日米防衛相共同記者会見

日時
令和2年1月15日(火)05:10~05:25(日本時間)
場所
米国防総省
備考
日米防衛相会談後会見

エスパー米国防長官の発言及び英語の質問については、通訳者の適宜発言を引用

1 冒頭発言

エスパー国防長官

 河野大臣、本日は、日米の強固な同盟関係を確認する機会を迎えることができ光栄に存じます。日曜日には、日米間の相互協力及び安全保障条約の締結から60周年を迎えます。この条約は、共通の安全保障課題に自由と民主主義に基づき対応することへのコミットメントを正式なものとしました。以来、両国は、自由で開かれたインド太平洋地域推進を目指し、法に基づいた国際秩序を支えるために協力してまいりました。アデン湾、オマーン湾、そしてアラビア海に自衛隊の派遣を決定されたことに対し、河野大臣に感謝申し上げます。我々は海洋安全保障上の目標に向け、今後も情報共有を継続し、中東での活動における協力を進め、航行そして商業の自由を推し進めてまいります。もう一つの米国の優先事項は、北朝鮮の完全な非核化です。日米韓の関係は、この問題に対応する上で引き続き重要であり、今後とも三国間での演習及び情報共有をとおして、地域の安全保障を強化し、目的の遂行に努めます。また、大臣に申し上げたとおり、米国は国益を守りながらも、今後とも中立のとれた建設的な関与を目指していきます。米国は、中国が、特に南シナ海、東シナ海の安定を乱す行動に引き続き対抗します。また、尖閣諸島の日本の施政を一方的に損ねようとする行為にも引き続き反対します。また、在日米軍の再編に関する進捗についても協議いたしました。日本側が米軍による訓練場や領空への確実なアクセスを担保してくださっていることに感謝したします。このことは米軍の即応性を維持し、地域における安全保障と安定を向上させ、また、中国と北朝鮮に対しての強い抑止力のメッセージを発信するための一助となっております。また、日本における情報セキュリティを推進する上でのリーダーシップに感謝いたします。昨年の「2+2」会合の勢いを維持し、潜在的な脆弱性に対応、宇宙やサイバー分野における協力関係を拡大していかなければなりません。最後となりますが、日米関係は、この60年間にわたり目を見張るほどの進化を遂げました。こうした強力な日米関係は、今後とも集団安全保障や地域の安定性に重大であり続けます。これからも、パートナーシップを含め協力していくことを楽しみにしています。今回は、3回目、4回目のミーティングになりましょうか。これからの友好と、そしてコーポレーションを楽しみにしています。

河野防衛大臣

 日本の防衛大臣として初めてペンタゴンを訪れることを大変光栄に思います。本年は、日米安全保障条約署名60周年にあたります。この節目の年の初めに、日本の防衛大臣として、ワシントンD.C.を訪れ、エスパー国防長官と日米同盟の強化について、議論できたことを喜ばしく思います。先ほど、エスパー長官と会談を実施しました。会談では、まず直近のイランを巡る情勢を含む中東地域の情勢について意見交換をおこないました。エスパー長官からは、情勢と当該地域における米軍の活動についての説明がありました。私からは、地域の緊張緩和と情勢の安定化のために粘り強く外交努力を継続していくことを述べました。また、昨年12月に閣議決定した中東地域への自衛隊派遣について説明しました。また、北朝鮮について意見交換をしました。北朝鮮による弾道ミサイル発射が、地域の安全保障にとって重大な脅威となることを確認するとともに、すべての大量破壊兵器、あらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDに向け、国連安保理決議の完全な履行を確保することの重要性を確認し、また、北朝鮮による瀬取りには、日米一致して取組むことに一致しました。また、強固な日米同盟を歓迎し、両国の戦略を具体化するために日米で緊密に連携して、日米同盟の抑止力、対処力の一層の強化に取り組むことで一致しました。さらに日米が基軸となり、共同訓練や能力構築支援などの実施を含め、多様なパートナーと協力していくことの重要性を確認しました。最後に、恒常的な空母艦載機の離発着訓練施設設備FCLPの候補地となっている馬毛島について、日本政府による土地の取得に関する最近の進展を歓迎するとともに、引き続き、日米で緊密に協力していくことで一致しました。 本日、多くの論点について日米防衛当局間で今後の方向性について一致できたことは、大変有意義でした。本日の結果を踏まえ、日米同盟の一層の強化に取組みます。ありがとうございました。

2 質疑応答

Q:北朝鮮が非常に重要な兵器のテストを行ったということでしたけれども、今後もこのようなテストが続くとお考えでしょうか。それともここで止めるとお考えでしょうか。また、河野大臣にもこの武器の試験に関するご意見をお伺いしたいと思います。また、共同の世論では日本の60%の市民は自衛隊の中東への派遣を反対しているということを聞いております。特に、この地域で軍事衝突などが起こりかねない状況で反対の意見が増えているということに関していかがでしょうか。また、アメリカの有志連合ヘの参加についてはいかがでしょうか。

A(エスパー国防長官):私の方からまずお答えしましょう。北朝鮮での動向は非常に緊密な日本と韓国との協力をとおしてモニターしております。インテリジェンスの詳細は言えませんけれども、重要なのは、我々は3国間の中に非常に緊密な関係にあることでありまして、非常にしっかりとした、また、一貫したメッセージを北朝鮮に向けて送り出す。そして、一番いいやり方は、外交、恒久的な解決策である非核化であることを伝え続けたいと考えます。そして、武器の試験に関してですけれども、金正恩委員長が、何をしたいのかに関しては分かりませんけれども、我々からのメッセージは送り続けます。用意ができているということには私たちの方では変わりませんし、一番良いやり方は、やはり外交的な解決策だと考えております。

A(河野防衛大臣):日本の輸入しているほぼ90%の原油が中東から入ってきております。そして、そのうちの80%以上がホルムズ海峡、そしてオマーン湾を通っているわけです。ですから、日本の国民にとっても航行の安全を確保することが国益につながるわけです。そういう意味では我々は、自衛隊を派遣し、情報収集活動をすることをコミットしております。憲法上の制約がありますので、アメリカあるいはヨーロッパのイニシアティブに参加することはありませんが、緊密にアメリカ、そして同盟国と連絡を取っていきたいと考えております。

Q:北朝鮮の武器の試験についてはいかがでしょうか。

A(河野防衛大臣):これは金正恩委員長次第ですが、我々はアメリカのイニシアティブを支持し、最大限の圧力をかけるということを続けた上で、金正恩委員長を対話の席に連れ戻したいと考えております。願わくば、人民のために、国民のために、正しい行動をしていただきたいと思っております。

Q:今年は日米安保60周年の節目の年となりますが、日米でどのような連携をされていくのか。また、今日対談の中で在日米軍について、駐留経費について意見交換があったのかどうか。また、日本の駐留経費というのは諸外国から比べて高い負担割合となっておりますが、今後どのような負担の在り方が望ましいと思われますでしょうか。また、地域情勢について、北朝鮮は最近ミサイル開発を相次いでやっておりますけれども、それについて、同盟国としてどのように対応を求めるか。また、中東情勢について、自衛隊のアセット派遣について、どのように情報共有、連携をお考えでしょうか。

A(河野防衛大臣):駐留経費については、まだ交渉を始める時期ではないと思います。対談の中でも駐留経費についての話はありません。在日米軍は、日本を守っているだけではなくて、インド太平洋地域にとって非常に重要なアメリカの拠点であると思います。そうしたことが今後十分に検討されていくだろうと思います。中東については、先ほど申し上げたとおり、日本の輸入する原油の大半が通過する地域でありますが、外交努力を続けること、船舶の航行の安全に万全を尽くすこととならんで、情報収集をしっかり強化する政府方針に変わりありませんし、同盟国として、アメリカと様々情報共有していくことは、当然のことだと思います。

A(エスパー長官):大臣のお答えは完璧だったと思います。負担の分担については議論しておりません。私たちはパートナーであり、同盟国でありますので、その時にはお話すると思います。

Q:河野大臣、負担分担についてもう一度伺いたいと思います。具体的には、アメリカが日本に対してどれだけの支払いを要求しているのか、これから更にどれだけ増えていくのかということです。そして、エスパー長官、国防総省がイランに関する予算をどれだけとっているのか、これからのコストはどれだけになっていくのでしょうか。また、ソレイマニ司令官の殺害から様々な問題が発生していますが、大使館の脅威について、いくつの大使館が狙われていたのでしょうか。

A(エスパー国防長官):イランにつきましては先週たくさん話ましたが、それ以上お話することはありません。国防省の優先事項はインド太平洋でありまして、そのことについて、河野大臣とお話ししました。

Q:アジア太平洋地域を最優先するとおっしゃっていましたが。

A(エスパー国防長官):まず国防総省は、国土を守ることが重要ですので、イランの問題があったということで国境に壁を作るということについては、国土安全保障省の検討することになると思います。そしてそれが必要となる場合、我々も支援いたします。駐留経費は議論されませんでした。

Q:中東情勢に関して、河野大臣からどのようなお話をされましたでしょうか。また、エスパー長官から中東情勢についてどのような発言がありましたでしょうか。在日米軍の存在に関して、沖縄の普天間基地の辺野古ヘの移設が遅れるとの試算を政府が発表されておりますが、このことについて、河野大臣からエスパー長官にどのように説明されたのでしょうか。エスパー長官はこの遅れについてどのようにお考えでしょうか。また、馬毛島の取得の目途が立ちましたが、これについてはどのようなやり取りをされましたか。

A(河野防衛大臣):普天間基地の辺野古移設については、知事の承認を得てから9年3ヵ月という説明をいたしました。明確に期間が公表されたということで、それに向けて一歩ずつ、しっかりと工事を進めていきたいと思います。中東については、イランと日本の最近のやり取りについて私から説明をさせていただきました。

A(エスパー国防長官):私の方から追加することはありません。私と大臣の会話を詳細にお話しすることはいたしませんが、様々なトピックに関して議論いたしました。中東に関して、また、アジアに関してその他のことに関してもそれぞれの見解を共有した上で、その中に在日米軍の話が含まれていたということであります。60年間の関係を私たちは、これから祝おうとしているわけですが、我々としても、更にこれを拡大していくことを願っております。

以上