防衛大臣記者会見

日時
令和2年7月31日(金)11:06~11:28
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
河野防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 先週の火曜日21日に、NATOのストルテンベルグ事務総長と電話会談を行いました。事務総長とは外務大臣時代にも何度かお目にかかっておりますが、今回、コロナの自衛隊が行っている感染予防策などの取組について、こちらから説明し、先方からNATOの取組について御説明がありました。その他、NATOとの防衛協力、地域情勢、あるいは、ポストコロナの国際秩序といったことについても意見交換を行ったところでございます。2つ目、今日の閣議におきまして、8月5日付の防衛省の事務官の幹部人事10件について、内閣の承認をいただきました。3点目、コロナの感染症が拡大する前に、市ヶ谷台ツアーを行っておりましたが、2月26日でしたか、コロナの感染症の拡大防止ということで、ツアーを一時休止いたしました。8月3日から市ヶ谷台ツアーを再開いたします。見学の人数の制限ですとか、内容の一部変更等、感染症の拡大防止のための施策を講じることといたします。また、この市ヶ谷台ツアーの午後の回につきましては、旧帝国陸軍の大本営の地下壕のツアーを加えたいというふうに思っております。この地下壕のツアーについては、18歳以上、700円の入場料をいただくこととしているところでございます。4つ目、次期戦闘機(F-X)の開発につきまして、本年度予算に開発費111億円を計上しているところでございますが、この開発費の予算執行の方法につきまして、色々と検討した結果、基本的な開発体制について、戦闘機全体のインテグレーションを担当する機体担当企業が、アビエーションですとか、エンジンについても責任を持つ「シングル・プライム」体制をとることにいたしました。エンジン開発企業その他、言わば下請けということになろうかと思います。今日よりインテグレーションを担う機体全体を担当する企業の公募を開始いたします。自衛隊員のコロナウイルス感染について、これまでも逐次、公表してきたところでございますが、7月21日(火)から今日まで21名の隊員が新たに感染をしているということになり、今日までに合計43名の自衛隊員が感染をしたということが確認をされております。その中で1点申し上げれば、その内の1名が7月4日から14日まで、7月豪雨における災害派遣に従事しております。しかし、この隊員の発症日は7月25日でありますので、保健所との色々と調査の協力をしておりますが、この隊員が感染したのは市中感染の可能性が極めて大きい、災害派遣の中で感染したということではないだろうということでございます。今日まで43名感染しておりますが、全員市中感染ということでございます。

2 質疑応答

Q:昨日、自民党のミサイルPTの方で提言書をまとめられ、今朝の国防部会で了承がなされました。今後の対応について、まずお聞かせください。

A:自民党のプロセスに則って、このまとめられたものが、これから政審ですとか、総務会にかかるのではないかと思っておりますが、防衛省としても、こうした与党の提案を受け止めながら、しっかりと議論していきたいと思っています。

Q:ミサイルPTの議論の中で、イージス・アショアの代替案についてですね、イージス艦の増艦ですとか、古い護衛艦の転用ですとか、大きく3つくらいのプランが出ているかと思いますけれども、これらのプランについて、メリット・デメリットについては現時点でどのようにお考えでしょうか。また、それ以外のオプションということについて、防衛省内で独自に検討されていらっしゃるのでしょうか。教えてください。

A:かなりたくさんのオプションの検討をしているところでございます。今の時点でそれぞれについて申し上げるのは、まだ差し控えたいと思います。

Q:冒頭にございました、日本全国はもちろん、自衛隊でもコロナウイルスの陽性患者、増えております。大臣のSPの方も陽性反応が出たと伺っております。改めてなのですが、大臣、その時PCR検査を受けられて、陰性反応が確認されたと伺っておりますが、大臣を含めまして、陰性であった方々が、その後2週間の隔離措置を取られていない理由、これをまずお聞かせください。

A:警護官、陽性でございますが、大臣室の中に濃厚接触と見られる者はおりませんでした。念のために、私を含め大臣室の者が部内でPCR検査を受けましたが、全員陰性でした。

Q:大臣、常々PCR検査というのは、陽性の確認にはならない、停留期間というのが必要ではないかと、会見でもおっしゃられていたと思いますけれども、そのあたりとの整合性がとれていないような気もするのですが、いかがですか。

A:濃厚接触者であれば、そのようなことが必要になるかと思いますが、濃厚接触ではないものですから、念のためのPCRの検査で、全員陰性でしたので、問題ないと思います。

Q:その際、PCR検査を受けられたのが4名になられるのですかね。この範囲というのは、警護官と一度でも接触があった方という、どんな線引きになっているのでしょか。

A:大臣室全員で10名、最終的に検査を受けております。

Q:自民党の検討チームの提言についてなんですけれども、この提言の中で、相手国領域内でミサイル等を阻止する能力の保有を検討する、というふうに書いてあるのですけれども、これいわゆる「敵基地攻撃能力」かと思うのですが、これまで防衛省はこういった能力を検討してきていないというふうな答弁もあったかと思うのですけれども、この文言についてどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

A:自由民主党の提言が最終的にまとまった時点で、我々としてもそれを受け止めてしっかり検討していきたいと思います。

Q:政府の方でもですね、新しいミサイル防衛体制の検討を進めているところだと思うのですけれども、現在の検討状況はどのようになっておりますでしょうか。

A:防衛省の中でも議論をしながら、与党からも様々な提言が出てくると承知をしておりますので、そうしたものを合わせながら検討していきたいと思います。

Q:検討チームの方ではですね、防衛省の方からアショアの代替案についての説明もあったということなんですけれども、従来契約していたSPY-7の使い道等々については、どういうふうになっていますでしょうか。

A:防衛省内では検討をしているところです。

Q:先ほどの次期戦闘機、全体のインテグレーション担当企業をこれから公募を今日からするという話なのですけれども、改めてこういう方式を今回とる理由、それから国内の防衛産業があると思いますけれども、それにもたらす影響と言いますか、恩恵についてコメントをいただけますでしょうか。

A:次期戦闘機につきましては、まず大事なのが、今後長期間にわたって使用する戦闘機でございますので、当然に一定期間で能力の向上が必要になってくると思います。その際に、日本側の意思で能力向上がしっかりできるということでなければ困るわけであります。まずこれが一番重要です。それからこの戦闘機の開発にお金がかかりますが、この開発費をどこまで低く抑えられるか、安く抑えられるか、そういうことがその次に大事になってくるわけです。そういうことを考えると、様々国際協力というのも視野に入ってくることになります。そうしたことを色々と検討した結果、この方式が一番適している、そういうことになったわけです。

Q:在日米軍のコロナ感染の情報公開について伺いますが、先日大臣側、防衛省側から申し入れたということもあって、在日米軍の司令部が基地毎の数のトータルを出してくるようになりました。一方でトータルは分かるようになったものの、属性であるとか、どういう経緯で感染したとか、そういったことが分からない状況ですが、そういったところの改善を申し入れたりするお考えはございますでしょうか。

A:在日米軍とそれぞれ担当する保健所の間で、情報のやり取りが既に行われておりますので、それ以上必要ないと思っております。

Q:関連して、日本だと何日に何百人感染したとかというのと、累計というのが分かるようになっておりましたが、在日米軍のホームページを見ていると、その時々の陽性者、ポジティブの数だけ分かって、その人が陰性になった場合、その表には含まれないことになって、日本の発表方式と違うということで分かりづらさもあると思うのですが、累計を出すなり、そういったものの改善を申し入れるつもりはありますか。

A:重要なのは保健所と在日米軍との間できちんと情報の共有が図られているということだと思いますので、しっかりそれはできていると思います。きちんと情報公開を米軍はしてくれておりますので、しっかり推移を見ていきたいと思います。

Q:富士学校で例年10月に行われている合同調査会同という研究会が、9月に今年はあると思うのですが、例年メディアには非公開なのですが、大臣、こういったものはメディアに公開するという考えはございませんでしょうか。

A:考えたことがございませんでしたので、ちょっと検討します。

Q:私、実は一度だけ業者の資格を取って入ったのですが、別に何の機密もなくてですね、それでも学校長の挨拶とかも全部録音も禁止、撮影も禁止でかなり厳しくやっているのですが、普通に外国に行けば公開している話が何でこんなにみんな秘密にするんだろうという感じで、しかも研究に関してほとんど業者のレポートの丸写しみたいなものだったんですけどね。そういったものは、内部だけでやっていると全然違和感を感じないんでしょうけど、やっぱり外からちゃんと監視されているというか、外の目がちゃんと入ってるというふうにした方がよりよろしいのではないかと思うのですがいかがでしょう。

A:いい御提案ですので検討したいと思います。

Q:次期戦闘機についてなんですけれども、今回は「シングル・プライム」ということでですね、国内企業との契約体制が決まったということなんですが、今後、国際協力、共同開発ということも考えていくところだと思いますが、大臣、開発費を安く抑える等々、色々考えていると思うのですけども、今、主にアメリカ、イギリス等色々検討していると思うのですが、どのような体制が望ましいか、メリット・デメリット含めて教えていただけますでしょうか?

A:今、日本とイギリスの共同開発、それからアメリカ、様々検討しているところでございますが、先ほど申し上げましたように、改修の自由度がしっかり担保されるかどうか、それと開発費をいかに安く抑えられるか、この2つが最大の論点になろうかと思っております。

Q:次期戦闘機に関していくつかお伺いしたいのですけれども、まず報道の中では触れられていないんですけども、スウェーデンという選択肢はあるのでしょうか。スウェーデンの場合は今考えているのが、既存のグリペンの改良型と、テンペスト、イギリスのテンペストに乗っかるという方式と、後は独自開発をどこかパートナーを集めるっていう形で考えているというような報道があるんですけれども、こういうことに防衛省は興味があるのかということと、後は空自のですね、調達能力に本当に問題はないのかというところがありまして。以前のT-7練習機に関していうと、かなりはっきり言うと、これ官製談合じゃないですかということがあったんですね。ていうのは、始めは、調達コスト、単価に関していうと、富士重工は高くて、それいきなりこう3割4割に落としてきたと、半年で飛行機の値段が落ちるわけないじゃないかと。その後結局、中島代議士なんかのスキャンダルがあって中止になったんですけれども。であれば、中止にならずに他の候補を選べばよかったのに、それをまた中止にしてやり直したと。今度、もう一回再度やると、今度は富士重工の方がやっぱり値段が高かったと。ピラタスの方が安かったんだけれども、運用コストは富士重工の方が安いといって空自は採用したのに、実はめちゃくちゃ高かったということがあったんですね。もう1つUH-Xに関していうと、これまた23.75億円で調達というのが50億円超えています。これも、空幕長にも会見で質問したんですけれども、「コストが劇的に安くなりません、頑張ります。」というお答えだったんです。これでほぼ調達コスト2倍ですから、LCCは実質的に2倍になるわけで、約2,000億円。F-35、20機分ぐらいのお金が消えちゃっているわけなんですよね。こういうことをやっているのがやっぱり官製談合やっているんじゃないかと、始めから採用する候補ありきなんじゃないかというふうに疑われても仕方がないんですけれども。そういう体質の組織が新しい戦闘機、そして今度また練習機、中等初等もたぶん調達すると思うんですけれども、それが可能かどうか、いかがお考えでしょうか。

A:スウェーデンとの共同開発というのは現時点で視野に入っておりません。次期戦闘機については装備庁が担当してやるものですから、御心配いらないと思います。

Q:話題変わりましてですね、昨夜の台湾の李登輝元総統がお亡くなりになったということなんですけれども、大臣、個人的なエピソードがもしあれば教えていただきたいのと、今のお気持ちを教えていただけますでしょうか。

A:台湾の民主化に尽力をされた方だろうということで、もう相当御年配でいらしたと聞いております。何度も、引退された後訪日もされていたというふうに伺っております。個人的にお目にかかったことは残念ながらございません。

Q:冒頭でもありました新型コロナの件なんですけれども、この1週間で残念ながら、防衛省・自衛隊の感染者の数が1週間でこれまでと同じだけ積み上がってしまったと。今後、東京だけでなく全国のこの感染状況を見ながら、その勤務状況、訓練の対応などについて、どのようにお考えでしょうか。

A:非常に短期間で多くの感染が出たというのは誠に残念だと思います。ほぼ全員市中感染でございますので、横に広がらないように、まずしっかり対応してもらわなければいかんというふうに思っております。少し通達を見直す必要があろうかと検討しているところであります。緊張感を持ってやっていきたいと思います。

Q:先ほど大臣、人事に関してお話しになったかと思うんですけれども、防衛省・自衛隊に限らず、他の省庁でも約2年ぐらいで、皆さんポジションを変わるということが多いと思うんですけれども、非常に、ポジションにいて仕事を覚えたら変わってしまうところがあると思うんですけれども、もう少し、そういうローテーションを長くする、コロナの面での引っ越しをということも含めてですね、やっぱり負担が大きいと思うんですけれども、そういうことをお考えになったことはございますでしょうか。

A:人事については、ローテーションというよりは適材適所でこれからもやっていきたいと思います。

以上