令和3年6月16日
防衛省
令和3年6月16日(水)、岸防衛大臣は、オンライン形式で開催された、第8回拡大ASEAN国防相会議(以下「ADMMプラス」という。)に出席したところ、概要以下のとおりです。
- ASEAN10か国及びプラス国8か国の国防大臣等の参加を得て、オンライン形式で第8回ADMMプラスが行われました。同会合においては、参加国の国防大臣等が、地域的・国際的な安全保障環境について意見交換を実施しました。その後、「未来に備えた、平和的で、繁栄したASEANに関するADMMプラス国防大臣によるADMM15周年記念バンダル・スリ・ブガワン宣言」が採択されました。
- 岸大臣は、新型コロナウイルス感染症というグローバルな危機が、多国間主義を後押ししており、気候変動、サイバーセキュリティ、災害対策分野、そして感染症対策協力の具体化等、グローバルな課題解決に向けて果敢にリーダーシップを発揮していく決意を表明しました。
- また、ADMMプラスにおける実践的な防衛協力及び日ASEAN防衛協力が着実に進展している旨述べました。特に、日本はベトナムと共に「PKO専門家会合(EWG)」の共同議長を務めており、ADMMプラスにおけるPKO分野での多国間防衛協力をリードしていく決意を表明しました。さらに、本年4月には、日ASEAN防衛協力指針である「ビエンチャン・ビジョン2.0」の下での事業として、「HA/DR(人道支援・災害救援)に関する日ASEANオンラインセミナー」を実施し、ASEAN全加盟国と新型コロナウイルス感染症対策の知見を共有し、時宜にかなった有意義な討議を行ったことを紹介しました。
- 我が国は、私たちの繁栄に不可欠な海においても「法の支配」を徹底することを一貫して訴えており、東シナ海及び南シナ海において、力を背景とした現状変更の試みが継続している旨指摘し、南シナ海においても、全ての当事者が、国連海洋法条約を始めとする国際法に基づく紛争の平和的解決に向け努力する重要性を訴えました。加えて、本年2月に施行された中国海警法について、この法律により関係国の正当な権益を損なうことがあってはならないと訴えました。さらに、台湾海峡の平和と安定は、地域のみならず、国際社会にとっても重要であり、台湾をめぐる問題が、当事者間・直接の対話により、平和的に解決することを期待する旨述べました。
- 続いて、岸大臣は、北朝鮮への対応について、全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの、完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄(CVID)に向けた国連安保理決議の完全な履行の重要性を強調しました。また、ミャンマー情勢について、民間人に対する暴力の即時停止、拘束された関係者の解放及び民主的な政治体制の早期回復を国軍に対して訴え、ASEANの問題解決に向けた取組を歓迎する旨述べました。
- その上で岸大臣は、現在、志を同じくする国々がASEANの一体性と中心性を支持し、インド太平洋地域の平和と安定のために取組や関与をこれまでになく強化しようとしており、日本は、「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)ビジョンの下でこうした国々と緊密に連携していく旨述べました。また、岸大臣は、ASEANの発表した「インド太平洋に関するASEANアウトルック」(AOIP)を全面的に支持していることを強調しました。最後に、コロナを契機とする多国間主義の一層の高まりの中で、ADMMプラスにおける実践的な防衛協力に、将来にわたって貢献する決意を表明しました。
【参考1】ADMMプラス参加国
ASEAN10カ国(ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)及び、豪州、中国、インド、日本、NZ、韓国、ロシア、米国の18カ国。
【参考2】第4期(2021~2024)EWGの現議長国
- 人道支援・災害救援: インドネシア、インド
- 海洋安全保障: タイ、米国
- 防衛医学: ブルネイ、豪州
- 対テロ: ミャンマー、ロシア
- PKO: ベトナム、日本
- 地雷処理: カンボジア、中国
- サイバーセキュリティ: マレーシア、韓国