みちのくWeb - 陸上自衛隊東北方面隊

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寒いくらいがちょうどいい

冬季即応予備自衛官招集訓練

凍結した地面を滑走

凍結した地面を滑走

 自衛隊岩手地方協力本部(地本長・菅原1等陸佐)は、第38普通科連隊が実施する冬季即応予備自衛官招集訓練のうち、C1訓練2日、C2訓練2日の計4日間を密着取材しました。
 最初の2日間は、滑歩、滑走技術、射撃要領等を訓練しました。

射撃要領

射撃要領

 訓練開始に当たり、担当する津川2曹から寒冷積雪地での注意事項の説明があり、その中でも何度となく徹底する言葉がありました。「寒いくらいがちょうどいい」です。
 寒い所で汗をかくと体温の低下や凍傷を引き起こす。だから暖かい格好ではなく、体を動かしたときに暑くなってもいいように着込みすぎない。「寒いくらいがちょうどいい」この言葉を頭に入れて訓練に挑みます。
 暖冬のため足元が雪ではなく氷に近いですが、即応予備自衛官は今年初めてのスキー訓練にも関わらず、難なく滑走していました。アキオ(ボート型のひきソリ)曳行は、曳行綱で4人が「いっちにーいっちにー」と息を合わせて引っぱっていました。その弾んだ声が演習場に響きます。息の揃った動きに圧倒され、渋田即応予備2曹に、現職時はどのような訓練をしていたのか聞いてみると、「競技会がありずっとスキー練成だった。先輩に後ろから急がされ、スピードを上げて滑らないといけないから大変だった。懐かしい。」と、微笑みながら話してくれました。
アキオ曳行

アキオ曳行

 3日目は、白色外衣を着用し、接敵行進、陣地攻撃を行いました。演習場での接敵行進は、先が見えないほどの急斜面から始まりました。スキー経験豊富な即応予備自衛官は「ハの字」でスピードを調整しながら滑っていきます。即応予備自衛官になってから、スキーを履いた元海上自衛官だった菅野即応予備1曹は、「海上自衛隊ではスキー訓練がなく、プライベートでもスキーの経験がなかったので不安だったが、常備自衛官及び即応予備自衛官の仲間からの心強いサポートのおかげで、平地は歩けるようになった。でも、未だに斜面は怖い。転倒等のアクシデントの際には常備自衛官が、すぐに立ち上がるときの順序、小銃や装具の取り扱いなどを示してくれるから安心して訓練することができる。」と、話してくれました。
接敵行進

接敵行進

 道は、下りや登り、でこぼこしていたり簡単には進ませてくれませんが、みな一丸となって一歩一歩着実に目標地域まで前進して、目標到達後は敵と交戦、制圧し、3日目が終わりました。
 最終日は、訓練の振り返り、装備の手入れを実施。こうして4日間にわたる訓練が終了しました。
 今回、冬季即応予備自衛官招集訓練を取材し、「常即一体」(常備自衛官と即応予備自衛官が一体となって挑むこと。)の重要性をあらためて感じました。
 「寒いくらいがちょうどいい」と説明していた津川2曹は、身近に凍傷となり体の一部を失くした方がいた事を話してくれました。雪山での訓練を甘く見てはいけないと知っているからこそ、訓練中も危険がないかと常に目を光らせていたのが印象的でした。

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