発表事項
まず、今般の令和8年熊本地震によりお亡くなられた方々に対し、謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。陸上自衛隊としては、西部方面隊を主体として、引き続き関係自治体、関係機関と連携し、必要な対応に万全を期してまいります。
私から2点、お知らせをいたします。
まず、令和8年度88式地対艦誘導弾年次射撃訓練についてです。陸上自衛隊は、8月16日から25日までの間、静内対空射撃場において、北部方面隊第3地対艦ミサイル連隊及び西部方面隊第8地対艦ミサイル連隊が参加する88式地対艦誘導弾年次射撃訓練を実施をいたします。本訓練は、地対艦ミサイル部隊が連隊規模で参加し、情報収集から目標への射撃に至る一連の行動を実射により演練するものであり、対艦戦闘能力の向上を図るものであります。
次に、日米豪共同実動演習「ヤマサクラ91」についてです。本演習は、陸上総隊、北部方面隊及び西部方面隊が、米陸軍、米海兵隊及び豪陸軍との共同による指揮所演習を実施し、指揮幕僚活動の能力向上を図るものです。また本演習は、日米同盟を基軸としつつ、豪州を含む同志国との連携を具体的な運用レベルで強化する重要な機会であり、日米豪3か国の共同対処能力の向上を図ることを目的としています。
陸上自衛隊としては、引き続き各種訓練を通じて部隊の練度向上を図るとともに、同盟国・同志国との相互理解の促進及び信頼関係の強化に努めてまいります。
私からは以上です。
質疑応答
記 者:
冒頭ありましたYSについて伺います。今年は北海道と九州南西方面の2正面が着上陸侵攻にあった場合の、指揮官の動きを演練する訓練だと伺っておりますが、先日事前に説明いただいた陸幕のレクでですね、こうした想定の訓練は結構珍しいものだというふうに教えて頂きました。こうした2正面の訓練を行うことの重要性について、陸幕長は今どのような認識を持っていらっしゃいますでしょうか。また、今後も南北を同時に侵攻された場合の訓練を、実動訓練を含めて増やしていくお考えはありますでしょうか。よろしくお願いします。
陸幕長:
はい、まず1点目のご質問についてお答えいたします。YSは、陸上自衛隊、米陸軍及び豪陸軍が共同して作戦を実施する場合における指揮幕僚活動を演練し、その能力の向上及び日米豪の連携強化を図ることを目的とした指揮所訓練です。その中で、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、自衛隊としては、様々な状況を想定しながら、日米豪が共同して対処する能力を向上させることが重要であると考えております。このため、特定の地域や個別の事態を念頭に置いているというよりは、多様な状況、あるいは、複雑な状況等においても、日米豪の連携を強化し、共同対処能力の向上を図ることに意義があると私は認識をしております。
2つ目のご質問についてですが、将来の同じようなシナリオでの訓練とか、そういうものに関するご質問と認識をしておりますが、将来の訓練の具体的な内容、実施要領については、現時点でお答えすることは差し控えをします。いずれにせよですね、このような積み重ねの訓練の中で、どういうような状況で我々の練度を向上させていくのが良いのかということはですね、不断に訓練を通じて、検証、あるいは演練しながら、計画をしていきたいと思っております。
記 者:
冒頭にありました88式地対艦誘導弾の実射訓練について伺います。去年も同様の訓練を実施しているかと思いますが、改めて長射程ミサイルの、国内で訓練することの意義について教えてください。また、去年との違いとして、指揮所と射撃場をネットワークでつないで訓練するかと思うんですが、この意味についても教えてください。
陸幕長:
はい、まず意義の方ですが、これまで地対艦誘導弾の実射訓練については、海外の良好な訓練基盤を有する米国本土の射場等で実施しておりました。国内において訓練基盤を安定的に保持することで、より多くの部隊による訓練機会を確保することが可能となります。その結果ですね、地対艦ミサイル部隊の練度の維持・向上につながるものと考えております。先般、会見でも色々お話をさせていただいたり、ご質問をいただいている南鳥島、来年度の射撃訓練基盤を作るというようなこともですね、1つの流れで、意義があると思っております。
もう1つのご質問、ネットワーク電子戦システムとの連携でしょうか。
記 者:
NEWSが新たに参加すると思うので、その連携要領と、あと指揮所と射撃を離れたところでネットワークでつないで、やるというのが去年との違いと伺いまして、その点についても教えてください。
陸幕長:
今年度の訓練ではですね、このNEWSを装備する電子戦部隊と連携した、地対艦誘導弾連隊の指揮幕僚活動、これに関わる訓練を実施をいたします。大きな括りで申しますと、我々で言うところの情報と火力の連携、あるいは電子戦部隊と火力の連携、こういう大きな中での訓練です。本訓練ではですね、地対艦誘導弾部隊と電子戦部隊が連携し、情報共有、それから状況判断、それなどの指揮幕僚活動の要領を確認をします。その上で具体的にはどういうふうな形になるかというと、電子戦部隊は、電波に関する情報の収集・分析を通じて、地対艦誘導弾部隊の状況把握を支援をするような形になります。なおですね、本訓練において、このNEWS、ネットワーク電子戦システムによる電波放射は実施をしないためですね、周辺の電波利用や生活環境の影響はありません。いろいろな状況を模擬して、そのNEWSの部隊が地対艦誘導弾の連隊に状況、情報を与えるとか、そういう状況の中で演練をしてみようかというふうに思っております。
記 者:
それに関連して、いわゆるその、NEWSはターゲティング情報の収集を行うという認識でよろしいでしょうか。
陸幕長:
冒頭申しましたとおりですね、情報と火力の連携、あるいは、その電波、電子戦と火力の連携という観点で言うと、今、おっしゃったような、大きな、そのターゲティングの演練の1つというふうにご理解いただいて結構です。
記 者:
最後に、去年と比べて、より実際的な訓練になってくると思うので、いわゆる、より実戦的な訓練になるというようなことでよろしいでしょうか。
陸幕長:
はい、昨年と違う形でですね、連隊本部を出したりとか、このNEWSを使ったりということでですね、少しずつ練度向上に資するような訓練形態になっていると考えております。
記 者:
熊本地震の被災地支援の関連で1点だけご質問させていただきます。佐賀駐屯地に配備されているオスプレイがですね、7月31日に熊本の沖合の「いせ」に着艦して、そこから熊本空港の方に飲料水や食料などの生活物資を輸送するというふうなことをしているというふうに把握しておるんですけども、その後2日目から今日までも含めた、このオスプレイの被災地支援に関する運用の実績など、もし分かれば教えていただけますでしょうか。
陸幕長:
はい、今ご質問がありました通りですね、今回の災害派遣においては、佐賀駐屯地に配備をしているV-22オスプレイについてはですね、その特性、ヘリコプターのような離着陸能力を有したりとかですね、高速で飛行できるというような特性を活かしてですね、輸送任務に従事させたところであります。全体としてはですね、任務の内容、部隊の運用状況等を総合的に勘案した上でですね、最も適切なアセットを今回の災害派遣でも使用することとしておりますが、今お尋ねのありました、前回実施した以降、V-22オスプレイの運用については、今のところそのような形では運用はしておりません。
記 者:
今のところ初日だけの派遣だったということですかね。
陸幕長:
現時点では、その輸送のニーズとか様々な状況を踏まえて、運用アセットを決めますので、現時点では、その1回のみということであります。
記 者:
佐賀駐屯地に昨年配備されてからは初めての被災地の派遣だったと思うんですけど、改めて、さっきおっしゃったことと重なるかもしれませんが、他の輸送ヘリなどと比べた、そのオスプレイの物資を輸送する面で、どのような利点があるとお考えでしょうか。
陸幕長:
はい、V-22オスプレイについては、その固定翼の特性、あるいは回転翼機の特性、2つの特性を持っております。また、長距離を高速で飛行できるというような能力も持っておりますし、繰り返しになりますが、ヘリコプターのような離着陸能力、これを有しておりますので、その特性を活かした、全般の災害派遣の状況の中で、どのように活用していくのか。今回については、海上自衛隊の護衛艦「いせ」、こちらが運用されておりましたので、それに「適する」という形で運用したところであります。
記 者:
最後に、今後、熊本地震に関して、また派遣する予定、計画などはありますでしょうか。
陸幕長:
はい、任務の内容と、それから部隊の運用状況等を総合的に勘案した上でですね、最も適切なアセットを使用するということですので、現時点で今決まっていることとかですね、そういうものはありませんが、冒頭申しました通り、陸上自衛隊については、この熊本地震に対する災害派遣については、全力でできることは全てやるということでですね、状況に応じて様々なアセット、あるいは部隊、隊員の運用をやっていきたいというふうに思っております。
記 者:
台湾有事について伺いたいんですけども、今年初めにですね、米国の国家情報長官が、2027年には台湾有事はなさそうだという発言をしました。陸幕長は、前任の西部方面総監の時に、幹部に対する訓示の中で、たびたび「2027年に台湾有事があるという前提で準備をしろ」という指示を出したと聞いておりますが、今もその考えに変わりはないでしょうか。
陸幕長:
はい、まずですね、お尋ねのありました、その台湾有事、あるいは2027年が焦点ではないかという米国の情報サイドの分析に関する報道については承知をしております。
そして、2つ目のお尋ねのありました、西部方面総監時代にですね、そのように具体的に、対外的にですね、お話をしたということはありませんが、いずれにせよ、我々陸上自衛隊、あるいは当時の西部方面隊についてはですね、様々な状況に対して即応できるごとく準備をするという考え方については、それは以前も現在も、それからこの先も変わることはありません。
記 者:
西部方面総監時代に発言されたのは対外的ではなくて、部内に対して、幹部に対して指示をされたと聞いているんですけど。
陸幕長:
はい、部内のですね、幹部に対するその場面とかですね、どのようにお話をしたかということについてはですね、お答えを差し控えさせていただきますが、部内向けということであればですね。今申しましたような、情勢に応じた即応態勢、あるいはいろいろなことに備えるということについては、変わりはありません。
以 上