MAMOR(マモル)2021年6月号

MAMOR(マモル)は、防衛省が編集協力をしている唯一の広報誌です。
防衛省の政策や自衛隊の活動を分かりやすく紹介し、国民とともに防衛を考える広報誌を目指しています。

FEATURE

MAMOR(マモル)2021年6月号

特集

トップガンマーヴェリックをより楽しめるコラボ企画
航空自衛隊トップガン

Military Report

隠密に情報を集め分析する技術
陸上自衛隊 情報科

編集後記

編集長 高久 裕

今号は、公開が待たれている映画『トップガン マーヴェリック』とのコラボ企画として、戦闘機を特集しています。映画は35年ぶりの新作ということで、公開前から話題となっていますが、自衛隊にも、日本のトップガンとなるパイロットを育てる部隊があります。その任務と訓練をレポートします。ミリタリーレポートは、陸上自衛隊の情報学校を紹介します。いわゆるインテリジェンスにかかわるだけに、こちらも映画のような“諜報活動”を想像してしまいますが、果たして、どのような任務を教育する学校なのか? 本誌でご確認ください。

特集

トップガンマーヴェリックをより楽しめるコラボ企画
航空自衛隊トップガン

ライター 野岸 泰之

特集取材の一環で、日本のトップガンと称されるF-15の戦技教育を担う第306飛行隊にお邪魔しました。そこで驚いたと同時に「ああ、やっぱりな」と感じたのが、話を聞いたほとんどの戦闘機パイロットが映画『トップガン』が大好きで、何らかの影響を受けた、と語ってくれたことでした。好きなシーンやスカイアクションの話になると、「あの映像が格好いい」「あの空中機動はあり得ない」など、皆楽しそうに話してくれたのが印象的でした。

映画だしフィクションではあるものの、幅広い世代の現役戦闘機乗りたちをここまで熱くする『トップガン』という映画は、もはやファイターパイロットの「共通言語」になっているんですね。「新作『トップガンマーヴェリック』を見て憧れた若者が、少しでも戦闘機乗りを目指してくれるとうれしいです」。そんな気持ちを語ってくれた隊員が多くいたのも耳に残っています。映画を見たら、航空自衛隊にも同じように戦闘機パイロットとしての技を日々磨いている隊員がいることを、ぜひ思い出してください。

フォトグラファー 近藤 誠司

映画「トップガン」は幼い頃の私に強烈な印象を与え、戦闘機を見るとあの曲(ケニー・ロギンスの「デンジャー・ゾーン」)が脳内再生されるようになった。皆んなそうだと思っていたし、戦闘機乗りは皆んなあの映画に憧れてパイロットを目指した者だと思い込んでいたが、やはりそこは35年もの年月の中で変化しているらしい。

近年、戦闘機のパイロットを目指すものが減少していると聞いて驚いた。特にこの10年、若者に印象を与えたのはメディア露出が多かった災害現場で活躍する輸送機や救難ヘリなどだ。それらを見て人の役に立ちたい、困っている人を助けたいと志願するのは頷ける。

戦闘機パイロットのリクルートの観点から考えると「トップガン2」は多大な貢献をすると予想される。

しかし、これまで実写映画で「トップガン」に続く近代戦闘機が活躍するヒット作が出てこなかったのは、そのハードルの高さだろう。軍事機密を扱う現場に映画となると100人近いスタッフが入ることになるし、何より俳優の過酷さは尋常ではないだろう。トムは今回、前作では叶わなかった実機での飛行中のコックピットシーンを撮るために数カ月の飛行訓練を自ら設計したらしい。メイキングを見るとブラックアウト寸前の俳優やトムの呼吸の荒さからも戦闘機に乗る過酷さは伝わって来る。「トップガン」を超えられる作品はトム・クルーズにしか作れないのだ。

この映画が公開されたのち、パイロット達と映画について語れる機会がやってくるのが楽しみだし、映画を見てパイロットを目指しましたという若者を撮影したい。

Military Report

隠密に情報を集め分析する技術
陸上自衛隊 情報科

ライター 臼井総理

自衛隊についての話題は、昨今テレビやネットで取り上げられることも増え、一般人の私たちも目にする機会が増えている。しかし、なかなか知られていないのが「情報科職種」のこと。今回、情報科職種の総本山ともいえる情報学校への取材では、私自身初めて知る物事も多く、とても興味深かった。特に、無人偵察機・スキャンイーグル2の飛行訓練取材は新発見の連続だった。その内容は、ぜひ本文でご確認を。

古来より、「情報」が戦いの趨勢を決めた例は枚挙に暇がない。世界的に高度な情報化が進むなか、今後より重要性の増す自衛隊の情報科職種。普通科、機甲科といった前線部隊同様、いやそれ以上に注目していきたい。

カメラマン 村上 淳

富士の麓でスキャンイーグル2の飛行訓練を取材させていただきました。まず驚いたのは飛行時の静かさです。低高度で飛行していると僅かにエンジン音が聞こえますが、高度を上げて我々の上空を通過していく際は教えてもらわなければ全く気づかない程のものでした。そして当日の雨上がりの雲の中からグレーの機体が音も無く現れ、大きな弓のようなスカイフックに回収される姿はとても印象的でした。コロナ禍の中、取材にご協力いただいた情報学校の皆様ありがとうございました。

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