岸防衛大臣による拡大ASEAN国防相会議創設10周年記念式典及び第7回拡大ASEAN国防相会議並びに第6回日ASEAN防衛担当大臣会合への出席について(概要)

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令和2年12月10日
防衛省

 令和2年12月10日(木)、岸防衛大臣は、オンライン形式で開催された、拡大ASEAN国防相会議(以下「ADMMプラス」という。)創設10周年記念式典及び第7回ADMMプラス並びに第6回日ASEAN防衛担当大臣会合に出席したところ、概要以下のとおり。

1.ADMMプラス創設10周年記念式典について

  1. (1)ベトナムのグエン・スアン・フック首相、ASEAN10か国及びプラス国8か国の国防大臣、ASEAN事務総長他が出席し、オンライン形式でADMMプラス創設10周年記念式典が実施された。ADMMプラス10年の歩みを振り返り、ベトナムのフック首相、ゴー・スアン・リック国防大臣、リム・ジョクホイASEAN事務総長、そしてプラス国を代表して岸大臣とラージナート・シン・インド国防大臣、最後にアトゥール・カレ国連事務次長によるスピーチが行われた。
  2. (2)岸大臣は、ADMMプラスが、インド太平洋地域における政府主催の唯一の国防担当閣僚会合として着実な発展を遂げていることに言及し、ASEANがドライビング・フォースとして、ASEAN諸国と「プラス国」の多様性を内包するこの枠組みをしっかり牽引することによって対話を可能にし、そしてこうした開かれた包摂的な地域枠組みを創設し、維持していることに深く敬意を表した。
  3. (3)また、岸大臣は我が国が一貫してASEANの主導的な役割を尊重し、非伝統的安全保障課題に対するASEANの取組を積極的に支援してきたこと、また地域の安全保障上の課題を理性と対話により乗り越えるべきと提唱し続けてきた旨強調した。さらに、今後もADMMプラスが信頼醸成の場として機能し続けることに強い期待を寄せ、責任あるプラス国として、今後も引き続き地域の安全保障協力に貢献していくという決意を表明した。

2.第7回ADMMプラスについて

  1. (1)ASEAN10か国及びプラス国8か国の国防大臣等の参加を得て、オンライン形式で第7回ADMMプラスが行われた。同会合においては、11月に開催されたADSOM(高級事務レベル会合)プラスの結果について報告が行われ、参加国の国防大臣等が、地域的・国際的な安全保障環境について意見交換を実施した。その後、「ADMMプラスの戦略的安全保障ビジョンに関する共同宣言」が採択され、署名式が行われた。最後に議長国ベトナムから、来年の議長国ブルネイへの引継ぎ式が行われた。
  2. (2)岸大臣は、新型コロナウイルス感染症というグローバルなチャレンジによって、国際協調、多国間主義の重要性がこれまでになく高まっていること、各国の国防当局が感染拡大初期段階から重要な役割を果たし、ASEANの枠組みにおいて感染症対策の協力体制の効果を高める努力が行われていることに言及し、日本も感染症対策分野の防衛協力を推進していく決意を表明した。
  3. (3)続いて、ASEANは、インド太平洋地域の中心に位置し、ASEANの中心性と一体性の維持が、地域の安定と発展の基礎となっていること、また日本の「自由で開かれたインド太平洋」(FOIP)ビジョンとASEANの「インド太平洋に関するASEANアウトルック」(AOIP)は本質的な原則を共有しており、日本はAOIPを全面的に支持している旨述べた。
  4. (4)また、南シナ海問題について、法の支配は、自由で開かれた海を確保する上で必要な条件であり、日本は、力を背景とした一方的な現状変更の試みや既成事実化に強く反対し、ASEANと懸念を共有している旨述べた。また、日本は国連海洋法条約(UNCLOS)を含む国際法に則った紛争の平和的解決を強く要請し、その上で、南シナ海行動規範(COC)がUNCLOSを含む国際法に合致したものとなるべきであり、すべてのステークホルダーの正当な権利や利益を侵害するものとなってはならないとの立場を表明した。
  5. (5)さらに、北朝鮮への対応について、すべての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの、完全な、検証可能な、かつ不可逆的な廃棄(CVID)に向けて、「瀬取り」対策を含め、安保理決議の完全な履行の確保に協力することが不可欠であると強調した。
  6. (6)続いて、岸大臣は、日本がベトナムと共に、第4期(2021年~2023年)のPKO専門家会合(EWG)の共同議長として、来年4月から本格的なEWGを始動させることを紹介し、地域に貢献する意思を示した。最後に、世界的なパンデミックは、我々がより強く連帯する契機となり、日本は、法の支配に基づく、自由で開かれた国際秩序の形成に、全力で取り組む我が国の決意を表明した。

【参考】日本以外の参加国国防大臣等

(1)ASEAN加盟国等

  • ブルネイ:ハルビ第2国防大臣
  • カンボジア:ティア・バニュ副首相兼国防大臣
  • インドネシア:プラボウォ国防大臣
  • ラオス:チャンサモーン国防大臣
  • マレーシア:イスマイル国防大臣
  • ミャンマー:セイン・ウィン国防大臣
  • フィリピン:ルナ国防次官
  • シンガポール:ウン国防大臣
  • タイ:プラウィット副首相(国防担当)
  • ベトナム:リック国防大臣
  • ASEAN事務局:リム事務総長

(2)プラス国

  • 豪州:レイノルズ国防大臣
  • 中国:魏鳳和(ギ・ホウワ)国防部長
  • インド:シン国防大臣
  • ニュージーランド:ヘナレ国防大臣
  • 韓国:徐旭(ソ・ウク)国防部長官
  • ロシア:フォミン国防次官
  • 米国:ミラー国防長官代行

3.第6回日ASEAN防衛担当大臣会合について

  1. (1)オンライン形式で、第6回日ASEAN防衛担当大臣会合が行われ、実践的な日ASEAN防衛協力に向けた意見交換が行われた。
  2. (2)冒頭、議長国ベトナムのリック国防大臣より、日本は最も重要な国の一つであり、これまで日本がASEANに対して積極的に防衛協力を行ってきたことに謝意を述べ、開会した。
  3. (3)まず岸大臣から、感染症は、国家横断的な問題であり、どの国も一国で対処することはできず、グローバル化した相互に連結した世界において、ルールに基づく国際システム、国際組織や国際機関を通じた協力や連帯が、これまでに増して重要であると述べ、また、ASEANの地域の感染症対策への積極的な関与に敬意を表するとともに、自衛隊の経験・知見を活用して、防衛協力を進めていきたい考えを表明した。
  4. (4)また岸大臣から、2016年に日ASEAN防衛協力の指針として「ビエンチャン・ビジョン」を発表し、さらに昨年の同会合では、これを「ビエンチャン・ビジョン2.0」としてアップデートし、ASEANとの多国間協力の拡充の方針を表明したことを述べ、これまでもこのビジョンの下で、事業を行ってきたことを紹介した。例えば、海軍種間の「乗艦協力プログラム」、陸軍種を中心とした「HA/DR招へいプログラム」、空軍種間の「プロフェッショナル・エアマンシップ・プログラム」があり、全軍種間の信頼醸成や知見共有に貢献してきたことを確認した。
  5. (5)その上で、岸大臣より、「ビエンチャン・ビジョン2.0」の下の新事業として「日ASEAN防衛当局サイバーセキュリティ能力構築支援事業」を発表した。岸大臣からは、自由、公正かつ安全なサイバー空間は、人々の自由な社会的・経済的活動を支える基盤であることを指摘した。また、パンデミックによって人と人の直接的コミュニケーションが阻害され、バーチャルな交流の手段への依存を高めており、サイバーセキュリティへの関心が一層高まっている中において、高まるサイバーセキュリティの脅威に対して、日ASEAN双方のサイバー空間におけるインシデント対応能力を向上させていくことを表明した。
  6. (6)ASEAN側の大臣から、岸大臣の大臣就任への祝意と、「日ASEAN防衛当局サイバーセキュリティ能力構築支援事業」に対して歓迎の意が示されるとともに、今後も「ビエンチャン・ビジョン2.0」の下で、より実践的な日ASEAN防衛協力を推進することへの期待が示された。

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