(2)インド太平洋地域での主要訓練

 インド太平洋地域の安定的な発展は、世界の安定と繁栄にとって不可欠です。各自衛隊では、「自由で開かれたインド太平洋」というビジョンの下、米国・豪州・インド、そして、英・仏といった欧州諸国等とも連携しつつ、東南アジア・南アジア・太平洋島嶼国を始めとする国々とインド太平洋地域において共同訓練を精力的に実施しています。
 一方的な現状変更が継続する南シナ海では、2017年から「いずも」型護衛艦を長期派遣する「インド太平洋方面派遣(IPD:Indo-Pacific Deployment)」を開始し、東南アジア各国や豪州・インド等との共同訓練や重要港湾への寄港を通じ、自由で開かれた海洋秩序を維持・強化しています。太平洋島嶼地域では、米国・友好国との人道支援・災害救援共同訓練や自衛隊アセットの寄港・寄航を推進しています。

海自の訓練…青空自の訓練…水色統合訓練…紫
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1.日米印豪共同訓練(マラバール2021)

2007年から海上自衛隊が参加し、日米印3か国の訓練として実施してきた「マラバール」は、2020年に引き続き2021年も日米印豪4か国で、太平洋及びインド洋に分けて共同訓練を実施。フェーズ1前段では、海上自衛隊の特別警備隊が「マラバール」に初参加し、グアムにおいて参加国の特殊部隊や艦艇等と各種戦術訓練を実施。フェーズ1後段では、フィリピン海において参加国海軍艦艇等と対潜戦訓練などを実施。フェーズ2では、海自インド太平洋方面派遣部隊(IPD21)が、ベンガル湾において空母「カール・ヴィンソン」を含む参加国海軍艦艇等と対水上戦訓練などを実施。一連の訓練を通じて、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に資する日米印豪の連携を強化。

2021.8-9 フェーズ1

2021.10 フェーズ2

2. パキスタン海軍主催 多国間共同訓練AMAN21

2021.2

◆我が国と「自由で開かれたインド太平洋」というビジョンを共有する米国・英国や、インド太平洋地域に位置する東南アジア諸国や中東諸国、中国、ロシアといった幅広い国が参加する多国間共同訓練AMAN 21に海上自衛隊も参加。アラビア海北部の海域において、米国、英国、インドネシア、フィリピン、中国、ロシアなどの艦艇・航空機とともに戦術運動訓練などを実施。

3. 日仏米豪印共同訓練 (ラ・ペルーズ21)

2021.4

◆ベンガル湾において、仏主催の海軍種による多国間共同訓練「ラ・ペルーズ」を実施。フランス・米国・豪州・インド海軍艦艇とともに、対空戦、対水上戦、洋上補給訓練等を実施し、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化という我が国の意思を具現化するとともに、基本的価値を共有する日仏米豪印5か国の連携・結束を強化。

4. 令和3年度インド太平洋方面派遣(IPD21)主要実績

◆護衛艦「かが」を中心とする部隊をインド太平洋地域に長期派遣し、インド太平洋地域の国々や同地域に艦艇を派遣している欧州主要国の海軍等との共同訓練を実施。今年度のIPDでは初めて太平洋島嶼国地域を訪問し、パラオ共和国や仏領ニューカレドニアに寄港し、親善訓練も実施。これらの取組を通じて、自由で開かれた海洋秩序の維持・強化に貢献。

2021.8-11

護衛艦「かが」
護衛艦「むらさめ」
護衛艦「しらぬい」

①日パラオ親善訓練

②日仏共同訓練「オグリ・ヴェルニー」

③日独共同訓練

④日スリランカ共同訓練(JA-LAN EX)

⑤日印共同訓練(JIMEX)

⑥日越親善訓練

5.南シナ海における共同訓練

日米英蘭加NZ共同訓練

2021.10

IPD21部隊が、英空母「クイーン・エリザベス」を中心とする英空母打撃群(CSG21)と南シナ海を共同巡航しつつ、洋上補給訓練などを実施。本訓練を通じて、我が国と基本的価値や戦略的利益を共有する米英等との間で、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化 に向けた結束が不可逆的であることを示した。

日米豪共同訓練

2020.10

海自護衛艦が米豪の艦艇とともに、南シナ海を共同巡航しつつ、各種戦術訓練を実施。力を背景とした一方的な現状変更の試みに対し強く反対するという考えを共有する日米豪3か国の連携・結束を明確に示した。

6.日比人道支援・災害救援共同訓練

2021.7

空自機がフィリピンに寄航し、比国空軍と人道支援・災害救援活動に関する共同訓練を実施。日比の空軍種間で共同訓練を実施するのは今回が初。「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向けた二国間の防衛協力の進展を目に見える形で示した。2021年は、9月に陸上自衛隊が米比共同訓練「カマンダグ」に参加し、9~10月には海上自衛隊が米比共同訓練「SAMA SAMA」に参加し、陸海空3自衛隊がフィリピンと共同訓練を実施し、強固な日比関係を示した。

7.コープ・ノース22

航空自衛隊はグアムを拠点とする共同訓練「コープ・ノース」を継続的に実施。同訓練は2つの訓練(日米豪共同訓練、人道支援・災害救援共同訓練)から構成される。1999年の開始当初は日米2国間の共同訓練であったが、2012年以降、豪州軍も参加。2022年の「コープ・ノース22」では、日米豪共同訓練に航空自衛隊からF-2戦闘機やF-15戦闘機及び海上自衛隊US-2等が参加し、防空戦闘訓練及び捜索救難訓練を実施。また、仏軍も加わり、日米豪仏の4か国で人道支援・災害救援に係る共同訓練を実施。「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に資するため、日米共同対処能力、日米豪間の相互運用性、人道支援・災害救援活動に係る参加国との連携要領及び部隊の能力の向上に大いに貢献。

日米豪共同訓練


2022.2

人道支援・災害救援共同訓練

8. ミクロネシア連邦等における人道支援・災害救援共同訓練(クリスマス・ドロップ)

航空自衛隊は米空軍がグアムを拠点として実施している人道支援・災害救援に係る物料投下訓練に2015年から参加。2021年は12月に、C-130輸送機によりミクロネシア連邦、パラオ共和国及び北マリアナ諸島の海上へ物量投下訓練として寄付物資を投下。本訓練を通じ、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化のため、太平洋島嶼国との関係を一層推進。

2021.12

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