防衛大臣記者会見

日時
令和2年3月27日(金)15:53~16:20
場所
防衛記者会会見室
備考
河野防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、4月以降、4月末まで、防衛省・自衛隊が主催する行事の開催につきましては、部外の方の参加を前提とした行事等については、原則中止又は延期いたします。防衛省・自衛隊主体の行事であって、通常、来賓等部外の方をお招きしている行事については、開催の必要性を十分検討した上で、必要ならば、部外の方はお呼びしない形で開催するよう指示しました。また、部内者のみの行事についても、参加者の多いものについては、開催の必要性を十分検討し、必要なもののみに限って開催するということにします。5月以降については、その時々の状況に応じて決めていきたいと思います。3月末までに中止した行事は252件、延期したものは15件、縮小して行ったものは44件でございます。防衛大学校並びに医科大学校の入校式につきましては、期日は決めておりませんが延期します。高等工科学校については、部外の方をお呼びしない形で縮小して入校式を執り行います。二つ目ですが、キャンプ瑞慶覧の施設技術部地区の一部、約11ヘクタールについて、今月31日に返還されることにつきまして、昨日、日米間で合意しました。この区域の返還は、沖縄統合計画において「2019年度又はその後」に返還可能とされているものでありましたが、沖縄の負担軽減のため、今年度末の返還に向けて取り組んできたものでございます。これで、沖縄統合計画において「速やかに返還」とされている区域全ての返還が実現することになるかと思います。三つ目ですが、3月24日の会見で、「海自ヘリコプターの訓練生について、全員が辞めてしまって民間に行った、また、空自も初等訓練の学生のうちに女性の隊員が非常に多く辞めてしまった」とお尋ねがありましたが、空自については、女性は一人も辞めておりません。また、海自においても「全員が辞めてしまって民間に行ってしまった」ということはありません。他方、民間における航空機パイロットの需要の増加を踏まえまして、自衛隊を中途退職する原則40歳以上のパイロットを計画的に航空会社等に再就職させる、いわゆる「割愛」を実施しております。また、50代半ばで定年退職するパイロットの航空会社における一層の活用を促進するため、国交省と調整の上、国交省において、2020年度から、自衛隊での飛行経験が豊富なパイロットを対象に、民間航空機の操縦に必要な国家資格の取得の負担を軽減するということでございます。また、3月24日の会見で、「陸上自衛隊朝霞駐屯地の地域手当について、ほとんどが埼玉県にあるにもかかわらず、東京都に適用される地域手当を支給している」というお尋ねがございました。これは、中核となる官署の所在地によって地域手当を決めるというルールがあり、朝霞の場合には、東京都練馬区に総監部の建物があることから、東京の手当を支給しております。逆のケースとして、陸自の海田市駐屯地は広島市と海田町にまたがっておりますが、司令部が海田町にありますので、海田町の地域手当が、海上自衛隊厚木基地に関しては、大和市と綾瀬市にまたがっておりますが、司令部が綾瀬市にありますので、綾瀬市の地域手当が適用されております。若干、色々とでこぼこはありますが、統一的に行われておりますので、問題ないと判断しております。明日28日、陸上自衛隊大宮駐屯地を視察し、所属部隊の状況を確認したいと思います。日々の厳しい任務に従事している隊員を激励すると同時に、勤務環境・生活環境をしっかり見てきたいと思います。明後日29日、航空自衛隊浜松基地において行われる警戒航空団の新編行事に出席し、隊員を激励して参りたいと思います。新型コロナウイルスの対策会議の開催があり得るので、その場合には山本副大臣を代理出席させることとしたいと思います。

2 質疑応答

Q:国産レーダーの輸出についてお尋ねします。一部報道で三菱電機製の警戒管制レーダーと対空レーダーをフィリピンに輸出する方向とありますが、現時点での調整状況を教えてください。

A:色んな報道が現地で出ているということは聞いておりますが、フィリピン政府の方で今選定中ということでございますので、それ以上申し上げるのは差し控えたいと思います。

Q:レーダーを今回フィリピンに輸出すると言われましたが、2014年の防衛装備移転関三原則策定以降、初の完成品の輸出となりますが、改めて、防衛装備品の海外移転を進めていく意義を教えてください。

A:レーダーが移転されるかどうかは置いときまして、能力構築支援あるいは共同訓練といった形で様々防衛協力・防衛交流を進めている中で、こうした装備品の技術移転というのは非常に重要な柱の一つだと思います。また、日本の国内の防衛装備品産業の育成という観点からも非常に有効なのではないかと考えております。

Q:予算の成立に伴いまして、来週1日に装備庁に次期戦闘機開発を担当する装備開発官が新設されるとのことで、現時点で求められる要求性能の優先事項でありますとか、国際協力の取組のあり方について、大臣の考えをお聞かせください。

A:今度の次期戦闘機は、わが国の戦闘機の間の、あるいは地上とのネットワーク機能を重視し、また、ステルス性能についても高いものを要求したいと思っております。また、F-35と比べてもミサイル搭載数を多くする、そうした要求がございます。今、共同開発としてイギリス、アメリカを検討しております。イギリスは同じ時期に戦闘機の開発の計画もあるとのことですので、そこは様々協力できる分野について検討しているところでございます。アメリカとはインターオペラビリティの観点からも重要になって参りますので、色々とそうしたことを模索して行きたいと考えています。来年度予算が決まるまでには、もう少しパートナーをしっかりとした形で絞り込んでいきたいと思います。

Q:今、来年度予算が決まるまでと言われましたが。

A:次の予算です。

Q:再来年度予算ですね。今後の開発全体のスケジュール感についてお伺いしたいのですが。

A:今のところ、今年の年末までにパートナーをしっかりと決めていきたいと考えております。それによって、色々とスケジュールも決まっていくだろうと思います。

Q:昨日、防衛省内で新型コロナウイルス対策本部が立ち上がりまして、その中で、新たな任務に備えて、自治体との連携を進めていくという趣旨の発言があったと思いますが、今後どのような任務を担うことになるのか、何か想定されているものはありますか。また、災害派遣の検討状況なども教えてください。

A:国の対策本部が立ち上がりましたので、都道府県が対策本部を作ることになります。自衛隊は今、47全ての都道府県とコンタクトと取っているところでございます。今朝の時点でまだ、対策本部が立ち上がっていなかった県もありますので、東京、北海道については、連絡員の派遣も始めました。それ以外については、今朝の時点では、連絡は始めております。連絡は全ての都道府県と始めております。今度の場合には、対策本部が都道府県に立ち上がっておりますので、おそらく、何らかの要請を受けて派遣をする、災害派遣をするということになるのではないかと思っております。離島などで患者等が発生した場合に、急患を輸送するということがその前に起きる可能性があると思っております。もう一つ、明日、成田空港と羽田空港に海外からの少し多い便が帰ってまいります。その検疫支援あるいはPCR検査をやった方々が、おそらく、結果が出るのに、それだけの人数ですと、1日、2日かかりますので、どこかに停留をしなければならない、おそらく、そこまでの輸送支援ということはやることになろうかと思います。それは、厚労省、国交省と相談をして実施していきたいと考えております。東京を始め、感染が拡大しておりますが、自治体、都道府県に関しましては、おそらく、都道府県の対策本部から知事を経て、派遣要請がくるものと考えております。

Q:羽田及び成田で海外から降りて来るということで、輸送支援の要請は具体的にきていて、実際に明日、そうしたことをやることになっているのでしょうか。

A:まだ、何人くらいということも決まっていないようですので、情報を取るように指示をしているところでございます。そうした支援に備えて、タイベックスーツの着方、脱ぎ方をきちんと指導する、あるいは輸送する車両の仕切りをきちんとするという準備を始めるように、ということは指示しておりますが、まだ、実際に災害派遣の命令については、今後検討いたします。

Q:昨日、陸上自衛隊の新しい部隊の編成が行われ、宮古島へのミサイル部隊と木更津へのオスプレイ輸送部隊が新設されましたが、南西諸島防衛における意義と今回の配置の狙いについて教えてください。

A:俗に中SAMと言われているものの部隊とSSMの部隊を新編いたしまして、おそらく、総勢で700人規模になろうかと思います。また、オスプレイの木更津の部隊につきましては、おそらく、6月以降にオスプレイが入ってくると思いますが、水陸機動団の南西諸島展開をしっかりやってもらうということになると思います。南西諸島の防衛について、なるべく早い段階で空白を埋めてしっかりと備えができるようにしていきたいと思います。

Q:冒頭、御発言があった、キャンプ瑞慶覧の一部返還ですが、返還セレモニーの予定はあるのかということと、大臣あるいは菅長官の出席の御予定等がありましたらお願いいたします。

A:式典は検討中だそうでございます。こういう状況ですから、どうなるか分かりません。防衛省からの出席についても、まだ何も決まっておりません。

Q:菅長官も含めて、関係閣僚の出席は。

A:沖縄担当大臣がどうされるかは把握をしておりません。

Q:防衛大臣は検討中でしょうか。

A:行事の日程その他はまだ聞いておりませんので、今後になると思います。

Q:瑞慶覧に関連してですが、改めて、速やかに返還するものの、返還が全て決まったことで、沖縄の負担軽減にどれほどのインパクト、今回のものが持っているかということと、これによって、辺野古の移設について、何らかの対地元に影響があるとお考えなのか、その2点をお聞かせください。

A:速やかに返還というものについて、こうして一つずつしっかりと決まっていったということは非常に良かったと思っておりますが、やはり普天間飛行場の問題は非常に大きくあると思います。日米同盟の抑止力を維持しながら、この危険性の除去をやるために、しっかりと辺野古移転を進めてまいりたいと思います。

Q:日曜日の29日で、安全保障関連法の施行から4年を迎えるのですが、改めて、自衛隊の活動の幅が広がったことであったり、日米の連携が深まった例について、大臣はどのようにお考えかお聞かせください。

A:米軍への物品役務の提供ですとか、あるいはアメリカの武器防護といったことができるようになりました。つなぎ目なく、日米が協力し合うという同盟関係を強くすることはできたのではないかと思っておりますし、また、MFOの司令部の要員派遣等、自衛隊としても国際協力の中で幅が広がっていったと考えております。

Q:宇宙やサイバー等の新領域での脅威が増していますけれども、こういう法律を後ろ盾にしながら、日米でどういった連携をとることが今後必要になってくるとお考えでしょうか。

A:平和安全法制と新領域というのは、直接リンクはしていないと思いますが、いずれにしても、新領域、サイバーにしろ宇宙にしろ、やはり技術的なものが非常に重要になってまいります。そういう意味で、日米はしっかりと協力をしていかなければいけないと思っておりますし、今までのような基地の提供ですとか、あるいは財政的な負担というだけではなく、様々な面で日米が協力し合うということが重要になってくるのではないかと思います。

Q:瑞慶覧の件について、日米間で合意したというのは、合同委員会で合意したという理解でよろしいでしょうか。

A:合同委員会合意です。

Q:辺野古の問題に関連して、沖縄県知事が設置した専門家会議が昨日提言書をまとめていて、その中で辺野古移設の方法によらず、沖縄県の基地を県外に分散移転して、段階的に整理・縮小させるべきだということを掲げているのですが、検討に値する部分があるかどうか、考えをお聞かせください。

A:沖縄県の取組一つ一つに、これまでもコメントはしてまいりませんでした。この問題はもう日米で色々と検討して詰めて、1日も早い危険性の除去ということでやっておりますので、しっかりと御地元に説明をしながら進めさせていただきたいと思っております。

Q:冒頭の発言について1点確認させてください。29日の浜松の新編行事への出席と、コロナの対策会議が政府であったらということでしたが、山本副大臣はどちらに代理出席されるのでしょうか。

A:新編行事に出席します。

Q:先日の質問に対する御回答ありがとうございました。本日、陸自の新型ドーザーに関してお伺いしたいのですが、日立のものが採用されたと陸幕の方から聞いたのですが、詳しい調達に関する計画が全く今言えないと。元々国産と輸入品は分けてプロジェクトでやっていたら、輸入はもう止めてしまって国産だけになったと。しかも、日立の案はまだペーパープランで具体的なものが何もないと。それで何で予算が取れてしまうのでしょうか。非常に不明瞭かと思うのですが、大臣いかがでしょうか。

A:問題提起ありがとうございます。しっかり調べてお答えいたします。

Q:自衛隊では、教本を自分の自腹で買わせていることが多いですが、任務に必要なものをそもそも自腹で買わせるというのはおかしいと思います。しかもその後に終わったらそれをシュレッダーで破棄しろと。これは、個人資産の破棄を強要しているわけですから、憲法に抵触すると思うのですが、これはどうお考えになりますか。

A:検討します。事実関係を調べてお答えします。

Q:安保法制の関連ですが、日米の連携が深まったというお話でしたが、時にはあちら側から片務的だと言われている日米同盟の関係のあり方については、どういうふうな影響、変化をもたらしたとお考えでしょうか。

A:特に最近、片務的だと言われた記憶がないのですが、最近ありますか。

Q:トランプ大統領がよく。

A:トランプ大統領は色んなことをおっしゃいますので。

Q:日本が攻撃されたらアメリカは守るのにという。

A:その辺は安倍総理からきちんと説明をされていると思います。

Q:新型インフルエンザ特措法、これ以上感染が拡大した場合、緊急事態宣言を発令することができますが、発令した場合に自衛隊はどのような役割、通常と変わらないのか、その辺をお願いします。

A:おそらく自衛隊の病院については、患者の受入れというものがあるだろうと思います。これについては、現時点でもやっておりますから、何か宣言が出たからといって変わるものではないと思います。それ以外の自衛隊の、おそらく災害派遣という形になるのではないかと思いますが、それはおそらく都道府県ごとに状況が違いますので、知事からの要請に基づいて行うということ、それから空港については、今のところ、成田を想定しておりますが、検疫と輸送の支援というのは、ヨーロッパを始め色んな便が駆け込みで増えているようですので、そこは必要に応じて、厚労省、国交省の要請に応じて対応していきたいと思います。

Q:この間、マスクを拠出しましたが、例えば、消毒液等、部隊の感染症対策の準備についてはいかがでしょうか。

A:今日は27日で、本来ならマスクを返還していただくことになっていたのですが、4月に入ってからの返還にならざるを得ないようですので、そこについてはお願いしているところです。自衛隊として、何かあったときにきちんと対応できるような準備というのはしておきたいと思っております。万が一、大人数で出るということになりますと、今50万枚程度のマスクですから、そんなに長くもたないということもありますので、そこはきちんと災害派遣の前に返却をいただいて、それで対応して参りたいと思います。防護基準をきちんと設定して、それを守って感染者を出さないということが何よりも大事だと思いますので、装備に応じてやれることは当然変わってくると思います。装備がないのにやるというのは、考えておりません。

Q:マスクの返還ですが、遅れる理由についてどのようにお聞きになっているのでしょうか。

A:思ったほどの調達のスピードが出ていないと思っておりますが、詳細は聞いておりません。

Q:災害派遣はいつくるか分からないと思いますが、その中で、50万枚あるとしても、影響は多分にあると思いますが、その辺り大臣はどのようにお考えでしょうか。

A:150万枚のうち、3分の1は確保していますので、全くできないということではないと思います。ただ、非常に大がかりな派遣要請があったときに考えなければならないということと、150万枚の次の調達ができるかどうかということにもかかってくると思いますので、その辺は、当然注意して実施していきたいと思います。

Q:マスクの関連で、4月に入ってから返却ということで、具体的に何日頃に返却されると先方から、厚労省だと思いますが、連絡はあったのでしょうか。

A:一応連絡はいただいております。

Q:4月の何日ですか。

A:また、返還されたら、しっかり申し上げたいと思います。

Q:そんなに遅い段階ではない。

A:ではないです。

Q:防衛省で、毎年海外の見本市にパビリオンを出しているかと思いますが、今年既にファンボローの航空ショーであるとか、同じくRIATやユーロサトリも既に中止になっています。防衛省が参加するイベント自体が中止になったもの、あとは防衛省が出展しているパビリオンで中止になったものはあるのでしょうか。

A:あります。例えば、マレーシアは中止になったと思います。いくつかそういうものが中止になっていると思います。おそらくこの状況ですから、これはかなり先まで中止となろうかと思います。

以上