防衛大臣記者会見

日時
令和2年6月2日(火)14:28~14:46
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
河野防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 昨日、モンゴルのエンフボルド国防大臣とテレビ電話会談を実施しました。自衛隊の感染予防策等について、私の方から御説明をしました。また、東シナ・南シナ海で起きている事柄を踏まえまして、東シナ海・南シナ海を含む地域情勢について意見交換を行いました。私からは力を背景とした一方的な現状変更あるいは緊張を高めるいかなる行為についても反対をし、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序、これを維持することが重要だということを申し上げ、先方からはモンゴルも国際法あるいは様々な法規範に基づいた紛争の平和的な解決にコミットしているというような発言がございました。自由で開かれた国際秩序を維持強化する観点から、価値を共有する諸外国の間で引き続き連携をしていくことが大事であるということで一致したところです。二つ目、国際平和協力に関する取組として、国連の平和維持活動即応能力登録制度(PCRS)、これに日本も参加しておりますが、5月30日、新たに戦略航空輸送分野において、C-2並びにC-130H輸送機を登録をいたしました。これは各国が貢献可能な分野あるいはその準備状況をあらかじめ国連に登録しておくことで、国連が普段から各国の状況を具体的に把握をする、いざPKOに関する支援ニーズが生じた時に、国連がこの制度を使ってニーズに適確に迅速に対応できる、そういうことで平和維持活動を質高く維持する、そういう目的がございます。近年、要員あるいは装備品の輸送のニーズが高まってきている、そういうことから、この戦略航空輸送は日本も貢献できる分野でありますので、今回登録をし、各国のPKO部隊の早期展開に寄与するとともに、我が国のこの分野での、平和協力活動の分野でも裾野を広げていきたいと思っております。この登録によって何か義務が生ずるわけではありませんので、要請をいただいた時には、PKO5原則その他照らし合わせてどうするか、我が国として判断をしていくということになろうかと思います。

2 質疑応答

Q:馬毛島のFCLP移転計画について、一部報道で、防衛省が来月中旬から予定している馬毛島周辺海域での海上ボーリング調査について、地元の種子島漁協が漁場への影響を考慮して受け入れられないという判断を行ったということですが、今後、防衛省としてどのように対応していくお考えでしょうか。また、ボーリング調査が予定どおり実施できなかった場合、どのような影響があるとお考えでしょうか。

A:受け入れられないということではなく、漁協に対して今、様々説明をしているところだと思います。まだ、説明は続いているというふうに認識をしております。

Q:先ほど、午後2時過ぎにですね、韓国がですね、日本の輸出規制問題について、WTOに提訴の手続きを再開するというふうに言っております。大臣、貿易と安全保障は別物で混同するべきではないと会見でもおっしゃっておられましたが、GSOMIAについてですね、韓国側に何か働きかけというのはこれまでされてきていますでしょうか。

A:特にございません。全く別な案件でというふうに理解しております。

Q:日米韓の電話会議をやりたいとおっしゃっていますが、いつぐらいに行われる予定なのかということと、また、その際にですね、GSOMIAについて、何らかの提起というのは大臣からされる予定というのはあるのでしょうか。

A:シャングリラ・ダイアログが今年は中止になりました。例年、このシャングリラの場をお借りして日米韓の防衛大臣会合を行ってきたと理解をしております。今回、それに代わって、VTCをやろうという話になっておりますので、できれば今月中にでもやることになろうかと思いますが、議題についてはまだ何も決まっておりません。

Q:何か大臣からGSOMIAを取り上げるということも考えてはいない。

A:特に問題がなければ、その必要はないと思います。

Q:モンゴルとの防衛大臣会合ですけれども、東シナ海や南シナ海の件なんですけれども、モンゴルは内陸国家、大陸国家で、東シナ海・南シナ海に面していない国でありますけれども、そういった国と今回こういった形で意見が一致したということ、あるいは、これまでフィリピンですとか、インドですとか、色々と会合を重ねてこられましたけれども、そういった国に次いでモンゴルを選ばれた意義といいますか、理由を改めてお聞かせいただけますか。

A:電話会談の翌日からモンゴルの選挙が始まるということで、あの日を逃すと3週間電話会談がおそらく成立しないという、ぎりぎりのタイミングだったものですから、モンゴルとあの時にやらせていただきました。モンゴルは確かに、内陸国ではありますけれども、様々物資の輸出・輸入、色々中国、ロシアその他と港を使って物の出し入れをしているわけでございますから、自由で開かれた海洋秩序がモンゴルの経済発展に重要だということは認識されており、自由で開かれたインド太平洋というビジョンにも、そんなに異論なく賛成してくださっている、そういう背景がございます。

Q:ここで今回、防衛協力を継続・強化とありますけれども、具体的な防衛協力のイメージというのは、どんなものが考えられるのでしょうか。

A:例えば、施設部隊の測量技術の向上の支援ですとか、あるいは、ミリタリーメディスン、医療・衛生の様々な交流・協力ということを今年、やる予定でおりましたが、残念ながらコロナでこれが皆延期になっております。防大にもモンゴルから学生が来ることになっておりますが、まだこういう状況で日本に入れないということで、これはいつでも待ちますよということはお伝えをいたしました。また、モンゴルは毎年、「カーンクエスト」という共同演習をやっております。これも時期はずれるかもしれませんし、規模その他変わるかもしれませんが、自衛隊として、もし行われるのであるならば参加をしたいと考えているところでございます。

Q:米軍の方がですね、明日の夕方に嘉手納基地でパラシュート訓練を実施すると公表がありました。嘉手納基地でのパラシュート訓練については、例外的な場合を除いて伊江島補助飛行場で移転することになっていると思いますが、今回は例外的なことにあたるのでしょうか。

A:今、日米で色々とやり取りをしているところでございます。

Q:今回、米軍の方から、嘉手納基地で実施する理由等についての説明はありますでしょうか。

A:今、日米でやり取りをしているところでございますので、今の段階で対外的に申し上げるのは差し控えたいと思います。

Q:昨日ブログで大臣、ブルーインパルスについてお書きになっていましたが、
ブログを読む限りですと、今回でブルーインパルスの展示飛行はおしまいという意味なのか。また、飛行に関して、賛否両論、意見があるようですが、その辺をどう受け止めていらっしゃるか。

A:ブルーインパルスは、今後しばらく4機編成ということになります。来年のオリンピックは五輪を描かなければいけませんので、またそれに必要なタイミングで、6機に戻したいとは考えているところでございます。ブルーインパルスには、非常に多くの方から、色々御感想をいただきました。東京に限らず、御要望を今いただいているところでございますが、一つは4機体制だということと、中々47都道府県、あるいはもっとかもしれませんが、全部の御要望には中々答えられない、というふうには思っておりますが、非常に強い声をいただいておりますので、前向きに考えられたらいいなと、今、思っているところでございます。まだ何も、今後の計画はございません。

Q:今、大臣、来年の五輪で五輪を描くので、とおっしゃいましたが、まだ正式決定されていないと思うのですが、開会式でやるのか、聖火到着式はもう終わっていますがそこでやるのか、どういうイメージを持たれていますか。

A:色々な場面があるのかもしれませんが、今年行われていれば、おそらく開会式で描くことになっていたのだろうな、と思っておりますが、いずれにせよ、御要請があったときに応えられるように、4機ではできませんので、6機体制にしっかり戻したい、その時には戻しておきたい、と思います。それは練習期間を含めて、事前にやっておかなければいけないと思います。

Q:改めてなのですが、ブルーインパルスの飛行することになったプロセスを教えてください。

A:アメリカ、イタリアを始め、色々なところで、空軍機が、医療関係者に敬意と感謝を表すための展示飛行をやっておりましたので、日本でも同じようなことができないか、ということを、航空自衛隊に検討を求めましたところ、5月末で6機体制が終わりますので、おそらく1回だけ、6機でやるのは1回だけということで、それなら、首都東京の都心上空でやるのが良いのではないか、ということだったものですから、それでいこうということで、指示をしました。

Q:大臣の発案ということでよろしいでしょうか。

A:ブルーインパルスを飛ばしたらどうだ、というのは、そういうことです。

Q:今のような経緯を、この前の会見では、「プロセスはどうでもよい」というふうにおっしゃっていたのですけれども、この前説明されなかったのはなぜだったのでしょうか。

A:一生懸命、毎日練習しているブルーインパルスがこれから飛ぶと、天気も非常に青空でいいというときに、「あれは私の発案です。」というのは、あまり私のスタイルではないというか、野暮だと思います。

Q:冒頭のPKOの航空機の登録ですけれども、現状、南スーダンの司令部要員しか出していなくて、人間の貢献という形で、かなり少なくなっていますが、それを、そうしたモノに切り替えていくということの理由、意義、背景はどういうふうなところにあると、大臣はお考えでしょうか。

A:別に、人からモノへ、というわけではないと思います。自衛隊として、意義ある、また5原則にもかなっているようなものがあれば、それは参加するのはやぶさかではない、というふうに思います。今回は、今までやってきたことに比べて、少し裾野を広げられる、ということで、登録をしようと。これは2017年でしたか、当時の山本副大臣が発表したんじゃなかったかなと、ちょっとうろ覚えですが。やや時間はかかりましたけれども、しっかり登録をして、要請があれば、しっかり検討して、出す出さないを決めていきたいというふうに思っております。

Q:ブルーインパルスの話に戻ります。先ほど大臣の御発言で、今後も他の地域、全部には答えられないけれども、前向きに考えられたら、とおっしゃいますけれども、2ヵ所目以降もあり得るということですか。4機体制で。

A:できたらいいなと思っております。まだ何も決まっておりません。

Q:その場合、どういった地域とかは、どういった判断基準なんでしょうか。

A:色々と御要請をいただいておりますので、どうやって選ぶのかを含めですね、まだ何も決まっておりません。一つ目と言っていいのかどうか分かりませんが、29日が非常にうまくいって良かったなと思いますし、あれは多分、新しい隊長の最初の飛行だったのではないかと思いますが、そういうプレッシャーの中でもうまくやってくれたというふうに思います。

Q:ブルーインパルスに関して伺います。昨日、大臣、ブログでかかった費用が360万円ですか、示されて、一方で、そうしたお金があれば医療従事者だったり、今回のコロナ関係者に配当すべきだ、という指摘に関しては別の問題とブログでおっしゃいました。それを受けて、更に、ネット上では、別じゃないと、そうした費用をコロナ禍に関係する人に配るべきだという指摘が上がっております。大臣、もう少し別物という、別の問題というのをもう少し説明していただけないでしょうか。

A:国の予算の制度でございますから、それ以上申し上げることは特にございません。

Q:香港のことなのですけれども、中国が国家安全法の導入を決めました。アメリカとの対立は、米中対立が激化するとですね、地域の安全保障関係にも何らかの影響が出て、緊張が高まる可能性があるんですけれども、日本政府としての憂慮ということは伝えていると思うんですけれども、今後取るべき対応として、どのようなことをお考えなんでしょうか。

A:香港で起きていることは、日本としても極めて憂慮すべきことだと思います。現時点で、外交上の問題でございますので、どうぞ外務大臣にお尋ねをいただきたいと思います。

Q:今日は、マスクは何かしないのは理由があったのですか。

A:特に理由はありません。忘れました。

以上