防衛大臣記者会見

日時
令和2年4月17日(金)11:06~11:34
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
河野防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 冒頭4点でございます。先週の10日に発生しました、普天間飛行場における泡消火剤の流出事故に関しまして、昨日、防衛省の沖縄防衛局、外務省沖縄事務所及び環境省沖縄奄美自然環境事務所の職員が、普天間飛行場への立入りを行いました。米側に環境補足協定第4条に基づく立入りを求め、関係省庁と協力し、米側と綿密に調整した結果、昨日、調整が整いましたので、速やかに実施しました。事故の発生現場である格納庫とその周辺で、泡消火剤の流出範囲、あるいは飛行場から外へ流出した経路などについて、米側の説明を受けながら、現場の確認を行ったということです。また、米側から、流出した泡消火剤の回収方法、それから、回収したものをどのように保管しているか、そういう状況についても、現場の確認をしたと聞いております。米側が今、調査チームを立ち上げて、消火システムの細部を調査し、事故原因を突き止めようとしている、なぜ泡消火剤が流出したのか、それから格納庫の扉が開いていたということですので、複合的な理由があるのだろうと思いますが、どうしてそういうことになったのか、調査をしているということですので、引き続き、ニーズがあれば立入り調査をやっていきたいと思っております。2つ目、先日、自衛隊法に規定する再就職等規制に違反する疑いがありまして、調査班を私の下に設置し、調査を行っていると申し上げましたが、調査班に6名、調査班の事務局を統括する者として1名、専門家に加わっていただくことといたしました。新たな調査班のメンバーは、元高等検察庁の検事長、弁護士が2名、それに、防衛人事審議会再就職等監視分科会委員であります元人事院事務総長、同じく監視分科会委員であります元検事、それから法務省から防衛省に併任されている検事、これを調査班のメンバーとして追加し、新たに調査班の事務局を統括するものとして、弁護士1名に加わっていただくことにしました。3つ目、昨日、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部会議が開催され、緊急事態措置に関する区域の拡大を盛り込んだ基本的対処方針の見直しが行われましたので、防衛省におきましても、第4回となります対策本部会議を開催し、水際対策の強化及び市中感染防止に関する災害派遣活動を継続するとともに、警戒監視、弾道ミサイル防衛その他、活動レベルを維持しながら、隊員の健康管理、感染防止に最大限注力するよう、各幕、各機関に指示したところです。必要な行動は継続しますが、訓練・演習のあり方、あるいは駐屯地・基地を始めとする様々な部署での業務の仕方については、一定の変更が行われることになろうかと思います。色々な種類の部隊がありますので、なるべく現場に近いところで、必要な判断はしてもらおうと思っております。最後ですが、4月15日に新たに統合幕僚監部に所属する40代男性の防衛技官が新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。4月1日付で航空自衛隊岐阜基地から異動となりまして、3日(金)に市ヶ谷に初登庁いたしましたが、土日は在宅していて、6日から発熱の自覚症状があったため、6日から自宅に引きこもっておりました。13日に再度通院し、肺炎と診断されたため、PCR検査を受検し、15日に陽性反応が確認されました。今、入院治療中であります。おそらく、岐阜基地の方はもう2週間経っておりますし、特に岐阜で感染に関する症状があるとは聞いておりません。これで自衛隊の隊員の感染は10名となりましたが、3名は既に退院をし、1名は自宅療養中、6名が入院治療中です。この10名はいずれも災害派遣にかかわっていたことはございません。

2 質疑応答

Q:昨日、沖縄防衛局が辺野古の工事の受注者からコロナの感染者が出たと公表しました。今日は、一旦工事は中断しているということです。今朝、沖縄県知事が菅官房長官に電話で工事の中止を求めたということですけれども、工事の再開を含めて今後の方針をお聞かせください。

A:1名陽性の方が出たということで、業務に当たっていた場所の消毒については終了したと報告が来ておりますが、状況の整理をするために、今日は工事を中止しております。防衛省としては、様々な工事の受注者の意向を確認してきたところでございますので、受注者が工事を中止するという意向があれば中止をするところでございますが、今のところ、そうした意向が示されていないと報告を受けております。

Q:関連して、設計変更の申請を近く予定していると思いますが、申請への影響はいかがでしょうか。

A:申請は沖縄防衛局が行うのですが、特に影響が出ているという報告は私は受けていません。

Q:14日に北朝鮮が短距離の巡航ミサイルを発射しました。3月に弾道ミサイルを発射した際には、大臣はコロナを受けて体制の引き締めを図っていることは否定できないとおっしゃったと思いますが、今回の北朝鮮の意図をどういうふうに見ていますでしょうか。

A:北朝鮮の意図というのは中々一概に申し上げるのは困難ですが、12日に最高人民会議が行われたと聞いております。北朝鮮の国内におけるコロナの感染については、様々な報道あるいは様々在韓米軍司令官を始め発言もあるところですので、防衛省としては非常にこの問題を注視していきたいと思っております。

Q:韓国の総選挙で与党が圧勝して、文在寅政権が信頼を得たという意味を受けて、今後、対日政策ですとか、あるいはGSOMIAみたいな話ですとか、強めるのではないかという懸念が広がっております。中国の海洋覇権行動などと合わせて、現時点で大臣は韓国の総選挙の結果をどのように受け止めていらっしゃいますか。 

A:与党が勝利をしたということだと思いますが、こういう状況の中で韓国と日本、非常に隣国として重要な関係ですので、関係の改善が図られるようにしっかりとした対応をお願いしたいと思います。

Q:お願いしたいということですが、韓国の方に働きかけていくということでよろしいでしょうか。

A:はい。

Q:冒頭のPFOSの件でお伺いします。環境補足協定に基づく立入りが昨日行われたということですが、防衛省としては、原因ですとか、再発防止ですとか、実態把握につながるものとして、どういったものが得られたと考えていますでしょうか。

A:具体的に流出した原因の場所あるいはそうした経路、回収した泡消火剤の保管という状況を確認することができました。どうしてこれだけ大量の流出が起きたかというところは、まだ米軍も調査中でございますので、引き続き、我々としては、それを確認すると同時に、再発防止策についてもしっかり米軍と調整していきたいと思います。

Q:補足協定の関連の日米合意にサンプル調査等に関する規定もありますが、昨日はサンプル調査まではしていないということでよろしいでしょうか。

A:まだそこまで詳しい報告を受けておりません。

Q:補足協定、環境関連の立入りとしては初めてだと思いますが、今回立入りが叶ったことの意義についてどのようにお考えでしょうか。

A:補足協定でそういうことがしっかりと明記されていますので、今後とも必要とあればやっていきたいと思います。

Q:中国についてお伺いします。アメリカの国防省が世界の軍備管理に関する年次報告書で最近の核実験の可能性を指摘しました。核実験場での最近の動きや国際機関への情報提供に問題があるという指摘ですが、大臣はこの報告についてどのようにお考えでしょうか。

A:そうした報告が出ていることは承知しております。一々コメントはしませんが、我々としても中国の東シナ海を始めとする日本周辺地域への軍事活動が活発化しているということは懸念しておりますし、注視していきたいと思います。

Q:東シナ海ということもありますが、事が核兵器の問題なので、中国の核戦力が日本の安全保障に与える影響の現状認識について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

A:中国だけでなく、核兵器というのは日本だけでなく人類に対する脅威ということでもございます。そういう中で、今、日本はアメリカの拡大抑止に、ある意味核に依存しているという状況でございますので、今後、核軍縮あるいは様々な軍縮交渉、中国も加わってそうした交渉が行われることを期待したいと思います。

Q:昨日の委員会でも大臣触れられていたと思いますが、護衛艦、現在、窓ガラスが防弾ガラスになっておりません。今後、防弾ガラスを広めていくと思いますが、これに関するお考えをお願いします。

A:中東派遣だけでなく、様々な場面で隊員を守るという意味でも防弾ガラスが良いだろうと思っておりますし、色々と検討してもらった結果、常設化が望ましいということになりましたので、常設化に耐え得る防弾ガラスをしっかりと調達をしていかないといけないと思います。予算の制約もございますが、なるべくしっかりと防弾ガラスの常設化を進めていきたいと思っております。

Q:全ての護衛艦に防弾ガラスを常設化するという考えでよろしいですか。

A:様々な護衛艦が様々な任務に当たりますので、そこはやはり常設化した方がいいと思います。ただ、予算の制約がありますから、どういう順番でやるかとか、どういうペースでやるかというのは、これは考えていかなければならないと思います。

Q:全体で、全部の護衛艦に防弾ガラスが着くのは、何年くらいかかるのかということと、予算としては全部でいくらくらいかかりそうでしょうか。

A:それは後で、事務方から予算総額については答えさせます。どれくらいのペースでやるかというのはこれからの判断もあると思います。

Q:来週、靖国神社春の例大祭が始まりますが、河野大臣として期間中に参拝するのか、期間外に参拝するのか、参拝しない場合は、供え物の真榊を奉納されるのか、この点について教えてください。

A:特に予定はありません。

Q:普天間のPFOS流出問題ですが、大臣は2016年、外務大臣時代に、沖縄を訪問されたときのぶら下がりで、普天間においてはPFOSは2016年以降使用されていないと発言されました。先週の閣議後会見では、一方、切替えが少し遅れたのではないかという発言をされました。外務大臣時代は、現状を詳しく把握されていなかったと、そういうことで先週の会見で発言を修正されたのでしょうか。

A:2016年以降、使われていないというのは使われていないと思います。

Q:当時と認識は変わらないということでしょうか。

A:はい。

Q:普天間の立入りの関係で伺います。先程、大臣はアメリカが今調査チームを立ち上げて調査しているとおっしゃいましたが、日本としての原因分析ですとか、再発防止策みたいなものを考えていく上では、アメリカの調査を待たなければならないという御認識でしょうか。

A:それはアメリカのシステムですから、アメリカがまず調査して、再発防止策を考える。我々としてもその後調整をするということになろうかと思います。

Q:アメリカ側からは、調査の期間、見通しなどは伝えられているのでしょうか。

A:速やかに行うと聞いています。

Q:本日、防衛省設置法の改正案が参議院本会議で可決・成立しましたが、この新しくできる宇宙作戦隊、仮称ですが、この部隊の設置の時期あるいはどのようなかたちで新設するか、詳しく教えてください。

A:これから様々実現に向けて訓令の改正その他、行っていきますので詳細決まり次第、お知らせしたいと思います。

Q:普天間の立入りの件ですが、昨日の立入りを始めた時間とか、かかった時間とか、立ち入った場所とか、詳細分かればもう少しお願いします。

A:後ほど、事務方からお知らせしたいと思います。

Q:新型コロナですが、2点伺います。昨日、政府が緊急事態宣言を全国に広げるという対応しましたが、そもそもこのタイミングと規模について大臣としてどのようにお考えなのか。また、これを受けて、今、教育の要請等防衛省に対して出ていますが、防衛省・自衛隊としてどのように対応していこうとお考えなのか。また、この間の経済的な支援、30万、10万かという報道がありますが、これについて大臣はどのように見てらっしゃるのか教えてください。

A:経済的な支援については、西村大臣を中心に検討されていると思いますので、そちらにぜひお聞きいただきたいと思います。自衛隊といたしましては、今、様々防護に関する教育支援の要請に関して調整が行われていますし、現に要請もいただいております。自衛隊として、そういうことにはしっかりと対応していきたいと思っておりますし、今、軽症者の宿泊支援、輸送支援、PCR検査の検体の採取という要請をいただいております。輸送、あるいは宿泊支援につきましては、自衛隊が最初出て行って、しっかりゾーニングその他やりながらなるべく一週間で手渡しができるように、当初、一週間という期限を設けさせていただいておりますので、なるべくそこの間に民間の事業者に長期やっていただけるところへ引き継ぎをスムーズにやっていきたいと思っております。今のところ、東京を始め一週間で引き継ぎを行うことができておりますので、自衛隊としては、しっかりゾーニングあるいは防護の教育をやりながら、感染が出ないようにしていきたいと思います。法務省の要請で大阪の拘置所に防護教育に行きましたが、更に2名、刑務官に感染者が出たということでございますので、ちょっとそこについては心配しております。必要であれば要請があれば、また派遣をするということもあるかと思います。

Q:緊急事態宣言を全国に広めたことについて、遅いという意見や、一方で感染者少ないところでは、出されてもどう対応していいか分からない、という声もありますが、政府の判断について何か思うことはありますでしょうか。

A:感染防止については、厚労省を中心に専門家でやっていただいておりますので、そちらに確認いただければと思います。

Q:自衛隊の中東派遣、海賊対処等、海外活動について、新型コロナウイルスが世界的に拡大する中で、隊員の健康安全と日本の役割、この兼ね合いですが、今後どうバランスを取っていかれるのでしょうか。

A:シナイ半島、南スーダン、ジブチ等に今、隊員をこのアフリカに派遣していますが、アフリカでもコロナの感染が拡大している、普段から医療体制が弱い地域でございますので、相当困難な状況になることは予想できると思っております。万が一のときに備えて、どのように対応するか、今、様々なシナリオを考えながらこういうときにはこういうふうにやろうということを考えておりますが、感染拡大があまりに急速ですと、地域の医療機関もかなり困難に直面するという状況が考えられると思います。そういう場合に、どうするのかということをしっかり考えておかなければならないと思います。いずれにしても、重要なオペレーションですので、日本としてはその組織ときっちりと相談しながら、安全対策を考えながらやっていきたいと思います。

Q:辺野古工事移設に関連してですが、今のところ、受注業者から、中止や変更が示されていないということは、工事は、政府として続けていく方針に変わりないということでしょうか。

A:はい。ただ感染者が実際出ておりますので、少し状況の整理は必要だろうと思いますし、消毒その他やらなければならない作業があります。その場所の消毒は終わっていると聞いておりますが、そういったこともしっかりと整理をする必要があると思います。

Q:昨日、緊急事態宣言が全国に出されましたが、これが工事への影響だったり、変更申請に与える影響はあるのでしょうか。

A:特に工事への影響は聞いておりませんし、変更申請については特に何もきておりません。

Q:立入りの件ですが、地元の自治体はどこか入ったのでしょうか。

A:昨日は防衛省、外務省、環境省の3つの組織から6名と聞いております。

Q:沖縄県とか地元の市町村に声掛けはしていますでしょうか。

A:そこはあり得ると思います。

Q:昨日立入りはしていなかったのでしょうか。

A:昨日は3つの組織6名です。

Q:自治体側は常々入りたいと言っておりますが、そこは声掛けしていないのでしょうか。

A:沖縄県からはおそらく日時の件で昨日は入れなかったと思います。

Q:日時の件というのはどういうことでしょうか。

A:昨日は間に合わなかったと聞いております。

Q:立入りの件でお伺いしますが、沖縄県と宜野湾市も立入りを求めていますが、これについて米側から、この両者も認めるといった説明はありましたでしょうか。

A:特に問題はないと思います。

Q:沖縄県と宜野湾市も立入りできるという理解でよろしいでしょうか。

A:昨日で終わるわけではないので、沖縄県、宜野湾市、防衛省、その他政府が立入りを行えるということで特に何か問題があるとは認識しておりません。

以上