、整備を進めていきたいと思っております。

Q:沖縄訪問に関連して、大臣、訓示の中で、今月中旬に中国公船や漁船が尖閣諸島周辺の活発化が見込まれると訓示されましたが、中国漁船がたくさん来る年もあれば、そうでない年もあるんですが、今年は来るような情報が事前にあるのでしょうか。

A:特にございません。

Q:災害派遣についてお伺いします。延べ34万人、多いとお感じになったと思いますが、これから台風シーズンが来て、また災害派遣の要請が来る可能性もあると思いますが、今後の備えについてどのように考えていらっしゃいますか。

A:昨年、一昨年と、延べで100万人を超えているんだと思います。熊本地震の時で(※)85万人ということでした。異常な暑さがこれから続くと思われておりますが、それに伴って台風も強くなるでしょうし、気候変動で雨が強くなっている、50年度に一度の大雨というのが今年色んな場所で降っている中で、災害派遣の派遣要請、当然にあるものと考えておかなければいけないと思っております。自衛隊として、要請が来た時には直ちに出動し、人命救助に当たれるような態勢を維持していく必要があると思っております。最初の72時間というのが人命救助にとって非常に重要な時間帯になりますので、そこで最大限自衛隊の力が発揮できるような準備というのは、日頃からしっかりやっていきたいと思っておりますし、現在、部隊が訓練・演習などで基地・駐屯地を離れる際には、その期間中災害派遣をどのようにするか、部隊の指揮官が常にそれを考え、態勢をとりながら演習・訓練をやってくれておりますので、しっかり頑張ってきたいと思います。

Q:今回の災害派遣での部隊の演習・訓練に影響はあったのでしょうか。

A:詳しく報告は受けておりませんが、当然、何だかの影響はあったものと思っております。なるべく、即応性、練度が維持できるように、訓練・演習への影響は最小化したいとは思っておりますけれども、やはり自衛隊でなければできないような人命救助も当然あろうかと思いますので、そこはしっかりと考えたいと思います。

Q:新型コロナの関係で、今、さらに厳しくするというふうにおっしゃいましたが、緊急事態宣言が出ていた時との違いを確認させていただきたいのと、それからさらに隊員の感染が増えた場合にですね、かつて宣言が出ていた場合と同レベル、あるいはそれ以上厳しくするということも念頭にあるのでしょうか。

A:かつてのように、基地から出るな、駐屯地から出るな、というのは、隊員にとって、特に営内者にとって非常に大きなストレスになりますので、これは部隊としても、なるべくそれは避けたいのだろうというふうに思います。そういう意味で、現時点では部隊のそれぞれの指揮官に判断をしてもらおうということにしているところでございます。通達を出すときに、7月1日から通達を出すまでの29名を超えたら一段厳しくするぞ、と言って、それぞれの感染拡大防止に力を入れてもらおうということと、それから何らかの目標を示して、とにかくその数字を超えないように頑張れというつもりで数字を出しましたが、8月に入って11日で今日、それを超えてしまいましたので、感染の拡大というペースが、7月と比べて上がってきているというのは、これはもう自衛隊全般、実感をしていると思います。そういう中で、特に営内、居住状況がやや密な所もある中で、即応性に影響が出ないようにしなければいけないと思っております。かつてのように、全国一律である必要はあるかどうか、ということもあるかもしれませんが、これ以上感染拡大のペースが進むようなことがあれば、やはり地域によっては、厳しい対応を取らざるを得なくなる可能性は否定できないと思っております。

Q:会合と会食というのは、何がどう違うのか、もう少し分かりやすく教えてください。

A:食事を外でとるのが会食、というふうに理解をしてもらえればいいと思います。そこまで禁止をしてしまうと、前回と同じようになってしまいますので、なるべくそこは認めてあげたいというふうに思っております。会合といいますのは、様々な目的をもって行われるものですが、今回それは少し、しばらく謹んでもらおうということでございます。

Q:来週月曜日から、リムパックが開催されます。中国の海洋活動が活発化している中で、日本がこの演習に参加する意義について、改めてお願いします。

A:リムパック、これまでも海上自衛隊を中心に参加をしてきております。日米の関係性の維持、即応性の維持、それから他にも参加をする国があると思いますが、多国間での訓練、そうしたものをしっかりやってきてもらいたいというふうに思っております。今回はコロナの状況がありますので、もう船だけの参加ということで、少し今までと制約された参加状況にならざるを得ないのは残念でありますが、そこに向けて停留とか、様々な準備をしておりますので、しっかり準備をした上でやってもらいたいと思います。

Q:馬毛島へのFCLP移転計画に関してなんですけれども、近く地元への説明会が始まるということだったんですけれども、これまで必要性について、島嶼防衛の強化だとか、日米同盟の強化というのを地元の方に必要性として伝えているんですけれども、防衛省として、特に地元に理解してほしいところというのはどういうところであるか、もしあれば教えてください。

A:やはり南西諸島の防衛というのが、日本の安全保障上極めて重要になってきている中で、物資の集積をはじめ、南西諸島防衛のための様々な訓練をそこで行えるというのは非常に重要だと思っておりますし、また、海上自衛隊の燃料補給、その他補給も馬毛島で行うことができれば、非常に効率的な運用をすることができるようになるというふうに思っております。そういう意味で、南西諸島防衛の要の一つになるのではないかと思って期待しているところでございます。

Q:香港情勢に関してお伺いします。民主活動家の周庭さん等が昨日、国家安全法に違反した疑いで逮捕されています。中国、様々な現状変更の試みを色んなところで行っていますが、こうした情勢をどのようにご覧になっていますでしょうか。

A:香港情勢については、外務省にお尋ねをいただきたいと思っております。中国が様々な地域で現状変更の試みをしているということについては、非常に懸念を強くしているところでございます。

Q:先週も新型コロナについてお伺いしたんですが、感染のスピードが先月に比べて3倍に、感染者数で見た時にですけれども、3倍に上がっているように思えるのですが、日本全国で感染者が急増しているわけなんですけれども、特に、この自衛隊でも急増の状況についてどのように分析されておられるのか教えてください。

A:これだけ市中感染が広がると、やはり、市中で拾ってきてしまうというのは、ある面避けられないとは思いますが、それにしても、感染の拡大のペースが速いなと思っております。やはり、市中でも三密を防ぐとか、しっかりマスクをする、手洗いをする、そういうことをしっかりと心がけてもらって、なるべく市中感染をしないように、まあまあそうはいっても見えませんから、難しいというのは理解はいたしますが、それなりにみんな努力をしてもらいというふうに思っております。また、いくつかの駐屯地・基地で、同じ部屋の人間が感染したということがございました。やはりそれを防ぐためには、市中から拾ってこないというのに尽きると思いますので、それをやるのと、同じ居室内での感染の拡大を防止するような取り組みを考えていかなければいけないというふうには思っております。

Q:特にこの間の感染の推移を見ていると、航空自衛隊の方に突出しているように見えるんですけれども、その辺りは何か考えられることはありますか。

A:特に航空自衛隊、たまたま航空自衛隊が増えたということなのかもしれません。若干、同じ基地内で、新田原をはじめ、感染が横で広がってしまったというケースがございますが、航空自衛隊の特性によって拡大しているわけではないと思っております。そういう意味で、今、陸海空あるいは市ヶ谷、いずれも感染拡大防止に力を入れないといけないというふうには思います。

以上

下線部について、下記のとおり修正いたしました。
約81万人