防衛大臣記者会見

日時
令和2年2月21日(金)09:35~10:03
場所
防衛記者会会見室
備考
河野防衛大臣閣議後会見

1 発表事項

 新型コロナウイルスに関する災害派遣について、現時点で280名が医療支援、生活支援等の活動を行っております。190名の隊員が船内における医療支援を行ったほか、昨夜から本日未明にかけて、イスラエル及びカナダの乗客の出国に対する下船及び輸送の支援を行ったところです。また、帰国された邦人の宿泊支援については、看護師の資格を持つ予備自衛官2名を含む約90人の隊員が、感染拡大防止のため宿泊施設において生活支援、健康管理支援を行っているところです。引き続き、感染症拡大防止に万全を期していきたいと思います。2つ目は、普天間飛行場代替施設建設事業に関して、B-27地点の土質調査データについて、色々御質問をいただいておりますので、国会等で説明をしてまいりましたが、技術的・専門的な話で分かりづらい部分もあるかと思いますので、今日、事務方からそもそものB-27の概要と国会に提出した資料の中身について、しっかり御説明をする機会を設けたいと思います。3点目、明日22日、航空自衛隊松島基地を視察したいと思っております。第一線で日本の防空を担うF-2パイロットの育成、航空救難活動等を実地で確認したいと思っております。また、来月20日に東京オリンピックの聖火到着式が松島基地で予定されております。ブルーインパルスによる展示飛行などの協力をする予定ですが、航空自衛隊第4航空団飛行群第11飛行隊がブルーインパルスによるカラースモークを用いたオリンピックシンボルの展示飛行を予定しております。また、勤務状況や生活環境等について、隊員と意見交換をしっかりしてまいりたいと思います。

2 質疑応答

Q:19日のツイッターで、「防護区画そのものに疑念が呈されたため」ということを言われて、「ダイヤモンド・プリンセス号」について自衛隊の感染防止策を含めて防護基準を引き上げたと言われていますが、どういう理由によって、どういう判断で行われたのか教えてください。

A:これまで、自衛隊は「ダイヤモンド・プリンセス号」の船内では、厚労省が定めた防護区画のルールに従って厚労省の防護基準を更に上回る態勢で勤務をしておりましたが、防護区画そのものに疑念を呈された、疑念が正しいかの判断は専門家にお任せをしたいと思いますが、防護区画そのものに対する疑念が呈された以上、隊員の安全面に配慮するために安全サイドで防護態勢を引き上げろという指示を出しました。それまでマスク、手袋のみであった区画においてもヘアキャップあるいはガウンといったものを追加しました。「ダイヤモンド・プリンセス号」の支援はいよいよゴールが見えてまいりましたので、自衛隊として1名の感染者も出さないように、しっかり隊員の安全を確保しながら支援を続けたいと思います。

Q:岩田健太郎教授がビデオで疑念を呈された、そこも一因になっているということでしょうか。

A:それもあります。内容についての判断はできませんが、疑念が呈された以上、安全サイドに立つべきだと思いました。

Q:関連ですが、動画で批判が出ていたり、国の職員も感染している状況ですが、大臣としてどのように受け止めていますでしょうか。

A:防護については、厚労省がやられているわけでございますが、私としては、支援に出している自衛隊の隊員が一人も感染することなく、安全に戻ってくるというのが重要でありますから、自衛隊として厚労省の防護基準を更に上回る安全サイドに立った、支援態勢でしっかり続けていきたいと思います。

Q:防護態勢についてもう少し具体的にどういうことをやっているのか、安全な区域ではこういうことをやって、危険な区域でこういうことをやっているというような。

A:自衛隊として、それぞれ区画あるいは業務毎に危険度を判断して、必要な装備というものを定めております。それはおそらく全ての業務、区画において、厚労省の定めているものを上回っているはずでございます。詳細必要なら、後ほど事務方から御説明をさせたいと思います。

Q:防護態勢について、かなり気を遣っていらっしゃると思いますが、特殊武器防護隊の活動等、そういうものはありますでしょうか。

A:詳細について、後ほど説明させたいと思います。

Q:関連ですが、政府全体の話になると思いますが、今回のダイヤモンド・クルーズに対する対応について、海外から批判の声が上がっていたり、厚労省の情報発信について疑問が呈されていますが、政府全体としてその情報発信の面ではどうお考えでしょうか。

A:「ダイヤモンド・プリンセス号」での対応については、これは厚労省がリーダーシップをとってやっていますので、自衛隊としては、要請された支援をしっかりとやっていきたいと思いますし、自衛隊の活動についての情報発信というのは、しっかりとやってきたと思っております。情報発信については、様々御意見あると思いますが、我々からも厚労省にこういうところを改善した方が良いのではないかという話はして、かなり担当者は頑張ってくれていると思っております。厚労省の情報発信も大変だと思いますが、なるべく分かりやすく出そうということで、頑張ってくれているとと思います。

Q:防護基準を引き上げたということで、厚労省に対して、厚労省の基準自体を引き上げた方が良いのではないかという提案はされたのでしょうか。したのであれば、その反応についてはいかがでしょうか。

A:自衛隊は自衛隊として、厚労省の防護基準を上回るルールでやっておりますので、自衛隊としてそれを引き上げたということで、厚労省はプロですから、それは厚労省がしっかりやっていると思います。

Q:特段、厚労省に対して、引き上げが必要だとか、そういうやり取りはしていない。

A:自衛隊としてしっかりやれということは、私から申し上げました。

Q:政府全体の話ではありますが、今回、感染研の報告でも、2月5日の検疫が始まる前に感染が広がったのではないかと。要するに最悪の想定が甘かったのではないかという見方ができると思いますが、結果として、最悪のケースを想定して対処することに関して後手でですね、2400人検査したら5人に1人が感染している結果となっていますが、危機管理のトップとして、また自衛隊員の安全を預かる者として、政府の想定が甘かったという見方が出ていますが、この点についていかがでしょうか。

A:感染症の件は、厚労省へお尋ねください。

Q:自衛隊としては安全サイドに立って、厚労省の基準を上回る防護態勢ということですが、厚労省の基準というのが甘いという認識なのか、不十分だというお考えはありますか。

A:自衛隊として、とにかく隊員一人でも感染させないようにということで、念には念を入れろということでございます。

Q:自衛官が海外で犯罪を犯した場合の規定についてお伺いします。大臣は先の衆議院予算委員会で、山尾志桜里衆議院議員とのやりとりの中で、国外犯について一部過失犯であるとか、処罰の規定がないことについて、法改正も含めて検討の準備をするという答弁をされましたが、具体的にどのような検討をされるのか、どういった問題意識で検討されるのか、お聞かせください。

A:今の刑法、過失罪についての国外犯の処罰規定はございません。一般の日本国民が海外で過失罪を犯したときには、相手の国で裁かれますし、公務外の自衛隊の隊員が、海外で同様のことがあった場合には、先方が裁くということになりますが、公務中のものについてはこちら側で裁く、しかし処罰規定がないということで、刑事罰がなく、懲戒処分だけということになっております。これから、防衛協力・防衛交流を進めていこうという中で、自衛隊の隊員が海外での演習、訓練あるいは国際緊急援助隊のような外国での活動が増えている中で、現状としてそのままでいいのか、という問題提起がございますので、それについて検討する準備を始めるということでございます。

Q:検討する準備を始めるということですが、具体的にいつ、どのような形でされるのでしょうか。

A:検討する準備を始めろという指示はしておりますが、どれくらいのことになるのか、当然法務省とも色々な議論をしなければならないと思いますので、そこはまだゴールはいつということを申し上げられる段階ではありません。

Q:厚生労働省の有識者委員会が、PFOSとPFOAの水質基準値について議論して、暫定目標値がまとまりました。この受け止めと、米軍側の泡消火剤の更新情報についてお願いします。

A:1リットルあたり50ナノグラム、暫定値ですが、そういう議論になっているので、我々も厚労省の議論を注視していきたいと思っています。北谷の水道で、30ナノグラム、暫定値を下回っていると思いますが、しっかりそういった数値は見ていきたいと思います。在日米軍も米軍のポリシーに従って色々やると思いますし、PFOSを入れ替えるという作業を進めるということですので、どれくらい進展しているか具体的には分かりませんが、そういう方向でやるということですので、しっかりフォローしていきたいと思います。

Q:大臣のツイッターについてお伺いします。少し古い話題になりますが、沖縄タイムスの阿部岳記者が、大臣のツイッターアカウントでブロックされているようですが、これまで阿部記者は、大臣の辺野古の米軍基地建設に関する姿勢などについて、ツイートしていまして、そういった阿部氏のツイートがブロックした理由になるのか、これまでの阿部記者のツイートが理由なのか、ブロックされた理由というのは。

A:誰をブロックしているのか、いちいちそこまで見ておりません。誹謗中傷についてはブロックしています。

Q:大臣は、新型コロナウイルスについても情報を発信されていますが、大臣がツイッターをブロックしてしまうと、先ほどの例に限らず、こうした情報にアクセスできない方が出てきてしまうと。国民の生命と財産を守るという閣僚の責務の観点から、ツイッターのブロックについてどのようにお考えでしょうか。

A:全く問題ないと思います。厚労省がコロナウイルスに関しては情報を出していますし、私が情報を出すより先に厚労省が情報を出していますから、何の問題もないと思いますし、少なくとも個人が暇つぶしでやっているものについて、とやかく言われることはないと思います。

Q:重複になりますが、大臣の考えに合わない人はブロックするよと、意に沿わない人は情報をアクセス制限してしまうと、大臣の情報へのアクセスを遮断する形になってしまう気がしますが、そこはどのようにお考えでしょうか。

A:別に浦和レッズファンでも阪神タイガースファンでも私のツイートを見て、浦和レッズのファンから色んなこと言われておりますが、全然気にしておりません。非常に誹謗中傷されるような方とやり取りを暇つぶしでやるのは時間の無駄だと思いますので、そういう礼儀のない人をブロックするのは何の問題もないと思います。

Q:関連して、沖縄タイムスの記者のツイートが何か誹謗中傷があったからということでしょうか。

A:そうだと思います。別に誰のアカウントだなんていちいち見ていませんから、どれが何とかさんなのか全然知りません。

Q:誹謗中傷というのは、どういうことをイメージされているのでしょうか。異論ということですか、それとも。

A:いえ、ベルマーレが何だと言われても、それはレッズだってそうでしょう、というだけですから。楽しくやり取りができれば、別に異論でも何でも良いと思います。

Q:タイムスの記者が実名を使っていたのか分かりませんけれども、誹謗中傷をしたから大臣としてはブロックしているということでしょうか。

A:はい。暇つぶしで不愉快な思いをする必要はないと思っています。

Q:誹謗中傷じゃないということが分かれば、ブロックを解除するとか、そういうことはあり得ますでしょうか。

A:それはあると思います。

Q:新型肺炎に当たっての災害派遣についてなのですが、去年の台風19号でもたくさんの自衛官が災害派遣に赴いたと思います。今回の新型コロナでもたくさん従事されているかと思うのですが、大臣がかつての記者会見の中で、この災害派遣の在り方というものも、改めて、見直す必要性について言及されておりますが、今のお考えをお伺いしてもよろしいでしょうか。

A:台風のような災害は、これからも気候変動の影響で増えてくると思います。そういった中で、自立的に行動のできる自衛隊の果たす役割というのは非常に大きいと思いますので、大きな災害が予期されるときは、最大限の準備をして、それに備えるというのは自衛隊として非常に大事かと思います。ただ、それがだらだらといつまでも続くというのは自衛隊の練度を維持、即応性を維持する上で問題になりかねないと思っておりますので、そういうことについてはきちんと、どの段階で手渡しをするか、ということはしっかりとルールを決めたり、相談をしたりということをしていきたいと思っております。今回のコロナウイルスも、これだけの大勢がこのような状況で、感染のおそれがある中で、それに対応するというのが、これだけの人数でこれだけ活動できるのが自衛隊ということであれば、それはまず自衛隊として初めての状況に出ていくというのは必要だと思っております。ただ、一度経験をした上で、この反省というものは、そういう体制を含めて色々考えていかなければいけないと思っておりますし、こういう中でも、自衛隊がやるべきこと、あるいは、厚労省にやっていただかなければいけないこと、検疫所にやっていただかなければいけないこと、その他色々なことがあるかと思いますので、まず、このコロナウイルスの件については、ゴールが見えていますから、最後まで「ダイヤモンド・プリンセス号」の支援をしっかりやった上で、振り返っていきたいと思います。

Q:関連で、他省庁であったり、自治体との話し合いというのはまだ始まっている段階ではないということでしょうか。

A:まず、この「ダイヤモンド・プリンセス号」の乗客・乗員をしっかり下船なり何なりが終わって一段落したところから、振り返るということをしたいと思います。今はまだ作業が続いておりますので、危機の中でそれを今やってもあまり意味がないと思います。

Q:大分県にある陸上自衛隊日出生台演習場での在沖縄米軍の実弾砲撃訓練ですが、まず、14日から19日までの間に地元自治体と九州防衛局で交わした確認書、夜8時までというのが守られずに、連続で夜9時近くまで砲撃訓練があったということ、及び確認書で結んでいる8日間までというとところが、昨日も小火器の訓練がありまして、9日間になったと。及びそれによって、日米合意で年間35日間といったところが、37日になったのではないか、という可能性が出てきたと思っているところなのですが、それに対する大臣の御見解及び防衛省本省としての御対応をお聞かせください。

A:日米合意では、夜9時までということになっておりますが、地元の皆様と、せめて8時で、ということになっています。それは、米側にも、地元の理解があった上での在日米軍の駐留ということで、地元の理解が大事だということは在日米軍、インド太平洋軍、それぞれ私からこれまでくどいほど申し上げ、それはそうだということになっている中での今回のこうしたことでございますので、きちんと、在日米軍と防衛省でもう一度地元の理解が大事だということについて、しっかり話をしていきたいと思っております。また、日米の合同委員会合意についても、地元の理解がしっかり得られるように協議をしていきたいと思っているところです。地元の皆様には、色々と今回申し訳なく思っておりますが、防衛省として責任をもって米国と対応してまいりたいと思います。

Q:辺野古移設に関して、週明けの24日で昨年の県民投票から1年になります。沖縄県の玉城知事が先日の会見で、この県民投票の結果に応じようとしてない政府の姿勢について、強い憤りを禁じ得ないとおっしゃっています。こうした状況について、どう対応するのか、今後どう理解を得ていくのかをお聞かせ下さい。

A:日米同盟の抑止力を維持しながら、普天間飛行場の危険性を1日も早く除去するためには、辺野古移設が唯一の選択肢であります。普天間の危険性の除去というのは、沖縄県民の皆様と気持ちを一緒にするものだと思っておりますので、地元の皆様の理解を得ながら、しっかりと辺野古移設を進めてまいりたいと考えています。

Q:沖縄県への計画変更の申請の時期についてなのですが、今、辺野古に関して係争中の裁判で、最高裁に持ち込まれているものがあるのですが、その司法の判断を待つお考えというのはおありでしょうか。

A:申請の時期については、まだ何も決まったものはございません。環境監視等委員会あるいは工事の技術検討会、それぞれ専門家のお知恵をお借りしながらしっかりと申請の準備を進めていきたいと思います。

Q:司法の判断と、この申請時期の判断というのは別なものという考え方でよろしいでしょうか。

A:基本的にはそうだと思いますが、申請の時期については、まだ決まっているものはありません。

Q:馬毛島へのFCLP移転計画について伺いたいのですが、先日衆議院予算委員会の中で、島の買収よりも前に設計の計画をしているという話がありました。昨日、地元の西之表市長が、そういった話は聞いていなかったということで抗議文を出しているのですが、それについての受け止めをお願いします。

A:市長がそのようなお考えだということは、報道で受け賜っておりますが、まだ抗議文を受け取っていないのだろうと思います。設計のための予算の流用については財政法に則った手続きではございますが、きちんと地元に御説明をする必要はあると思いますので、その辺の経緯について、しっかり調べて、先方から抗議文なり何なりがありましたら、しっかり御説明ができるようにしたいと思います。

Q:これまでの説明は十分だったという御認識はあるのでしょうか。

A:どういう経緯で、どういう説明をしてきたのかというのは、今確認をしているところでございます。

Q:こういったやり方だと信頼関係が築けない、と市長は言っていますが、それを受けての所感というのは。

A:経緯その他、まずは確認をしっかりしたいと思います。

Q:どのように回答するのかということについても、確認した上でということですね。

A:はい。

Q:契約は、半年間の契約になっていたのですが、昨年3月の時点で契約をしていて、買収がストップしたのと同時に設計もストップして、また再開していると伺っているのですが、これも同じ位のスパンで今再開して、およそ6カ月位で施設の設計というのはできるという理解で良いのでしょうか。

A:詳細は分かりませんので、後ほど必要であれば事務方からお答えさせます。

Q:新型コロナに関してなんですけれども、今回こうして大規模で出動するのが初めてなのでこれから知見を得ていきたいと御発言ありましたけれども、それはいわゆる普通の感染症対策の災派という観点なのか、それとも今後起こり得るバイオテロとか含めて、学んだことを生かしていきたいというお考えなのか、その辺りどのようにお考えでしょうか。

A:一義的にはこうした新しい感染症、これまでも新型インフルエンザですとか、SARSですとか、色んなことがありました。おそらく今後もそういうことが起こり得るだろうと思います。そういう時にどういうふうに対応していったらいいのかというのが、一義的なことではございますが、バイオテロというのも考えられることでありますから、それはそうしたことにも自衛隊として役立たせなければならないと思います。

Q: 別件で刑法犯の関係なんですけれども、公務で海外に行っている場合、罰せられない、国外規定はないというのは、地位協定を結んでいる国はという理解、それとも一般的にそうなっているというご理解でしょうか。

A:個別ケースは、個別に色々とございますが、一般的に先方の了解を得て自衛隊が公務に就いているときには、公務中はこちら側が裁判管轄権を持つという理解でございます。もちろん、それが個別なルールもございますし、ジブチのように公務であるかどうかを問わずに日本側が管轄権を持っているものもあれば、国連PKOのようにまた違うルールということもございますので、それぞれ個別にしなければいけませんが、いずれにせよ、過失罪が国外犯処罰規定がないというところはございますので、それについてはどう対応するのかは、やはり新しい時代で自衛隊の活動が色んな意味で海外へ出るという状況の中でどうするのかはしっかり検討する必要はあると思います。

以上