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ドイツ連邦共和国派遣演奏

◆ Dewezetデーヴェーツェット紙(5月28日付)◆

 




タイトル:日本人がベートーベンを愛するとき…

見出し:陸上自衛隊中央音楽隊がハーメルンの街頭で注目される。
(ブルクハート・ライマー記者、ハーメルン発)

 日本のソプラニスト、松永さんは先ずは日本語で、その後ドイツ語で「Freude, schöner Götterfunken(歓喜よ、美しき神々の煌めきよ)」を広場中に響き渡る声で朗々と歌い、聴衆はまさに「歓喜に酔いしれて」この音楽の聖域に引き込まれる。シラーの詩「Ode an die Freude(歓喜に寄せて)」にベートーベンが曲をつけた歌は、とても素晴らしく特別な午前コンサートの最後を飾るものではなかったが、疑いの余地なく、たくさんの音楽的なハイライトがある中での「特別」である。日出国の華奢な女性から発せられる歌唱音域と声量は信じがたいほどだ。
 陸上自衛隊中央音楽隊のソプラニスト、松永士長は、ハーメルンでの演奏前にも素晴らしい才能を証明した。日曜日にハーメルンのホホツァイツハウス・テラッセ(結婚式館テラス)で行われた音楽隊の演奏も同士長の才能を証明する機会を与えた。これらの機会を与えたきっかけは、1918年に日本でベートーベンの交響曲第9番が全曲演奏されてから、今年で100周年を迎えることだった。当時、鳴門にある俘虜収容所でドイツ人俘虜がこの交響曲を演奏した。 終結合唱で「Alle Menschen werden Brüder(人類はみな兄弟になる)」、「seid umschlungen Millionen(抱かれよ、数多の者よ)」と歌うこの作品は世界を包摂する普遍的な平和のメッセージを含む。そのため、日独事業のタイトルはドイツ語で「Neunte(第九)」を意味する日本語の「Daiku」である。弦楽器、木管楽器、ティンパニーの各奏者も、合唱団も存在せず、指揮台すらない。テラスで演奏しているのは、5人の金管奏者(トランペット奏者2人、ホルン奏者、テューバ奏者、トロンボーン奏者各一人)のみだ。楽器奏者は5人だけだが、なんと素晴らしい5人だろうか。そして、圧倒的な歌唱力のソプラニストが加わり、ネイティブとほとんど変わらない発音でドイツ語を話す防衛駐在官の桑原1佐が控えめに司会者役を務める。このようなメンバーが奏でるベートーベンの「第九」はどのような響きなのだろうか。
 もちろん、尊大な振る舞いは日本的ではないし、日本の作法に合わない。アンサンブルは限界をしっかりと理解し、ベートーベンの交響曲では「歓喜の歌」のみに限定した。
だからといって、日本のゲストがハーメルンの聴衆に提供した無上の喜びに水を差すことはなかった。6人の音楽隊員は日本とドイツの曲を織り交ぜた変化に富むプログラムを披露した。当然のことながら、日本の曲はドイツではあまり知られていないが、ソプラノの松永さんがやはり見事に歌うバッハのカンタータ「Bist du bei mir(あなたがそばにいたら)」やコラール「Wachet auf, ruft Euch(ママ) die Stimme(目覚めよと呼ぶ声あり)」と同じようにドイツ人聴衆の耳に馴染む。
 そして、日本のみなさんが、バイエルンのブラスバンドさながらに、ドイツ民謡「Horch, was kommt von draußen rein(夏の山)」を4分の3拍子の間奏曲として演奏し始め、ユーモアのセンスまでをも披露すれば、感激する理由はまた一つ増える。卓越した技量の音楽家らが演奏する際の伸び伸びとした軽やかな姿勢である。非常に規律正しい日本の音楽隊から、誰がこのような姿を想像したであろうか。
(仮訳 在ドイツ日本国大使館)

           

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