防衛大臣記者会見

日時
令和2年4月28日(火)10:39~11:09
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
河野防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 アメリカの国防総省が、アメリカ海軍のパイロットがUFOを撮影した映像を公開いたしました。自衛隊のパイロットは今までUFOに遭遇したことはないようですが、万が一遭遇したときの手順をしっかり定めたいと思います。防衛省・自衛隊が再生可能エネルギーの電力調達をやりました。結果として、151の施設で調達をすることができました。151の施設における電力調達の見込み量は、約9,100万kWh、おそらく世帯数でいくと2万世帯ぐらいか、もうちょっと超えるぐらいの年間消費量になるのではないかと思います。これはわが国の政府機関における再エネ調達最大規模であります。また、この再エネを調達する施設の平均単価は、昨年度15.51円/kWhだったのが、15.47円、0.04円のコストも安くなりました。再エネの電力調達を実現した施設の数、再エネ電力の導入見込み量の規模、価格の低廉性、こうしたことの観点から、政府の中で最も進んだ再エネ調達になったと思っております。この151施設の内、当初見込んでいた再エネ率30%というのは、115の施設で達成いたしました。この中には、予定使用電力量が防衛省全体で2番目となる防衛医科大学校、8番目となります航空自衛隊浜松基地のような大きな施設も含まれております。特に浜松は、浜松市ですとかローカルの企業が出資している浜松新電力から購入することになりましたので、地域経済にお金が回るというもう一つの目標を達成することができたと思っております。金曜日、ドイツのクランプ=カレンバウアー国防大臣と電話会談をいたしました。自衛隊の中央病院が分析した、コロナの症例、あるいは、「ダイヤモンド・プリンセス号」における自衛隊の活動や感染防護策、予めお渡ししていた資料に基づいて説明を行いました。先方からもドイツ軍の活動を含む最新の状況、取組みの御説明を頂きました。「ダイヤモンド・プリンセス号」にドイツ人の御夫婦が乗っておられ、感染が判明した後、自衛隊中央病院で治療を受けてから、回復され帰国されましたが、お礼のお手紙を頂きました。この件についても双方からお互いお礼を言い合うことになりました。24日、その後、エスパー国防長官と電話会談を実施しました。新型コロナウイルスの対応状況、北朝鮮を始めとするインド太平洋地域の情勢、東シナ海、南シナ海の状況、在日米軍を巡る諸課題について、意見交換をしたところです。4月28日現在、22日に公表した那覇基地の隊員を含め、自衛隊員13名がこれまでコロナウイルスに感染しておりますが、13名のうち、8名が既に退院しております。残る5人のうち、1人は自宅療養中、4人が医療機関へ入院、治療中ということです。防衛省における電子決裁ですが、これまで電子決裁のシステムは、事務次官まで、あるいは陸・海・空を始めとする各機関の一定の幹部までは電子決裁をやっておりましたが、この際、防衛省・自衛隊、電子決裁できるものは全部電子決裁にしようということで、市ヶ谷はほぼ全て、それから防衛大学校、装備庁、防衛研究所、陸・海・空・統幕は電子決裁でやることにします。また、印鑑証明のいらない三文判のようなものについては、こちらから出すもの、あるいは提出いただくもの全ていらないことにしたいと考えております。印鑑証明の必要なものについては、総務省がやっている電子証明のシステムを今検討されておりますので、それにのせることにしたいと思います。

2 質疑応答

Q:P-3Cの交代について伺います。既に機体のみを先に交換して、要員の交代はジブチ政府と調整中ということでしたが、日曜日に大臣が配信された動画の中に、派遣する交代要員を事前に2週間隔離して、コロナに感染していないことを確認した上で派遣するということを考えていると述べられました。その方向でジブチは受入れそうでしょうか。現在の調整状況と派遣の見通しを教えて下さい。

A:機体の交換については、もう了承をいただいて、既に出発をしているところです。人員の交代についても、そろそろやらなければならないと思っております。おそらくジブチは、最初、ジブチに駐在をしている他国の軍人さんからコロナが入ってきたということがあるので、しかも、今、ジブチはおそらく感染者が1,000人を超えていると思います。そういう意味で非常に注意深い対応をされておりますので、いかに今度行く人間が感染をしないか、していないことを証明できるかというのが大事だと思います。今の各国の対応を見ていると、PCR検査は、陽性は陽性であるという確認になるけれども、陰性は陰性であるという確認にならないという判定をしているところが多いようで、むしろいろんな国の対応を見ていると、PCR検査よりは2週間の隔離というのが陰性を確認する上でベストな方法だという流れのようですので、そういう方向で少しジブチ側と交渉していきたいと思っています。まだこれについては交渉中です。

Q:企業へのサイバー攻撃について伺います。今年の1月から2月にかけて、NECと三菱電機のサーバーがサイバー攻撃を受けて、防衛省の情報が流出した可能性があるという事案が発覚しました。その後の調査で、明らかになったことがありますでしょうか。一部報道で、NECのサイバー攻撃で、中国のハッカーグループ「APT10」が特定されたというのがありました。防衛省として、把握されている事実関係はありますでしょうか。

A:NECについては、既に調査が終わって、防衛省に関しては機密情報の流出はないということです。三菱電機については、まだ、社内での調査が続いていると聞いておりますが、今の時点で、防衛省に関して機密情報が流出したことはないという報告を受けております。この案件の攻撃元については、防衛省でも様々分析をしておりますが、どこまで手の内を明かしていいのかわからないものですから、今の時点でお答えは差し控えさせていただきます。

Q:電子決裁についてですが、新型コロナウイルスが感染拡大している中で、こうした判断をされたと思うのですが、コロナウイルス感染拡大防止において、電子決裁がどのような意味を持つか教えて下さい。

A:書類に判子を押さないといけないものが、コロナに関連する対策の中でも結構あるようです。色々テレワークをやる中で、判子を押すためだけに出社をしなければならないということがある。これは霞が関、民間も両方だと思いますが、そういう中で、これだけテレワークをやろうということですから、そろそろ判子を押すのはやめた方が良いなと。そもそも防衛省は稟議書の判子がやたら多かったものですから、それ自体も少し仕組みを変えなければいけない。むしろ、判子を電子化するというよりか、決裁の仕方を変えるという方が重要だと思っております。なぜか政務の決裁は電子でやらないというルールになっておりましたので、それは馬鹿な話なのでそれはやめます。

Q:UFOの関係ですが、どういうふうな形で自衛隊に指示をしていくお考えでしょうか。

A:正直に言うと、私はあまりUFOを信じていないのですが、国防省があのような画像を出しましたので、少しアメリカ側からこの真意、それからどう思っているのかという分析を聞きたいと思っておりますが、自衛隊のパイロットまでそういう場面に遭遇したことがないと聞いておりますが、そういうものがあった時に映像が撮れるのであれば映像を撮るし、報告があるのであれば報告するし、どのようにするかは航空自衛隊、あるいはそれぞれの自衛隊で相談をしてもらいたいと思います。

Q:UFOをもし見つけた場合、日米で対処することも考え得るのでしょうか。

A:まだそこまでいっていないと思います。

Q:再生可能エネルギーについて伺いますが、今回、今年度は3割の目標を達成ということですが、来年度に向けて更に拡大するお考えはあるのかということと、あと、調達を巡って何か問題点があったりとか、課題が浮かび上がったりとかありますでしょうか。

A:最終的には、防衛省・自衛隊で再エネ100%を目指したいと思っております。RE100の枠組みのアンバサダーに防衛省も名乗りを挙げたいと思っております。これは、副大臣に担当をしてもらっております。再生可能エネルギーについて、思ったより多く調達できた。量もそうですし、施設数もそうだと思います。30%を取れなくて、割合を下げたところも正直ありますし、若干価格が上がってしまったところがあります。これはちょっと指示が不明確なところがあって、基地に少し迷惑をかけたかなと思っておりますが、一つ残念だったのは、私はもう少し地域の再エネをやっている電力会社からの調達が増えるのではないかと期待をしておりましたが、浜松基地の浜松新電力が1番多く、他は大手の電力会社であったり、今までやっている、幅広くやってくれているところであったりということもありました。目的の一つが、ローカルの経済にもお金を回すことでしたので、地域の新電力の会社には、少し頑張っていただきたいと思っておりますが、今回、これだけの調達ができましたので、来年度の調達に向けて、少し色んなことを検討して来年度は更に割合を高めて、また、量も増やしていきたいと思っておりますし、価格を心配しておりましたが、若干ではありますが価格は下がりました。そういうことも含め追求をしていきたいと思います。

Q:先ほどのUFOの話なのですが、空自元空将の佐藤守さんが、そういう関連の本を出しておりまして、空自でも結構目撃談があると話を書かれております。それから、判子の件なのですが、現在、大臣はツイッターでも述べられておりましたけれども、防衛省の外に関しても広げていくという話をされていたのですが、例えば、今の状態ですと色々な納入業者が富士学校に行って判子をもらって、次に赤羽に行って判子をもらって、今度あそこに判子をもらってというような、いい大人が判子をもらうために何日もかけている状態があるのですが、これも解消すると考えてよろしいでしょうか。

A:そういう具体例があれば、是非教えていただいて対処したいと思います。

Q:先週金曜日、アメリカのエスパー国防長官と電話会談をされましたが、その際、普天間のPFOSを含む泡消火剤流出事故に関して、強い遺憾の意を示されたと思います。エスパーさんからの返答を差支えない範囲で教えて下さい。

A:先方の発言を私の方から申し上げるのは差し控えたいと思いますが、在日米軍を巡る消火剤について、国防長官はかなり理解をしていただいたと思っております。

Q:関連してお伺いします。エスパー国防長官との電話会談の中で、北朝鮮の金正恩委員長の動静について話題に上がったのか、上がったならばどういった話があったか教えていだきたいと思います。

A:北朝鮮についての話はいたしました。内容については差し控えたいと思います。

Q:大臣はこのところ、最近、各国の国防大臣と電話会談を頻繁にされていると思いますが、どのような狙いでなさっているのか、また、今後別の国とやる予定があるのか教えてください。

A:各国との防衛交流・防衛協力に影響が出ていると言わざるを得ない状況ですが、実際お目に掛かって話ができない分、電話会談で100%置き換えられるとは思いませんが、それなりに様々な意見のやりとりをすることができますので、非常に有効な手段だと思います。本当はVTCでやれれば、相手の表情なども分かってもう少しいいのではと思っておりますが、とりあえず今、電話会談をこれからもやっていく予定にしております。一つには、各国はポストコロナについて、やはり意見交換をしているということと、コロナにどう対処しているかというお互いの状況を知りたいということ、そうしたこともあって、少し積極的にやっていこうと思っています。

Q:今おっしゃったポストコロナについてというのは、具体的にはどういうことを念頭におっしゃっているのでしょうか。

A:このコロナの影響で今の国際秩序の枠組みにどういう変化が起きるかということを色々話しています。

Q:電子決裁の関係ですが、2点、これは今日現在、すべて導入されているのか、まだ段階的に始まっているものなのかというのが1点と、政務三役にこれまで電子決裁が導入されていなかった理由についてはどうでしょうか。

A:今の段階で、実は私は電子決裁の手順を見てみようと思って、色々やっていましたら、電子決裁用のアカウントが大臣にはなかったということが分かりまして、今アカウントを作ってもらっているところです。そういう意味で、今紙で回っているのは紙でやりますが、これから起案されるものは、電子でしっかりやっていきたいと思っております。政務三役でなぜやらなかったかというのはよく分かりません。

Q:2年前に政府全体で財務省の公文書改ざんとか防衛省のイラク日報問題等もあって、公文書のガイドラインを新しくして、その中で電子決裁の加速化というのもあったと思いますが、2年経って政務三役までということですが、これが早いか遅いか、どのように感じられていますか。

A:おそらく、以前、防衛省においては2013年から電子決裁のシステムの導入が始まっているということで、おそらくそれより前から、システムができているのだろうと思いますが、政務三役までなぜ来なかったかというのは分かりませんが、これからそういうことにしていきたいと思っていますし、他の機関もトップまで電子決裁でしっかりやって欲しいと思っています。ただ、実際の駐屯地、分屯地あるいは小さな基地ですとか、あるいは、海上自衛隊の艦船は電子決裁でない方が便利だったり、電子決裁用の端末がなかったりということがあるでしょうから、現場に近いところまで無理に強制するよりは、そこは合理的に今の時点でやっていきたいと思っています。ただ、こうやってテレワーク、電子決裁を進めようとすると、テレワーク用の端末の導入がやはり必要になってきますので、そこはしっかり予算要求していきたいと思います。

Q:新型コロナの災害派遣についてお伺いします。今回期限を1週間程度と区切って派遣しているケースが多いかと思いますが、各地の自治体の現場の声ですと、もう少し長く居て欲しい、規模を大きくして欲しいという声が上がっているようですが、その辺について受け止めはいかがでしょうか。

A:コロナがどれだけ感染が拡大するか分からない中で、やはり自衛隊としてしっかり余力を持っているというのが大事だと思っております。また、成田空港、羽田空港、それから関西国際空港、輸送支援を民間のバス事業者に移管いたしました。非常にスムーズにできたと思っております。今自衛隊がやっている輸送支援、あるいは宿泊支援、これは民間にできることでありますし、民間にきちんとお金が支払われるということです。自衛隊が輸送支援をやってしまえば民間にお金が回りませんが、バス事業者がやることによって、今キャンセルが続出しているバス会社に幾ばくかでも足しになると考えれば、やはり自衛隊として、スタートは自衛隊が行って立ち上げる、それから事業者に防護の教育をしっかりやって受け渡す、しばらく自衛隊がモニタリングして、何か問題があれば自衛隊が手を差し伸べられるようにしてありますので、上手く行ったところから、隣のグランドヒルは自衛隊員が駐在もしないで回るということになっていますので、きちんとお金を払って、民間の事業者にやっていただくということが、本来の姿だと思っております。

Q:先日も伺ったと思いますけれども、記者会見後の囲みに関してこれはどういうふうに対処されるのでしょうか。それから会見に際して、参加は各社1人と伺っているのですが、何人も参加されているように見えます。それから記者クラブの記者室に、かなり密集して皆さんご利用ですけれども、これはこのままでよろしいのでしょうか。例えば記者室を閉鎖するとか、そういう何らかの対処はお考えでしょうか。

A:記者クラブと広報課で囲みの話は相談をしていただいていると思います。記者会見の参加人数についても、広報課と記者クラブで考えていただきたいと思っておりますし、記者クラブの部屋については、記者クラブで3密を避ける努力をしっかりしてもらっていると思っております。

Q:すみません。されていないように思えるので伺っているのですが。

A:それは記者クラブの中で問題提起をしていただければと思います。

Q:大臣、ツイッターでもおっしゃっていましたが、アトピーをもっていらっしゃっているということで、ステロイドを使ってらっしゃると思いますが、ステロイドを使っている人間というのは、感染しやすいんですよね。それはやっぱり配慮して、皆さんも配慮すべきではないかと思うんですけれどもいかかでしょうか。

A:記者クラブにお任せしています。

Q:それから先日も伺ったと思いますが、75式ドーザーの後継ですけれども、これちょっと調達に色々不明瞭な点が多々ありまして、当初、輸入のプログラムと国内開発のプログラムそれぞれ別個に走っていたんですけども、なぜか輸入は消えてしまって、2・3日で決まったのですが、ところが日立の案が、実はペーパープランで今造っていますという話なんですね。普通だったら造ったのを評価して、海外と比べてどっちかとやったと思いますが、そもそも2つのプログラムにしているのはおかしいし、ペーパープランを採用してしまったというのもおかしいと思いますけども、しかも現段階においては、陸幕の方からは概要は言えないと、例えば調達数であるとか、予算も言えないという話なんですけども、これは民主主義国家の軍隊ではありえないような秘密主義だと思いますけども大臣いかがお考えでしょうか。

A:前回も問題提起をいただいて、今調査をしているところでございます。

Q:新型コロナウイルス感染拡大で、学校の臨時休校が続いていますが、大阪府の知事とかが、入学の始業時期とかを9月に切り替えることを国に提案しようかと考えているんですけども、大臣は留学経験もありますが、閣内でそうした問題提起されるお考えはありますでしょうか。

A:文科省が色々と検討されていると思いますので、待ちたいと思います。

Q:ステイホーム週間ですけども、本を読む以外にどういったことをされるご予定でしょうか。

A:考えます。

Q:先ほど大臣は、UFOは信じないと言いましたが、超能力や心霊現象等いわゆるオカルトですね、これに関しては信じられているのかお聞かせ下さい。

A:企業秘密です。

Q:先日も伺ったと思いますが、OH-1が未だに全機飛んでいないと、それに関して大臣からも回答をいただいておりますし、陸幕からもとりあえず無人機と他のUH-60とUH-1があるから大丈夫と話を伺いましたけども、そうであればOH-1は必要ないので、これは全廃ということは考えていますでしょうか。

A:今稼働していないものについて、全般的に調査をしているところでございますので、調査結果まとまり次第、報告できるようにしたいと思います。

Q:特にOH-1に関していうと、通信基盤もほとんどリアルタイムで通信できない、基地に帰ってVHSで映さないと画像も見れないという状態で、こういう機体を例えば、今エンジンの交換だけでも1億2,000万円かかると、トランスミッションですと1億5,000万以上はかかるだろうと、それで期間を装備庁に言わせると9年はかかると、非常に時間もお金もかかりすぎるということはご認識されていますでしょうか。

A:今申し上げたとおり、非稼働の装備品については全般的な調査をしております。結果がまとまり次第、様々な決断をしないといけないと思います。

以上