防衛大臣記者会見

日時
令和2年7月7日(火)10:59~11:14
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
河野防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 昨日、自衛隊2,956名の隊員及び5機の航空機により、引き続き、人命救助を行い、累計で584名の住民の方の救助をいたしました。その他に道路の啓開、物資の輸送、給水の支援、あるいは上空からの状況把握、そうしたことをやっております。今回の大雨によって孤立されている地域がかなり生じておりますので、ヘリ等を利用して情報を収集し、水や物資といった物の輸送を行っているところでございます。また、なるべく早く孤立が解消できるように、道路の啓開も急いてやっているところでございます。昨日の夕方、福岡、佐賀、長崎の3県にも大雨特別警報が発令されましたので、私から、関係する県あるいは市町村と緊密に連携をし、災害派遣の要請があった際には万全の態勢をとって出られるように、という指示をいたしましたが、本日かなり早い時間に、福岡県知事から、大牟田市内の避難所が冠水したことに関して、災害派遣要請をいただきました。ヘリにより状況を把握した後に、現在、ボートで救助活動をしているところでございます。まだ大雨が続きそうでございますので、自衛隊として、引き続き、1万人態勢で万全を期していきたいと思っております。

2 質疑応答

Q:陸上自衛隊のオスプレイに関して伺います。昨日、1機目が岩国基地から木更津駐屯地へ輸送される予定でしたが、天候不良により延期となりました。改めて、今後の1機目と2機目の輸送スケジュールについて聞かせていただきたいのと、木更津駐屯地への到着をもって、5年間の暫定配備がスタートするわけですが、改めて、佐賀空港への配備に向けて、今後、佐賀県ですとか、地元漁協等とどう協議して、どのように理解を得ていくのか、交渉の見通しをお願いします。

A:昨日、悪天候でございましたので、輸送を担当しているベル社のパイロットの判断で、昨日は輸送をしないということになりました。おそらく、天候の状況を見ながら、今後輸送が行われることになろうかと思います。このオスプレイ、離島防護等を担当する水陸機動団としっかり連携をして、運用していきたいと考えておりますので、佐賀県並びに漁協を始めとする地元の皆様に、丁寧に御説明をしていきたいと考えております。

Q:今後、大臣として木更津駐屯地のオスプレイを視察されたりですとか、3月に新設されたオスプレイを運用する輸送航空隊、この部隊を激励する予定はありますでしょうか。また、その際、大臣御自身として、オスプレイに搭乗してみたいという希望等ございましたら教えてください。

A:オスプレイ、木更津に輸送して、点検その他をまず行わなければいけませんので、現時点で私の視察の日程は特に決まったものはございません。

Q:大臣御自身として、オスプレイに乗ってみたいということはありますか。

A:準備が整えば考えてみたいと思いますが、当面は、初号機でもありますので、点検その他のスケジュールということになるかと思います。

Q:九州の大雨による自衛隊の災害派遣についてお尋ねします。活動に従事する隊員の新型コロナウイルス感染対策をどのように講じているのか、お聞かせください。

A:基本的なことを徹底してやる、ということに尽きるかと思います。

Q:例えばPCR検査とか実施とかはされるのでしょうか。

A:しません。

Q:あと、仮に隊員から感染者がでた場合、例えば部隊毎の入れ替え等を行うのか、その対応についてもお聞かせください。

A:状況によるというふうに考えております。

Q:敵基地攻撃能力について伺いたいと思います。自民党は今月中にも会合を開いてですね、自民党案をまとめようと議論をしております。自民党内でも推進派と、一方で、大臣経験者の中にも慎重とすべきという方もいらっしゃいます。一方、公明党はかなり慎重な姿勢を示しておりますが、現状のこの議論に関して、大臣、どのようにお考えなのかお聞かせください。

A:自公、与党両党で御議論をいただいているところでございますので、防衛省としては、必要に応じて求められる説明をしっかりしていきたいと思います。

Q:先程の豪雨災害で、ヘリコプターの話がありましたけれども、その他に例えばドローンですとか、あと民間企業がやっております、腰に装着して負担を軽くするいわゆるサイバースーツのようなものですとか、あるいは遠隔監視ができる建設機械とか、色々防衛省の方でも調達しているかと思いますけれども、いわゆるハイテク機器と言うんでしょうか、そういうものの、今回の豪雨災害に対する活躍状況というのか、利用状況というのはどんなイメージなのでしょうか。

A:詳細、必要なら事務方からデータ出させます。

Q:陸上戦力、特に戦車に関して伺いたいのですけれども、今、陸上自衛隊600両余りの戦車を保有していますが、段々削減をさせる傾向にあります。抑止力としての戦車の意義があるのか、若しくはないのか、大臣のお考えをお聞かせいただきたいのと、今後、機甲科に期待することがあれば、お聞かせください。

A:かつては、ソ連軍が北海道に侵攻する、それを戦車で迎え撃つ、というような時代もございましたが、だいぶ日本に対する脅威と言いますか、懸念、様態が変わっているというふうに思っております。戦車につきましては、訓練環境に恵まれている北海道、それから南西諸島の防衛に、九州に戦車部隊を作って、そこへ集中して配備・運用をする。本州の戦車部隊の戦車は廃止をして、機動力に優れたMCV機動戦闘車、それから水陸機動団のようなところは水陸両用車、そうしたものに切り替えていくということが行われております。戦車は、火力、それから防護力に優れているわけですから、離島の防衛というものにも、これは当然役に立つということになろうかと思います。かつての戦車に期待されていた運用とまた違う部分で運用に対する期待というのがございますので、その戦車、MCV、あるいは水陸両用車それぞれに対する期待ですとか、あるいは、配備の数量、運用の方法、そうしたものをしっかりと最先端のニーズに合うように考えていかなければならないと思っております。

Q:2点お聞かせください。冒頭の態勢ですが、出ているのは2,700人前後ですが、態勢としては1万態勢という理解でよろしいのかというのと、現場出ている諸官に、様々、水害ということで、被害の対応、多岐にわたると思いますが、まずはどういったことを期待したいのかということをお聞かせいただけますか。

A:昨日は、2,956名動いております。当面の態勢としては1万人態勢ですが、即応予備自衛官200名最大で招集をすることを決定し、既に何人か来てくれています。今日中におそらく40人、集まるというふうに踏んでおりますので、コロナの感染症対策等の対応について、そこはしっかりと教育した上で、現場に送り出していきたいと思っております。必要なら、1万人態勢を更に増強することも考えていきたいと思っております。特に最初の72時間、人命救助に関して非常にクリティカルな時間帯でございますので、しっかりと人命救助をまずやりたいと思っております。また、今回は川の越水その他で孤立しているところが結構ございます。橋もいくつか流されて、そこへ水・物資を届ける、必要ならばそこから救助して避難所へ運ぶということ、それから、孤立を解消するための道路の啓開ということをまずしっかりやっていかなければならないと思います。次のフェーズで生活支援ということも始まってくると思いますので、切れ目なく支援ができるように、そこは活動している部隊の指揮官にしっかりと先々を見通しながら、必要な態勢を取るように求めていきたいと思います。

Q:イージス・アショアの山口・秋田への配備計画断念を受けてなんですが、様々な無くなったものを埋めるのか、代替案の模索、政府与党で続いていると思いますけれども、イージス艦の造成やそのイージス艦へのSPY-7の転用等取り沙汰されていますが、現在の検討状況をお聞かせ願えますでしょうか。

A:色んなオプションを今、テーブルの上に出しているところでございます。あたかもイージス艦2隻増設みたいな話が流れておりましたが、それを含め、同じようにテーブルの上に載せて検討しているところであります。何か、現在、この方向で行くというのを決めている、あるいは固まってきているということはございません。

Q:アショアについてもう少しお伺いします。東北3県での再調査ですけれども、この10日で期限になりますけれども、結果の公表についてですね、秋田県の佐竹知事は結果の公表は必要ないという考えを示している一方で、新屋地域の住民からは、公表するべきではないかと、後世に検証するために公表するべきではないかという意見がありますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

A:とりあえず、調査結果はいただくということにしております。そこから先については、決めておりません。

Q:今日午後、参議院の決算委員会の方で、アショアに関して、改めてプロセスの検証ですとか、埋没費用に関して提言を求めるという決議が採択されるようなんですが、改めて、これまでの配備候補地の選定等、経緯の検証、プロセスの検証についてお考えをお聞かせください。

A:配備候補地については、山口県はむつみ、秋田については20カ所を再調査の上、ゼロ・ベースで決めるということで、これは特に問題ないと思います。

以上