防衛大臣記者会見

日時
令和2年6月12日(金)13:17~13:32
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
河野防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 9日、アラブ首長国連邦のボワルディ国防担当国務大臣と、テレビ会談を行いました。コロナの現状に関する意見交換、それからUAEでの現況の御説明などを伺いました。ちょうど艦が交代したばかりですので、私の方から情報収集活動についての説明を申し上げ、この活動をしっかり日本としてやってまいりたいということを申し上げました。また、中東の地域情勢について、先方からも詳しい御説明をいただきました。アジア、インド太平洋に関して、自由で開かれた海洋秩序が重要だということを共有し、自由で開かれたインド太平洋の維持・強化に向けて、しっかり防衛協力をしていまいりたいということを私から申し上げました。2つ目、MFOの要員の交代でございますが、昨年4月から2名、シナイ半島のMFO司令部に行っております。ようやくエジプト側と調整もつきましたので14日、エジプトへ向けて出発をすることになります。おそらく大丈夫だろうと思いますが、まずはカイロで2週間、日本の大使館が管理する施設で停留をして、そこからMFO司令部に停留の後に向かうということになります。

2 質疑応答

Q:冒頭の中東に関連してお聞きします。去年の12月に中東地域における情報収集活動に係る閣議決定を行ってから、まもなく半年となります。今週から護衛艦「きりさめ」が現地での活動を始めていますけれども、現在の中東情勢というのは、依然として緊張状態が続いているという認識でしょうか。先程、電話会談でUAE側から説明を受けたということですけれども、大臣の現在の見解をお聞かせください。

A:基本的に、閣議決定のときと状況に変化はないと考えておりますが、その上に今、コロナという感染症という一枚新たなベールが加わったという状況にあります。多くの国が、やはり、コロナの感染の広がりで苦しんでいるという状況があろうかと思います。「たかなみ」から「きりさめ」に情報収集が変わりましたが、日本関係船舶に関する特異な事象というのは、特に報告を受けておりません。現時点では、状況は変わっていないと思います。

Q:シンガポールで行われた初の米朝首脳会談から今日で2年となります。これに合わせて北朝鮮の外相が談話を発表して、核ミサイル戦略の強化を今後も続けていくという方針を表明しました。これについて大臣の受け止めと、現在の北朝鮮情勢をどのように見ているか、お聞かせください。

A:丸2年、そんなに経つかなという感じがありますが、北朝鮮の金正恩委員長が正しい決断をすれば、北朝鮮が経済を発展させ、北朝鮮の人々が豊かな暮らしを享受することができるという、そういう決断を迫る会談であったのだろうと思いますが、残念ながら、そうした決断が未だ行われておらず、北朝鮮の人々が苦しんでいるという状況は、残念ながら変わっておりません。一方、ミサイルの発射を未だ繰り返しているという状況もございますので、国際社会としっかり連携をして、この北朝鮮の核並びにミサイルのプログラムを放棄させるという当初の目的は変わっておりませんので、国際社会と、そこはしっかり連携をしていかなければいけないというふうに思います。

Q:MFOについて伺いますが、MFOを派遣してから去年の4月に始まって1年ちょっと経ちましたが、MFOに日本の自衛官を派遣する意義について、改めてお聞かせください。

A:MFOというのは、やはり、中東の平和と安定の基礎的な部分の一つだと思います。日本がエネルギーを始め、この中東に経済の繁栄を依存しているというところもありますし、中東で日本は外交的にも様々役割を果たすことができる、そう考えております。そういう意味で、こうした活動に日本が協力をしていくというのは、意義のあることだと思っております。

Q:北朝鮮の動向についてですが、金正恩委員長がまた再び姿が見えない状況が続いております。今年のミサイルの発射では、国内のコロナの引き締めを図っているという狙いでミサイルを撃っているんじゃないかというような分析もされていたかと思いますが、今の北朝鮮のコロナの状況ですとか動向について、どのように分析されていますでしょうか。

A:金正恩委員長については、健康状態ですとか、あるいは北朝鮮のコロナの感染の状況、あるいは、おそらく田植えみたいなものも始まっていると思いますが食糧事情、そうしたことについて日本政府としてもしっかり情報の収集・分析を行いながら、北朝鮮で何が起きているかというのはきちんと見極めていきたいというふうに思っておりますし、また、北朝鮮の意図というのを明確にしていく努力というのは、続けていきたいと思います。

Q:金委員長の動向が、昨今、見えてこないところについては、何かありますでしょうか。

A:報道では、コロナの感染を恐れている、あるいは健康状態が不安定とか様々な報道があるのは承知をしております。

Q:辺野古の工事再開についてですが、改めて、今日というタイミングを判断した理由について教えてください。

A:沖縄防衛局が受注者あるいは米軍と調整をして、再開を判断するということでしたので、そういうことなのだろうと思います。

Q:沖縄県の玉城知事が、再開を受けて、「先般の県議選でも辺野古に反対する候補者が過半数を占めて、民意は明確だ。」ということを強調されていますけれども、これについはどう受け止めますでしょうか。

A:自治体の選挙について、コメントするのは差し控えたいと思います。

Q:関連でもう一点ですが、今、二つの区画で埋め立てをしていて小さい方の区画が、9割終わっているところまで大臣説明されていて、この小さい区画の工期が来月までに確かなっているかと思うのですが、予定どおり来月にはこの埋め立ては終わるということでいいのかどうか、もしお分かりになれば教えてください。

A:工事の中断の影響がありますので、進捗状況を精査しているところだそうでございます。

Q:工期が延びる可能性もある、という理解でよいですか。

A:精査をしているということですので、色々なことがあるのかも知れません。

Q:辺野古の問題に関連してですけれども、今日、会見で、玉城知事が工事再開に遺憾の意を表明されたのですけれども、防衛省として、今後、沖縄県側にどのように理解を求めていくかをお聞かせください。

A:普天間の飛行場の危険性の除去というのは、沖縄の県民の皆さまと目指している方向は同じだと思っております。しっかりと対応できるように努めてまいりたいと思っております。

Q:辺野古に関して、沖縄県議選から5日後の工事再開ということになりました。一部からは、沖縄県議選中に工事を再開しなかったことに関して、争点にならないように争点隠しだという指摘もありますが、こうした見方に対する受け止めを伺えますか。

A:あたらないと思います。

Q:高速滑空弾の研究について伺います。防衛省は、平成30年度から島嶼防衛用高速滑空弾の研究を進めていると思うのですけれども、実際に開発の意義と配備を目指す目的について、改めて教えてください。

A:高速で相手に迎撃されずに、かなり精度高く攻撃ができる。万が一、南西諸島を始めとする島嶼部に敵が着上陸をしたときに、水陸機動団が奪回を図るようなときに、この高速滑空弾というものを使うというのは、非常に意義があることなのだろうと思っております。なるべく早く導入をするために、開発を2つのプロセスに分けて、まずブロック1というのでしょうか、これは2026年位にも導入をし、さらに性能を高めたものをブロック2として入れていく、そういうことで今、研究を進めております。

Q:関連して伺います。滑空弾は非常に長射距離というか、射程が長いとされているものだと思うのですけれども、従来、自衛隊として対地の攻撃装備として、こうした射程の長いものというのはなかったと思うのですけれども、こういったものを保有することについてはいかがでしょうか。

A:射程については明らかにできませんので、差し控えたいと思います。

Q:一昨日、10日なのですが、北海道ニセコ地区の倶知安町上空で、米軍機と見られる3機の飛行機が低空飛行をしているのが目撃されているのですが、もし事実関係を把握されていれば教えて下さい。

A:具体的な事実関係というのは把握しておりませんが、少なくとも、米軍は日本の法令を尊重して飛行機を飛ばすことになっております。そこは、米側にもきちんとそうしたことは伝えておりますし、もし低空で飛行が行われているというようなことがあれば、それはやめさせなければなりません。ちょっと北海道のケースは把握しておりませんけれども、四国で早明浦ダムと大洲市だったか、きちんと記録がとれるように、今、進めているところでございますので、きちんと日本の法令を尊重して訓練が行われるようにしてまいりたいと思います。

Q:確認なのですが、現在は把握されていないということなのですけれども、今後、米側に対して確認を求められたりすることはありますでしょうか。

A:そういう事例があれば、個別にやっているはずです。

以上