防衛大臣記者会見

日時
令和2年3月24日(火)09:44~10:05
場所
防衛記者会会見室
備考
河野防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 3月21日に発射された北朝鮮のミサイルですが、現時点までに得られた情報を総合的に勘案しますと、21日午前6時45分から6時50分頃、北朝鮮西岸の宣川(ソンチョン)付近から、昨年8月10日及び16日に発射されたものと同じ系統の固体燃料推進方式の短距離弾道ミサイルを東方向に2発発射し、6時50分頃から55分頃、北朝鮮東北部の沿岸付近に落下したと推定いたします。北朝鮮が保有しているスカッドの軌道よりも低い高度、約100km未満を約400km程度飛翔したものと推定をしております。2つ目、3月19日に自衛隊中央病院のホームページにクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」から搬送された新型コロナウイルス感染症の104症例のまとめを掲載いたしました。中央病院において受け入れた新型コロナウイルス感染症患者の診断治療あるいは院内感染予防対策等から得た経験・知見をまとめたものでございます。概要を申し上げますと、入院時のCT検査で異常が認められたのは、全体の67%に上り、無症候陽性者あるいは軽症者でも、約半数に異常が認められております。CT検査で異常が認められた無症候陽性者や軽症者では、3分の1において、症状がその後悪化いたしました。院内感染につきましては、かなり徹底した感染予防策を実施したということが掲載されております。コロナウイルスに関係する医療関係者にはお目通しをいただきたいと思っております。

2 質疑応答

Q:冒頭の北朝鮮のミサイルに関してですけれども、昨年8月10日と16日に発射されたものと同じであり、約7カ月ぶりの発射ですが、既に実戦配備されている段階であるという見方もありますが、いかがでしょうか。

A:何をもって実戦配備ということもあろうかと思いますが、様々な試験を繰り返していると思います。現時点でこれ以上申し上げることはございません。

Q:今回の弾道ミサイルは、変則的な軌道を描いたという報道もありますが、いかがでしょうか。

A:軌道について、まだ分析を続けているところです。

Q:防衛大学校の卒業式について2つお伺いをしたいのですが、首相の決断により小・中・高学校が全てお休みになっている中、なぜ防衛大学校は、規模を縮小したといっても、卒業式を行ったのか。もう一つは、任官拒否の方々は35名と聞いているのですが、この方は卒業式へ出席できたのでしょうか。

A:防衛大学校は全寮制でございますから、日頃から集団生活をしているメンバーですので、卒業式を開催しても特に問題はないという判断でございます。部外者の来賓については、今回はお呼びをせず、御家族の皆様にもインターネットでライブ配信をいたしました。そういったことから、卒業式を開催しても感染のリスクは増えることはないという判断です。任官拒否は参加しておりません。

Q:任官拒否については、第2次安倍政権から任官拒否を卒業式に参加させないというのは、いじめではないでしょうか。任官拒否をするということは、防衛大学校に入ってから、考え方が違うとか、自分が向いていないとか適性のこともあると思いますし、そういった人達をのけ者にする。卒業した人間を、やっぱりみんな一様にやるべきではないでしょうか。そういうふうには思われませんでしょうか。

A:特に思いません。

Q:大臣のツイッターで、集団感染ですとか、そういうのを英語でクラスターですとか、ロックダウンとか、こういうことについて疑問を呈しておりますが、このツイッターの意図と、今後、政府内で何か言葉の置き換え等、働きかけていくお考えはありますでしょうか。

A:日本語で言えることをわざわざカタカナで言う必要があるのかなというのは前々から言っていたことで、行革担当大臣のときに、政府内でむやみにカタカナを使うべきではないという問題提起をして、いくつか文書の修正をしてもらったことがございます。ロックダウンとかオーバーシュートとか、分かりにくいとの声も出ておりますので、そこは事務的に厚労省、あるいはその他関係部署に分かりやすい言葉にした方が良いのではないかと申し上げようと思います。

Q:それは対策本部か何かで提案するお考えを。

A:それは事務的にやるべきと思います。

Q:新型コロナに関連して、卒業式は縮小して行われたと思いますが、入校式や入省式を4月予定されていると思いますが、どのような形で行われるのでしょうか。

A:防衛省の入省式につきましては、例年のように市ヶ谷に全員集めてということはやらずに、それぞれの部署、あるいは地域毎に入省式をやってもらうことになろうかと思います。中には1名とか、数名というところもあると思いますが、それはそれでやむを得ないと思います。防大及び防衛医科大学校につきましては、入校式を延期いたします。これはどこかでコロナウイルスの蔓延が落ち着けば、御家族に出席をしていただいて、入校式をやると、若干、スタートではありませんから間が抜けているという方もいらっしゃるかもしれませんが、どこかで御家族に参加をしていただいて、そういう式典をやるということも考えられるのではないかと思っております。高等工科につきましては、御家族は抜きで最初にセレモニーをできないだろうかという検討は、今、してもらっていると思いますので、そこは衛生官と高等工科でよく詰めていただきたいと思っております。その場合は、御家族、部外者はお招きしないものをとりあえずやって、その後、また御家族を招いたものをやるかどうかは検討となろうかと思います。

Q:延期というのは、5月とか6月というどれぐらいの幅を。

A:コロナの感染に影響が出ないようにということで、あまり長く延期になれば、それは中止になる可能性もあろうかと思います。現時点では、4月の最初にやらないということだけ決めております。

Q:入隊式というのがこれまでどういう形で各駐屯地で行われているかわからないのですが、そういった入隊式というのはどのように。

A:それは、おそらくそれぞれの部隊毎の最小単位ということになろうかと思います。

Q:言葉の言い換えに関してですが、ロックダウンとオーバーシュートは言い換えてもらいたいと。他にこういう言葉を言い換えてもらいたいというのがあるのかどうか。

A:それはいろんなものが。今のところ、それとクラスターですかね。よく言われているのは、結構、御年配の方を始め、よく分からないという声を聞きますので、もう少し分かりやすく日本語で言えば良いのではないかなと思います。

Q:日本語で言えば、どういう言葉がそれぞれ相応しいとお考えですか。

A:それは専門家に考えていただいた方が、専門家が考えた方がまた分かりにくくなるかもしれませんが、分かりやすく説明をするというのは大事だと思います。司々で検討してもらいたいと思います。

Q:関連して、先ほど中央病院の受入れのをホームページにアップするということをおっしゃいましたが、軽症者でも半数に異常が認められているとおっしゃっておりましたが、異常とはどういった異常でしょうか。

A:あとで必要ならば衛生官なりから御説明をさせますが、私が理解をしているのは、肺のCTを撮って、肺に影があるという場合には、無症状あるいは軽症であっても、この後症状が悪化するケースが多い、CTでそういう異常がない場合には、感染していて陽性であっても、悪化しない、症状が出ないで済むということが分かった、ということだろうと思っております。正確には、衛生官に御確認をいただきたいと思います。

Q:イージス・アショアの配備を巡って、来月中旬にも大臣が秋田を訪問するというような一部報道があったのですが、事実関係、調整状況をお願いします。

A:いくつか日程を考えておりますが、新型コロナウイルス対策その他がございますので、まだ調整は済んでいないと思っております。

Q:訪問された場合には、新屋演習場の現場を御覧になって、知事や秋田市長ともお会いになりたいということでしょうか。

A:まだ日程的に、どれ位の時間かなどをしていないものですから、どの辺に調整が進んでいるのか、私自身まだ把握しておりません。何日か、日程はこのところで、という話はしていたと思いますが、具体的にまだそこまで詰まっていない状況です。

Q:先ほどの任官拒否の問題なのですが、任官拒否というのは非常にネガティブな印象を受けるのですが、これを変えるという御意志はございますでしょうか。任官拒否をした人達の中には、防大の中でのいじめ体質を嫌がったという人達はいらっしゃるんじゃないですか。実際問題、殴る蹴るは当たり前で体毛に火を点けるとか、風俗に無理やり行かせるとか、教官が主導して詐欺で200人の学生もやるとか、こんな連中と働きたくないと思うのは、やはり人情というところがあるのではないでしょうか。任官拒否を世の中で言うと非難する人が多いのですが、防大の方にもそういう色んな問題的な体質があるのではないですか。その改善等をやろうという何か努力はなさっていますでしょうか。

A:当然にパワハラやいじめ、あるいは傷害というのは、厳罰をもって臨まなくてはいけないと思っております。

Q:オリンピック実施本部について、今日夜、バッハ会長と安倍総理らが電話会談をすると思うのですが、これについて、延期が現在言われている、総理も検討されているということなのですが、実施本部について何か今の状況で変わることはあるのでしょうか。

A:特にございません。防衛省がこのオリンピックの開催について、何か決定に関与するということはありません。何か決定が下された場合は、それに従って自衛隊として必要な対処を行っていきたいと思います。

Q:自衛隊の体育学校のアスリートもいると思いますけれども、その方々のケアというのは、大臣どのようにお考えでしょうか。

A:今回オリンピックに内定をした選手、惜しくも内定をもらえなかった選手、色々あると思います。仮に延期された場合に選考をやり直すのか、このままなのか、まだ何も決まっておりませんので、今の時点で確定的なことを申し上げられませんが、様々決定がなされたときには、自衛隊体育学校の方でしっかりと所属するアスリート、自衛隊員、自衛官、ケアしていきたいと思います。

Q:イージス・アショアについてお伺いします。4月末まで再調査の期限が延長されましたけれども、その期限の前に現地を視察されるとお考えなのでしょうか。

A:いくつか日程は出しておりますので調整をしております。少しそこは前後関係どうなるのか今把握しておりません。

Q:もし視察をされた場合ですが、新屋にしても他の場所にしても、どういった点を確認したいとお考えでしょうか。

A:しっかり見てきたいと思っております。

Q:北朝鮮ミサイルについて、今月撃った他の短距離とは違う系統ということですけれども、こうした状況を踏まえて、防衛省・自衛隊はどのように対応していきたいとお考えでしょうか。

A:総合ミサイル防空能力をしっかりと高めていくということは大事だと思いますので、今の計画をきちんと見直して、前倒しすべきところ、あるいは更に力を入れなければいけないところ、見極めていきたいと思います。

Q:前倒しや力を、というのはアショアのことでしょうか。それとも、どういったことに。

A:イージス・アショアについても、北朝鮮が持っている様々なミサイル、相当な数を持っておりますので、今のように、イージス艦を24時間365日配置するというのは、中々長期間にわたると無理が生じます。そういう意味でイージス・アショアというのは非常に導入意義があると思っております。それにとどまらず、今後様々なことを考えていかなければいけないと思います。

Q:自衛隊中央病院についてですが、今回、これを公表しようと思われた意図と、公表することの意義についてどうお考えでしょうか。

A:これだけの症例をCTを使って研究したというのは、おそらく世界的にも珍しいだろうと思います。国際的な医学史にもこの投稿をして、査読なり何なりのプロセスの最中だと思いますが、色々なところからできれば早めに公開してほしいという話があったみたいですので、そういうことで多くの人に御覧いただけるようにホームページに載せたと理解しております。

Q:自衛隊の病院の方で、今回たまたま空きがいっぱいあったから対応できたという話があって、これを機に、ある程度、自衛隊病院の病床の空きを常に確保しておくという方向に話が進んでいると聞いたのですが、これは事実でしょうか。

A:病床だけの問題ではなく、医師、看護師の数の問題というのもあります。更には呼吸器系の感染症には、例えば人工呼吸器ですとか様々な器具の数というのもありますので、ただ病床を開けておけばいいという簡単な話ではないと思います。そういう意味で、一度、新型コロナウイルスが落ち着いたところで、どういうことをやっていかなければならないのか、レビューも含め検討していきたいと思います。現在、走ってますから、走りながらあまり先のことを考えるより、おそらくこれから感染症が増える可能性もありますから、今の時点では感染症が増えた場合に、その地域の自衛隊病院で何ができるか、あるいはその準備のために今何をしておかなければいけないのかということを検討してもらっているところでございますので、体制その他については、一段落した上で、しっかりレビューをした上で、今後の対応を検討していきたいと思います。

Q:病院船を入れるという話が議員の先生方から申し入れがあったと思いますが、大臣は肯定的に考えますか。それとも否定的なお考えでしょうか。

A:肯定的も否定的も特にありません。ニュートラルに今、海上自衛隊あるいは国交省、厚労省その他検討してもらっているところでございますので、検討の結果をまず見たいと思います。

Q:海外若しくは自衛隊の中からもあるかと思いますが、狭い病院船の中でケアをするとそれはまた、病気が蔓延するという声が大きいのですが、結局、病院船は災害とかに関しては、例えば、けがをしたりとかはケアできると思いますが、感染症の場合、蔓延してしまうと。実際、香田海将が現役の頃、護衛艦でインフルエンザが発生しまして、そのときは全員にうつしてから、それを治療してから寄港したということがありましたが、こういう観点から見ると、ちょっと大規模災害に関しては役に立つと思いますが、コロナのようなケースでは病院船は無意味だと思いますがいかがでしょうか。

A:狭いところというのは、病院も同じだと思いますので、とりあえず検討の報告を待ちたいと思います。

Q:入省式ですが、例年通りのものは中止するということですが、大臣から何か訓示等を職員に伝えるということはお考えでしょうか。

A:ビデオメッセージのかたちでやろうと思います。

Q:4月末までの再調査が終わる前に行きたいのか、それとも終わってから行きたいのか。

A:そこの前後関係は国会日程、コロナ対策の日程その他ありますので、まだ何も決まっておりません。

Q:昨日の国会で、南シナ海の警戒監視について、現時点で計画はないけれども検討に値するとおっしゃっていましたが、何か検討を指示されているとか、アイデアとかタイミングとか考えていることはあるのでしょうか。

A:南シナ海の警戒監視を今の時点で具体的に何かやるという計画はありませんが、南シナ海の状況把握をどのようにしたらいいかということは考えていく必要はあるのかなと思います。今の時点では、南シナ海の沿岸国、ASEANの各国への寄港ですとか、能力構築支援、あるいは共同訓練、こういったものに、まず力を入れていきたいと思います。

Q:海上のヘリコプターの訓練生に関してのお話ですけれども、全員が辞めてしまって民間に行ったという話を聞いております。また、空自も同様に初等訓練の学生の内に女性の隊員が非常に多く辞めてしまったと聞いております。それは事実でしょうか。もし事実であるなら、これに対してすぐ民間はパイロット不足なので、民間に行ってしまう人が多いという、致し方ない部分があると思いますけれども、何か対策というものを防衛省の方では講じるつもりはあるのでしょうか

A:事実関係を確認します。

Q:朝霞の駐屯地についてお伺いしたいのですけれども、朝霞の駐屯地は御存知のように、ほとんどが埼玉にあって、入口だけ東京都になっているわけです。これで1級手当を皆さん頂いているわけですよね。埼玉にいて東京で本来支払うべきところを払っているという、これはどうなのでしょう。

A:大変良い問題提起だと思っております。確認します。

以上

下線部は実際には不適切な発言であったため、下線部の表現とした。