発表事項
本日は、私から防衛協力・交流について、ご説明をいたします。
現在の厳しい安全保障環境の下で、我が国の防衛を全うするためには、自らの防衛力を不断に強化するとともに、同盟国・同志国との連携を一層強化していくことが重要であると認識をしております。こうした認識の下、陸上自衛隊は本年8月から10月にかけて、各階層における防衛協力・交流を通じ、同盟国・同志国とのランドパワー・ネットワークの強化に取り組んでまいりました。
「人による協力・交流」として、米陸軍参謀総長代行ラネーブ大将の来日、米太平洋海兵隊司令官交代式時における米陸軍種の中央及び太平洋レベル全てのカウンターパートとの懇談、日米豪共同指揮所演習YS-91、韓国公式訪問及びオーストラリアで開催された陸軍参謀長シンポジウムを通じて、私自身も、各国陸軍種トップ等とのハイレベル交流を通じ、信頼関係の強化に努めてまいりました。
また、陸上幕僚副長による米陸軍協会年次総会への参加、陸上幕僚監部防衛部長による日米幕僚協議及びインド太平洋地域陸軍管理セミナーへの参加を通じて、相互運用性の向上等について認識の共有を図ってまいりました。
次に「部隊による協力・交流」として、特に共同訓練において、YS-91及び米豪軍との実動訓練オリエント・シールド26を実施し、共同対処能力及び作戦遂行能力の向上を図りました。
この3か月におけるこれらの取組は、それぞれを個別に実施するものではなく、交流や協議を通じて得られた成果を共同訓練につなげ、さらにその成果を次の交流・協議へと反映させることで、陸軍種間の協力関係をより実効的なものへと発展させるものです。
陸上自衛隊は、今後もこうした取組を有機的に連接させながら、我が国の安全及び地域と国際社会の平和と安定に寄与してまいります。
私からは以上です。
質疑応答
記 者:
有事の際の反撃能力として今年3月末に部隊配備された長射程スタンド・オフ・ミサイル「25式地対艦誘導弾」が、キーン・ソード27で初めて配備先以外の場所に展開されましたが、この目的とこうした動きが他国に対してどのようなメッセージになるとお考えですか。
陸幕長:
我が国は戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面をしており、我が国に侵攻する艦艇や上陸部隊を早期かつ遠方で阻止し、排除することが可能なスタンド・オフ防衛能力を迅速に構築することが急務となっております。こうした能力を保有することで、我が国を守り抜くという強固な意思と能力を示し、相手に攻撃を思いとどまらせる抑止力を高めることができ、我が国に対する武力攻撃そのものの可能性を低下させることができると考えております。その上で今般、25式SSMについては、健軍から大野原演習場の方に展開をしましたが、一般的に自衛隊の部隊というのは、状況に応じて平素の配備先から展開をして任務に当たるものであり、そのような一環として演習場などを活用して訓練を重ねていくということは非常に重要であると認識をしております。いずれにしましても、陸上自衛隊としては、このような訓練の安全管理に万全を期すとともに、引き続き地域の皆様に対して丁寧な説明、適切な情報提供に努めてまいりながら、訓練をしっかりとやっていきたいと思います。
記 者:
オスプレイについて伺います。古謝玄太沖縄県知事が米軍オスプレイの沖縄県内配備について容認する姿勢を示しました。安全性に懸念があるオスプレイの県内配備に一貫して反対してきた歴代沖縄県政の立場を大きく変更することになりました。この古謝知事の姿勢を陸幕長はどのように受け止めていますか。また、古謝知事の発言を受けて陸幕として今後、沖縄県内で日米双方のオスプレイの訓練を拡大していくお考えはありますでしょうか。陸幕長のご見解をお願いします。
陸幕長:
はい、まず古謝知事が発言された内容については承知をしております。その上でですね、沖縄県知事のご発言等についてですね、陸上幕僚長としてコメントする立場にはないというふうに思っておりますので、お答えについては差し控えさせていただきたいと思っております。その上でですね、今後の沖縄地域における共同訓練、日米等の訓練の話だと思いますが、これはそれぞれですね、訓練の目的、期間、そのようなものに関連してですね、日米間で個別調整をすることとなっております。オスプレイのその高い能力ですね、これを活用できるよう、これを防衛のみならず、災害派遣等でもですね、しっかりと活用できるようにですね、調整をしていきたいと思っています。この際、常々申し上げておりますが、オスプレイの運航については安全確保に最大限配慮するということ、また周辺地域への影響に十分配慮しながら、地元説明等も確実に実施しながら、必要な訓練を実施していくことになると思っております。
記 者:
現地情報隊についてお伺います。弊紙の取材で現地情報隊の活動として、例えば尾行から逃れる訓練ですとか、対象者に顔を合わせずに情報の受け渡しをする「デッドドロップ」という訓練ですとか、あとは所属先を隠して対象者に接触した、または図書館に行くだけなのに尾行を撒くといった訓練があったという証言を、複数の元部隊関係者から得ました。対象者に会わずにインターネットで情報を閲覧して、協力者の情報を収集したという話もあります。こうした隊の活動とされる行為をですね、現地情報隊の元隊幹部が「情報収集ごっこ」「スパイのまねごと」と指摘されていますが、こうした活動や指摘について、陸幕長としてどのように受け止めているかお願いします。
陸幕長:
現地情報隊におけるですね、教育訓練とかそういう練度を向上する関連のお話だと認識をしております。現地情報隊におけるその教育訓練とかその隊務運営のあり方についてですね、その細部に関わる事項だと思いますので、これについては現地情報隊の情報収集能力、これを明らかにする恐れがあるため、お答えを差し控えをさせていただきます。
記 者:
情報収集能力ということですけれど、聞いたのは、隊の振る舞いというか佇まい、公然の部隊としてある中で、秘密部隊のような振る舞いをする必要があるのかどうかについて、これはいかがですか。
陸幕長:
はい、その振る舞いについてもですね、我々の整理の中では、部隊の教育訓練とか、そういうものに直結する可能性がありますので、情報収集能力、これを明らかにする恐れがある、直結すると思いますので、お答えを差し控えさせていただきます。
記 者:
もう1点、陸上自衛隊の充足率が不足する中で、各部隊へのリソースの配分が課題だと存じますが、このような状況の中で現地情報隊にリソースを割く意義があるのか。安保三文書の改定で自衛隊の定員削減の議論もある中で、現地情報隊の体制の見直しだったり、廃止・縮小といったことも検討はあるのかどうか教えてください。
陸幕長:
安全保障関連3文書の検討状況についてはですね、現在鋭意実施をしているところでありますが、何ら予断を持ってですね、その内容について逐一お話しするというのは控えさせていただきますが、まずこの現地情報隊については、ご承知の通り、自衛隊が海外に派遣される際に、部隊の任務遂行及び安全確保に必要な現地の情報収集を行う部隊ということで、任務規定については明確に実施をされております。その上でですね、今、ご質問がありましたような、この資源が非常に厳しい中で、どういうふうな部隊作り、体制作りをしていくかということについては、ご指摘の通りだと思っています。その上で、そういう観点からですね、この現地情報隊に限らず、陸上自衛隊全ての部隊の任務、あるいは編成については、安全保障環境等を踏まえですね、適切にかつ不断に、これは見直していくということにしております。
記 者:
今の現地情報隊の質問に関連してお尋ねです。現地情報隊が情報収集されたとされる個人BSD報告書について、小泉防衛大臣は、出所や真正性がないので答えることは差し控えるという答弁をされていますが、防衛省・自衛隊としては、この様式の文書があるかどうかという確認自体をする必要性はないと考えていらっしゃるのか、その辺の見解をお尋ねします。
陸幕長:
ご指摘の文書についてはですね、陸上自衛隊として公表した文書ではありません。また、その出所、あるいは真正性を確認できないため、当該文書の内容を前提としたお答えは差し控えをさせていただきます。その上で、これも以前から申している通り、このような報道があったということで、現地情報隊の隊務等については確認をしてですね、現時点で不適切な活動、これは行われていないということを確認しております。
記 者:
陸幕長は先日韓国へ17年ぶりに訪問をされましたが、その意義と成果について教えてください。また、今後部隊同士の防衛交流、協力などに繋がっていくのか、お考えを聞かせてください。
陸幕長:
本年9月29日から9月30日にかけて、韓国公式訪問を実施いたしました。日韓両国陸軍種トップ間の信頼関係を強化するとともに、防衛協力・交流をさらに促進するために実施したものであり、陸上幕僚長による韓国訪問としては17年ぶりとなるものでありました。この訪問間、陸軍参謀総長との懇談においてですね、まず、両国を取り巻く安全保障環境に関する認識、情勢認識を共有したというのが1つ成果です。そして、ご質問の部分に関連すると思いますが、今後、人的交流や、HA/DR分野における協力の可能性、今、なかなかこう進んでいないところだったんですが、こういう分野で進められるかというような可能性ですね、これについて率直な意見交換を行いました。加えて、継続的なハイレベル交流と、それから日韓幕僚協議等を通じ、防衛協力・交流を推進していくことで認識を共有したところであります。幕僚協議を通じてですね、具体的に、部隊レベルまで、どれぐらいまで交流をできるかというのは、しっかりと今後、話し合いができる素地はできたのかなというふうに思っております。
記 者:
今の質問に関連しまして、こう部隊レベルで、そういった交流をすることの意義について、改めて、今の現段階では可能性を探っているというところだと思いますが、例えばこう、それに繋がって行ったとして、その意義について、教えてください。
陸幕長:
今回17年ぶりにですね、このハイレベル交流というのが再開をできましたし、それからあの幕僚ですね、陸上幕僚監部のスタッフと向こうの陸軍参謀本部の交流というのができましたが、やはりですね、部隊間、隊員各階層ですね、そういうレベルでいろいろな交流をすることによってですね、まずお互いの能力とか、やり方を理解をしたり、お互いが反映をするような形でですね、能力が上がっていくという意義がありますので、できればですね、この日韓陸軍種、交流というのは、幅を広げていければなというふうに思っております。現状、可能性を探っているところですので、着実に進めたいと思っております。
記 者:
冒頭の幹事社質問に関連して、25SSMの関係です。今回の訓練では、米軍と一緒に、実射までの動きについて確認をするものだと承知しているのですけれども、今回、スタンド・オフ・ミサイルについて、米軍と一緒に演習を行うことの意義について、統幕の訓練ではあると思いますが、お考えがあれば教えてください。
陸幕長:
まず、今回のKSについては、統合の枠組みの訓練であります。幹事社さんからご質問のありました、25SSMが健軍から出て大野原演習場に行くという部分についてはですね、純粋にその部隊の展開、あるいはその射撃の手順の確認、それからこの装備品をどういうふうに防護しながらとかですね、純粋にその部隊のところの部分を演練するということでありますので、日米でのその訓練、どういう部分をやるかということについてはですね、今後の課題になってくるというふうに思っております。
以 上