インド太平洋の平和と繁栄のための防衛コミュニティの役割

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予定稿のため実際の大臣の発言とは一部表現が異なり得ます

パパロ司令官、ご列席の皆さま。日本国防衛大臣の小泉進次郎です。

1 一つの海の歴史

私は今、深い感慨とともにこの場に立っています。

アメリカは今年、建国250周年を迎えます。心から祝意を表します。

そして日米同盟は、今年、75周年を迎えます。

サンフランシスコ平和条約署名75周年でもあります。

80年前、ここ真珠湾を含め、太平洋全域の戦火の中で、日米を含む世界中の若者たちが命を落としました。

しかし見てください。

今日、私たちは、世界で最も強固な同盟国として、最も親密な友人として、ここに肩を並べて立っています。

かつて硫黄島では熾烈な戦闘が繰り広げられました。今、その硫黄島で毎年、日米合同で慰霊式典が行われています。このような例は世界で日米以外にありません。昨年は私の友人ピートが国防長官として初めて出席してくれました。

私もここに来る直前、パンチボウル国立太平洋記念墓地を訪れ、戦没者の方々に心から敬意と哀悼の意を表し、献花をしてきました。

これが真の和解の力です。これが平和の力です。

私が生まれ育ったのは横須賀です。

160年前、ペリー提督が太平洋を越えて浦賀に来て、日米の歴史が始まった、まさにその場所です。

そして今、横須賀には陸海空の自衛隊と米第七艦隊の司令部があります。

昨年10月、私が防衛大臣に就任した直後、トランプ大統領、へグセス戦争長官、そしてここにおられるパパロ司令官と初めてお会いしたのも、横須賀でした。

私にとって、日本の国防、そして日米同盟は、潮風とともに感じてきた「日常」です。そして、私の政治家としての「原点」でもあります。

今日、米国にとって、日米同盟にとって、そして世界にとって重要なこの年に、日本とアメリカが共に抱く太平洋の潮風を肌に感じながら、皆さまの前に立てること。

このことを心から光栄に思います。

2 二つの海が直面する現実

今、インド太平洋は、危機に直面しています。

誰もがそれを感じています。

第一に、軍事的威圧の常態化です。

周辺国は不透明な軍備増強を続け、地域の軍事バランスは、大きく、そして急速に変化しています。

東シナ海、南シナ海で、力による現状変更の試みが続いています。

太平洋の西側や南側での挑発的軍事活動も活発化しています。

第二に、あらゆるものの武器化です。

経済の武器化、技術の武器化、資源の武器化、情報の武器化、そしてサイバー空間の武器化。

平時と有事、軍事と非軍事、正しい情報とフェイク・ニュースの境界線は、もはやはっきりとは見えません。

私たちは、既にそういう時代に生きています。

第三に、不確実な時代がはじまっています。

不確実性の高まりという言い方では済まない、不確実な時代です。

今、世界中で戦争一歩手前の緊張が生じています。

侵略者の考えは民主主義の下で生きる我々には予測しがたい。

侵略者も我々の意志の強さを見誤るかもしれない。

明日、何があってもおかしくない。皆さまも同様と思います。

私たちは、この現実に正面から立ち向かい、地域の平和と安定を確保していかなければなりません。

3 FOIPの実現

歴史を振り返ると、困難な時代にこそ、新しい秩序は生まれてきました。

今日、私は皆さまと決意を共有したい。

私たちにも、より良い秩序を創り上げることができる。

私たちには3つの力(strength)があります。

第一に、「自由で開かれたインド太平洋」、FOIPという明確なビジョンです。

Free、すなわち、どんな国も、力による威圧から自由であり続ける。

Open、すなわち、すべての国が、自らの意志で協力でき、そして貢献できる。

このビジョンは、我々防衛コミュニティを導く道しるべです。

第二に、日米同盟があります。

今、日米同盟は歴史上もっとも強固になりました。

両国の防衛力、そして日米同盟は、今も今後も、インド太平洋地域、そして世界の平和と繁栄を支え続ける強大な力であり続けます。

第三に、「力による平和」です。

へグセス長官が明言しているように、これは「US alone」ではありません。

志を同じくするすべての国と力を合わせ、地域と世界の平和と繁栄を支えていこうという力強い決意です。

私は確信しています。

この三つの力、FOIP、日米同盟、そして「力による平和」が重なり合った時、地域の平和と繁栄はさらに確かなものとなるのです。

私たちには、この三つの力をともに広げていく仲間がいます。

それは、今日この会場に集まっていただいた、すべての志を同じくする方々です。

そして、今、「自らの未来は自分で選び取る」という覚悟を新たにしているインド太平洋地域の多くの国々です。

多くの国々が、自ら防衛力を強化し、防衛産業を育てています。

訓練や運用、装備品や産業基盤の強化に懸命に取り組んでいます。

この新しいダイナミズムをつないでいくのが、我々防衛コミュニティではないでしょうか。

各国の自主的な努力を網の目のようにつなげ、相互連結性を高め、シナジーを生み出していく。

このネットワークを、地域全体で幾重にも重ねていく。

これにより、災害を含め、危機に対する強靭性を地域全体で高めていく。

一部の国が嫌がらせや威圧に直面しても、地域全体で支える。

そんな強靭なインド太平洋地域を、一緒に作ろうではありませんか。

4 日本の役割

日本は、行動します。

第一に、日本自身が強くなります。

私たちは、防衛力の抜本的強化と防衛費増額に引き続き取り組むことにコミットしています。

昨年末の補正予算で、安全保障関係費の対GDP比2%を目標よりも前倒しで達成しました。

高市総理は、昨年10月の就任直後、日本の国家安全保障戦略の前倒し改定を指示しました。この指示の下、今年中に改定します。

そして、私たちは、いかなる危機にも、引き続き、毅然と、そして冷静に対応していきます。

第二に、日米同盟をさらに強化します。

日米の共同訓練はこの10年で二倍以上に増えました。

そして今、東はカリフォルニア州から、西はインド洋西部アデン湾に至るまで、インド太平洋地域全体で、日米はともに活動し、貢献しています。

私たちは、この日米同盟をさらに強化します。

指揮・統制枠組みを向上させ、平時から緊急事態に至るまで、あらゆる局面で日米の連携を一層強固にします。

とりわけ日本の南西地域での日米のプレゼンスを拡大します。

装備品を共同で生産・維持し、ともに産業基盤を強化していきます。

第三に、地域全体に多層的な相互連結性の網を広げていきます。

オーストラリア、韓国、インド、インドネシア、フィリピン。

これらの国々を含む、すべての仲間とともに、地域の各国と、訓練や運用、装備品や産業基盤の相互連結性を高め、シナジーを生み出していきます。

そして、日米豪、日米韓、日米豪比、日米豪印、また、ADMMプラス。

この地域には既にたくさんの枠組みがあります。これらを互いに連結させ、地域全体で大きな力に変えていきます。

サイバーや宇宙での協力を深め、地域の強靭性も高めていきます。

そして、今この連結性の網は、ヨーロッパにも広がっています。

5 3つの海がつながる時代

2007年、安倍総理はインドの国会で「二つの海の交わり」というスピーチを行いました。その中で、「太平洋とインド洋は、今や自由の海、繁栄の海として、一つのダイナミックな結合をもたらしている」、と訴えました。

今、この「二つの海」は、三つの海に広がっています。

太平洋、インド洋、そして大西洋です。

欧州の友人にお会いする際に当たり前のように出てくる言葉があります。

それは、「インド太平洋と欧州大西洋は一体不可分だ」という言葉です。

私は、昨日、日本の空挺部隊の降下訓練に、今回初参加のベルギー、トルコなどのほか、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ポーランド、イギリスなど十四ヵ国の国旗がたなびく姿を目の当たりにしました。

FOIPというビジョンは、もはやインド太平洋にとどまらないものになりました。

これが、FOIPが初めて提起されてから10年の間、我々が共になしとげてきたことです。

世界中が、インド太平洋地域の平和と繁栄を願っています。

この共通の願いが、私たちの道を照らす光です。

今日、FOIPの10年の節目に、私は皆さまの前で宣言します。

日本はFOIPを進化させます。この地域の平和と繁栄のために、私も防衛面から力を尽くしていきます。

最後に、今、アメリカではMake America Great Again、MAGAという言葉をトランプ政権の皆さまは大切にされています。

よろしければ、私のMAGAを皆さまに共有します。

Make the Alliance Great Always.

ありがとうございました。