日本国防衛省とカナダ国防省との防衛協力に関する共同声明(仮訳)

英語版/English

令和元年6月3日
防衛省

  • 1.岩屋毅日本国防衛大臣とハージット・シン・サージャン・カナダ国防大臣は、2019年6月3日、東京において二国間会談を行った。両大臣は、ここ数年の日加防衛協力の顕著な成果を強調し、2010年に署名された「政治・平和及び安全保障協力に関する日加共同宣言」の下に遂げられた、防衛交流・協力の進展を歓迎した。両大臣は、昨年署名された日・加物品役務相互提供協定(日加ACSA)の意義を強調し、日加修好90周年の今年、日加防衛当局間の関係を新たな段階に引き上げる意図を確認した。
  • 2.両大臣は、ここ数年で実現した以下の3つの注目すべき進展を強調し、包括的で活性化したルールに基づく国際秩序に裏打ちされた、自由で開かれたインド太平洋を共同で推し進めていくことで一致した。
    • (1)本年4月、両首脳は、日加関係が安全保障・経済の両面で強化されていることを歓迎しつつ、日加の戦略的パートナーシップを強化していくことを再確認し、自由で開かれたインド太平洋を維持するための共通のビジョンについて協議した。
    • (2)昨年12月に発表された日本の防衛計画の大綱において、カナダとは共同訓練・演習、二国間で連携した第三国との協力等を推進する旨の意思が示された。
    • (3)2017年に発表されたカナダの国防政策において、アジア太平洋地域におけるカナダのプレゼンス及び関与を強化するとのコミットメントが強調された。
  • 3.両大臣は、自由で開かれたインド太平洋のためのビジョンを支持するため、戦略的視点を日加両国で共有し、第三国と緊密に連携した能力構築や訓練の取組などを通じて、両国で連携して第三国との協力を追求する意向を確認した。

防衛協力・交流

4.両大臣は、締結に関する日加両国の国内手続が最近終了したことを受けて発効する日加ACSAにより、自衛隊とカナダ軍との緊密な協力が更に促進されることを歓迎し、以下の分野で、両国の防衛協力を次のレベルに引き上げるとのコミットメントを確認した。

(1)平和維持分野

両大臣は、日加それぞれの訓練課程への相互人員派遣による、平和維持分野での協力関係の進展を歓迎した。 さらに、両大臣は、両国の能力構築の取組における相互の人員派遣を通じた、協力関係の更なる発展を歓迎した。これは、以下を含む:

  • a. インドネシアで開催されたカナダの軍事訓練協力プログラム(MTCP)戦略的平和支援活動課程への昨年8月の自衛官の講師としての参加及びマレーシアで開催されたMTCPの女性・平和・安全保障課程への本年1月の自衛官のオブザーバーとしての参加
  • b. モンゴルで開催された日本の施設分野の能力構築支援事業への昨年8月のカナダ軍隊員のオブザーバーとしての参加

平和維持における日加防衛関係を更に深化させるため、両大臣は、日加で協調して第三国との協力を推進することで一致した。両大臣は、カナダのMTCP及び日本の関連プログラムを通じた、能力構築の取組における相互的な協力の可能性について、第三国と緊密に連携しつつ、調整し、検討する意思を確認した。
 両大臣は、日本が貢献している「国連PKO支援部隊早期展開プロジェクト(アールデック)」に関して、協力の分野を検討する意思を表明した。

(2)共同訓練及び部隊間交流

 
a. 海上自衛隊とカナダ海軍との間の交流
 両大臣は、一昨年来の定期的な日加共同訓練「KAEDEX」の開催及び昨年の日米共同統合演習「キーン・ソード2019」へのカナダ海軍の初参加を始めとする、特にここ数年における海軍種間での訓練の増加及び発展を歓迎した。また岩屋大臣は、一昨年の加海軍潜水艦による約50年ぶりの日本への寄港及び加海軍フリゲートによる日本への定期的な寄港を歓迎した。
 両大臣は、インド太平洋地域における海上自衛隊及びカナダ海軍のプレゼンスの顕示は、法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序に貢献するという点で重要であることを確認し、カナダ艦艇が同地域に展開する機会を捉え、共同訓練を継続する意向を強調した。この努力においては、ASEAN及びその他の国々とも共に取り組むという意思を確認した。
b. 航空自衛隊とカナダ空軍との間の交流
 両大臣は、昨年、空自航空機が二度カナダに寄航し、部隊間交流を実施したことに留意し、今後も航空機による相互訪問の機会を捉えた部隊間交流を継続することを確認した。
 両大臣はまた、将来的に、共同訓練実施の可能性を追求する方針で一致した。
c. 陸上自衛隊とカナダ陸軍との間の交流
 両大臣は、カナダ軍が豊富な経験及び知識を有する平和維持分野において、陸軍種間の交流の更なる可能性を追求する意思を確認した。
d. 自衛隊とカナダ軍との協議
 両大臣は、統合・海・空軍種間のスタッフ・トークスを定期的に開催することの重要性を確認した。両大臣は特に、統合軍種間のスタッフ・トークスが本年5月に13年ぶりに開催されたことを評価した。今後はこれらの協議をより頻繁に開催することにコミットした。

(3)人道支援・災害救援(HA/DR)

 2009年に「人道支援及び災害救援活動の支援のための標準運用手続に関する日本国政府とカナダ政府との間の協力覚書」が作成された点、また将来、両国が再び自然又は人為的な災害に対応することが求められる可能性が高い点に留意し、両大臣は、日加がHA/DR分野において協力する基盤を有していることを認識した。
 この認識に基づき、両大臣は、緊密な連携及びベスト・プラクティスの共有により、両国の対応メカニズムを高める重要性を強調した。両大臣は、国際的な災害救援活動における協力を促進するため、大規模演習へのオブザーバー参加または本参加など、訓練の機会を追求することを確認した。

(4)教育及び研究交流

 両大臣は、双方の国防教育・研究機関の間で学生・研究者の交流が定期的に行われていることを歓迎し、今後も継続していくことにコミットした。両大臣は、日加安全保障シンポジウムやハリファックス安全保障フォーラム等、両国で開催される安全保障分野のフォーラムの場を活用してインド太平洋地域の安全保障環境に対する共通の戦略的視点を醸成することの重要性を強調した。

(5)ハイレベル対話及び相互訪問

 両大臣は、シャングリラ・ダイアログを含む国際安全保障に関する会議や相互訪問の機会を捉え、閣僚級の政治及び戦略的な防衛対話を定期的に開催する意思を表明した。両大臣はまた、日カナダ次官級「2+2」対話を継続して実施することを再確認した。

地域情勢

5.両大臣は、関連国連安保理決議に従った北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な方法での廃棄(CVID)に対するコミットメントを確認した。両大臣は、最近の北朝鮮による短距離弾道ミサイルの発射について、両国の見方を共有し、防衛当局として引き続き警戒することを確認した。両大臣は、北朝鮮が引き続き国連安保理決議に違反しているという見方を共有し、国連安保理決議の完全な履行のため、北朝鮮による違法な瀬取りを含む制裁回避について、協力して対処していく意思を確認した。サージャン大臣は、カナダ軍の艦艇、航空機及び隊員を今後2年間にわたって一定期間派遣する、先般承認された「オペレーション・ネオン(NEON)」を通じて、国連安保理の諸決議により禁止された違法な海洋活動に対して取り組む多国間のイニシアチブへの参加を更新するカナダの決定を強調した。岩屋大臣は引き続きのカナダ軍による貢献を歓迎した。

6.両大臣は、東シナ海及び南シナ海における状況に関する深刻な懸念を表明するとともに、南シナ海での係争のある地形の軍事化を含む、緊張を高め、地域の安定を損なう一方的な行動への反対を表明した。また、両大臣は、非軍事化及び自制、航行・上空飛行の自由、国連海洋法条約(UNCLOS)等の関連国際法に基づく紛争の平和的解決の重要性を再確認した。さらに南シナ海に関し、行動宣言(DOC)の完全かつ実効的な実施を求め、また南シナ海行動規範(COC)が国連海洋法条約を含む国際法に整合的な、COC交渉非参加国の権利を予断しないものであるべきという点を強調した。

 両大臣は、上記の分野における防衛協力の推進のため、実務者間で引き続き連携することを指示し、会談を終えた。