一般曹候補生
東京都 菊池 様
思えば、小学校の卒業式でのことでした。卒業生児童一人一人に将来の夢と希望を発表させた時に息子は、「将来は自衛隊に入って日本の平和を守りたいと思います」と大きな声を響かせました。それが現実となり、大変嬉しく思っております。
今春、高校の卒業式のわずか2週間後、3月27日、息子は、第5期一般陸曹候補生として、第117教育大隊に入隊致しました。それまでの間、自衛隊東京地方協力本部広報官の皆様には大変お世話になりました。武山に送り出す朝は、初めて家を離れる生活に入る息子に対し親の方が不安で、また寂しい気持ちを抑えるのが精一杯でしたが、頑張るようにと、主人共々笑顔で出発を見送りました。
教育隊では朝の起床から就寝前の点呼まで、また、すべてが初めての経験であり、新しい環境と課業に緊張の連続だったと思います。どのようにしているか想像がつかず、4月11日の入隊式で顔を見るまでは心配しましたが、息子は周囲の方々のご指導の下、日々訓練に励んだようです。入隊式では全国から集まった若者の溌溂とした姿を目にしまして、短期間でこのような行動が可能になることに、正直なところ大変驚きました。入隊式で武山を『教育のメッカ』と紹介されました通り、班長さんはじめ多くの先輩方に厳しくも温かいご指導を賜り、行軍や野営という課業を通して、段々と逞しく成長している様子を感じることができました。また、休暇で家に帰って来た時には、同期の皆さんとの団体生活の様子を生き生きと話す姿に安心しました。前期教育を修了し、6月27日の卒業式での姿は、3ヶ月前の私共の不安を拭い去ってくれました。配属は陸上自衛隊第1師団第1普通科連隊となり、練馬駐屯地にて後期教育を修了しました。入隊以来多くの方々のご指導の下過ごしてまいりましたことに、息子自身感謝の念を強く抱き、さらに自衛官としての任務のために精進することを心に決めていると思います。
昨今、激動の世界情勢を鑑みれば、自衛隊の海外派遣の任務等に関しまして集団的自衛権の行使が憲法上認められていない状況からすると、母親として不安を覚える気持ちはあります。しかしながら、日本の平和を守るという尊い気持ちを持って自ら自衛官という仕事を選択した息子を誇りに思い、今後の成長を見守って参りたいと思っております。