防衛大臣記者会見

日時
令和2年4月24日(金)11:02~11:30
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
河野防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 冒頭4件ございます。本日、海上自衛隊八戸基地からP-3C哨戒機2機がジブチに向けて出発いたしました。機体の交代はそのまま行いますが、要員の交代について、引き続きジブチと調整をしているところでございます。コロナに関して、引き続き、空港において検疫支援、輸送・宿泊支援を行っておりますが、20日から、成田空港の宿泊施設までの輸送については、民間事業者が実施を始めております。昨日から、関空で同じような輸送支援について民間事業者が参画を始めました。また、本日より、羽田空港での輸送支援を民間事業者が始めましたので、しっかりと、自衛隊から防護の方法その他についてトレーニングをした上で、民間事業者にしっかり引き継いでいきたいと思っております。4月10日に発生した普天間飛行場における泡消火剤の流出事故に関して、本日の朝9時から、防衛省沖縄防衛局が、外務省沖縄事務所、環境省沖縄奄美自然環境事務所、沖縄県及び宜野湾市による立入りの実施を行っております。環境補足協定第4条に基づくものであって、アメリカ側が行う格納庫周辺の土壌入れ替え作業の立ち合いを行うということでございます。最後ですが、4月22日(水)、残念ながら、新たに那覇基地に所属する50代男性の航空自衛官が新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。4月20日(月)に既に感染が確認された方との接触が判明したため、20日にPCR検査を実施したところ、22日、陽性反応が確認され、現在入院中でございます。この隊員も、コロナウイルスに関する災害派遣活動に従事したことはございません。本日までに、自衛隊員13名の感染が確認されておりますが、そのうち5名は、既に退院をしております。1名自宅療養、7名入院中ということでございます。

2 質疑応答

Q:昨日、イージス・アショアの再調査の期限が4月末から5月末まで延期されました。大臣は秋田の視察も検討されていると思いますが、秋田を訪問する日程であるとか、防衛省として、いつ候補地を決定するか、今後のスケジュール、見通しについてお聞かせください。

A:調査を委託している先も、コロナウイルスの関連で在宅勤務に切り替わった結果、会社にありますパソコンのソフトにアクセスする機会が減ったために調査期間、報告までの時間がよりかかるということで、調査期間を延ばした、という報告を受けております。こういうコロナの現状がございますので、そうしたことを考えながら、今後の日程は改めて決めていくことになろうかと思います。現在のところ、特に固まっている日程はございません。

Q:中国が南シナ海で新たに二つの行政区を設置する等、実効支配の動きを強めております。アメリカが、南シナ海でオーストラリアと共同訓練を実施するのを牽制していますけれども、コロナが感染拡大する中で、中国の動きについて大臣の受け止めを改めてお願いします。

A:独自の主張に基づいて、一方的な現状変更を試みるというのは、国際社会が許さないことです。新型コロナウイルス感染症の広がりによって、世界各国が協調していかにこれを封じ込めるかという時期に様々軍事的な拡大を図るというのは、いつにも増して許されないことだろうと思います。日本としては「自由で開かれたインド太平洋ビジョン」の実現に向けて志を同じくする国々とこれからもしっかりと協調してまいりたいと思います。

Q:4月10日の会見の後に、大臣、そこの廊下で囲みの取材に応じられたと思いますが、あれ、結構密集されていましたよね。あれがオッケーだったらこういう距離を置いた記者会見というのは、無意味なんじゃないでしょうか。

A:結構、密だったと思いますので、なるべく囲むときは距離をとって唾を飛ばさないように御努力いただきたいと思います。

Q:2月に末富広報課長とお会いして、例の記者クラブの連絡官に関する質問を早く回答してくれと言ったら、やりますとお話しいただいたんですが、未だにきておりませんが、防衛省は回答する気がないということでしょうか。

A:広報課に聞いてください。

Q:聞いてるんですが返ってこないものですから。そういうことが多いと結局フリーランスの参加の件も1年4ヵ月程止まったままで、いつこれが参加できるかも不明というのは、そもそも大人の事情があって、フリーランスを入れたくないんじゃないかと疑われても仕方がないんじゃないでしょうか。

A:広報課に聞いてください。

Q:金正恩さんについてですが、アメリカのトランプ大統領、CNN等の報道について若干古い資料に基づいた報道ではないかと言い方をして否定していますが、動静動向について現状どのように見ていますでしょうか。この動静がないという状況が日本周辺の安全保障環境にどういった影響を与えているとお考えなのかお聞かせください。

A:北朝鮮の状況について、公表できない資料、あるいは憶測に基づいて発言するのは混乱を増すだけですので、差し控えたいと思います。

Q:イランの情勢ですが、トランプ大統領がイランの艦船を牽制するなど、また中東地域での緊張が高まっていますが、現在、自衛隊を中東派遣されていますが、自衛隊への影響と、今の中東情勢についてどのような御見解をお持ちでしょうか

A:トランプ大統領からの発言、あるいはイラン側からの発言があったわけでございますので、自衛隊の活動に影響が出ることがあるかないかしっかりと状況を見ていきたいと思います。必要とあれば、イランのカウンターパートと電話会談ということも考えられると思いますが、現時点でまだ日程を設定しておりません。注意深く状況を見ていきたいと思います。

Q:病院船の話について伺いますが、以前、大臣、海上自衛隊の方に病院船の議論をするように指示をされたと思いますが、今回の補正予算でも関連した調査費とか計上されるかと思いますが、現在の検討状況をお聞かせください。

A:海上自衛隊に検討するようにということで、これは防衛省、厚労省、国交省、内閣府で様々議論をしなければいけないことだと思います。特に、何か検討が大きく進展しているということではないと思いますので、現時点でまだ報告を受けていませんし、今回のコロナに間に合うものでもございませんので、そんなに焦ることではないと思います。今度の概算要求で予算要求をするのかどうかを含め、これから検討していくだろうと思います。少し検討が進んだ段階で報告を受けたいと思います。

Q:普天間のPFOSの立入りの件ですが、沖縄県は土壌のサンプルの調査を求めていると思いますが、今日それはできるのでしょうか。

A:PFOSの泡を含む水がなだれ込んできたというのでしょうか、流れた土壌ですからPFOSを含んでいるのは間違いないと思います。今、我々としては、エプロンの反対側の芝のところ、そこにPFOSを含んだ水が流れていないか確認をするための土壌のサンプリングということについて調整をしている、そういう報告を受けております。

Q:PFOSの関連ですが、協定では米軍の運用に支障がない限り、とついていますが、今、立入りをする中で、本当は日本がこうしたい、あるいは沖縄県側はこうしたいのに米軍の事情で認められないといった支障はあるのかないのでしょうか。

A:少なくとも水のサンプリングは指定した3ヵ所をやったというふうに思っております。まだ土壌のサンプリングということを調整しておりますので、今の時点で特に何とかということではないと思いますが、タイミング的にはもう少し早くてもいいのかなと、それは向こうの運用の問題もあるでしょうから、一段落したところでしっかりレビューしたいと思います。

Q:今のところは日本側が要望している内容については、できているということでしょうか。

A:水については採ったものを日米で半々にして、また国、県、市でそれを分けてそれぞれやっておりますので、特に今のところはいいのではないかと思います。

Q:普天間の関連ですが、米側としては汚染の可能性があるから格納庫周辺の土壌入れ替え作業を今日するということのようですが、一方で、原因究明をする場合、日本側にとって土壌を入れ替えられてしまえば、日本側としては追及しようがないという懸念はないでしょうか。実際、米側の原因隠しではないかという指摘も上がっているようですが、大臣の受け止めをお願いします。

A:今日入れ替えているところは、PFOSを含む水が流れたところですから、これは汚染されているのは間違いないわけで、今、米側がやろうとしているのはなぜ消火システムが作動してしまったか、なぜ格納庫の扉が閉まっていなくて外へ出てしまったか、そのシステムの問題についての調査をやってもらっておりますので、原因究明についてはそれが出た上で日本側としてしっかり精査したいと思っております。問題になっているのは排水溝の中に水が流れ込んで外へ出てしまった、そこの水のサンプリングはやらせてもらいました。問題は、排水溝に水がなだれ込んだから、反対側の芝にはPFOSを含んだ水がいってないよというところを確認するための土壌のサンプリング、これはやる必要があるだろうと思っておりますので、今、調整をしているところであります。

Q:そうしますと、今回、米側が入れ替えた土壌に関しては、改めて求める予定はないということでしょうか。

A:これは要するに上を水が流れておりますから、下に染み込んでいるのは間違いない訳で、どれくらい染み込むものかという科学的な調査というのはやった方がいいのかどうか、環境省とも相談をしてみないとと思います。検査をするまでもなく、PFOSを含んだ水が流れていますし、どれくらいのPFOSの濃度だったかというのは水のサンプリングをやってわかっていますので、特に絶対必須ということではないのかもしれませんが、どれくらい染み込むのかどうかとですね、そういう環境的な要素があるかどうか、これは環境省と相談だと思います。

Q:辺野古に関してお伺いしますが、辺野古の建設費用が始めの予定より3倍以上かかりそうだと、なおかつ3ヵ所くらい中止にしてしまった工事もあると。そもそもの調査、計画が初めに建設されていい加減だったのではないかというようなお話、批判も出ております。更にアメリカの海兵隊が今度、改編を予定しておりまして、大幅に航空隊を減らすというような構想があると聞いておりますが、そうしますと辺野古が完成したあとに、これが無駄になる可能性もあるわけですよね。大臣こういうことを鑑みて、辺野古の工事の中止とか見直しというようなお考えはありますでしょうか。

A:米側からそのような話はありませんし、米側も一日も早いFRFの進行というふうに言っておりますので、特に考えておりません。

Q:以前、こちらの会見で、防衛装備品の企業に対してコロナ関連で色々な支援措置を検討しているとのお話がありましたが、その後中小企業も含めて実際の申請ですとか、問い合わせみたいなのはどのような状況でしょうか。

A:後で事務方から、状況を報告させます。

Q:普天間の件でお伺いしますが、今日土壌の入替え作業がされていますが、この入れ替えた土壌の保管先は決まっているのでしょうか。

A:承知しておりません。

Q:新型コロナに関して、那覇基地の50代男性の感染が確認されているのですが、この男性と他の基地の自衛隊員との接触等はありますでしょうか。

A:濃厚接触者について申し上げれば、御家族1名、隊員2名が所轄の保健所で特定されております。御家族については、感染が確認されて入院治療中、残りの隊員2名については、自宅待機中、さらに濃厚接触者として特定されておりませんが、同室で勤務していた3名を自宅において隔離の上、待機ということです。今のところ、濃厚接触者3名と念のための3名というのが報告されているということです。

Q:イージス・アショアの件ですが、報告書の期限を延ばしたのは2度目ですが、今後のスケジュールについて、選定のスケジュールについて影響とか、大臣としてお考えでしょうか。

A:先程申し上げたとおり、新型コロナウイルスの影響が当然出てくると思います。そうしたことを踏まえながら、今後の日程を考えたいと思います。

Q:地元の秋田からは大臣に現地を見て欲しい、説明を尽くしてほしいと、お考えについてはお変わりないでしょうか。

A:新型コロナの影響下ですので、そうしたことを踏まえながら、しっかり考えていきたいと思います。

Q:空自の戦闘機についてお伺いします。報道によりますと、次期戦闘機は最大100機程度しか生産しないと。これでわが国が主導して、開発生産するとものすごくコストが高くなるのではないかと。アメリカのF-35にしてもあれだけの数を作っても、1機100億前後のお値段となっているわけですが、1機200億、300億という形になれば、かなり実現は難しいのではないでしょうか。

A:次期戦闘機については、どのように開発するか、検討中です。

Q:いわゆる民間防衛に関してですが、今回のコロナもそうですが、自然災害において、災害派遣で自衛隊が派遣されていますが、これは例えば有事になった場合に、自衛隊のそういう兵站能力は戦闘の方に振り向けられるわけで、民間の生活を支援するための能力はないかと思います。例えば、給食であるとか捜索であるとかに、いわゆる自治体の方でもある程度の自主的なそういうことができるような組織が必要ではないでしょうか。そういうことは諸外国ではやっていることですが、有事に関して、そうしますとどういうふうにお考えでしょうか。

A:内閣府防災と総務省にお尋ねください。

Q:新型コロナに関してですが、埼玉県で自宅療養中の方が亡くなったことを踏まえて、厚生労働省は、自宅療養よりもなるべく宿泊施設へという形に舵を切っております。一方で、宿泊している間も感染者の方のモニタリング等も必要となってくると思いますが、そうした場合に自衛隊の医官・看護官の需要が増えて来るという見方をお持ちでしょうか。その場合、今後、自衛隊としてどのように対応していこうとお考えでしょうか。

A:現在、医療につきましては、検疫支援を除いて厚労省が一義的に対応してもらっております。検体採取の支援というのは様々、宮城、長崎その他で行っております。それかれ、自衛隊の中央病院、医科大の病院等で感染者の受入れ、あるいはアビガンの治験というものをやっているところです。自衛隊の医療の能力にも限界がありますので、やれるところはやってもらっていると考えております。更に、この状況が悪化して医療のニーズがかなり切迫するようなことがあれば、そこはまた、厚労省と御相談することはあろうかと思います。

Q:現状、そこには至っていないということでよろしいでしょうか。

A:特に、厚労省あるいは都道府県知事からそうした御要請は頂いておりませんし、現在のところ厚労省が一義的に対応するということでまわっていると認識しております。

Q:天下り関連でお伺いします。先回だったと思うのですが、6人の専門家を新たに加えるとお話があったと思うのですが、人数が間違いだったら申し訳ありません。人数を増やされたということは、例えば、今国会中に内閣府の監視委員会に何らかの中間報告なり、人数が増えたことでスピードアップして出されるということは可能になってくるのでしょうか。

A:先般、調査主任、新たに任命をした弁護士さん他と話をしました。この国会の会期中に内閣府の再就職等監視委員会できちんと審議ができるように努力をしてほしいと申し上げました。

Q:人数を増やすことによって可能にはなっているということでしょうか。

A:人数を増やして少しヒアリングのスピードを上げるということはできると思いますが、逆に、新型コロナの影響がどれくらい出てくるのというのがまだ分からないところです。一応、調査班もAチーム、Bチームに分けて、1日交代でなくて、場所を物理的に分けてAチーム、Bチーム両方出てきてください、ただ、お互い接触は避けて下さいという形でコロナが蔓延しないように対応をしていただいております。そこの状況は分かりませんが、皆さん努力をしてくださっております。

Q:人数を増やされたことで、問題が大臣の思い描いていたものよりも深いものであった可能性があるのではと思ったのではと思ったのですがいかがでしょうか。

A:深さについては今調査中ですが、少なくともペースを上げるということで人員増が必要だという話もありましたので、そこはしっかり対応していきたいと思います。更に人数が必要ならば更に増員をしたいと思います。

Q:市ヶ谷の中で偉い人のところに皆さん列を作って印鑑をもらいにいくということが、過去多々見てきているのですが、自分はこれは効率が悪いだけでなくて、コロナのこういう問題もありまして、衛生的にも問題ではないかと。こういうことを改革しようというお考えはありますでしょうか。

A:防衛省に最初に来た時に、稟議書にやたらと2ページも判子がありましたので、それを減らせと言って減りましたが、後からの判子みたいなのがあって、私のところに回ってくると間が空いていて、「後から」と書いてある。後からならいらないだろ、というので判子は最大4つまでにしろと言っておりますが、こういうコロナの状況で果たして判子が必要なのか、電子で稟議をやれるような仕組みもありますから、そこは判子も日本の文化ではありますけれども、やはり業務の効率化を考えますと、そこはどうにかしないといけないものだろうと思っております。色んなところに判子を押す代わりに、自分の本に河野太郎蔵書という判子を一生懸命押して日本の文化を守ろうと思っておりますが、少しそういう業務の効率化という所を防衛省も、むしろ防衛省が率先してやらないといけない。サイバー、新領域だと言っている中でやらないといけないものだと思います。コロナの中だからやれという説と、コロナの中でシステムを変えるのは大変だ、というのと両論あると思いますが、そこは何ができるかしっかりと見ていきたいと思います。

以上