防衛大臣記者会見

日時
令和2年4月14日(火)10:57~11:22
場所
防衛省A棟11階第1省議室
備考
河野防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 先月28日から実施している水際対策に関する災害派遣のほかに、これは空港で行っているものです、その他に緊急事態宣言が出された7日以降、実施区域の中の東京、兵庫、埼玉県、それに加えて高知県、宮城県の各知事からの災害派遣要請を受けまして、防衛省・自衛隊、生活支援、輸送支援、PCR検査のための検体採取支援といった活動の展開をしております。また、これに加えて4月7日以降、東京、岡山、福岡、高知、大阪、兵庫からの要請に基づきまして、都府県の職員あるいは民間事業者の方々に対しまして、タイベックスーツの着脱の要領あるいは手や指の消毒の要領など、感染の防護に関する教育支援も実施してきております。また法務省からの御要請で、大阪拘置所で同じような防護教育を行いました。自衛隊ではこうした防護教育に関するパワーポイントの資料を作成して、昨日付でホームページに掲載をしているところでございますので、必要な方はどうぞ御参照いただきたいと思いますし、今後も必要に応じて、防護の教育に参りたいと思っております。基本的に、生活支援、輸送支援につきましては、自衛隊が当初出て行って、一週間で事業者その他に業務の受け渡しをしたいと考えております。受け渡しが中々できないところは、期間を延長しますが、なるべく民間事業者等にしっかりと受け渡しができるようにしていきたいと思います。東京都は昨日、移管が終了して撤収要請をいただいたところです。4月11日、練馬駐屯地所属の陸上自衛官の感染が確認されました。自衛隊はこれまでに、9名の隊員が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたということになります。感染の拡大防止にしっかり努めていきたいと思います。

2 質疑応答

Q:東京の方からは撤収といいますか、要は終わるところ、片方で宮城ですとか高知ですとか、新しい都道府県から要請がきて、どんどん増えていくことが今後予測されますが、対応人員ですとか、改めての質問になりますが、見通しについてはどのようにお考えでしょうか。

A:おそらく要請は増えるだろうと思っております。自衛隊としては、更なる感染の拡大あるいはこういう状況の中で自然災害が起きたり、あるいは豚コレラといった事態が発生する可能性もございますので、常に余力はしっかりと持っていなければならないと思っております。そういう中で御要請があれば、しっかり出て行って、当初支援業務を立ち上げてスムーズに受け渡しができるようにしていきたいと考えております。ちなみにグランドヒル市ヶ谷関係者、非常に頑張ってくれておりまして、自衛隊は完全に万が一のために2名いるという状況で業務がまわるようになっております。ホテルの従業員始め、関係者の皆様にはお礼を申し上げたいと思います。

Q:これまでですと、自衛隊員のいわゆるコロナ関連の活動内容ですね、主に生活支援、輸送支援、それから先ほど大臣から御説明いただきました防護教育支援、大きく分けてこの3つだと思いますけれども、今後、あくまで可能性ですけれども、感染爆発、パンデミックあるいは医療崩壊が仮に起きてしまった場合、中国の武漢ではないですが、仮設病院を大急ぎで建設するとか、それに絡めてベッドを供給するとか、隔離ベッドとかですね、そういった要請が出てくることも可能性があると思いますが、仮に自治体の方からそのような要請があった場合には、防衛省・自衛隊として、どのように対応していくお考えでしょうか。

A:ここから先どういう状況になるか、中々予測するのは正直困難だと思いますが、例えば仮設でプレハブを、ということになれば、これまでも自然災害後の仮設住宅のように、おそらくそれは事業者が建設をされるということになると思います。自衛隊として何か必要なことがあればあれですが、そこまで今の段階で自衛隊が、ということになるかどうかは正直あまり想定はしていません。自衛隊が野外で病院というのでしょうか、病人を泊めるテントのようなものを持っておりまして、それの数の確認その他はやっておりますが、こういう時期に果たして屋外のテントで患者さんに寝泊まりしてもらうのがいいのかどうか、もちろん、ニューヨークのような状況になったらどうするのだ、ということがあるかもしれませんが、おそらくその前に対応策というのはあると思います。とりあえず、生活支援、輸送支援、PCRの検体採取、防護教育、こういったことで要請がくるというふうに考えておりまして、そこまでのものについては、現場の部隊の判断で、どんどん行けるようにしております。

Q:PFOSに関連です。先週金曜日に普天間飛行場からPFOSを含む泡消火剤が流出した件について、大臣の率直な受け止めと防衛省としての対応について教えて下さい。

A:かなりの量が流出をして地元の消防署その他回収に御尽力をいただいたと聞いております。関係者にお礼を申し上げたいと思います。防衛省・自衛隊としましては、補足協定に基づいて、基地への立入りを求めているところでございますので、今、米軍の方で流出の原因その他調べているところでありますが、防衛省・自衛隊としてもしっかり対応して参りたいと思います。在日米軍は、PFOSからの切替えを進めていましたが、米軍全体として、このPFASから非PFASに移転するんだということで、若干、PFOSから他のPFASに移転しても、ということになったということもあって、少し切り替えが遅れたのかなという気がしておりますが、そういうことを含めて、少し率直に在日米軍と今後の対応について、相談をして行きたいと思っております。

Q:立入りを求めるとは、具体的にはこれまで要請が沖縄県などからでている水質調査などについても視野に入れているという理解でいいでしょうか。

A:とりあえず今回の件について補足協定に関連して立入りを求めているところです。

Q:ジブチのP-3C部隊の関係で伺います。ジブチの国内でも新型コロナの感染者が増えているわけですが、1月に派遣したP-3C部隊の交代の部隊について、現状どうなっているか教えてください。

A:ジブチ国内で200名を超える感染者、それから少なくとも2人お亡くなりになっているという情報がございます。人口比で考えると、かなり高いのかなと思っております。P-3Cの交代につきましては、まだいつ出発させるか、出発日は確定しておりませんが、交代の時期が迫っているということであります。

Q:ジブチ政府から入国を拒否されている状況になっているのでしょうか。

A:特にP-3Cの交代について、問題があるとは承知しておりません。

Q:PFOSの関連で、泡消火剤流出の関連ですが、今、防衛省として、どれくらいの量が流出したのか説明を受けているのかという点と、今、切替えを進めているとのことですが、具体的にいつ頃までに切替えをするか、米軍側から説明を受けていますでしょうか。

A:流出量については、米軍と推定をしているところでございますので、およその数字が分かりましたら、しっかり申し上げたいと思います。在日米軍、PFOSから切り替えるとのことでしたが、米軍全体としてPFOSではなくPFASそのものから替えるというような話も出ておりましたので、PFOSから他のPFASに替えるとまた替えないといけないということもありますので、そこは在日米軍とどういうふうにするか、我々としては切替えの促進をしたいと思いますので、費用の件その他含めてしっかり相談をしていきたいと思います。PFASから切り替えると中々ものがないというのが現実で、今いくつか日本企業にもこのPFASに代わる消火剤の開発をお願いしているところでございますが、まだ少し時間がかかるのかもしれませんので、そこを待っているといつまでもPFOSが残るということになりかねませんので、できればまずPFOSから他のものに切り替えることができるのか、そこはしっかりと詰めていきたいと思います。

Q:今回、流出事故に関して、地元の宜野湾市長も、基地の外に流れた泡について、米軍が効果的な対応をしなかったということで、抗議の意を表明しているのですが、今回の米軍の対応について、大臣としてはどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。

A:地元の消防署始め、多くの方が回収を行っていただきまして、感謝申し上げたいと思います。米軍として再流出を防止する、あるいは基地内で回収をすることに追われていたということでございますが、これだけの量が外に出ておりますので、そこは米軍にしっかりと対応してほしかったと思っております。防衛省としては、公園、遊具、砂場にもかかったということですので、それについては、防衛省の方で速やかに対応して、費用を後で米軍に払ってもらうなり何なりとは考えたいと思いますが、やらなければいけない対応は速やかに防衛省として対応していきたいと思います。

Q:ジブチのP-3Cの件ですが、現在、ジブチ政府が国際空港で全ての旅客便の到着を停止していると思いますが、この状態が続くと現在の派遣部隊の派遣延長ということも視野に入ってくるのでしょうか。

A:P-3C、近々と言ってもまだ日程が決まるほどではありませんが、出しますよということは、向こうとは了解が取れております。ジブチでコロナの感染が広がっているという状況がありますので、「はるさめ」、「たかなみ」は今乗組員を上陸させておりませんので、感染の可能性はそれなりに低いと思っておりますが、ジブチの基地の場合には、ジブチでこれだけ感染が広がると、少しどうなるのかというところもあるかと思いますので、そこは日本政府として、情勢を見ながら様々な判断をしなければならないと思っておりますが、現時点では、このままP-3Cを入れ替えて海賊対処行動を続けていく方針であります。ただ、現地並びに周辺国の状況は、日々確認をしております。

Q:場合によっては撤退もあり得るということでしょうか。

A:プランAからプランZまでありますが、プランZは撤収ということは常々申し上げているところですが、まだ、そういう検討を始めているわけではありません。

Q:日本に基地を置く米軍での新型コロナウイルスの感染が広がっておりますが、現在の感染状況、特に在日米海軍佐世保基地と空母「ロナルド・レーガン」内の感染状況について、細かい人数はいいのですが、増えているのかどうかという点をお尋ねします。あともう一点、感染した場合の連絡体制についてですが、米軍と地元の保健所で情報を共有していると思うのですが、防衛省と米軍との連絡の頻度というか、感染が発覚した際にその都度、米軍から防衛省に連絡が来ているのかどうかという点をお尋ねします。

A:在日米軍は、現在Cレベルの態勢をとり、かなり基地の司令官の権限も強める態勢をとって、コロナウイルスの感染防止に努めているところでございます。感染者が出た場合には、保健所経由で情報を共有しておりますし、外務省、防衛省、それなりの情報共有をしているところです。在日米軍として個別の感染者は発表しないということで総数だけ出しておりますが、在日米軍の基地、その他がSNSやその他で出している場合には、防衛省・自衛隊としてもそれは公表するということにしていきたいと思っています。

Q:アジア太平洋地域で活動する米軍の空母の感染が拡大している中で、中国軍による挑発的な動きが続いているような報道もありますが、改めて、大臣は在日米軍や米空母内で感染が拡大していることが、日本の安全保障にどのような影響を与えているとお考えなのかお願いします。

A:在日米軍の中で感染が出ているのは事実ですし、アメリカの空母の中で感染者が出ている船が増えているというのも事実ですが、現時点で米軍全体の即応性に問題が出ているというレベルではない、と認識をしておりますし、在日米軍も感染防護のために様々な訓練、会議を取り止めていることはありますが、何かあったときに抑止力に問題があるかと言えば、そういうレベルではないと思っております。中国の空母が沖宮を通って進出しているという情報があります。中国がこのコロナウイルスが感染拡大している2019年度の第4四半期においても、日本の自衛隊、対領空侵犯措置152回とかなりの数やりました。そういうことを考えると、何を考えているのかというのが率直な私の思いです。

Q:日本として、中国の西太平洋、あるいは東シナ海、南シナ海での活動を活発化ということに変わりがない中で、日本として、この地域での警戒監視態勢を強化するというお考えはありますでしょうか。

A:警戒監視態勢は、コロナの状況の中でも自衛隊は緩めておりません。そこは引き続き、しっかりとやりたいと思います。

Q:冒頭で御発言がありましたパワーポイントの件ですが、あえて厚労省とかそういう立場ではなくて、防衛省・自衛隊としてそういうものを出して一般に広く周知しようと考えられた理由はどこにあるのかというのと、これを受けてこれまでも知見の積み重ねが「ダイヤモンド・プリンセス号」以降にあると思うのですが、これまでのどういった知見が活かされているとお考えでしょうか。

A:「ダイヤモンド・プリンセス号」それからチャーター便その他の帰国者の停留に合わせて、延べ4,900人規模で自衛隊が活動して、一人の感染者が出なかったというのは、この自衛隊の防護態勢に対する国民の信頼を増すことにつながったと考えております。そういう意味で、都道府県から、防護態勢に関する教育指導の要請をたくさんいただいているところで、自衛隊としては、なるべくそうした要望にしっかり応えていきたいと思っております。そのときのテキストをしっかり公表することで、多くの方に、どのレベルで感染防止をやる必要があるのか、ということを実際業務に当たらない方でも認識していただくというのは、この日常生活での感染防止にも役に立つと思っておりますので、興味のある方はぜひのぞいていただきたいと思いますし、プリント・アウトもできるようになっているはずですので、社内ですとか色々なところで共有していただければと思っております。

Q:PFOSの件ですが、大臣は先ほど米軍の切替えが遅れているのかもしれないとおっしゃっておりましたが、大臣としてはもう済んでいると認識されていたのでしょうか。

A:PFOSからの切替えを進めるという話でしたが、米軍全体として、PFASから切り替えようという話が出ましたので、PFOSから他のPFASのものに切り替えても、もう一回切り替えをしなければいけないということになりますので、そこは在日米軍として躊躇があるのではないかと思います。いつ、PFOSから切り替えるかというのが、今のところは不透明になっていると思いますので、そこは我々としても在日米軍としっかり相談していきたいと思います。

Q:もう済む予定だとか、済んだとかという話を聞いていたわけではないと。

A:そういうわけではありません。我々としてはPFOSからの切替えで、必要な支援があればやっていきたいという話をしておりましたが、PFASから切り替えようという話が米国でかなり出ていますので、その二度切替えの手間を掛けるかどうかということで、在日米軍がやや躊躇するというのを分からないわけではありませんので、その辺は相談していきたいと思います。

Q:立ち入りの件を要望、要請しているということですが、それに対する今のところの返答、反応はありますでしょうか。

A:まだ聞いていません。

Q:技術検討会や環境監視等委員会で必要な議題については検討いただいたというふうに聞いていて、そろそろ辺野古の方の申請とかがあると思いますが、時期的には大事な時期だと思いますが、米軍がこういう事になってしまったことによる申請時期への影響とか、県民感情への配慮とかそういったことは何かお考えのことはありますでしょうか。

A:沖縄防衛局で申請の準備をしていると思いますので、準備が整えば申請することになるだろうと思います。

以上