MAMOR(マモル)2022年11月号

MAMOR(マモル)は、防衛省が編集協力をしている唯一の広報誌です。
防衛省の政策や自衛隊の活動を分かりやすく紹介し、国民とともに防衛を考える広報誌を目指しています。

特集

自衛隊のミリメシがおいしくなった!
有名シェフが試食してみた。お味は合格?

Military Report

今、日本の防衛に必要なのは機雷戦訓練だ!
海上自衛隊 陸奥湾機雷戦訓練

編集後記

編集長 高久 裕

自衛隊の災害派遣活動を取材するため、東日本大震災の被災地に入った際、雪が降る中、膝まで泥水に漬かって行方不明者を捜索する隊員たちの食事風景を見かけた。寒いトラックの荷台で、缶詰に入ったおこわを、ナイフでつつきながら食べている。本来、温めないと硬くて食べられない“缶メシ”だが、時間も装備もない状況での隊員の食事シーンが今でも忘れられない。野菜を取れないためビタミン不足に悩まされる隊員も多く、取材しながら何とかならないかと心配したものだ。それも今は昔。リニューアルされた自衛隊のミリメシは、味のバリエーションは21種類、1日3食1週間食べ続けても違う味を楽しめる。栄養バランスも考慮されていて健康にも留意されている。さらに、火を使わずに温めることも可能だ。日本を守っている若者たちに、もっともっとおいしい食事を食べてほしい。今回の特集は、そんな気持ちの表れです。ぜひ読んでみてください。

特集

自衛隊のミリメシがおいしくなった!
有名シェフが試食してみた。お味は合格?

ライター 浅野 陽子

食限定の取材歴を続けて20年。フードライターとしてレストランや料理人、レシピの取材を数えきれないほど行ってきましたが、今回は過去に例がない「ミリメシ」の記事。

どんなものだろう、とネットで探すと出てくるのは総じて「茶色め、汁気多め」な、ビジュアルからは正直“そそられない”料理ばかり(すみません)。

そして取材当日。セットされた5〜6種類の現物ミリメシたちを見ても、やはり茶色くどろんとした形状のものが多い。試食する料理人や食ブロガーさんの中には、不安がやや顔に出てしまっている方も……。

ところがです!ひと口食べると、みなさんパッと顔を輝かせ「う、うまい!」「これは家に常備したい!」と出るわ出るわ、賞賛の嵐。私も味見させていただき、衝撃でした。どれも味わい深いのです。過酷な戦場や訓練中に食べたら、さぞかし気分も高揚されるでしょう。アッパレ、日本のミリメシ!そんな思いを原稿に入れ込みました。

フォトグラファー 魚本 拓

「腹が減っては戦はできぬ」はおそらく本邦で暮らすほとんどの人が知るであろうことわざで、本来は「準備を怠るな」といった意味を持つこの一文は、それを字義通りに受け取るとすると、「戦」とは穏やかじゃないなとは思うものの、「あらゆる活動の源は食にある」とでも換言すれば誰もが納得するのではないでしょうか。ただしこのことわざの穏やかじゃないほうの字義通りの意味に関わる実力組織が本邦にも在って、そのひとつである自衛隊の隊員が有事に対応する際に空腹であれば、厳しい訓練によって培ってきた実力を発揮することはかなわないでしょう。では、そうした訓練や災害派遣などの現場で実力を発揮すべく、隊員たちはいったいどのような食を口にしているのか――。それが今回の特集のテーマとなっていて、世界的には「コンバット・レーション」、自衛隊では「戦闘糧食」、通称「ミリメシ」について誌上で掘り下げています。自衛隊の戦闘糧食が食べてみたい! という人のための情報も掲載されていますので、国内外のレーションに興味がある多くの人に本誌をお手にとっていただければ幸いです。

Military Report

今、日本の防衛に必要なのは機雷戦訓練だ!
海上自衛隊 陸奥湾機雷戦訓練

ライター 鈴木 千春

海中で待ち伏せする「死なない兵器・機雷」。そんな陰湿で恐ろしい機雷の処分は、海上自衛隊にしかできません。しかも「処分する場所」は、人間の都合など通用しない海の中。視界の悪さ、速い海流、海底の凸凹やヘドロ、獰猛なサメなど何がでてくるかわからない危険な環境。それらを相手にしながら「そのうえでの国防(機雷処分)」を担う掃海部隊はスゴイの一言に尽きます。

ある自衛隊OBの言葉ですが、訓練・練度についての興味深い表現がありました。

「自衛隊が企業だとしたら何を生産しているか? 練度を生産している。

練度とはどんなものか? 練度とは生ものだ。生ものはすぐ腐る。

鮮度が落ちれば二度と戻らない。だから必要な訓練を、繰り返しやらないと部隊は強くならない」

この言葉は深く刺さりました。生ものである自衛隊の練度維持には訓練につぐ訓練が必要です。

訓練の場所も時間も予算も、十分に自衛隊に担保する必要があると感じました。

今回、取材した陸奥湾機雷戦訓練も長年続いている大切な訓練。是非本誌で、訓練に励む自衛官の凛々しい姿をご覧ください。

フォトグラファー 村上 淳

陸奥湾で行われた今回の機雷戦訓練の取材では、迫力満点のヘローキャスティングや水中で命を懸けて任務を遂行しているEODなど、自分が今まで知らなかった自衛隊を撮影させてもらいました。あまり表舞台に立つような部隊ではないのかもしれませんが実は物凄いことをやっている、こういう取材は撮影していてテンションが上がります。陸奥湾の沖合いで小さなゴムボートに乗せてもらった際は、大きく揺れるボートと波しぶきと船酔いの心配でかなり緊張しましたが、任務の一端を少しだけ垣間見れた気がし、この部隊の重要さを改めて実感することができました。

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