防衛大臣記者会見

日時
令和2年5月15日(金)10:49~11:16
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
河野防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 新型コロナウイルスに感染した自衛隊員13名おりましたが、13名全員回復し、退院いたしました。そのうち、何人かは既に業務に復帰をしているところでございます。また、新型コロナウイルスの感染症拡大防止のための災害派遣でございますが、47都道府県のうち、8県を除く39県と様々な災害派遣の実施、あるいは調整をしているところでございます。現実に、災害派遣の業務を行ったのが、29の都道府県になります。その他、まだ災害派遣の調整をしている所がございます。未だに、羽田、成田における水際対策は続いておりますが、そろそろ自衛隊としても撤収の時期を考える時期に来ているかなと考えております。水際対策で宿泊支援、輸送支援についてはもう完全に手離れをいたしましたので、宿泊支援、それから検体採取の支援についてもそろそろ考えていきたいと思っているところでございます。それから、長崎のクルーズ船の対応につきましては、CT診断車1両を派遣し、今月の2日から診断の支援を行っておりましたが、昨日をもってこのクルーズ船関係の災害派遣活動は全て終了したところでございます。今週の火曜日、フィリピンのロレンザーナ国防大臣と電話会談を実施いたしました。ダイヤモンド・プリンセス号における自衛隊の活動、あるいは感染予防策、自衛隊中央病院での症例分析等について御説明を申し上げました。また、南シナ海・東シナ海をはじめとする地域情勢について、力を背景とした一方的な現状変更の試み、あるいは緊張を高めるいかなる行為についても強く反対をし、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序が重要だということで一致をしました。その後、ポスト・コロナの国際秩序についても意見交換を行い、自由で開かれた国際秩序が揺らぐことがないよう、志を同じくする国が連携することが重要だと申し上げました。5月10日に出港しました護衛艦「きりさめ」につきましては、一昨日、PCR検査の結果、全員の陰性が確認をされましたが、PCR検査のみで陰性を確保するものではないというのが、国際的な安全保障関係者の共通認識でございますので、引き続き、14日間の健康観察を行った上で、業務に向けて進んでいくということにしていきたいと思っております。

2 質疑応答

Q:昨日、緊急事態宣言が39の県で解除となりました。現在、自衛隊が駐屯している複数の駐屯地で集まって訓練する等のことは見送りになっているかと思いますが、今後の教育訓練のあり方、また、自衛隊員の方が県境を跨いだりするようなことも出てくるかもしれませんが、そういった生活様式ですね、感染防護策をどのようにしていきますでしょうか。

A:緊急事態宣言が解除されたところもございますので、そうした県につきましては、教育訓練のあり方を、少しずつ戻していきたいというふうに思っております。駐屯地・基地等の外出禁止措置につきましても、緩やかに戻していきたいということを考えているところでございます。まだ区域内、区域外両方あるものですから、少し具体的に、色んなケースで、こういうものはどうするんだというところを、各部隊に明確に指針として出さなければいけないと思っておりますので、今、ケースごと、こういう場合はどうする、という検討を急がせているところでございますので、できれば今日中に、しっかりとした新たな指針として出してまいりたいと思っております。教育訓練につきましては、宣言を受けて緩和するところは緩和いたしますが、そうでない行事につきましては、これは依然として、これまでの指針を維持していきたいというふうに思っておりますので、行事についての緩和というのは、今回は見送るつもりでございます。

Q:東京はまだ緊急事態宣言が出ているのですけれども、月曜日に行われる宇宙作戦隊の新編式、これは大臣参加されるということなのですけれども、府中基地にいらっしゃるのでしょうか。あと、参加する部隊の人数は20人だと思うのですけれども、これは全員参加という認識でしょうか。

A:今調整をしておりますが、感染防止のための対応策をしっかりと取った上でやりたいと思います。場所、やり方、その他、今詰めさせているところでございます。固まり次第、お知らせ申し上げたいと思っております。今日中に出します。

Q:市ヶ谷でやることも考えていると。

A:色んなやり方があると思いますので、市ヶ谷でやることも当然考えております。

Q:20人全員参加しない、ということもあるということですか。

A:あります。画的にはあれかもしれませんけど。

Q:米軍のFCLP訓練のことでお願いいたします。先日、硫黄島で実施すると連絡があったということですが、厚木基地周辺の首長さんは、悪天候であっても厚木基地でこの訓練を実施することがないように求めています。この点、防衛省さんとしてはどのような対応を取られているか、米軍に申し入れ等されているのか教えていただけますでしょうか。

A: もう既に、今回、硫黄島で始まっておりますので、しっかりそこで訓練が行えるようにしていきたいというふうに思っております。基本的に、FCLPは硫黄島で行う。なるべく早く、それをもう少し安全なところへ移転をする。そういうことでやっておりますので、米側にはしっかりと、硫黄島で、余裕をもった訓練スケジュールでやってもらう、そういう話はしております。

Q:冒頭の緊急事態宣言の関連なのですが、大臣がまさに御指摘されたように、特定警戒が残っているところとそうでないところがあると思うのですが、ここを跨ぐということは基本的にしないことを続ける、という理解でよいのかということと、大臣御自身、東京にいらっしゃいますけれども、例えば今度の総火演に行くだとか、前から言っていらっしゃる秋田に行くだとか、東京を出てどこか解除された場所に行くということは考えているのか、それともそれは引き続き自制するのか、そこをお聞かせいただけますでしょうか。

A:解除される前の、駐屯地からマイクロバスその他で他人と接触をしないように隣の県の演習場に行って、他人と接触をせずに演習をして、そのまま戻ってくる、というのはございましたので、同様に感染リスクがない移動については、感染リスクがないということを明確に地元に御説明をした上でやるということは、引き続き、あるんだろうと思っております。緊急事態宣言の対象区域から外れたところについては、複数の部隊、今までは複数の部隊の混合の演習は認めておりませんでしたが、区域外のところで部隊同士が合同でやるということも今度は考えられると思います。今、そうしたことを含め検討をしております。また今度の総火演につきましては、東京から富士の演習場まで他人と接触することがなく往復をする、現地でも濃厚な接触を避ける、そういうことであるならば行けると思っておりますので、メディアの方に取材に行ってもらう場合には、メディアの方にも同様の対応をお願いすることになろうかと思いますが、そこは一つの選択肢として考えられると思っております。

Q:秋田であれ、これまで止まっていた大臣の視察、そういったものは、引き続き、公共交通機関を使うような場合には、見送るという理解でよろしいでしょうか。

A:純粋に地形を見に行くとか、森林を見に行くとかというのはあるのかもしれませんが、大体、地元の首長さんを始め、意見交換を目的の一つとしているものについては、まだ少し考えなければいけないかなと思っております。東京がいつ解除されるかというのに寄らざるを得ないかなと思っております。

Q:宇宙作戦隊の関連なんですが、宇宙空間の利用で、4月にもロシアが衛星攻撃ミサイルを発射したとしてアメリカが懸念を示したり、去年の12月くらいにもインドが同様の実験をしたという報道があったりしました。こうした状況について、どういうふうにお考えになっているかと、日本としてはそういったことにどう対応できるのかと、対応できる体制がまだ整っていないとは思いますが、その辺どうお考えか、お願いします。

A:やはり宇宙というのは、我々の目であり耳であり、あるいはこの通信の器官という状況になっておりますので、我々の衛星をそうした悪意を持った攻撃あるいはスペースデブリから守るというのが非常に重要になってくる。だからこそ宇宙作戦隊を立ち上げるということになるわけでございます。まずその第一段階として宇宙状況監視をしっかりとやるために、JAXAとしっかり連携をして宇宙状況監視ができるようなレーダーをまず設置をして、そこから徐々にスタートしていきたいと思っております。20人でスタートしますが、しっかりと能力を付けていく必要があると思っておりますので、宇宙作戦隊の一員として、宇宙作戦隊員の一員だと何か科学特捜隊みたいになっちゃいますが、宇宙作戦隊の一員としてやってみたいという方にぜひ自衛隊に入っていただきたいと思っているところでございます。将来的にしっかり我が方の衛星を守る、そういうことができるように、まず宇宙状況監視からスタートしたいと思っております。

Q:現状なんですが、今始めなので20人でスタートして、将来的には100人ですとかそういった数字が一部出ておりますが、米軍とかちょっと役割は違うかもしれませんが、1万6,000人とかもっと大きな規模のところもありまして、そういった意味で今体制というのは、十分なのか、今後どのように拡大していくのか、お願いします。

A:今の体制は、20人でスタートして、徐々に小さく産んで大きく育てようということでございますが、やはり、わが国周辺の脅威というのはですね、以前と変わっているところがあると思います。そういう脅威に合わせて、しっかりとわが国の国民の皆様の平和な暮らしを守る、領土、領海、領空を守る、そういう体制に変えるべきものは、しっかり変えていかなければいけないと思っております。今すぐやるということではありませんが、まずは20名で宇宙作戦隊を立ち上げて、能力をしっかりつけていきたいと思っております。

Q:国会でも話題になりましたけれども、宇宙で行動するに当たっての法的な整備をですね、国内だけではなくて国際的なルールもあると思うのですが、そこは国際的にも明確化されていなかったり、国内でも国会で議論いただきたいと言った話もありましたが、その辺どういったところが支障というか、課題というか、今後どのような議論が必要か、お考えをよろしくお願いします。

A:今のルールでいきますと、例えば、大気圏の外はどうするのか、それからサイバーの世界でもどういうことが起きたときに何が国際的なルールなのか、そういうことをやはりこれから詰めていく必要があろうかと思います。国際的なクルーズ船も、クルーズ船の上で感染症が起きたときにどこが責任を持つのか、現時点でも極めてあいまいな状況ですから、やはりそういう国際化が進み、新たな領域が我々の生活に密接にかかわってくるようになったときの国際的なルールのあり方というのは、しっかり議論していかなければいけないと思います。

Q:国内の、主に憲法の絡み、そういう意味ではどうでしょうか。

A:特に憲法との絡みで何とかというものが今の時点では、ちょっと思いつきません。

Q:米国の衛星が攻撃されたときの集団的自衛権の話とかなんですけど、その辺まだサイバーのことは2プラス2で話していたかと思うのですけれど、まだ、宇宙の分野は、直接はされているかもしれませんが、公表されていないと思いますがいかがでしょう。

A:特に現在、憲法上の云々ということにはない、ということは申し上げたいと思います。日米の詳細な話の内容については、ちょっと差し控えざるを得ませんが、そういうことでございます。

Q:冒頭でフィリピンの国防大臣との電話会談について述べられましたが、最近、直近でオーストラリアとかインドといったインド洋とか太平洋の関係国との電話会談をされているかと思います。新型コロナウイルス感染症の拡大の最中ではありますが、こうした国々との電話会談を行うことの狙いを改めて教えてください。

A:新型コロナウイルスに関連して、諸外国も軍の組織が感染症の防止あるいは生活支援のような形で動いているというところがございます。自衛隊のダイヤモンド・プリンセス号を始め、この新型コロナウイルスの感染症の拡大の防止の業務に当たってまいりましたが、その知見を共有してまいりました。そういう観点から、お互いどういうことをやっている、あるいはどういうことを考えている、例えば、自衛隊はなるべく早く民間に業務を移して、民間が稼げるようにするのが大事だということを申し上げて、割と諸外国はそういうことがなかったのか、おう、そうか、というような反応もございましたが、一つは、新型コロナウイルスの感染症拡大にそれぞれどういうことをやってきて、どういう役割を果たし、これから先何を考えているのかという意見交換、それからポスト・コロナの国際秩序をどう見るのか、そのために何を各国やっていかなければいけないのかというような意見交換。それからコロナの感染症拡大で、国際社会で連携しようというときに、それを狙ってというのか、それにもかかわらずというのか、そこは色んな諸説があると思いますが、一方的な現状変更を力で押し切ろうとする試みがあるということについても、意見交換をしてまいりました。今後とも積極的に電話会談をやっていきたいと思います。

Q:インド洋・太平洋の関係国と今行われているかと思いますけれども、その点については、どういった狙いがあるのか、教えていただければと思います。

A:自由で開かれたインド太平洋というのが、わが国の外交の大きな方針の一つでございますし、これだけ自粛を要請している中でも、わが国が輸入しているエネルギー、食糧がきちんと入ってきているというのは、やはりこの海洋の自由というのが非常に大事だという国際的な認識はあるのだろうと思います。そういう意味で、電話会談の相手は、インド洋・太平洋の関係諸国だけではございませんが、そこは非常に重要なテーマだと思っております。

Q:来週月曜日に陸上自衛隊の新しい小銃と拳銃が報道公開されると伺っておりますが、まず、大臣、既に御覧になられているとしたら、その新小銃・新拳銃、どんなふうに感想を持たれたのかということと、新小銃については前回に引き続き、国産品だと伺っております。改めて、国内軍事産業を盛り上げていく、その御決意といいますか、お聞かせいただければと思うんですけれども。

A:武器のエキスパートではございませんので、今後の新小銃について、その特色を申し上げる程あれではございますが、やはり自衛隊として、装備品の調達をする際にですね、いかにコストあるいはコストメリットを考えるかと言うのが非常に大事だと思っております。私も学校出てメーカーにいましたから、物を作るときに、いかにその数量を標準化させる平準化させるというのが大事だと身に染みているわけでございますが、自衛隊の調達を見てみると、やはり、かなり波があってですね、大きなこういう波があると発注先もいかにコストを下げるかというよりは、その波にどう振り回されずに済むかという観点から対応せざるを得ないということで、これは調達する側も供給する側も、決して良いことではないと思っております。前回の小銃はかなり長い間かけて調達をしましたが、果たしてそれで良かったのかどうか、ということはですね、やはり考えていかなければいけないと思っておりまして、今様々な角度から調達をもう少し効率化、あるいは効果が最大限発揮できるような調達にしなければいけないと動いておりますので、今度の新小銃もそういう観点からしっかり議論をしていきたいと思います。

Q:大臣、昨日御自身のツイッターで、一連のフェイクニュースに関して、改めて発信をされていましたが、その意図を教えてください。

A:特にありません。

Q:フェイクニュースという言葉がですね、自分に不利な報道を虚偽だと主張する際にも使われるということらしいのですが、大臣、一連の新屋の断念に関する報道というのは、大臣にとって不利な報道でしたか。

A:多くの方に迷惑がかかった報道だと思います。

Q:大臣、最後に今日金曜日ですけれども、大臣、今日もお昼御飯はカレーですか。

A:お楽しみください。

Q:多くの人に迷惑がかかったイージス・アショアに対する報道が、多くの人に迷惑がかかったがゆえに、フェイクニュースなんですか。

A:違います。

Q:違いますよね。

A:事実と違うからフェイクニュースと申し上げております。

Q:事実を違うと断言はできるのですか、大臣は。

A:できます。

Q:もし結果的にそうなったら、どうされますか。

A:結果的にそうなっておりません。

Q:なったらどうされますか。

A:なっていません。過去の話です。

Q:もしなったらどうしますか。

A:過去の話ですので。

Q:将来の話でしょ。

A:いえ、違います。過去の話です。

Q:結果的に新屋が外れたら将来的に。

A:そんなことは言っておりません。防衛省の方針ではないと申し上げているのです。

Q:フェイクニュースということを非常に報道機関に対して、大きな意味を持つと思うんですけれども、全然後悔はしていないんですか。

A:事実を違うことが報道されたときには、それはフェイクニュースあるいは誤報、そういうことです。

Q:大臣、裸の王様になっていませんか。

A:なっていません。

以上