防衛大臣記者会見

日時
令和2年3月10日(火)09:26~09:54
場所
防衛記者会会見室
備考
河野防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 弾道ミサイルの件、諸情報を総合的に勘案すると、3月9日7時34分から35分頃、北朝鮮東部の宣徳(ソンドク)付近から北東方向に少なくとも2発の短距離弾道ミサイルが発射され、従来から北朝鮮が保有しているスカッドミサイルの軌道よりも低い高度、つまり100kmよりも低い高度、最大約200km飛翔したと推定しております。日本のEEZの外に落下した。これは3月2日に発射されたものと同じ系統の固体燃料推進方式の短距離弾道ミサイルであると考えております。こうした安保理決議に違反する弾道ミサイルの発射は、わが国として看過できるものではなく、わが国並びに国際社会の平和と安全を脅かすものでございます。日本として、瀬取りの対応は今、嘉手納基地を中心に各国と行っておりますが、これをきちんとやっていく、あるいは新型コロナウイルスが北朝鮮の中でどのように蔓延しているのか、そうしたことの分析をやっていきたいと思います。コロナに関連して、自衛隊は2月6日から3月1日までの間、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」において、延べ2,700名の隊員により、医療支援あるいは生活支援、消毒、輸送支援等を行いました。また、税務大学校等の一時宿泊施設においては、チャーター便で帰国された方、「ダイヤモンド・プリンセス号」から下船された方、こうした方々に対し、隊員延べ2,200名で物資の配布、問診票の回収等の生活支援、医官、看護官等による回診や診療等の健康管理支援を行ってまいりました。この一時宿泊施設では、全ての宿泊者の経過観察が終了しましたので、一昨日、8日付で活動を終了したところでございます。また、自衛隊病院等でPCR検査陽性者の受入れを行っており、これまでに累計122名の陽性者を受け入れ、112名が退院され、2名が他の病院に転院されております。現在8名が入院中ということでございます。この間、隊員の感染は一人もございません。こうした災害派遣に従事した隊員の中で、陽性の患者は一人もおりません。各地の部隊で熱が出たとか、色々な症状があってPCR検査を受けた者が数名いるようでございますが、それらの者も今のところ、いずれも陰性ということでございました。海上自衛隊の1等海佐が女性向け無店舗型風俗店を実質的に経営していた件につきまして、今朝、免職の懲戒処分をいたしました。海上幕僚監部を中心に森田1等海佐に聴き取りを行う等していたところ、妻名義でインターネット上での性的な情報商材の販売を約10年間にわたり行っていた。妻名義で風俗営業法上の許可を得て、派遣型風俗店の実質的経営を行い、不適切な性風俗業に約10年間従事した、という兼業に関する違反に加え、営業活動を通じて懇意になった女性に対し、艦艇の出入港情報を漏えいする等の不適切な取扱いがあったという秘密保全に関する違反が確認されました。また、この件につきましては、司法警察当局による警務隊の捜査が引き続き行われており、防衛省としては、確認された事実関係について、情報提供する等、積極的に協力をしてまいりたいと思います。こうしたことが他にないように、綱紀粛正を徹底するための事務次官通達を本日発出し、隊員への教育の徹底、あるいは心情把握をしっかりやる、そうしたことを通じた再発防止をやってまいりたいと思います。

2 質疑応答

Q:北朝鮮のミサイルについて、低い弾道の発射が続いている感じがしますが、これまでと脅威の度合いが異なっているのかどうかについて、お聞かせください。

A:北朝鮮はこうしたミサイルの発射を繰り返して、新たな技術の獲得を企図していると考えております。そういう意味で、わが国及び国際社会に対する脅威であることの認識は変わりません。むしろ強まっていると考えます。

Q:風俗店を経営していた海上自衛隊の1等海佐について、部下を教育する立場の幹部自衛官がこうした行為をしていたということについて、大臣としてどのように受け止められているのでしょうか。

A:こうしたことが10年にわたり行われていたということは、極めて問題でありますし、隊員、国民の皆様に申し訳なく思っております。こうしたことがないように、しっかりと綱紀粛正をやらねばいかんということで、今日、次官通達を発出し、また、上官においては隊員の心情をしっかり把握し、問題が起きる前にきちんとこうしたことを防ぐ体制をとれるようにしてまいりたいと思います。

Q:山本防衛副大臣が、公費で防衛省近くのホテルに宿泊していた件で、大臣に対してどのような説明が副大臣からあったのかということと、返納することについて、大臣は納得をされましたでしょうか。

A:公金の支出という観点から、瑕疵はなかったと思っておりますが、国会議員、衆議院議員として議員宿舎に入れるにもかかわらず、また、空きがあったにもかかわらず、入らないでホテルを使うということは、私としては、私の下の副大臣、政務官には認めがたいということで、宿舎に入るように指示を出したところでございます。それまでに関する支出については、瑕疵があったとは思っていない、ということは副大臣に申し上げましたが、返金するかについては、副大臣の御判断ということになろうかと思いますので、そこまで私がとやかく申し上げることはないと思います。私の指示以降に、もしこういうことがありましたら、それは私の方から返金せよと命じたと思いますが、今回は、副大臣の判断ということでございます。

Q:明日で東日本大震災から9年になります。自衛隊はこれまで地震や台風等の他に、新型コロナ関連等、様々な災害派遣を行ってきましたが、災害派遣を行うことで、自衛隊の本来の訓練等に影響を及ぼしている等の声も聞かれます。災害派遣を行う上での課題と、現状の検討状況をお聞かせください。

A:東日本大震災、これは自衛隊だけでなく、警察、消防、あるいは地元の消防団、水防団や米軍等、本当に大勢の方が、極めて長期間にわたり大変困難な中で人命救助、あるいはその後の被災者への支援を続けてくれた。非常に敬意と感謝の気持ちでいっぱいでございます。あのような大規模な災害に当たっては、やはり我々防衛省・自衛隊も国民と一体となって対応を全力でやることは非常に大事なことでございますし、今後もそうしたことをしっかりやっていかなければいけないと思っております。また、気候変動の中で、これからも風水害というのは非常に多くなることは当然予想されますので、自衛隊として、そうした災害が予測されるときには、事前に準備をしっかりした上で、関係各所に連絡員を速やかに派遣して、何かあったときに初動がきちんととれるように、しかも、その最大限、初動で出せるように、その準備はきちんとやらなければいけないと思っております。事が起きたときに自立的に動けるのが自衛隊でございますから、何か起きたときに真っ先に要請を受けて災害派遣に出ていく、というその準備はこれからも怠らず、また、必要と思われることについては、しっかり備えをしていきたいと思っております。他方、今ご質問にもありましたように、昨年の台風等に関する災害派遣で、必要な演習・訓練のかなり多くが中止・延期となりました。自衛隊としては最大限で初動に当たる、という準備をする一方、どこで自治体あるいはその他関係団体に業務を渡すかという、そこはきちんと出口を明確にしていくことが、今後必要になってくると思います。現在、環境省と、例えば災害廃棄物の除去等について、自衛隊がどこまでやって、どのように次のフェーズに受け渡していくかのマニュアルを作る作業を進めているところでございます。また、入浴支援ですとか、そうした生活支援等についても、どのように次にフェーズ展開をしていくか、ということについて、総務省、あるいは内閣府防災等と、きちんと詰めていく必要がある、という認識は共有できているところでございますので、そういったマニュアル化、出口の明確化ということは、なるべく速やかにやってまいりたいと思っております。

Q:北朝鮮の弾道ミサイルについてですが、今年に入って2週連続でミサイルを撃っているということで、大臣は、こういった活動が活発になっていると見ているのでしょうか。お考えをお願いします。

A:中々、北朝鮮の意図を申し上げる立場にはございませんが、北朝鮮の中でコロナウイルスの患者が発生しているという様々な報道等もございます。そういう中で、内部の引き締めを図っているのか、色々なことが考えられると思いますので、北朝鮮内の情報収集を強化し分析をするように指示したところでございます。

Q:前回の会見では複数発、少なくても2発ということで、3発4発撃っている可能性というのは。

A:少なくとも2発の弾道ミサイルが発射され、その他に多連装ロケット等も併せて発射された可能性があるとみて、分析を急いでいるところでございます。

Q:この系統の短距離弾道ミサイル、例えば発射間隔を縮めて、ここのところ続いておりますけれども、実戦配備されている可能性というのは大臣どのようにお考えでしょうか。

A:発射間隔を短くしているということについては、北朝鮮が意図をしてやっているのだろうと見ております。実戦配備その他についてどう見ているか、ということに関してはお答えを差し控えたいと思います。手の内を明かすことになってしまいますので。

Q:北朝鮮内の情報収集の指示ということですが、中の情報をどうやって取っていくのでしょうか。

A:情報収集の手の内を明かすわけにはいきませんので、お許しいただきたいと思います。

Q:1等海佐の件ですが、10年間にわたってとのことですが、なぜ10年間という長い期間で、なぜ周辺の人、上司、部下が気付かなかったのか、この点についてはいかがでしょうか。

A:すみません。今の時点で私は把握しておりません。まだ警務隊の方で捜査が続いていますので、そうした一連のことが終わった上で、公表できることについては公表することにしたいと思います。

Q:周りが気付いていて黙認していた可能性はないのでしょうか。

A:そういうことは今報告としては上がっていませんし、聞いておりませんが、そうしたことを含め、警務隊の捜査を見たいと思います。

Q:本人は、処分の内容について異論は唱えてらっしゃらないのでしょうか。認めてらっしゃるのでしょうか。

A:最終的な審理はなく処分が行われたと聞いておりますので、そういうことなのだろうと思います。

Q:本人は何か言っていますでしょうか。謝罪の言葉とか。

A:すみません。そこまで承知しておりません。

Q:昨日、自民党の衛藤議員がお越しになりまして、病院船を建造するという申入れがあったと思いますが、どのようなやりとりを議員とされたのか、大臣はどのように御回答されたのかお願いします。

A:冒頭、議連の方からのお立場は衛藤先生からお話がありましたので、聞いていただいているかと思います。海上自衛隊を中心に、病院船については検討するように指示をしております。予算・人員等、クリアにしなければいけないところがございますので、そうしたことがクリアされるかどうかということと、病院船といっても色んな種類があると思いますので、どのような大きさとか、どのような種類とか、そうしたことも検討する必要があると思いますので、そこは順次検討した上で、政府内でどうするかという判断をすることになろうかと思います。

Q:新型コロナの関連で、先週大臣が表明された、マスク100万枚の使い道、どういう形で配るのか等、内閣官房との調整状況を教えてください。

A:病院等の医療関係や介護施設関係を重点に、という話は聞いているところです。詳細についてはまだ。

Q:いつ頃までにとかは。

A:近日中にと考えています。

Q:今週中にというお考えでしょうか。

A:おそらくそうではないかと思いますが、医療関係、介護関係の情報は厚労省経由でもらうということになろうかと思います。我々が直接やるわけではありません。

Q:昨日夜、専門家会議が自粛を19日までと要請していますが、これに関して防衛省として入省式とか防大の入学式、こういったものに関して、縮小なり延期をするというお考えはありますでしょうか。

A:どのようにするかは、検討したいと思っております。

Q:19日まで待ってということでしょうか。

A:どうするかは、そうしたことを含め、検討してもらおうと思っています。

Q:新型コロナの関係で、中東派遣の部隊への影響は今のところあるのでしょうか。

A:今のところございません。寄港地も無事に寄港受入れをしてもらって、補給も済ませました。現時点では影響はございません。

Q:今後、新しい部隊がまた4月以降出るかと思いますが、健康管理面での注意事項はありますでしょうか。

A:しっかり、うがい・手洗い等をやるということと、ジブチなどはマラリアもありますので、私も行ったときはマラリアの薬を飲んで行きましたが、そういう特有の健康管理というのは、しっかりやってまいりますし、例えば、ジブチですと、フランス軍の病院等とも連携が取れるように打ち合わせはしているところでございます。

Q:災害派遣について、マニュアル化を進めるということですが、今回のコロナ対応で、税務大学校での生活支援であるとか、過去を振り返っては、台風被害の際はブルーシート張りをするということで、自衛隊の非代替性というものが果たしてどうなのか、ハードルが下がっているのではないかと見られる事例が多いですが、これについて大臣はどうお考えでしょうか。

A:やはり、3つの原則は大事にしていかなくてはいけないと思っております。今回はクルーズ船の中に感染者がいるというのは初めてのケースでもありましたので、そこは自衛隊としても受けるべきだろうと思ってやりました。対特殊武器衛生隊のような訓練を積んでいる部隊からも出しました。ただ、いくつか業務の中で、それは自衛隊ではないというふうに事前の打診があったときにお断りをしている業務も今回ございます。そういう意味で、やはり3つの原則に基づいて、自衛隊がやるべきかどうか、ということはきちんと判断しながら今回もやったつもりでおります。

Q:例えば、今回の生活支援、配膳とかもされたと思いますが、そうしたことに関しては適切だったと思いますか。

A:今回については、とにかく経験値がありませんし、あれだけの方を、とにかく隔離して対応しなければいけない、ということで、自衛隊がやる必要性はあったのだろうと思います。今後どうするかということについては、また、様々議論があって然るべきと思っております。

Q:例えばですけれども、どういったものを断られたのかということが1点と、クルーズ船は初めてであったと思いますが、税務大学校での業務等、そういったところについても、やはり必要だったとお考えでしょうか。

A:税務大学校についても、あれだけの人数の方を隔離する、あるいはそこに輸送をする、そういう中で自分達が感染しないという意味では、自衛隊は非常に能力が高かったのではないかと思っております。今回は、どういう状況になるかも見えない中で、どれだけの方が実際、大丈夫だろうと思って、それでも念のために隔離をしたわけですが、本当にどうなるか分からない中でしたので、自衛隊がやるという意義はあったと思っております。

Q:断った業務とはどのようなものなのでしょうか。

A:それは対外的に申し上げてよいのか、検討させてください。

Q:大分の日出生台の件について、合同委員会で議題にすることで先方も了承したと聞いているのですが、いつ頃どのような話をする予定でしょうか。

A:合同委員会で、米軍とこの件についてはきちんと取り上げて、将来どうするかということを含め、議論をする必要があると思っております。個別の会議の内容については申し上げるのは差し控えたいと思います。

Q:基本的には地元と防衛省の確認書の内容を実行してもらうように伝えるということでしょうか。

A:内容についても申し上げるのは差し控えたいと思います。

Q:今、合同委員会と地元で、午後9時までだとか、午後8時までと、2つの時間があるのですけれども、この状態についてどうお考えでしょうか。

A:こうした演習、訓練をやるために、米軍の即応性を維持という意味では非常に重要なことでございますが、そのためには、やはり地元がしっかりと御理解をしていただくというのが大前提でございますので、その米軍の即応性の維持と地元の御理解、しっかりと対応できるようにやってまいりたいと思います。

Q:2つの時間がある、防衛省が2つの時間を約束してしまっていると取れるのですが、この状態で良いのか、健全の状態ではないと思うのですが、そのことについてどのようにお考えになられるでしょうか。

A:中身の内容について申し上げるのは差し控えたいと思います。

Q:内容ではなくて、現状です。2つあるという現状です。

A:これから合同委員会で議論しますので、中身について申し上げるのは差し控えます。

Q:この状態がおかしいとは思わないと。

A:これから合同委員会で議論しますので、中身について申し上げるのは差し控えます。

Q:2つあることを改善するために話し合うということでしょうか。

A:内容について申し上げるのは差し控えます。

Q:馬毛島へのFCLP移転計画について、先月の市の抗議文に加えて、先週4日に市議会が買収合意の撤回と交渉の中止を求める議定書を出しているのですが、このことについて受け止めはいかがでしょうか。

A:地元にきちんと御理解をいただけるように、説明をしていきたいと思います。

Q:地元では、説明以降、不信感が募っている状況だと思うのですが、これまでの説明が十分であったかというのは、どうお考えでしょうか。

A:しっかり御理解をいただけるように、説明をしていきたいと思います。

Q:これまでの説明は、十分であったかというのは。

A:十分であったかどうかというのは、説明する側、説明される側、両方がどう考えるかということでございますので、私から申し上げるのは差し控えます。

Q:する側としては十分だったという。

A:それは、する側とされる側、合わせての説明でございますので、私から申し上げるのは差し控えます。

Q:市議会が求めている買収合意の撤回というのは、ハードルが高いと思うのですが、お考えというか、あるものなのでしょうか。

A:きちんと防衛省の立場を御説明していきたいと思います。

Q:現実的には難しいと思うのですけれども、どういうお考えなのかどうか。

A:防衛省の立場を丁寧に説明してまいります。

Q:防衛省の立場というのはどういうお立場でしょうか。

A:これまで御説明してきたとおりです。

Q:進めたいということでしょうか。

A:これまで説明したとおりです。

Q:設計についてやこれまでの説明について、何か見直し等があったり、地元に対してするお考えがありますでしょうか。地元に対して、何か新たに説明をするだとか。

A:地元の御理解をいただけるように、丁寧に説明をしてまいります。

Q:何か具体的に何かというのは。

Q:イージス・アショアについて、一部報道で、秋田、青森、山形での再調査について、4月末までずれ込むというような報道がありますけれども、そちらの事実関係と、そういった方針が決まったというような事実があるのでしょうか。

A:今の時点でそういう決定はされておりません。

Q:現在の再調査の進捗状況について教えていただけないでしょうか。

A:存じません。もう業務はやっていただいていると思います。

以上