日米拡大抑止協議

令和5年12月7日
防衛省

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  1. 2023年12月5日から6日まで、日米両政府は、日本政府主催の下、日本において、日米拡大抑止協議(EDD)を実施しました。日米は、日米同盟の中核である拡大抑止の維持・強化のあり方を議論するための恒常的な場として、2010年にEDDを設立しました。日本側は、宮本新吾外務省北米局参事官及び安藤敦史防衛省防衛政策局次長が、米国側は、アレクサンドラ・ベル国務省軍備管理・抑止・安定性局次官補代理(Ms. Alexandra Bell, Deputy Assistant Secretary, Bureau of Arms Control, Deterrence, and Stability, Department of State)及びリチャード・ジョンソン国防次官補代理(核及び大量破壊兵器対策担当)(Mr. Richard Johnson, Deputy Assistant Secretary of Defense for Nuclear and Countering Weapons of Mass Destruction Policy, Office of the Secretary of Defense, Department of Defense)が共同議長を務め、日米双方の安全保障政策部局や軍備管理担当部局に加え、自衛隊、米戦略軍、米インド太平洋軍及び在日米軍を含む関連部局の担当者が出席しました。
  2. 双方は、北朝鮮による度重なる弾道ミサイルの発射、中露間及び露朝間の軍事的連携の強化等に示される、一層厳しさを増す地域の安全保障環境の中で、日米同盟の抑止力・対処力を強化し続ける必要があることで一致しました。本協議は、米国の2022年の「核態勢の見直し(NPR)」において述べられているとおり、米国の拡大抑止を強化するものです。日本側から、本協議を通じて、日本の能力によって強化される米国の拡大抑止を継続的に向上させていきたい旨述べ、米側から、日米安全保障条約の下での日本の防衛に対する米国のコミットメントが改めて表明され、統合抑止に関する同盟の着実な進展が強調されました。
  3. その上で、日米双方は、拡大抑止に関する突っ込んだ議論を行い、二国間の協議を一層強化するための取組について意見を交換するとともに、関連する具体的な協力を更に向上させる方策について協議を行いました。また、双方は、地域の安全保障環境に関する評価を共有し、地域における抑止に貢献する同盟の通常戦力及び米国の核能力を検討し、同盟の戦力態勢の最適化及び抑止効果を増大させる活動の重要性を強調しました。また、地域における核戦力が多様化・拡大するにつれて、一層深刻化・複雑化する核リスクに対応する、戦略的な軍備管理及びリスク低減に関するアプローチについて議論を行いました。
  4. 米国は、米国の戦略アセットの地域における抑止効果を強化するとのコミットメントを改めて表明しました。日米双方は、日米同盟が、潜在的な攻撃への防衛と、核使用への抑止を更に万全のものとするために、情報共有、訓練及び机上演習も含めた演習の向上を通じた、政治・外交・防衛における同盟協力を深化させる方途を引き続き追求していくことで一致しました。双方はまた、調整を向上させ、敵対するミサイル脅威に対する同盟の能力及び態勢を強化することを確約しました。
  5. 更に、双方は、同盟の抑止に関する取組及び危機管理を調整する方策を議論するためEDDの議題に定期的に含まれてきた、省庁間机上演習を今次協議でも実施しました。
  6. 代表団は、南西地域の防衛及び抑止において重要な役割を果たす陸上自衛隊相浦駐屯地及び崎辺分屯地の水陸機動団を視察し、水陸機動団の任務、水陸両用作戦能力等について説明を受け、南西防衛の重要性について共通の理解を深めました。