第6回IISS地域安全保障サミット

 榛葉防衛副大臣は、第6回IISS地域安全保障サミット(マナーマ対話)に出席し、「核廃絶に向けた日本の取組」と題してスピーチするとともに、インドの国家安全保障顧問、バーレーンの国防軍総司令官及び外相との会談を実施しました。

榛葉防衛副大臣の第6回IISS地域安全保障サミット出席及び二国間会談の実施について(概要)

平成21年12月16日

 12月12~13日、榛葉防衛副大臣はマナーマ(バーレーン)で行われた標記サミットに出席するとともに、参加国の政府関係者との二国間会談を行ったところ、概要次のとおり。

1 地域安全保障サミットにおけるスピーチ

 「核廃絶に向けた日本の取組」と題し、スピーチを英語で実施。
 なお、スピーチ後の質疑応答において、榛葉副大臣に対して、核兵器に関する現政権のスタンス、核密約と非核三原則との整合性、イランの核問題に対する我が国の政策、民生用原子力技術の普及のあり方等について質問あり。

2 政府関係者との意見交換

 インドの国家安全保障顧問、バーレーンの国防軍総司令官及び外相と個別に意見交換を実施。

(1)ナラヤナン・インド国家安全保障顧問との意見交換
 双方は、昨年10月のシン印首相訪日時に署名した「日印間の安全保障協力に関する共同宣言」に基づき、両国間の安全保障協力を促進するための具体策について、意見交換を実施。また、海上自衛隊とインド海軍との2国間及び多国間の共同訓練について、その重要性について認識を共有するとともに、海軍にととまらず、より広い分野での協力関係の深化について意見が一致。

(2)ハリーファ・バーレーン国防軍総司令官との意見交換
 双方は、海上自衛隊が実施している海賊対処活動や補給支援活動、海賊問題、イランの核開発疑惑及び日バーレーン間の防衛交流の強化等について意見交換。

(3)ハーリド・バーレーン外相との意見交換
 当方より、海賊対処活動に従事している海上自衛隊の艦船に対するバーレーンによる寄港許可等の支援と協力に感謝の意を表明。先方より、日本の常任理事国入りを支持すること、イランの核開発疑惑への対話については、5+1の枠組み(安保理常任理事国及びドイツ)に加え、中東地域の大国も関与させるべきと発言。

※ IISS:国際戦略問題研究所(英国)

第6回IISS地域安全保障サミット(平成21年12月12日(土)、於:バーレーン)

第6回IISS地域安全保障サミット
(平成21年12月12日(土)、於:バーレーン)

ハリーファ・バーレーン国防軍総司令官との会談(平成21年12月13日(日)、於:バーレーン)

ハリーファ・バーレーン国防軍総司令官との会談
(平成21年12月13日(日)、於:バーレーン)

ナラヤナン・インド国家安全保障顧問との会談(平成21年12月11日(金)、於:バーレーン)

ナラヤナン・インド国家安全保障顧問との会談
(平成21年12月11日(金)、於:バーレーン)

ハーリド・バーレーン外相との会談(平成21年12月13日(日)、於:バーレーン) 

ハーリド・バーレーン外相との会談
(平成21年12月13日(日)、於:バーレーン) 

第6回IISS地域安全保障サミット榛葉防衛副大臣スピーチ(平成21年12月12日、バーレーン)

第6回IISS地域安全保障サミット(マナーマ対話)における
榛葉防衛副大臣スピーチ
「 核 廃 絶 に 向 け た 日 本 の 取 組 」
(於:第3セッション「原子力、エネルギーと安全」)
(平成21年12月12日、バーレーン)

議長、御列席の皆様
 本マナーマ対話にお招きいただき、こうしたスピーチの機会を与えてくださったことに心より感謝いたします。
 本対話に日本の防衛省から現職の閣僚級が出席したことは私が初めてであると認識しております。私が今回初めて本対話に出席するに至ったのは、新政権が中東・アフリカ地域を重視している表れそのものであります。ご存じのとおり、我が国は石油輸入の9割を中東地域に依存しているとともに、資源・エネルギー輸入の殆どを海上輸送に依存しており、中東地域の平和と安定は我が国の安全保障にとっても極めて重要であります。そうした観点から、我が国はこれまで1996年以降13年間にわたりゴラン高原にPKO部隊を派遣し続けてきておりますし、湾岸戦争直後のペルシャ湾の機雷掃海や、インド洋における補給支援活動、イラクにおける人道復興支援活動等にも参加してきたところであります。今後とも、引き続き中東地域の平和と安定に我が国としても貢献していきたいと考えております。

(日本の基本的な核軍縮政策)
 さて、本日頂いたテーマは「核兵器の廃絶」ということですので、これに関する我が国の取組についてお話させていただきます。
 今日の国際社会においては核軍縮の機運が高まっています。この機運に拍車をかけたのが本年4月にオバマ大統領がプラハにおいて行った演説であることは紛れもありません。我が国は、オバマ大統領のプラハ演説を高く評価いたします。
 広島・長崎に原爆が投下されてから64年が経過しますが、両市においては、今なお放射能の後遺症に苦しめられている人が大勢います。我々日本人のアイデンティティーには核兵器が如何に悲惨で非人道的なものであるかが刻み込まれています。そのため、我が国は、世界で唯一の被爆国として、人類に多大な惨禍をもたらし得る核兵器が将来二度と使用されるようなことがあってはならないと強く主張してきているところであり、平和で安全な核兵器のない世界を目指しています。戦後復興を遂げた後も、1976年に核兵器不拡散条約(NPT)を批准し、非核保有国となる道を選択しました。さらに、「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則を堅持し、これまで過去15年間毎年国連総会に核廃絶決議案を提出するなど、核軍縮に積極的に取り組んでまいりました。本年も同様の決議案を提出しましたが、初めて米国が共同提案国となったことは極めて大きな前進であったと考えております。また、我が国においては、国レベルだけでなく地方レベルにおいても核廃絶のための運動が盛んに行われております。実に80%以上(約1,500)の自治体が非核宣言を行っており、核兵器の廃絶運動を推進しています。

(核兵器と日本の安全保障
 北朝鮮は2006年と本年の2回、核実験実施を発表し、核開発をさらに進展させているものと考えられます。北朝鮮以外にも、世界には、核開発を密かに推進している、あるいはその意図を持っていると言われている国々があります。
 こうした国々に対し、この場で是非とも申し上げたいと思います。NPTに違反又は脱退して新たに核兵器を保有しようとすることは、地域や国際社会の安定を阻害し、自国の安全保障をかえって危うくするものです。また、核兵器の凄惨さを唯一体験している国として、核兵器の非人道的側面を我が国は他のどの国よりも知っています。このような体験を人類が繰り返すことは決してあってはなりません。
 北朝鮮の核開発に対抗し、日本も核兵器を保有するようになるのではないかと懸念する声があると聞きます。北朝鮮の核開発は我が国の安全保障上重大な脅威を及ぼすものであり、断固として容認できるものではありません。また、確かに我が国は原子力の平和利用を推進してきており、核兵器を開発する潜在能力があると見られることもあります。しかしながら、我が国が核兵器を持つことはありません。防衛副大臣として、防衛戦略の観点から見ても、米国の拡大抑止の下、我が国にとって核兵器を持つことは百害あって一利なしと考えています。北朝鮮の核に対しては、あくまで六者会合を通じて検証可能かつ不可逆的な形で核放棄させていく道を我が国としては追求します。
 核兵器の廃絶は、人類の普遍的な目標であります。一方、現実の世界は、冷戦終了後20年が経過した今も、依然、理想世界からはほど遠く、多くの不透明、不確実な要因が存在しています。核廃絶への道は極めて長い道のりになることも否定できません。しかしながら、「チェンジ」の時代が来るべきです。世界の国々は、一歩、一歩、変化のためにチャレンジしていくべきだと思います。
 より重い責任を負う核兵器国に対し申し上げたいと思います。現在、米露間で核兵器削減交渉が行われておりますが、米露だけでなく、中国も含めたその他の核兵器保有国との間でも、多国間又は二国間の国際的な削減努力が行われることを期待します。

(原子力の平和利用)
 我が国は原子力の平和利用を推進してきております。気候変動に対処しつつエネルギー需要を満たす手段として、原子力は極めて有用なエネルギーです。如何なる国も自国のエネルギー需要を賄うために原子力を平和的に利用する権利を有しています。ただし、それはNPT体制の下で厳格なIAEAの保障措置の適用義務を履行し、これを完全に実施する場合にのみ認められるものであることを強調したいと思います。我が国は1963年に原子力の平和利用を開始し、1977年にIAEAとの保障措置協定が発効して以来、全ての原子力関連施設について申告し、約30年にわたりIAEAの保障措置を完全に受け入れてきております。
 原子力を平和利用する権利が認められるためには、その国際的な義務が果たされる必要があると同時に、周辺諸国等に核兵器開発の疑惑を招くようなことがあってはならないと考えます。

(核廃絶に向けて)
 核兵器の廃絶は、保有国の核軍縮努力だけで達成されるものではありません。国際テロリスト等非国家主体への核拡散の脅威が高まっている今日においては、国際社会全体で確実で隙のない核セキュリティ体制を構築していくことが不可欠です。来年4月に開催される核セキュリティ・サミットの米国によるイニシアティブを歓迎します。「拡散に対する安全保障構想(PSI)」も含め、こうした国際的な取り組みに対し、引き続き全面的に協力してまいりたいと考えています。
 また、そもそも国家主体・非国家主体を問わず、核兵器保有への欲求を根本から断ち切っていく努力もしていくことが必要です。そのために、日本の防衛副大臣として、アジアにとどまらず中東・アフリカ地域も含め、国際社会による地域の平和と安定のための努力に対して、自衛隊による貢献も常に議論のテーブルの俎上に乗せて、今後一層積極的に対応していきたいと考えております。

 ご静聴ありがとうございました。

Speech by H.E. Mr. Kazuya Shimba(English)

Speech by H. E. Mr. Kazuya Shimba, Parliamentary Senior Vice-Minister of Defense

Speech by H.E. Mr. Kazuya Shimba
Parliamentary Senior Vice-Minister of Defense
“Japan’s Efforts toward the Elimination of Nuclear Weapons”
(THIRD PLENARY SESSION “Nuclear Power, Energy and Security”)
At the IISS Regional Security Summit:(The 6th Manama Dialogue)
12 December 2009, Manama

(Introduction)

Mr. Chairman, Your Excellencies, distinguished guests, ladies and gentlemen; I wish to offer my heartfelt gratitude for the invitation to the Manama Dialogue and the opportunity to deliver this speech.

I am the first incumbent minister-level official from the Japan Ministry of Defense to attend this dialogue. Indeed, the new administration places great importance on the Middle East and Africa, and my first attendance at this dialogue, is the manifestation of this point. As you may be aware, Japan depends on the Middle East for 90% of its petroleum imports, and relies on maritime transport for almost all of its natural resource and energy imports. As such, peace and stability in the Middle East is extremely important to our national security. From that perspective, the Ministry of Defense has continuously deployed units for peacekeeping operations to the Golan Heights for thirteen years since 1996; and has participated in a minesweeper mission to the Persian Gulf immediately after the First Gulf War, replenishment support activities in the Indian Ocean, and humanitarian and reconstruction support activities in Iraq. It is thus Japan’s intent to continuously contribute to the peace and stability of the Middle Eastern region.

(Japan’s Basic Policy on Nuclear Disarmament)

Today, I have been given the topic of “the elimination of nuclear weapons” and so I will talk about our nation’s approach to this issue.

There is increasing momentum in the global community today for nuclear disarmament and it is apparent that US President Barack Obama’s speech in Prague last April boosted such momentums. President Obama’s Prague speech is regarded highly in Japan.

Mr. Chairman, 64 years have gone by since nuclear bombs were dropped on Hiroshima and Nagasaki, yet there are still many people in these two cities who continue to suffer from the aftereffects of the radiation. The cruelty and inhumanity of nuclear weapons has been etched into our national identity. That is why Japan, the only nation that has suffered from nuclear attacks, has continued to insist that nuclear weapons, which can cause an enormous catastrophe for humanity, must never be used again; and has sought to create a peaceful and safe world where nuclear weapons no longer exist. After our postwar economic recovery, we ratified the Nuclear Non-Proliferation Treaty in 1976, choosing the road of a nuclear weapon-free state. Moreover, we have done our utmost for the cause of nuclear disarmament by holding steadfastly to the Three Non-nuclear Principles: Japan will not possess nuclear weapons, will not produce nuclear weapons and will not allow nuclear weapons into Japan. Also, Japan has submitted resolutions to the UN General Assembly that advocate the elimination of nuclear weapons each year for the last 15 years. This year, we submitted yet another one of these resolutions and the participation, for the first time, of the United States as a co-sponsor was a significant step forward. In Japan, activities aimed at the elimination of nuclear weapons thrive at the local as well as national levels. In fact, more than 80% (approximately 1,500) local governments in Japan have issued declarations renouncing nuclear weapons and are promoting activities aimed at the elimination.

(Nuclear Weapons and Japan’s National Security)

North Korea has announced that it conducted two nuclear tests, once in 2006 and another this year and it is believed that it has been further advancing its nuclear weapons development. Besides North Korea, some countries are thought to be secretly promoting nuclear programs, or harboring such ambitions.

I would like to say this to those states: Attempting to possess nuclear weapons by violating or withdrawing from the NPT impedes the stability of the region and the international community, and in fact endangers their own national security. As the only nation that has experienced the gruesomeness of nuclear weapons, we know their inhumanity more than any other nation. Humankind must never repeat this experience.

I have heard that there are worries that Japan, in response to North Korea’s nuclear development, may come to possess nuclear weapons itself. North Korea’s nuclear development is a serious threat to our national security, and cannot in any way be tolerated. Moreover, Japan has promoted the peaceful use of nuclear energy and is sometimes said to have the capacity to develop nuclear weapons. However, there is no way that Japan will possess nuclear weapons. As Parliamentary Senior Vice-Minister of Defense and from the perspective of our defense strategies, possessing nuclear weapons, under the extended deterrence of the United States, would do nothing but harm to our nation. With regard to the North Korean nuclear issue, Japan will continue to pursue the path of nuclear disarmament in a verifiable and irreversible manner through the Six-Party Talks.

The elimination of nuclear weapons is a universal goal of humankind. However, the reality is that 20 years after the end of the Cold War, the world around us is far from ideal, and much opacity and uncertainty exists. It is undeniable that the road to the elimination of nuclear weapons is going to be a long one. Nevertheless, the era of change must come. I believe that all the nations of the world should challenge for the sake of change step by step.

I wish to say this to the nuclear weapon states, who bear a particularly heavy responsibility: Nuclear reduction negotiations are being conducted between the United States and Russia. We hope that not only the United States and Russia but other states possessing nuclear weapons including China will also undertake multilateral or bilateral reduction efforts.

(Peaceful Use of Nuclear Power)

Japan has promoted the peaceful use of nuclear power, which is a highly useful energy source as a means to combat climate change and satisfy our energy requirements. All nations have the right to use nuclear power for peaceful purposes in order to satisfy domestic energy needs. However, I wish to emphasize the point that such a right will only be recognized if they fulfill their obligations under the strict safeguards of the International Atomic Energy Agency and implement them in their entirety. As for Japan, our nation inaugurated the peaceful use of nuclear energy in 1963, and has declared all nuclear and related facilities, fully accepting the safeguard measures of the IAEA for three decades since the Safeguards Agreement with the IAEA came into effect in 1977.

In order for the right to use nuclear power for peaceful purposes to be recognized, corresponding international obligations must be fulfilled. We believe that suspicions of nuclear weapons development must not be aroused among one’s neighbors or elsewhere.

(Towards the Elimination of Nuclear Weapons)

The elimination of nuclear weapons cannot be achieved solely through the nuclear disarmament efforts of nuclear weapons states. Today, as the threat of nuclear proliferation among international terrorists and other non-state entities rises, it is essential for the entire global community to work together to build a secure and thorough nuclear security system. Japan welcomes the US initiative to host the nuclear security summit in April next year. Japan intends to continue to cooperate fully in such international undertakings including the Proliferation Security Initiative.

Finally, it is necessary for all parties, both state and non-state actors, to work towards giving up any desire to possess nuclear weapons at its roots. To this end, as Parliamentary Senior Vice-Minister of Defense of Japan, I intend to be more proactive than ever in the efforts for regional peace and stability of not only Asia but also the Middle East and Africa, by always placing contributions by the Japan Self-Defense Forces on the agenda.

Thank you very much.