防衛大臣記者会見

日時
令和2年6月19日(金)10:59~11:21
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
河野防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 冒頭1件です。16日、パプアニューギニアのソロマ国防大臣と電話会談を行いました。パプアニューギニアを過去訪問いたしました山本副大臣も電話会談に参加をしております。会談では、コロナの世界的な拡大という現状を踏まえて、意見交換を行いました。パプアニューギニアは非常にうまくこの感染症の拡大防止の対策がとられております。こうした感染症対策に関する知見は、人類で共有するべき、透明性をもって広く共有されるべきということで一致をいたしました。東シナ海、南シナ海を含む地域情勢についても意見交換をして、今後も緊密に連携をしていこうということ、並びに「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けて、今、コロナで中々できませんが、引き続き、防衛協力・防衛交流を進めて行こうということで一致をいたしました。また、日本の陸上自衛隊が協力をしましたパプアニューギニアの軍楽隊、これを今年の自衛隊音楽まつりにお招きをしたいと思っておりまして、そのことについても意見交換をいたしました。また、太平洋島嶼国との国防大臣会合、JPIDDが延び延びになっておりますが、適切な時期に再調整をしたい、その際には、ソロマ国防大臣も出席をされたいということでございましたので、再調整に向けて、引き続き、このコロナの状況を見てまいりたいと思います。

2 質疑応答

Q:本日及び21日に河野大臣、山口県及び秋田県を訪問されます。今回のイージス・アショアの配備プロセスの停止については、地元では様々な意見があると報じられておりますが、今回の訪問でどのように理解を求めたいとお考えでしょうか。

A:両県で様々な皆様に、配備に向けての御尽力をいただいておりましたし、また、防衛省の対応について、色々御迷惑をお掛けしたこともございます。様々なプロセスが進んでいる中で、このようなことになりましたので、まず、両県の皆様にお詫びを申し上げ、この配備のプロセスを停止するに至った経緯をしっかり御説明してまいりたいと思います。

Q:今週、北朝鮮が南北共同連絡事務所を爆破し、また、南北軍事境界線付近での軍事訓練の再開や前線部隊の増強を明らかにしました。南北間の緊張状態が高まっておりますが、この状況をどのように分析されておりますでしょうか。

A:北朝鮮の対応状況に変化が起きております。理由としては、いくつか考えられることがあると思いますが、北朝鮮国内における新型コロナウイルス感染症が拡大をしているのではないか、あるいは金正恩委員長の健康状況に何かしら問題が起きているのではないか、あるいは6月の上旬に田植えが終わったようでございますが、昨年の収穫も思わしくなかったということでございますので、北朝鮮国内の食糧事情、あるいは経済環境が思わしくないのではないか。また、こうしたことから国民の目を対外的にそらすために、様々な行動が取られているのではないか。そういった見方が報道されている、あるいは様々な識者がそういう発言をされている、そういうことはよく承知をしております。防衛省・自衛隊といたしましても、日米、あるいは日韓、しっかり情報交換をしながら、また、様々情報収集しながら、北朝鮮国内で何が起きているのかしっかり情報の解析をしてまいりたいと思っております。

Q:昨日の安倍総理の会見でですね、新しい安保対話というか、安保を作り直す話、あと、敵基地攻撃論についても議論の余地があると安倍総理がおっしゃっておりましたが、防衛省としては今後のどのようにこの議論に絡んでいくつもりなのか。また、河野大臣としてはこの敵基地攻撃論の議論については、どのようなお考えをお持ちなのかを教えてください。

A:総理が会見で様々御発言をされたわけでございます。自由民主党が今後イージス・アショアの配備のプロセスの停止を受けて、日本の安全保障をどのように対応していくかといった議論を始められるというふうに認識をしております。私といたしましては、まずこの配備プロセスの停止を受けて、山口県、秋田県、経緯の御説明とお詫びを申し上げる、これが何よりも最優先課題でございますので、本日並びに日曜日、両県を訪れて、まずお詫びと御説明を申し上げる、そこからスタートしたいと思います。

Q:イージス・アショアのプロセス停止、それからそれ以降のことについて、NSCで議論されると思います。昨日、秋田県連の先生方との会談の中で、6月中にもNSCを開くという話があったと思うのですが、時期はそういった見通しで良いのかということと、このアショア後のですね、アショアの代替策を考えるという話と、今回の新たな安保戦略という話というのは別なのか、同じなのか、がちょっとはっきりしないのですが、大臣の考えをお聞かせください。

A:配備プロセスの停止ということを防衛省は申し上げましたので、国家安全保障会議で御議論を、いただくことになりますので、私としてはなるべく早くこの会議で議論していただきたい、できれば6月中にも、という思いで申し上げたわけでございます。イージス・アショアの配備のプロセスの停止を受けて、今後、我が国の安全保障をどのように体制を構築していくかということでございますから、これはもう全体的な安全保障戦略にもかかわってくる、そういうふうに考えております。

Q:全体的な安全保障戦略というのは、例えば、国家安全保障戦略ですとか、そういったものの見直しを念頭に置かれているのでしょうか。

A:それは安全保障会議の中で議論していくものだと思います。

Q:さきほど冒頭御発言がありました島嶼国の国防大臣会合を適切な時期に再調整ということですが、この適切な時期、例えば、早ければ7月にもぐらいのイメージなのでしょうか。

A:太平洋島嶼国に軍のあります、パプアニューギニア、フィジー、トンガからは国防大臣、それ以外の島嶼国からも政府関係者に来てほしいというお願いをしております。太平洋島嶼国は、このコロナの感染症に対して、今非常に厳格な感染症の拡大防止の体制をとっておりますので、中々7月というのは厳しいというのが私の率直な思いであります。早く開催をしたいという気持ちは山々でございますが、やはりこの感染症拡大の防止策、島嶼国の安心して国を開けるというような状況にやはりならないと、中々会議の参加も厳しいのかなというふうに思っております。会議だけなら、VTCとかですね、様々なやりようはあると思いますが、やはり対面での交流も重要だというふうに思っておりますので、できれば、各国から集まってこられるようなタイミングでというふうに今、思っております。現時点で、どのくらいということが申し上げられる状況ではない、というふうに思っております。

Q:ちなみに太平洋島嶼国、今挙げられた国々以外にですね、例えばインドとか、フィリピンとか、ベトナムとか、インドネシアとか、この辺については、相手がどう思うかは別として、招くとか、その辺はどのようにお考えでしょうか。

A:招待をするのは、太平洋島嶼国並びに関係するアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドというふうに考えております。すみません、それに加えて、イギリス、フランス、この太平洋の島嶼国としてお招きをいたします。

Q:今月の23日に日米の安保条約の発効から60年を迎えます。この間の安保条約の果たした役割や、現在の安全保障環境の変化とか、そういったところについてどういうふうに考えて、見られておられるのでしょうか。

A:日米安全保障条約、そして、日米同盟、これが日本の平和を守ってきた、また、ひいては日本の経済の発展の重要な基盤になってきた、それだけでなく、地域の平和と安定の礎になってきたということは、誰もが否定できないというふうに思っております。冷戦の時代は、米ソの対立、冷戦が終わって、私もそうでしたが、皆が平和の果実を享受できると思っていたら、地域紛争ですとか、あるいはテロといったことが起こりました。そして、最近はまた、この国と国、あるいは民主主義と権威主義の対立というような状況に安全保障環境が変わってきているという状況はございますが、日本の安全保障を考えたときに、やはり、基盤となるのが、この日米同盟であると思っております。特に防衛白書、その他でも再三申し上げていることでございますが、陸・海・空という、これまでの領域に加えて、やはり、宇宙、サイバー、あるいは電磁波といった新たな領域の重要性というのが非常に増している中で、技術的な日米間での協力、あるいは、この最近の紛争と言いますか、競争の在り方に鑑みて、経済的な協力の在り方というもの、これから重要になってくるのではないかなというふうに感じております。

Q:関連してなのですが、米軍の最近の動向として、海兵隊の定員の見直しだったり、爆撃機の本土への引き揚げなど、そういった見直しが図られている中ですが、こうした動向というのが、日本に今後どのように影響を与えるのか、もしくは、どう対応していくのかと、どのように考えているのか教えてください。

A:アメリカのNDSが改定をされ、この相手の計算を複雑化させる、そういう意図を持って、様々なことを行おうとしていることは、私も説明を受けておりますし、この米軍の爆撃機についての飛行について、様々な協力というのを行っているところでございます。また、NDSの改定を受けて、陸・海・空、海兵隊、それぞれの軍が様々それに応じて、今後のポリシーを改定をしようとしている、海兵隊も海兵隊2030でしたか、海兵隊としての想いはこういうことだという文書は発表しております。それが、今後国防省の中で、あるいはアメリカ政府の中で、色々と議論されることになるんだろうと思っておりますので、防衛省としても、そういう議論をしっかり注視していきたいと思います。

Q:アショアと昨日の総理発言に関してですね、いくつかお伺いしたいのですが、先ほど、国家安全保障戦略についてもNSCでも議論となっていますけれども、その会議の位置付けられる、大綱・中期、これも含めて、見直しも含めて、NSCで議論していくことになるのではないかと、そういう理解でよろしいでしょうか。

A:イージス・アショアの配備のプロセスを停止をいたしましたので、まず、安全保障会議で議論が行われ、その結果によっては、大綱・中期防が修正されるということになる、そういう可能性があるというふうに思っております。

Q:国家安全保障戦略も含めてということでしょうか。それとも大綱・中期防とかも。

A:それは、これからの安保会議の中での議論によると思います。

Q:それと、昨日、国防総省のですね、ヘルビーさんが、アショアは日本にとっても確実に利益をもたらす、という発言をしていまして、若干、温度差も感じられるのですが、アメリカ側との理解の齟齬というのはないのでしょうか。

A:この北朝鮮の弾道ミサイルの脅威から日本を守るために、イージス・アショアの配備という決断をして、日米間で協議を続けてまいりました。そういう意味で、このイージス・アショアの配備が、日本にとって利益をもたらすんだという認識は共有しております。ただ、残念ながら、地元の御説明でありました、ブースターを確実に定められた地域に落とすということが、ソトフウェアの改修で困難ということになって、ハードウェアの改修をするためには、それなりのコストと時間がかかるということから、今回、このプロセスの停止をしたわけで、これは日米間でも、しっかり伝えております。そういう意味で、このイージス・アショアの配備という当初の計画が、日本にとって好ましいものだった、という考え方の共有自体に何らの変化はございません。

Q:大臣によってですね、敵基地攻撃能力というものは、専守防衛の枠内で、合憲だというふうにお考えなのか、もしそうであれば、なぜそういうふうにお考えなのか。また、その能力が合憲で専守防衛の枠内だとするならばですね、防衛省・自衛隊として、それを持つということについてはどうお考えなのか、以上についてお聞かせいただけますか。

A:その件の、憲法との関係については、もう国会で審議が行われているものと思っております。私としてはまず、このイージス・アショアの配備のプロセスを停止をしたわけでございますから、山口、秋田、両県にお詫びと御説明に伺うというのが最優先課題でございますので、まずそれをしっかり、行った上で、今後の議論に加わっていきたいと思います。

Q:アショアの件で1件だけ確認させていただきたいんですけれども、先週の会見で、大臣がSPY-7に関して、あれは高性能だから、イージス艦とかレーダーサイトでの転用というものが論理的に可能だとおっしゃって、可能性としておっしゃったと思うんですけれども、これ、その陸上配備のものだったものを海で使うっていうことは、これは、そのアメリカとの契約書といいますか、そういったルールの中では何も問題がないんでしょうか、というふうに理解していいんでしょうか。

A:これからそういうことは協議をしていくことになると思います。私が申し上げたのは、そういう可能性もあるよねということで、別にその契約書を見て言っているわけではございませんので。

Q:話題変わって大変恐縮なんですけれども、2日前にですね、宮城県と福島県で、白い物体がずーっと漂っていたんですけれども、あれ、大臣はどのように捉えてますか。

A:防衛省、24時間365日、レーダー、その他で警戒監視を続けておりま
す。

Q:関連してなんですけれども、自衛隊であれに似たようなものというのは持ってたり、保有してたりするんでしょうか。

A:気象に関する部隊がどういうものまで持ってるか、というのを全部把握しているわけではございませんので、必要なら事務方からお答えさせます。

Q:冒頭でパプアニューギニアの軍楽隊を音楽まつりにお招きになるとおっしゃられましたけど、音楽まつり自体は、だいぶ先の日程なんですけれども、全国の移動が一応解禁になりまして、今後の自衛隊のイベントの在り方についてはどのようにお考えでしょうか。

A:音楽まつりについてはまだ先でございますが、できれば開催をしたいと思っておりますけれども、これはもう、コロナの状況を見ながら、様々決めるということでございます。一つ、ステージを遅れながら、自衛隊としては、この活動の再開をしていきたいというふうに思っておりますので、様々な人数ですとか、あるいはその、屋内なら何人までとかですね、屋外だったらそれなりの間隔を取って何人までという定められている手順をですね、1周遅れで自衛隊としてはついていきたいというふうに思っておりますので、各基地・駐屯地における行事その他については、それを見ながら判断をしていきたいと思います。

Q:話題戻って恐縮ですが、イージス・アショアについて1点お伺いします。21日に秋田に来られると思うんですけれども、知事、それから秋田市長、与党の国会議員からもですね、住民に直接、県民の方にですね、直接謝罪すべきではないかとの意見があります。この点について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

A:そこは先方と相談しながらやってまいりたいと思います。

Q:同じくイージス・アショアなんですけれども、地元に対してのお詫びというのはですね、何に対してのお詫びというのが大事だとお考えになりますでしょうか。

A:大勢の皆様に、この配備に向けて御尽力をいただいておりました。萩市の有識者会議ですとか、様々御尽力をいただいておりましたが、こういう結果になったことについて、まずお詫びをしなければならないというふうに思っております。また、地元の皆様に、このブースターについて、御説明をしてまいりましたけれども、我々としてソフトウェアでそれができるという判断で御説明をしてまいりましたが、ハードウェアの改修まで必要になったということで、我々の方から、配備のプロセスを止めるということにいたしましたので、そのことについてもお詫びを申し上げなければいかんというふうに思っております。

以上