MAMOR(マモル)2021年8月号

MAMOR(マモル)は、防衛省が編集協力をしている唯一の広報誌です。
防衛省の政策や自衛隊の活動を分かりやすく紹介し、国民とともに防衛を考える広報誌を目指しています。

FEATURE

特集

影の如く忍び寄り 風の如く山河を駆ける
自衛隊ライダー、参上!

Military Report

海の最前線で治療する
第一線救護衛生員の育て方
海上自衛隊 自衛隊横須賀病院 教育部

編集後記

編集長 高久 裕

今号は、自衛隊のオートバイを特集しています。陸上自衛隊の偵察オート部隊の訓練に、2020年全日本モトクロス選手権レディースクラス・チャンピオン川井麻央選手が挑戦して、オート隊員のテクニックのレベルを探ってみました。その結果は本誌を読んでいただくとして、体験後の川井選手と隊員のトークがおもしろいです。お互いのテクニックをリスペクトしつつ、対抗意識もバチバチに出ていて、両者とも負けず嫌いなんだな、と読んでいて、思わずニヤっとしてしまいます。

また、ミリタリーレポートでは、海上自衛隊の「第一線救護衛生員」について紹介しています。有事の際に、艦艇で負傷者の治療をする衛生員を第一線救護衛生員といい、その隊員を育てる自衛隊横須賀病院教育部を紹介しています。バイクを操る偵察オート部隊ともども、あまり知られていない自衛隊の任務を紹介している8月号を、ぜひ、ご購読ください。

特集

影の如く忍び寄り 風の如く山河を駆ける
自衛隊ライダー、参上!

ライター 野岸 泰之

今回、自衛隊のオートバイを特集するにあたり、全日本モトクロス選手権レディースクラス2020年チャンピオンである川井麻央選手と、陸上自衛隊第12偵察隊の隊員による対決が実現しました。スピード重視の川井選手に対し、細かいテクニックが得意の自衛隊ライダーという“異種格闘技戦”は、お互いのプライドをかけた真剣勝負の様相でした。どちらのライダーも高い技術力と向上心、決してあきらめない精神力の強さなど、ジャンルは違えど“プロのライダー”である走りと技を見せてくれました。

また、自衛隊の白バイである警務用オートバイの取材でも、第302保安警務中隊のライダーが、こちらの求めに応じて統制の取れた美しい走りを披露してくれました。

誌面では紹介しきれなかった部分もありますが、駐屯地祭などのイベントで自衛隊ライダーを見かけた際には「日々努力を重ねるオートバイのプロが自衛隊にもいる」ということを思い出し、エールを送っていただければと思います。

フォトグラファー 楠堂 亜希

短い時間でしたが、様々なシチュエーションで撮影させていただきました。川井選手は普段モトクロスコースでトレーニングしており、山林や階段を走行することは初めてだったと思いますが、訓練された自衛隊の方と一緒に本当に頑張ってくれました。また全日本で9回のチャンピオンを獲得した東福寺監督にもお手伝いいただきました。隊員の方にも急遽、迷彩メイクをしてもらったり、3台同時にフロントをあげての走行などお願いしましたが、何事もてきぱきと行動してくれ、スムーズに撮影できました。私はオートバイの競技の撮影をしているので、訓練された皆さんの巧みな走りをみて、是非オフロードのレースにも出場してほしいと思いました。オートバイを通じて、個性的な隊員の方達と色々な話もでき、笑顔の垣間見れる楽しい撮影でした。

Military Report

海の最前線で治療する
第一線救護衛生員の育て方
海上自衛隊 自衛隊横須賀病院 教育部

ライター 古里 学

今回の取材でもっともインパクトが強かったのは、何といっても第一線救護衛生員の実習です。実習室に入ると、部屋の真ん中のベッドの上に寝ていたのは、あまりにも人間そっくりな人体模型、その名も「トラウマ(外傷)」。血は出るは、呼吸はするは、外傷部分は超リアルだはで、悪夢にうなされそうなくらい生々しい模型です(実際、その夜の夢に出てきたし)。しかし、それにもまして強烈だったのが、トラウマくんに救命措置を施そうと悪戦苦闘する学生たちにかける、教官の凄まじいプレッシャーでした。実際の前線はこんなもんじゃないよ、とはいうものの、当事者ではないわれわれまで緊張しながらの取材で、実習が終わった後、学生たちに交じって思わず拍手をしていました。

カメラマン 村上 由美

銃の取り扱いや体力面など自衛官としての訓練も怠ることが許されず、洋上では地上よりも多くの判断をする勇気と胆力がないと務まらない第一線救護衛生員。プロトコール訓練を中心に取材をさせていただきましたが教官の気迫に凄みがあり、学生さんたちの頭をフル回転させる音が聞こえてきそうな現場でした。

訓練中に教官が「どうするんだっ!本当にそれでいいのか!?」と追い込みをかけると、医療のことなんてわからない私も「どうしたらいいんだっけ」と、カメラを持つ手が手汗でじっとりしちゃうピリピリした空気感なのですが、訓練後の評価のときには学生を笑顔で褒めてるところや、ちょっとした時に感じる学生同士の、一緒に必死な時間を過ごしている人たちにしかないチーム感のようなものを感じると頭のなかが熱くなり、この瞬間のこの空気感を写真に撮って持って帰りたいと思いシャッターを切りました。

MAMOR(マモル)のご購読について