移転補償制度の紹介

建物等の移転とは

移転の対象となる区域は、自衛隊や在日米軍等の航空機の離陸、着陸等のひん繁な実施により生ずる音響により、その障害が特に著しいと認めて防衛大臣が指定する区域で、第2種区域といいます。 移転は、この第2種区域(※)を対象とした抜本的な騒音対策として、第2種区域外に移転を希望される方々に対して、建物等の補償や、土地の買入れを行うものです。これにより、飛行場から離れた、騒音のない地域への移転を図っていこうとする制度です。次の略図に示す区域が移転対象区域(第2種区域)です。

指定区域説明図

注:WECPNL値は、航空機の騒音の基準です。その内容は、音響の強度、ひん度、継続時間、発生時間帯等の諸要素を加味した騒音の評価基準(加重等価継続感覚騒音基準)です。(一般に「うるささ指数」といいます。)

第2種区域を対象
第2種区域はうるささ指数であるWECPNL値が90W以上の区域であり、第3種区域は、うるささ指数であるWECPNL値が95W以上の区域を対象として防衛大臣が指定した区域のことです。なお、このホームページで紹介しております第2種区域は、第3種区域を含む区域です。

移転対象物件

(1) 建物等の補償について

第2種区域の指定のとき、すでにその区域内に所在している建物等が、補償の対象となります。
補償の対象物件は、下表の項目のうち、該当する項目です。物件ごと、補償費を算定します。

区分 内容
1 建物 居宅、事務所などで、電気設備、給排水設備を含みます。
2 工作物 門、塀、井戸など
3 立木竹 庭木、生垣など
4 動産 屋内動産(家具、衣類など)、一般動産(自転車、農機具など)
5 移転雑費 法令上の諸手続経費(※1)、 就業不能補償(※2)、 先地選定費(※3)、 移転通知費(※4)など
6 営業補償 一時休業に伴う補償など

借家等にお住まいの方には、動産の移転費用等が補償の対象となります。

(2) 土地の買入れについて

区分 買上げの対象 概要
第2種区域内
(第3種区域を除く)
宅地 区域指定のとき、宅地であるものに限ります。
宅地以外の土地 建物等の移転に伴い、従来の利用目的に用いることが著しく困難となるものに限ります。
第3種区域内 すべての土地  

実例の紹介
■家屋の移転補償

自衛隊又は在日米軍の飛行場等などの周辺で、航空機の音 が著しくうるさい区域(第二種区域)で移転を希望する方 の家屋の移転補償や土地の買入れを行います。

移転補償等説明図
家屋の移転補償

申込手続

(1) 移転希望の申出

移転を御希望される方は、お近くの防衛事務所等を通じて防衛局に申し出ください。(お問い合せ先は、「移転対象区域」に記載しています)

(2) 移転の手続

下表のフローチャートに沿って手続します。
なお、皆さんが直接、手続する項目は、原則右欄に書かれた項目です。

移転の手続フローチャート

注:表中の局とは防衛局及び防衛支局。事務所とは防衛事務所を表します。

(3) 補償金の支払等について

建物等については、移転又は除去された後に、また土地については、国へ所有権移転登記完了後に支払となります。
また、一定の制限はありますが、前金制度もありますので、ご相談ください。
なお、法5条による移転措置により、国で買い入れた土地の譲渡所得については、2千万円まで租税の特別控除を受けることができます。(詳細は税務署等にご相談ください)

根拠法令

移転は、次の法律や政令等の規定に基づいて実施されています。

法律

 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律(抜粋)
(昭和四十九年法律第百一号)

(移転の補償等)

第五条 国は、政令で定めるところにより第一種区域のうち航空機の離陸、 着陸等のひん繁な実施により生ずる音響に起因する障害が特に著しいと認めて防衛大臣が指定する区域(以下「第二種区域」という。) に当該指定の際現に所在する建物、立木竹その他土地に定着する物件(以下「建物等」という。)の所有者が当該建物等を第二種区域以外の区域に移転し、 又は除却するときは、当該建物等の所有者及び当該建物等に関する所有権以外の権利を有する者に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、 当該移転又は除却により通常生ずべき損失を補償することができる。

2 国は、政令で定めるところにより、第二種区域に所在する土地の所有者が当該土地の買入れを申し出るときは、予算の範囲内において、当該土地を買い入れることができる。

3 国は、地方公共団体その他の者が第二種区域内から住居を移転する者の住宅等の用に供する土地に係る道路、水道、排水施設その他の公共施設を整備するときは、予算の範囲内において、その整備に関し助成の措置を採ることができる。

附則
(施行期日

  1. この法律は、公布の日から施行する。
    (防衛施設周辺の整備等に関する法律の廃止)
  2. 防衛施設周辺の整備等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十五号。以下「旧法」という。)は、廃止する。
    (旧法の廃止に伴う経過措置)
  3. この法律の施行の際、現に旧法第五条第一項の規定により指定されている区域は、第五条第一項の規定により指定された区域とみなす。この場合において、同項の規定の適用については、当該区域の指定の時は、旧法第五条第一項の規定により当該区域が指定された時とする。

参考:旧法

防衛施設周辺の整備等に関する法律(抜粋)
(昭和四十一年法律第百三十五号)

(特定飛行場周辺の移転の補償等)

第五条 防衛施設庁長官は、自衛隊等が使用する飛行場(公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律(昭和四十二年法律第百十号)第二条に規定する特定飛行場を除く。)で政令で定めるものの周辺における住民のこうむる障害の軽減に資するため、当該飛行場の周辺の一定の区域を、政令で定めるところにより、指定することができる。

2 国は、政令で定めるところにより、前項の指定の際現にその指定に係る区域(以下この条において「指定区域」という。)に所在する建物、立木竹その他土地に定着する物件(以下この項において「建物等」という。)の所有者が当該建物等を指定区域以外の区域に移転し、又は除却するときは、当該建物等の所有者及び当該建物等に関する所有権以外の権利を有する者に対し、予算の範囲内において、当該移転又は除却により通常生ずべき損失を補償することができる。

3 略

政令

防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律施行令(抜粋)
(昭和四十九年政令第二百二十八号)

(移転等の補償の対象とする物件)

第九条 法第五条第一項の規定による補償は、同項に規定する第二種区域のうち法第六条第一項に規定する第三種区域以外の区域に所在する立木竹その他土地に定着する物件(建物を除く。)にあつては、建物と一体として利用されているものに限り、行うことができる。

(買入れの対象とする土地)

第十条 法第五条第二項の規定による買入れは、同条第一項に規定する第二種区域のうち法第六条第一項に規定する第三種区域以外の区域に所在する土地にあつては、次のいずれかに該当するものに限り、行うことができる。

一 宅地(法五条第一項の規定による指定の際(法附則第四項の規定により第二種区域とみなされた区域に所在する土地にあつては、旧防衛施設周辺の整備等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十五号。以下「旧法」という。)第五条第一項の規定により当該区域が指定された際)宅地であるものに限る。)

二 法第五条第一項の規定による補償を受けることとなる者が、当該補償に係る物件の移転又は除却により、その物件の所在する土地以外の土地(前号に掲げる宅地を除く。)でその者の所有に属するものを従来利用していた目的に供することが著しく困難となる場合におけるその土地。